握った手が驚くほど冷たい、足にまだら模様が出ている、看護師さんから「血圧が測りにくくなっています」と言われた。こうした変化は最期が近い時期に多くの方に見られるもので、心臓が送り出す血液の勢いが弱まり、体が残った力を脳や心臓などの中心に集めようとするために、手足の先から順に現れてきます。
ただ、どの変化から始まるか、どのくらいの速さで進むかは一人ひとり違います。手足の冷えが出てからの経過にも幅があり、「このサインが出たら何時間」と決まるものではありません。
この記事では、手足の冷え、まだら模様、血圧、尿、体温の変化がそれぞれ何を意味するのか、温めるときに気をつけたいこと、冷たくなった手への触れ方、看護師さんへの伝え方、そして遠方の家族を呼ぶか、今夜泊まるかを決めるための考え方をお伝えします。
冷たい手を握って、このページを開いた方へ
- 握った父の手が、氷のように冷たかった。足の甲には紫色のまだら模様まで出ている。
- 看護師さんに「血圧が測りにくくなっています」と言われたのに、それがどういう意味か聞き返せなかった。
- 布団を足したほうがいいのか、さすったほうがいいのか。何かしてあげたいのに、何をすればいいのか分からない。
父の手足が冷たく、血圧が測れないと言われました。これは最期が近いということですか?
最期が近い時期に多く見られる変化のひとつです。ただ、この変化だけで残りの時間が決まるわけではなく、同じ様子が出てからの経過にも幅があります。「今の様子を、どう見ていらっしゃいますか」と、医療者に見立てを尋ねてください。
手足の冷えと血圧の低下は、どちらも「体の巡りが全体として弱まってきた」ことを表す変化です。心臓が一回に送り出す血液の量や勢いが小さくなると、血管の中の圧(血圧)が下がり、心臓から遠い手足の先まで温かい血液が届きにくくなります。看護師さんが血圧や脈を気にかけるのは、こうした変化が、今の状態を見立てるための手がかりになるからです。
医療者向けの研究にも、この時期の巡りの変化を扱ったものがあります。米国とブラジルの緩和ケア病棟で進行がんの患者さん357人を調べた研究(Hui Dほか、Oncologist、2014年)では、手首で脈が触れなくなることや、尿の量が減ることが、亡くなる前の数日と関係の深い徴候に挙げられました。ただしこれは、ベッドサイドで医療者が判断する材料にするための研究です。こうした徴候がはっきり出ないまま最期を迎える方もいて、家族がひとつずつ確かめて時間を数えるためのものではありません。
手足が冷たくなるのは、体の中で何が起きているからですか?
心臓の力が弱まると、体は限られた血液を、脳や心臓、肺といった命を支える臓器へ優先して回すと考えられています。そのぶん心臓から遠い手足の先には血液が届きにくくなり、冷たく、青白く、あるいは紫がかって見えるようになります。
冷えは、たいてい指先やつま先から始まります。手のひらはまだ温かいのに指だけが冷たい、すねは温かいのに足先だけが冷たい、という状態から、冷たさの境目が少しずつ体の中心のほうへ上がってくることがあります。爪や唇の色が青紫っぽく見えることもあり、看護師さんはこれを「チアノーゼ」と呼ぶことがあります。手足は冷たいのに、肌がしっとり汗ばんでいることもあります。
家族が戸惑うのは、部屋が暖かくても、布団をかけても、手足の冷たさが戻らないことかもしれません。これは温め方が足りないからではなく、肌の下を流れる血液そのものが少なくなっているためです。外から温めても巡りが戻るわけではないので、「温めてあげられなかった」と自分を責める必要はありません。
- 1心臓の力が弱まる一回に送り出す血液の量や勢いが小さくなる
- 2中心を守る脳や心臓など、命を支える臓器へ優先して血液が回る
- 3手足の先が変わる指先やつま先が冷え、色が青白い、紫がかる、まだらになる
- 4数値が変わる血圧が下がって腕では測りにくくなり、手首の脈も弱くなる
- 5尿が減る腎臓に届く血液も減り、尿の量が少なく、色が濃くなる
足に出てきた紫色のまだら模様は、何ですか?本人は痛くないのですか?
皮膚のすぐ下の細い血管で血液の流れがゆっくりになり、赤紫や青紫の網目のような模様が浮かぶもので、医療者は「網状皮斑(もうじょうひはん)」や「まだら模様」と呼ぶことがあります。模様そのものが強い痛みを生むことは少ないと考えられています。
まだら模様は、膝のまわりや足の甲、足の裏、かかとなど、心臓から遠い場所に出ることが多いといわれます。初めは薄かった模様が少しずつ濃くなったり、すねから太もものほうへ広がったりすることもあれば、体の向きや時間によって薄くなったり濃くなったりすることもあります。
痛みの手がかりは、模様よりもご本人の様子です。顔の力が抜けている、眉間にしわがない、足に触れても嫌がらない。そうであれば、見た目ほどのつらさはないと受け止めてよいことが多いものです。反対に、足に触れると顔をしかめる、うめく、足を動かして落ち着かない、といった様子があれば、別のつらさが隠れているかもしれません。そのまま看護師さんに伝えてください。
色が変わっている肌は、圧迫やこすれに弱くなっていることがあります。強くもんだり、ゴムのきつい靴下をはかせたりするのは避け、同じ場所が長く圧迫されていないかを、看護師さんと一緒に気にかけてください。
[gk_cta_mid title=”「血圧が測りにくくなっています」の意味を、一緒に確かめませんか”]看護師さんに言われた言葉を、そのままフォームに書いてください。一般にどんな状態を指す言葉かをお伝えし、次に病棟で聞き返す質問を3つにまとめてお送りします。診断や予測はしません。[/gk_cta_mid]「血圧が測れない」とは、どういう状態ですか?
心臓の送り出す力が弱まって血圧が低くなり、腕に巻く血圧計では数値が出にくくなった状態を指すことが多い言葉です。血圧がゼロになったという意味ではなく、体の巡りが全体として弱まっている、という医療者の観察です。
血圧計は、腕の血管を流れる血液の勢いをとらえて数値を出します。勢いが弱くなると機械が反応をとらえきれず、「測れない」「エラーになる」ということが起こります。指先にはさんで酸素の値を測る機械も、指が冷えて血液が届きにくいと、数字が出にくくなることがあります。モニターの数字が消えたり乱れたりしても、それだけで何かが急に起きたとは限りません。
この時期になると、医療者が血圧や体温を測る回数を減らすことがあります。腕を締めつけたり、眠りを妨げたりする負担を減らし、苦しさがないか、表情や呼吸を見ることに重心を移すためです。測らなくなったのは見放されたからではなく、ケアの目的が「数値を整えること」から「穏やかに過ごしてもらうこと」へ移ったということです。分からないときは、「これからは、どこを見ていてくださるのですか」と聞いてかまいません。
| 言葉 | 一般に指していること | 聞き返すときの一言 |
|---|---|---|
| 血圧が測りにくくなっています | 血圧が低く、腕の血圧計では数値が出にくい | 「今の様子を、どう見ていらっしゃいますか」 |
| 脈が弱くなっています | 手首で触れる脈が小さく、速さやリズムも変わりやすい | 「家族を呼んだほうがいい時期でしょうか」 |
| チアノーゼが出ています | 指先や爪、唇などが青紫っぽく見える | 「本人は苦しくないでしょうか」 |
| 尿が少なくなっています | 腎臓に届く血液が減り、出る量が減っている | 「点滴の量は、今のままでよいのでしょうか」 |
| 測るのを控えますね | 数値より、穏やかに過ごせるかを優先する | 「代わりに、どこを見ていてくださいますか」 |
冷たい手足は、温めてあげたほうがいいですか?
ご本人が寒そうなら、薄手の掛けものを一枚足す、やわらかい靴下をはかせる、手のひらで包む、といったやさしい温め方で十分です。湯たんぽやカイロ、電気毛布は、感覚や巡りの弱った肌に低温やけどを起こすことがあるので、使う前に看護師さんに相談してください。
手足が冷たいことと、ご本人が寒いと感じていることは、同じではありません。手足は冷たくても、胸やおなか、首の後ろは温かく、むしろ汗ばんでいることもあります。冷たさに驚いて毛布を何枚も重ねると、体の中心に熱がこもり、重さや暑さで寝苦しくなることがあります。
寒いか暑いかは、言葉で伝えられない時期には様子から推し量ります。手のひらを首の後ろや胸元にそっと当てて、体の中心の温かさを確かめてみてください。下の図のようなサインを手がかりに、掛けものを足したり減らしたりします。
寒そうなサイン
- 体を丸める、肩をすくめる
- 震えている、歯がカチカチ鳴る
- 掛けものを引き寄せようとする
暑そうなサイン
- 首や胸元、背中が汗ばんでいる
- 掛けものを足でけったり、払いのけたりする
- 顔が赤く、落ち着かずに体を動かす
| 温め方 | 向いている場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 薄手の掛けもの | 体を丸めて寒そうなとき | 重ねすぎると、重さや暑さで寝苦しくなる |
| やわらかい靴下 | 足先の冷えが気になるとき | ゴムのきつい物は、締めつけや跡の原因になる |
| 手のひらで包む | 面会のあいだ | 自分の手が冷たいときは、先にこすって温める |
| 湯たんぽ・カイロ | 使う前に看護師さんに相談 | 感覚の鈍った肌に長く当てると、低温やけどのおそれ |
| 電気毛布 | 使う前に看護師さんに相談 | 熱がこもり、汗をかいて寝苦しくなることがある |
| 部屋の温度 | 部屋全体が冷えるとき | エアコンの風が体に直接当たらないようにする |
尿が出ない・少ないときは、水分や点滴を増やしたほうがいいですか?
尿が減るのは、腎臓に届く血液が減り、飲める量も少なくなるこの時期によく見られる変化で、水分を足せば戻るとは限りません。点滴の量は、むくみや痰の増え方との兼ね合いで医師が考えるものなので、気になるときはそのまま尋ねてください。
尿の管が入っていれば袋にたまる量が少なくなり、おむつなら濡れる回数が減って、尿の色は濃い茶色に近づいていきます。「水分が足りないからだ」と考えて、吸いのみで水を含ませたくなるかもしれません。けれど、飲み込む力が弱まっている時期に口へ水を注ぐと、むせたり、気管に入って苦しくなったりすることがあります。口の渇きには、湿らせたスポンジやガーゼで唇と口の中を潤すほうが、ご本人には楽なことが多いものです。やり方は[gk_link to=”post:final-days-not-eating-mouth-care”]食べられない・飲めない時期の口のケア[/gk_link]でも紹介しています。
点滴について、日本緩和医療学会は『終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン 2013年版』をまとめていて、OPTIMの看取りのパンフレット『これからの過ごし方について』でも、輸液は家族の心配に沿って説明される話題のひとつです。点滴を増やすか、減らすか、続けるかは、ご本人の状態を見て医師が判断することです。家族は「点滴を増やせば、尿は出るようになりますか」「今の量で、本人の負担になっていませんか」と、心配をそのまま言葉にすれば十分です。
ひとつだけ、別の理由で尿が出ていないこともあります。下腹がふくらんで張っている、しきりに下腹を気にする、落ち着かずに体を動かす、といった様子があるときは、膀胱に尿がたまって出せずにいる可能性があります。この場合は手当てで楽になることがあるので、早めに看護師さんに伝えてください。
熱が出たり、汗をかいたりするのも、最期が近いときの変化ですか?
体温を整える働きが弱まり、手足は冷たいのに体の中心は熱い、急に熱が上がる、汗をかく、といった変化が見られることがあります。感染などほかの原因で熱が出ていることもあるので、熱っぽさや汗に気づいたら看護師さんに伝えてください。
最期が近い時期には、体温を一定に保つ働きも少しずつ揺らぐと考えられています。朝は平熱だったのに夕方は熱い、熱があるのに手足は冷たい、というように、体の場所や時間によって温かさがまちまちになることがあります。
熱っぽいときは、ご本人が楽そうか、つらそうかを見て、掛けものを一枚外す、首まわりの汗を拭く、絞った濡れタオルを額や首に当てる、といった小さな手当てができます。氷や保冷剤で強く冷やすと寒気やふるえにつながることもあるので、看護師さんに相談してからにしてください。解熱の薬を使うかどうかは、医療者が判断します。汗でぬれた寝間着は、看護師さんに声をかけて一緒に着替えさせてください。
冷たくなった手に、どう触れればいいですか?
自分の手をこすって温めてから、両手で包むように、そっと触れてください。強くもんだり、こすったりする必要はありません。「手、触るね」と声をかけてから触れると、驚かせずにすみます。
握った瞬間の冷たさに、思わず手を引っ込めてしまう方もいます。それで何かが損なわれるわけではなく、もう一度ゆっくり包み直せば十分です。手の甲を指先から手首のほうへゆっくりなでる、手のひらを重ねたまま静かに座る、指を一本ずつそっと握る。触れ方に正解はなく、ご本人の表情がゆるむ方法を探していけばよいのです。
乾燥した手には、看護師さんに確かめたうえで保湿クリームを薄く塗るのもひとつです。点滴の針が入っている腕や、むくんで皮膚が張っている場所は避け、どこに触れてよいかを一度聞いておくと安心です。さすり方の工夫は、[gk_link to=”post:holding-hands-touch-care”]手を握ることの意味[/gk_link]で詳しく紹介しています。反応がなくなってからも、耳は聞こえている可能性があるといわれているので、触れながら名前を呼び、「来たよ」と伝えてください。
遠方の家族を呼ぶか、今夜泊まるかは、どう決めればいいですか?
手足の変化だけで決めるより、看護師さんに「家族を呼ぶなら今でしょうか」と尋ね、ご本人が会いたがっている人、移動にかかる時間、付き添う家族の疲れを重ねて考えると決めやすくなります。
手足の冷えやまだら模様は目に見える変化なので、「もう呼ばなければ」と焦りやすいものです。けれど、見た目の変化と医療者の見立ては同じではありません。医療者は、呼吸の様子、意識、脈、尿の量などをあわせて「今はどのあたりか」を考えています。遠方の家族には、自分の言葉に置き換えず、看護師さんの言葉をそのまま伝えると、受け取る側も判断しやすくなります。迷いが続くときは、[gk_link to=”post:should-i-go-see-them-now”]今すぐ会いに行くべきか迷ったときの判断材料[/gk_link]も参考にしてください。
Q1看護師さんの見立てを、もう聞けましたか
はいその言葉のまま遠方の家族に送り、来るかどうかと移動の手段を一緒に相談する
いいえ「家族を呼ぶなら、いつごろが目安ですか」と今日のうちに尋ねる
Q2夜中の変化を、電話で知らせてもらえる約束がありますか
はいいったん帰って休み、電話を枕元に置いて眠る
いいえどんな変化のときに連絡をもらえるかを、帰る前に確かめる
Q3そばにいる家族は、昨夜眠れましたか
はい今夜そばにいる役を引き受け、明日の交代を決めておく
いいえ交代できる人に頼み、自分は帰って休む
冷たい手に驚いたご家族は、どう動いた?
説明のための例(実在の方の体験談ではありません)
1. 相談のあとに変わったこと
相談の2日後、Bさんは父の足の模様に気づくと、メモを見ながらナースコールを押しました。「夕方は足の甲だけだった模様が、すねの真ん中まで上がっています。色も少し濃いです。表情は穏やかです」。看護師さんは足を確かめ、「伝えていただいて助かります。先生にも様子を伝えておきますね」と答えました。その晩、Bさんは看護師さんの「会わせたい方がいれば、早めがいいと思います」という言葉を、そのまま弟さんに送りました。弟さんは翌朝6時に家を出て、昼前に病室に着きました。手を握った弟さんに、父は小さくうなずいたそうです。「前の私なら、もう少し様子を見てからと言っていたと思う」とBさんは話します。
2. 相談を考えた背景
父の手足が冷たくなったのは、相談の数日前からでした。面会のたびに握る手が冷たくなり、ある日、布団をめくると足の甲に紫色の網目のような模様が出ていました。看護師さんからは「血圧が測りにくくなっています」とだけ言われ、何を意味するのか聞き返せないまま、面会時間が終わりました。
3. 相談する前に困っていたこと
その夜、Bさんは「手足 冷たい 最期」「まだら模様 何時間」と検索を続けました。「数時間」と書いたページもあれば「数日」と書いたページもあり、どれを信じればいいのか分かりません。家にあった電気毛布を翌日持っていこうと、紙袋に詰めていました。母は「冷えたらかわいそう」と言い、弟からは「まだ行かなくていいの?」と毎晩のように連絡が来ていました。
4. ここを選んだ理由・決め手
病院のがん相談支援センターに電話することも考えましたが、平日の日中は仕事で動けません。夜でも申し込めるフォームに、看護師さんの言葉をそのまま書いて送りました。決め手は、「診断や予測はしない」と書かれていたことだったといいます。「何時間と言い切られたら、かえって怖かった。言葉の意味だけ知りたかった」。
5. 相談で話したこと・その後
翌日の昼休みに、担当から電話がありました。担当は父の残りの時間を予測することはせず、「血圧が測りにくい」「まだら模様」が一般にどんな変化を指すかを伝え、電気毛布は使う前に看護師さんに相談したほうがよいことを一般論として話しました。そのうえで、病棟で聞く質問を3つにまとめました。「温め方で気をつけることはありますか」「夜間はどんな変化で家族に電話をもらえますか」「弟を呼ぶなら、いつごろが目安ですか」。看護師さんの答えは、薄手の掛けものと締めつけない靴下で十分、というものでした。紙袋の電気毛布は、そのまま家に持ち帰りました。
※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。
医療者に聞く質問例
- 手足の冷えやまだら模様を、今の状態のどんな変化と見ていらっしゃいますか。
- 本人は寒さや痛みを感じているでしょうか。どこを見れば分かりますか。
- 湯たんぽや電気毛布を使ってもいいですか。掛けものはこのくらいで足りていますか。
- 尿の量が減っています。点滴の量は、今のままでよいのでしょうか。
- 夜間、どんな変化があったら家族に電話をいただけますか。
- 遠方の家族を呼ぶなら、いつごろが目安でしょうか。
とはいえ、冷たい手を握る夜に伝えたい2つのこと
① 気持ちのこと──冷たさに胸が詰まるのは、別れを手のひらで感じているからです
手を握るたびに冷たさが増していく。その感触は、どんな説明よりもまっすぐに、お別れが近づいていることを伝えてきます。病室で涙が止まらなくなったり、手を握ること自体が怖くなったりしても、それは弱さではありません。看病する家族は、自分のつらさを「本人ほどではない」と脇へ置きがちですが、ご家族は「第二の患者」ともいわれます(国立がん研究センター がん情報サービス)。冷たい手のそばで感じたことは、看護師さんや、がん相談支援センターに話してかまいません。がん相談支援センターは、その病院に通っていない家族も無料・匿名で使えます。誰かに話すと、自分が何にいちばんおびえていたのかが見えてくることがあります。
② 実務のこと──「そばにいる人」「伝える人」「知らせる人」を分けておく
手足の変化が出てくる時期は、付き添いが何日も続くことがあります。病室でそばにいる人、看護師さんや医師とやりとりする窓口の人、遠方の家族や親戚に様子を知らせる人。この3つの役を分けておくと、ひとりが全部を抱えずにすみ、窓口を1人に決めておけば、説明が家族の中で食い違うことも減ります。自宅で看ている場合は、夜間に電話する先と、どんな変化のときに電話するかを、訪問看護師さんや在宅医と決めておきます。在宅療養支援診療所には24時間連絡を受ける体制が求められていますが、夜にどこまで来てもらえるかは医療機関によって違うので、今のうちに確かめておくと安心です。駆けつける家族が勤めている場合は、時間単位でも取れる介護休暇(1年に5日まで、対象の家族が2人以上なら10日まで)が使えることがあるので、勤務先に確かめてもらってください。
今日できること
[gk_howto name=”今日できること” description=”手足の冷えに気づいた日に、家族ができる3つのこと” heading=”none”][gk_step title=”温め方をひとつ確かめる”]次に看護師さんが来たら、「掛けものや靴下はこのくらいでいいですか。湯たんぽは使えますか」とだけ尋ねます。答えを聞いてから、持ち込むものを決めれば十分です。[/gk_step][gk_step title=”変化を1行で書き留める”]「21時、両足のすねまで紫色の模様。手は冷たい。表情は穏やか」のように、時刻・場所・色・表情を1行でメモします。看護師さんに伝えるときにも、遠方の家族に送るときにも、そのまま使えます。[/gk_step][gk_step title=”遠方の家族への文面を下書きする”]看護師さんの言葉をそのまま入れた短い文を、送らずに下書きしておきます。送るかどうか一人で決めきれない夜は、フォームから折り返しのお電話を申し込んでください。[/gk_step][/gk_howto]よくある質問
[gk_faq][gk_q q=”手足が冷たくなってから、どのくらいで最期を迎えますか?”]決まった時間はなく、誰にも言い当てられません。手足の冷えは最期が近い時期に多くの方に見られる変化ですが、冷えが出てからの経過には大きな幅があり、ほかの変化の現れ方も一人ひとり違います。時間を数えるより、「今の様子をどう見ていますか」「夜間はどんな変化のときに連絡をもらえますか」の2つを看護師さんに聞いておくと、今夜の過ごし方を決めやすくなります。[/gk_q][gk_q q=”まだら模様が薄くなりました。持ち直したということですか?”]模様は、体の向きや巡りの具合によって、薄くなったり濃くなったりすることがあります。薄くなったことだけで、状態がよくなったのかどうかを判断するのは難しいものです。気づいたことは「さっきより薄くなりました」とそのまま看護師さんに伝え、今の見立てを聞いてください。[/gk_q][gk_q q=”血圧を測らなくなったのは、もう何もしてもらえないということですか?”]そうではありません。この時期は、測ること自体がご本人の負担になる場合があり、医療者は数値よりも、表情や呼吸、苦しさのサインを見ることに力を移すことがあります。緩和ケアは何もしないことではなく、つらさを和らげることを続けるケアです。気になるときは「代わりに、どんなところを見ていてくださるのですか」と尋ねてください。[/gk_q][gk_q q=”自宅で看ています。手足が冷たくなったら、訪問看護に電話したほうがいいですか?”]どんな変化のときに電話するかを、訪問看護師さんと前もって決めておくのがいちばんの目安です。手足の冷えだけで穏やかに過ごしているなら次の訪問で伝える、呼吸が変わった、苦しそう、家族が不安で判断できない、というときは電話する、のように分けておくと迷いが減ります。末期の悪性腫瘍の方の訪問看護は、要介護認定があっても医療保険で受けられ、原則週3日以内という日数の制限もかかりません(主治医の指示が前提です)。決めた連絡先のどれにもつながらず、命に関わると感じたときは119番に電話してください。[/gk_q][gk_q q=”冷たい手を握るのが怖くて、触れられません。触らなくてもいいですか?”]触れなくてもかまいません。布団の上から腕にそっと手を置く、そばに座って名前を呼ぶ、好きだった話をする、といった関わり方もあります。耳は聞こえている可能性があるといわれているので、声だけでも届けてください。[/gk_q][gk_q q=”夜の病室でひとり付き添っていると、冷たい手に触れるたびに怖くなります。誰かに話せますか?”]ご本人の様子が気になるときは、迷わずナースコールを押してください。様子は落ち着いているのに気持ちが追いつかないときは、誰かの声を聞くだけでも少し楽になることがあります。24時間、無料でかけられる電話相談として、よりそいホットライン(0120-279-338)があります(がん専門の窓口ではありません)。がんと家族の相談室のLINEは無料・匿名で、夜に届いたメッセージは翌朝いちばんに読んで返事をします。[/gk_q][/gk_faq]次に読むなら
- [gk_link to=”post:signs”]最期が近いとき、体にはどんな変化が現れますか?[/gk_link]
- [gk_link to=”post:breathing-changes-near-end”]呼吸の様子が変わってきたら、本人は苦しいのですか?[/gk_link]
- [gk_link to=”post:should-i-go-see-them-now”]今すぐ会いに行くべきか、何を材料に決めればいいですか?[/gk_link]
- [gk_link to=”post:what-happens”]治療を終えたあと、看取りまでの全体像はどうなっていますか?[/gk_link]
- [gk_link to=”post:how-to-be-with-patient”]弱っていく家族のそばで、どう過ごせばいいですか?[/gk_link]
- [gk_link to=”page:night-number”]もしもの夜に電話する先を、先に決めておくには?[/gk_link]