病院で最期を迎えるには?がんの緩和ケア病棟と一般病棟の違い

お父さまが病院で最期を迎えるときの過ごし方は、大きく二つに分かれます。今いる一般病棟にとどまり、主治医と病棟の看護師に緩和ケアの専門チームが加わる形と、痛みや息苦しさ、不安といったつらさを和らげることに専念した緩和ケア病棟へ移る形です。どちらがより穏やかかは病棟の名前では決まらず、お父さまの体の状態、移動に耐えられるかどうか、家族がどれだけそばにいたいかの組み合わせで変わります。

付き添いや面会の決まり、入院費のうち保険がきかない部分、緩和ケア病棟に入るまでの手順は、病院によってかなり違います。これから先の時間がどのくらいかも人によって大きく異なるため、移るのが間に合うかどうかを前もって言い当てることは、医師にも難しいものです。違いを知ったうえで、面談で確かめる項目を手元に持っておくと、「ご家族で決めてください」と言われたときの迷いが小さくなります。

「どちらの病棟にしますか」と聞かれて、答えられずにいる方へ

  • 主治医に「このまま一般病棟か、緩和ケア病棟に移るか、ご家族で考えてください」と言われたけれど、何が違うのか分からない。
  • 緩和ケア病棟に移ったら、母も私も夜まで付き添えるのか。面会の時間に決まりはあるのか知りたい。
  • 弱ってきた父を、別の病院まで動かしていいのか。転院がかえって負担になるのではと心配でたまらない。

この記事で分かること

  • 一般病棟と緩和ケア病棟の、ケアの体制・付き添い・費用の仕組みの違い
  • 緩和ケア病棟に移るときの手順と、動き出す時期の考え方
  • 病院で最期を迎えたあと、霊安室から先の流れ
  • 面談で確かめたい項目と、医療者への質問の例

父は病院で最期を迎えることになりそうです。一般病棟と緩和ケア病棟は何が違い、家族は付き添えますか?

一般病棟は、治療中の方も含めて多くの患者さんを受け入れる病棟で、つらさへの対応には緩和ケアチームが加わります。緩和ケア病棟は、つらさを和らげることと家族と過ごす時間を中心に作られた病棟です。付き添いや泊まりの決まりは、どちらも病院ごとに違います。

一般病棟の看護師は、手術後の方や検査入院の方など、状態の違う患者さんを同時に受け持っています。お父さまの痛みや息苦しさには主治医と病棟の看護師が対応し、病院に緩和ケアチームがあれば、専門の医師や看護師などが加わって薬の調整や助言をします。顔なじみの主治医や看護師に最期まで診てもらえること、移動の負担がないことは、一般病棟にとどまる大きな利点です。

緩和ケア病棟は、からだと心のつらさを和らげることに特化した病棟です。がんを小さくするための治療は行わないことが多い代わりに、痛み、息苦しさ、眠れなさ、不安への対応と、本人と家族が一緒に過ごす時間を大切にした作りになっています。家族が休める部屋や、簡単な料理ができる台所を備えた病棟もあり、面会や泊まりの決まりが一般病棟より柔らかいこともあります。ただし、これは傾向であって、病院によって違います。自宅で過ごすという選択肢については[gk_link to=”post:end-of-life-care-at-home”]自宅で最期まで過ごすための備え[/gk_link]で詳しく取り上げているので、ここからは病院で過ごす場合に絞ってお伝えします。

観点一般病棟緩和ケア病棟自宅
ケアの中心主治医と病棟の看護師。緩和ケアチームが加わることもあるつらさを和らげることを専門にした医師と看護師在宅医と訪問看護師。家族が受け持つ時間が長い
面会と付き添い面会の時間や人数に決まりがあり、泊まりは病棟の許可がいることが多い家族がそばで過ごしやすいよう作られていることが多い家族はいつでもそばにいられる
費用の仕組み健康保険を使った入院で、高額療養費の対象健康保険を使った入院で、高額療養費の対象。個室の差額などの扱いは病院ごと訪問診療と訪問看護は医療保険。介護サービスは介護保険
入るまで今いる病棟にそのまま面談や登録が先に必要で、空きを待つこともある在宅医と訪問看護の手配、退院前の話し合い
考えやすい場面移動の負担を避けたい、慣れた医療者に診てほしいつらさの緩和に専念し、家族とゆっくり過ごしたい家に帰りたいという本人の願いが強い
一般病棟・緩和ケア病棟・自宅の違い(病院や地域によって異なるので、面談で確かめる)

緩和ケア病棟は、最期を待つだけの場所なのですか?

いいえ。緩和ケア病棟は、痛みや息苦しさ、眠れなさ、不安といったつらさを和らげる治療を積極的に行う病棟で、つらさが落ち着いて家に帰る方もいます。「入ったら出られない場所」と決めつけず、何をしてもらえる病棟なのかを面談で聞いてみてください。

「ホスピスに入れたら、あきらめたことになる」。そう感じて、緩和ケア病棟の話を切り出せずにいるご家族は少なくありません。けれど、国立がん研究センターのがん情報サービスは、緩和ケアは「がんと診断されたときから始まります」と説明し、緩和ケアを受ける場として、緩和ケアチームや緩和ケア外来、在宅緩和ケアと並べて緩和ケア病棟を挙げています。移ることは見放すことではなく、つらさの手当てを専門の人たちに重ねて頼むことです。緩和ケアで和らげてもらえるつらさの中身は、[gk_link to=”post:palliative-care-what-next”]緩和ケアで受けられること[/gk_link]にまとめています。

お父さまに切り出すときは、病棟の名前より、そこで何が変わるかを先に伝えると、受け止めやすくなります。たとえば「痛みを専門に診てくれる病棟があるんだって。お母さんも夜までそばにいられるみたい」のように。返ってきた言葉が「ここの看護師さんがいい」でも、「家族がいてくれるならどこでもいい」でも、それが場所を選ぶいちばんの手がかりです。厚生労働省の指針も、最期の時期の医療やケアは本人による意思決定を基本とする、としています。

付き添いや泊まり込みは、どこまでできますか?

病院の決まりで大きく変わります。一般病棟では面会の時間や人数に決まりがあり、泊まりには病棟の許可がいることが多い一方、緩和ケア病棟では家族が泊まれる設備を用意していることもあります。感染症の流行で決まりが変わることもあるので、移る前に具体的に確かめます。

付き添いについて確かめるときは、「付き添いはできますか」と大きく聞くより、場面を区切って聞くほうが、答えが具体的になります。たとえば、平日の仕事帰りに寄れる時間か、母が週に何晩か泊まれるか、高校生の孫を連れて行けるか。一般病棟でも、最期が近いと判断された時期には、時間外の面会や付き添いを認めてもらえることがあります。決まりの文面だけで判断せず、「看取りの時期に入ったら、どこまで一緒にいられますか」と、実際の運用まで聞いてみてください。泊まる人の寝具や食事、シャワーの場所まで確かめておくと、付き添う側が先に疲れ切ってしまうのを防げます。

  • 面会できる時間帯と、一度に病室へ入れる人数
  • 子どもや孫が面会できるか
  • 家族が泊まれるか。泊まるときの寝具や椅子
  • 付き添う家族の食事、シャワー、着替えの場所
  • 夜間や早朝に出入りするときの入口と手続き
  • 最期が近いとき、時間外の面会や泊まりが認められるか
  • 感染症の流行時に、面会の決まりがどう変わるか
面談や病棟で確かめておきたい、付き添いの決まり
[gk_cta_mid title=”面談で聞くことを、3つに絞ってお送りします”]一般病棟にとどまるか、緩和ケア病棟に移るかで迷っている今の状況を、ひとことお書きください。折り返しのお電話で、病棟や手続きの言葉の一般的な意味をお伝えし、面談で確かめる質問を3つにまとめてお送りします。[/gk_cta_mid]

入院費は、病棟によってどう違うのですか?

どちらの病棟も健康保険を使った入院で、高額療養費制度による1か月ごとの上限があります。ただし、個室の差額料金や入院中の食事代の自己負担分、寝間着などの日用品は上限の計算に入りません。部屋の料金や日用品の扱いは病院ごとに違うので、移る前に窓口で確かめます。

高額療養費制度は、医療機関や薬局で支払った医療費が、1か月(1日から月末まで)の上限額を超えたときに、超えた分が支給される仕組みです。上限額は年齢と所得区分で決まり、2026年8月から上限額の見直しと年間上限の新設が行われました。お父さまの上限額は、加入している健康保険に問い合わせると分かります。受診にマイナ保険証を使っていれば、限度額適用認定証を用意しなくても、病院の窓口で払う額は月の上限額で止まります。ただし、マイナ保険証に対応していない医療機関では認定証が必要で、所得の低い区分の方は別に申請がいるなど、手続きが違う場合があります。資格確認書をお使いの方も、加入先に方法を確かめてください。

上限は月ごとに区切られるので、月の途中で病棟を移ったときや、入院が月をまたいだときの計算も、窓口で聞いておくと安心です。緩和ケア病棟は個室が中心の病院もあり、差額のかかる部屋とかからない部屋のどちらに入るかで、家族の負担は大きく変わります。同意書に署名する前に、「差額のかからない部屋はありますか」「部屋を移るときの扱いはどうなりますか」と確かめてください。お金の見通しが立たないときは、医療ソーシャルワーカーに相談すると、使える制度を一緒に整理してもらえます。

上限の計算に入るもの(健康保険の自己負担分)

  • 診察や薬、処置、検査
  • 入院そのものにかかる基本の費用
  • 一般病棟でも緩和ケア病棟でも、考え方は同じ

上限の計算に入らず、病院ごとに確かめるもの

  • 個室などの差額料金
  • 入院中の食事代の自己負担分
  • 寝間着やタオルの貸し出し、日用品
  • 診断書などの文書の料金
高額療養費の上限に入る費用と、入らない費用

緩和ケア病棟に移るなら、いつ、どう動けばいいですか?

移る可能性が少しでもあるなら、体力があるうちに面談だけでも受けておく考え方があります。主治医に希望を伝えて紹介状を用意してもらい、面談と登録を経て、空きが出たら移るのがよくある流れですが、手順も待つ期間も病院ごとに違います。

緩和ケア病棟は、希望した日にすぐ入れるとは限りません。面談と登録を経て空きを待つ病院が多く、話を進めているうちにお父さまの状態が変わり、今の病棟にとどまるほうがよいと判断されることもあります。だからこそ、「まだ決めきれない」段階で、面談の申し込み方だけでも聞いておくと、選べる道が増えます。登録したあとで気持ちが変わったときや、空きの連絡が来てもまだ移りたくないときの扱いも、面談で確かめておけます。

最期を過ごす場所について、医師と話し合ったという声は増えています。国立がん研究センターの遺族調査(2025年公表。2021年に亡くなった方のがん遺族1,226名が回答)では、医師と最期の療養場所について話し合ったと答えた割合は53%で、前回の36%から上がっていました。遺族が振り返って答えた評価ですが、場所の話は「縁起でもない」ものではなく、医療者と一緒に考えてよい話題になりつつあります。

  1. 1希望を伝える主治医や病棟の看護師、医療ソーシャルワーカーに「緩和ケア病棟も考えたい」と伝える
  2. 2候補を確かめる同じ病院の中に緩和ケア病棟があるか、近くのどの病院にあるかを聞く
  3. 3紹介状を頼む主治医に、これまでの経過をまとめた紹介状(診療情報提供書)を用意してもらう
  4. 4面談を受ける家族だけ、または本人と一緒に病棟の説明を聞き、希望と心配を伝える
  5. 5登録して待つ空きが出るまでの間も、今の病棟で緩和ケアを続けてもらう
  6. 6移る日を決める移動の方法と日にちを、両方の病棟と相談して決める
緩和ケア病棟に移るまでの、よくある流れ(手順は病院ごとに違う)

転院は、弱った父の体に負担になりませんか?

負担の大きさは、今のお父さまを診ている医師でなければ判断できません。家族が決めるのは「移りたいかどうか」の希望までで、移れる状態かどうかは主治医に確かめます。同じ病院の中の緩和ケア病棟なら、移動の距離も記録の引き継ぎも小さくてすみます。

「移動の途中で何かあったら」という心配は、とても自然なものです。この心配は家族だけで抱えずに、そのまま主治医に聞いてください。「今の父の体で、車で30分ほどの病院へ移ることは、どのくらい負担になりますか」。距離や時間を添えると、医師も答えやすくなります。寝たまま移動できる車を使うのか、看護師が付き添うのか、移る日の朝に体調が悪ければ延ばせるのか。移動の方法と費用は病院によって違うので、医療ソーシャルワーカーに相談すると調べ方を教えてもらえます。

転院を見送るという判断も、もちろんあります。病棟を移らずに、今の一般病棟で緩和ケアチームに加わってもらい、付き添いの決まりを相談しながら最期まで過ごす形です。移るか、とどまるかは、どちらかが正解という問題ではありません。迷ったときは、次の分かれ道を家族で一緒にたどってみてください。

  1. Q1主治医は、今の体で移動しても大丈夫だと言っていますか

    はい次の問いへ進む

    いいえ今の病棟にとどまり、緩和ケアチームに加わってもらえるか相談する

  2. Q2お父さまは、移ることを望んでいますか(はっきりしなければ、望みそうですか)

    はい面談の日程を決め、移る準備を進める

    いいえ慣れた病棟で過ごすことを軸に、付き添いの決まりを相談する

  3. Q3家族がそばにいたい時間と、今の病棟の決まりは合っていますか

    はい今の病棟で過ごしながら、気持ちが変われば移る道も残しておく

    いいえ時間外の面会や泊まりを相談するか、緩和ケア病棟の決まりを確かめる

移るか、今の病棟にとどまるか迷ったときの分かれ道

病院で最期を迎えたら、どんな流れになりますか?

呼吸が止まると医師が死亡を確認し、看護師がお体を整えます。そのあと霊安室に移るか、病室から直接お送りするかは病院ごとに違い、どこへお連れするかと搬送の手配を早めに尋ねられることがあります。葬儀の中身まで、その場で決める必要はありません。

最期が近づくと、病院から「来てください」と連絡が入ることがあります。駆けつけても間に合わないことはありますが、それまでの日々にそばにいたことが消えるわけではありません。息を引き取る前、呼びかけに応えなくなってからも、耳は聞こえている可能性があるといわれているので、そばにいられるときは最後のひと声を遠慮なくかけてください。呼吸が止まると、医師が死亡を確認して死亡診断書を書き、看護師がお体を清めて着替えを整えます。このとき、家族も手を添えたい、好きだった服を着せたいと伝えれば、一緒に加わらせてもらえることもあります。

病院によっては、霊安室に安置できる時間が限られています。そのため、自宅に帰るのか、安置できる施設に向かうのかと、搬送をどこに頼むのかを、思ったより早く聞かれることがあります。病院から葬儀社を紹介されることもありますが、搬送だけを頼み、葬儀のことは落ち着いてから考えたいと伝えても構いません。法律で決まっているのは、死亡届を亡くなったことを知った日から7日以内に出すことと、火葬は亡くなってから24時間を経過した後でなければ行えないことの二つが中心です。前もって準備できることは、[gk_link to=”post:prepare-before-the-end-checklist”]最期までの準備を急ぐ順に整理した記事[/gk_link]にまとめています。

  1. 1最期が近いとき病院から家族に連絡が入る。来られない家族には電話で声を届ける方法もある
  2. 2呼吸が止まったとき医師が死亡を確認し、死亡診断書を書く
  3. 3お体を整える看護師がお体を清め、着替えを整える。家族が加われる病院もある
  4. 4霊安室・お見送り霊安室に移るか、病室から直接お送りする。安置できる時間を確かめる
  5. 5搬送自宅か、安置できる施設へ。搬送をどこに頼むかを決める
  6. 6死亡届亡くなったことを知った日から7日以内に届け出る
  7. 7火葬亡くなってから24時間を経過した後でなければ行えない
病院で最期を迎えたあとの、主な流れ(順番や時間は病院ごとに違う)

迷ったとき、家族はどこに相談すればいいですか?

病棟の選び方や転院の手続き、費用の心配は、病院に医療ソーシャルワーカーがいれば、その窓口へ。窓口が分からないときや今の病院に言いにくいときは、がん相談支援センターを家族だけで使えます。お父さまの体のことは、主治医と病棟の看護師に確かめます。

医療ソーシャルワーカーは、社会福祉の立場から患者さんと家族を手伝う専門職で、入院や退院、療養する場所が変わるときの相談に応じます。窓口の名前は「地域連携室」「医療相談室」など、病院ごとに違います。

がん相談支援センターは、がん診療連携拠点病院などに置かれた相談窓口で、その病院にかかっていない家族でも、無料・匿名で、面談か電話で相談できます。そこで話したことが、話した人の了解なしに担当医などへ伝わることはありません。お住まいの近くのセンターは、がん情報サービスの「相談支援センターを探す」というページから見つけられます。がんと家族の相談室では、医療者から聞いた言葉の一般的な意味をお伝えし、次の面談で聞く質問を一緒にまとめます。どちらの病棟がよいかを、相談室が決めることはありません。

一般病棟か緩和ケア病棟かで迷った息子は、どう決めた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・息子の立場(70代の父が一般病棟に入院中。母は父と二人暮らしで、息子は車で1時間ほどの町に住む)
相談のあとに変わったこと
面談で泊まりの決まりと移動の負担を確かめ、父の「家族の顔が見えるところがいい」という言葉を手がかりに、同じ病院の緩和ケア病棟へ移ると決めた。母は週に2晩、病室に泊まれるようになった。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から10日ほどで、父は同じ病院の上の階にある緩和ケア病棟に移った。移動はベッドごとエレベーターで、15分もかからなかった。病室には横になれるソファがあり、母は火曜と金曜の夜に泊まるようになった。彼は仕事帰りに寄り、面会の時間を気にせずに、30分ほど父の足をさすってから帰る。移る前には、病棟の看護師と夜中の連絡の順番も決めた。「選んだ理由を、自分の言葉で母に説明できたのが大きかった」と彼は話す。

2. 相談を考えた背景

主治医から「このまま一般病棟で過ごすか、緩和ケア病棟に移るかを、ご家族で考えておいてください」と言われたのは、父の痛み止めが増えた週だった。母は「ホスピスに入れたら、お父さんがかわいそう」と繰り返し、彼は答えを出せずにいた。

3. 相談する前に困っていたこと

夜に病棟の違いを調べると、設備の写真や費用の説明はたくさん出てきた。けれど、今の父の体で移動していいのか、母が泊まれるのか、という一番知りたいことは「病院によって異なります」としか書かれていなかった。医療ソーシャルワーカーとの面談は3日後に決まっていたが、何を聞けばいいのかが分からなかった。

4. ここを選んだ理由・決め手

面談の前に、病院の外の人に、母の「かわいそう」をどう受け止めればいいかを話したかった。昼休みの時間帯を指定して折り返しを頼めること、ニックネームで送れることが決め手になり、夜11時にフォームを送った。すぐに受付確認のメールが届いた。

5. 相談で話したこと・その後

電話の担当は、まず母の言葉と彼の迷いを最後まで聞いた。どちらの病棟がよいか、父があとどのくらいかについては「主治医と病棟が判断することなので」と言い、判断も予測もしなかった。代わりに「転棟」「紹介状」「登録」といった言葉の一般的な意味を説明し、面談で聞く質問を3つに絞った。泊まりの決まり、移動の負担を主治医がどう見ているか、空きを待つ間の過ごし方。面談では、同じ病院の中に緩和ケア病棟があり、移動は院内で済むと分かった。その夜、彼が父に「痛みを専門に診てくれる病棟があるらしい」と話すと、父は少し考えてから「家族の顔が見えるところがいい」と答えた。それを伝えると、母の「かわいそう」は「行ってみようか」に変わった。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 今の父の体で、緩和ケア病棟へ移ることはできますか。移動の負担を、どのくらいと見ていらっしゃいますか。
  • この病院の中に緩和ケア病棟はありますか。ない場合は、どこに相談すればよいですか。
  • 緩和ケア病棟の面談や登録は、どなたに、どんな順番で申し込めばよいですか。
  • 空きを待つ間、今の病棟で緩和ケアチームに加わっていただくことはできますか。
  • 最期が近くなったら、家族は時間外の面会や泊まりができますか。
  • 急に容体が変わったとき、心臓マッサージなどの処置をどうするかについて、家族が今のうちに考えておくことはありますか。

とはいえ、病棟を選ぶことに迷うご家族に伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──「かわいそう」と感じるのは、父を想っているからです

緩和ケア病棟に移すことを「見捨てるようでかわいそう」と感じる家族もいれば、一般病棟にとどめることを「何もしてあげられていない」と感じる家族もいます。どちらの気持ちも、お父さまにいちばん穏やかに過ごしてほしいという願いから出ています。病棟の選び方に、あとから見て唯一の正解はありません。選んだ場所で、お父さまのつらさが医療者に届き、家族が顔を見に行けていれば、それは十分に意味のある選択です。がん情報サービスは、家族は「第二の患者」ともいわれると伝えていて、家族自身のつらさや困りごとを担当医や看護師に相談しても構わない、としています。迷いで眠れない夜が続くときは、その迷いごと看護師に話してみてください。

② 実務のこと──付き添いの当番と、仕事の休み方を先に組む

どちらの病棟を選んでも、最期の時期の付き添いは、家族の誰か一人に寄りがちです。決める前の今のうちに、平日の昼、仕事帰りの夕方、泊まりの夜、と時間帯を分けて、誰がどこを受け持てるかを書き出しておきます。病院からの電話を最初に受ける人も一人決め、その人がほかの家族に知らせる形にすると、病棟とのやりとりが混乱しません。働きながら付き添う人は、介護休暇(1年に5日、対象の家族が2人以上なら10日まで。時間単位でも取れる)や、介護休業(要介護状態の家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れる)を使えるか、勤務先の人事に確かめておくと、いざというときに休み方で迷いません。

今日できること

[gk_howto name=”今日できること” description=”病棟を決める前に、今夜から明日にできる3つのこと” heading=”none”][gk_step title=”父の言葉を書き留める”]「家がいい」「ここの看護師さんがいい」など、過ごす場所について父が口にした言葉を、日付と一緒にそのまま書いておく。[/gk_step][gk_step title=”面談の質問を3つ選ぶ”]この記事の質問例から、家族がいちばん気になる3つを選び、面談に持っていく紙に書き写す。[/gk_step][gk_step title=”相談窓口の場所を聞く”]次に病院へ行ったとき、転院や費用を相談できる窓口の名前と場所を、病棟の看護師に尋ねておく。[/gk_step][/gk_howto]

よくある質問

[gk_faq][gk_q q=”緩和ケア病棟に移ったら、もう治療は受けられないのですか?”]がんを小さくするための治療(抗がん剤など)は、行わないことが多い病棟です。その一方で、痛みや息苦しさ、吐き気、眠れなさといったつらさへの治療は、むしろ診療の中心になります。点滴などをどうするかも、お父さまの状態に合わせて医療者が相談しながら決めていきます。何を続けて何をやめるのかは病院によって考え方が違うので、面談で「今している治療のうち、移ってからも続くものはどれですか」と聞いておくと安心です。[/gk_q][gk_q q=”一般病棟のまま最期を迎えるのは、かわいそうなことですか?”]そんなことはありません。長く診てきた主治医や、顔なじみの看護師のもとで過ごせることは、お父さまにとっても家族にとっても安心につながります。病院に緩和ケアチームがあれば、一般病棟にいながら専門の医師や看護師に加わってもらうこともできます。大事なのは病棟の名前より、つらさが医療者に伝わり、家族がそばにいられることです。面会や付き添いで困ることがあれば、そのつど病棟に相談してください。[/gk_q][gk_q q=”本人が病気のことを詳しく知らなくても、緩和ケア病棟に入れますか?”]入院の条件の考え方は病院によって違い、本人が病状をどこまで知っているかを面談で確かめる病院もあります。お父さまにどこまで伝えているかを正直に話したうえで、病棟としてどう考えているかを聞いてください。伝え方に迷っているときは、そのこと自体を医療者に相談して構いません。[/gk_q][gk_q q=”緩和ケア病棟から退院して、家に帰ることはできますか?”]できる場合があります。つらさが落ち着いて体調が安定すれば、在宅医や訪問看護の支えを得て自宅に戻る方もいますし、少しの間だけ家で過ごす方法を相談できることもあります。退院の考え方や、また入院が必要になったときに戻れるかどうかは病院ごとに違うので、面談の段階で聞いておくと、先の見通しが立てやすくなります。[/gk_q][gk_q q=”遠くに住んでいて、毎日は付き添えません。それでもいいのでしょうか?”]構いません。毎日そばにいることだけが支え方ではありません。病棟に「様子を電話で教えていただける時間はありますか」と頼む、近くの家族と役割を分ける、来られない日は電話で声を届ける、といった形があります。知らせを受けたときの動き方を家族で決めておくと、遠くにいる不安も少し軽くなります。[/gk_q][/gk_faq]

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病棟を決める前に、確かめることを一緒に整理しませんか

[gk_form_cta]お父さまが今いる病棟と、いちばん気がかりなこと(付き添い、移動の負担、費用など)をひとことお書きください。送っていただくと受付確認のメールがすぐに届き、書いていただいた時間帯に担当が電話をおかけします。面談で確かめる質問を3つにまとめ、ご家族で決めるための材料を一緒にそろえます。[/gk_form_cta]

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ほいくの相談室 編集部。保育士の方からの相談で多く聞かれる悩みをもとに、公的な資料で確認できる情報をまとめています。