連絡・付き添い・仕事はどうする?がんの最期の1週間の家族の段取り

「最期が近い」と告げられた日から、家族の側では、病室の中とは別のもうひとつの忙しさが始まります。夜中に鳴るかもしれない病院からの電話、今夜は誰が泊まるかの相談、親戚への知らせ、職場への連絡、子どもの預け先。ひとつひとつは小さくても、全部を同時に、しかも疲れた頭で考えることになるので、決められるものから先に決めておくほど、お父さまのそばにいられる時間が増えます。

「1週間」という言葉も、医師がいまの変化の速さから見立てた目安にすぎません。実際にはもっと短いことも、思ったより長く続くこともあります。日数を数えて身構えるより、どの日に何が起きても家族が同じ動きをとれるように、段取りを一枚の紙にしておくほうが役に立ちます。

父のことより、段取りで頭がいっぱいの方へ

  • 病院からの電話、親戚への連絡、仕事の引き継ぎ、子どもの預け先。考えることが多すぎて、何から手をつければいいのか分からない。
  • 夜中に電話が鳴ったら誰が出て、誰が病院に向かうのか。家族の中でまだ何も決まっていない。
  • 父のことより段取りばかり考えている自分が、冷たい人間に思えて嫌になる。

この記事で分かること

  • 最期の1週間に、家族の側で重なりやすい5つのこと
  • 先に決めておく4つ(連絡リスト・夜の連絡の基準・交代表・休みの制度)の作り方
  • 親戚・職場・子どもに伝えるときに、そのまま使える言い方
  • 段取りに追われる自分を、責めなくていい理由

父の最期が近く、家族として何が起こるのか知りたいです。連絡や仕事はどうすればいいですか?

家族の側では、夜の電話、付き添いの交代、親族への連絡、仕事と子どもの調整、睡眠不足の5つが一度に押し寄せます。連絡と仕事は、その場で考えずにすむよう「連絡リスト」「夜の連絡の基準」「交代表」「休みの制度の確認」の4つを先に決めておきます。

この時期には、ご本人の様子が日ごとに、ときには半日で変わっていきます。そのたびに病棟から家族へ連絡が入り、家族から親戚へ、親戚からまた家族へと電話が行き交います。面会帰りの電車の中で、叔母からの着信、上司からのメール、子どもの学校からの連絡が続けて届く。そんな夜が続くと、誰に何を話したのか、自分でも分からなくなっていきます。

起きることを先に並べてみると、どれも「その場で誰かが決めなければならないこと」だと分かります。下の表の右の列を、落ち着いている時間に家族で一度だけ話し合っておけば、あとは決めたとおりに動くだけになります。ご本人の体に起きる変化そのものは、[gk_link to=”post:last-week-days-changes”]最後の1週間・数日に起きる変化[/gk_link]で取り上げています。

観点起きやすいこと先に決めておくこと
夜の電話夜中に病棟から連絡が来て、誰が出るか、誰が向かうかで慌てる電話を受ける人と、病院へ向かう人の順番
付き添い泊まり込みが一人に偏り、数日で疲れ切ってしまう日ごとの交代表と、その日に休む人
親族への連絡同じ説明を何人にもくり返し、話が少しずつ食い違う3つの段に分けた連絡リストと、送る文面
仕事と子ども急な休みと子どもの預け先が、毎日の問題になる休みの制度の確認と、預け先の候補
睡眠と食事眠る時間と食事が削られ、判断が鈍っていく横になる時間と、食事を届けてくれる人
最期の1週間に家族の側で起きやすいことと、先に決めておくこと

段取りばかり考えてしまう自分は、冷たいのでしょうか?

冷たいのではありません。段取りを考えるのは、お父さまのそばにいる時間を確保しようとしているからです。最期の時期の介護や付き添いを「負担が大きかった」と振り返る家族は少なくなく、頭がいっぱいになるのは自然な反応です。

国立がん研究センターが2022年3月に公表した遺族調査の報告(2017・2018年のがんによる死亡について、有効回答54,167名)では、介護の負担感が大きかったと答えた方が38.9%いました。4割近くの家族が、看取りまでの日々を重いものとして覚えているということです。国立がん研究センターのがん情報サービスも、家族は「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢しがちで、自分の日常生活も維持しなければならないため、「第二の患者」ともいわれると説明しています。

病室の外の廊下で仕事のメールを返しているとき、ふと「こんなときに何をしているんだろう」と手が止まるかもしれません。けれど、そのメールを返すのは、明日もここに来るためです。親戚への電話を引き受けるのは、ほかの家族がベッドの横を離れずにすむようにするためです。段取りは、看病と別のものではなく、看病の一部です。自分を責める言葉が浮かんだら、「これは明日もそばにいるための準備」と言い直してみてください。

夜中に病院から電話が来たら、家族はどう動けばいいですか?

電話を受ける人を一人に決め、その人が次に誰へ知らせるかの順番を決めておきます。どんな変化のときに病院から連絡が来るのかを日中のうちに病棟で確かめておけば、電話が鳴ったときに慌てる幅が小さくなります。

「夜の連絡の基準」には、二つの向きがあります。ひとつは、病棟から家族へ「どんな変化のときに電話が来るか」。もうひとつは、電話を受けた家族から、ほかの家族へ「誰が、誰に、何を伝えるか」です。前者は看護師さんに「夜中でも家族に電話をくださるのは、どんな変化のときですか」と聞けば教えてもらえます。後者は家族にしか決められません。

病棟に伝える連絡先が三人分あると、看護師さんは誰にかければいいか迷い、家族のほうでも同じ話を三回聞くことになります。まず連絡を受ける人を一人決め、その人が出られないときの二人目も伝えておきます。受けた人は、看護師さんの言葉をそのままメモし、決めた順番で回していきます。自宅で療養している場合は、在宅医や訪問看護の24時間の連絡先が同じ役割を持ちます。在宅療養支援診療所には24時間連絡を受ける体制が求められていますが、夜間にどう動いてもらえるかは医療機関ごとに違うので、そこも前もって確かめておきます。

  1. 1電話を受ける決めておいた一人が出て、看護師さんの言葉をそのままメモする
  2. 2向かう人に知らせる交代表で「夜に向かう人」になっている家族に電話する
  3. 3移動の手段を選ぶ気が動転したまま運転せず、タクシーか運転できる家族に頼む
  4. 4遠方の家族に送る決めておいた文面に、時刻と様子を一行足して送る
  5. 5病院に着いたら看護師さんに今の様子を聞き、来られない家族とは電話をつなぐ
夜中に病院から電話が来たときの、家族の動き方の順番
[gk_cta_mid title=”夜の電話の回し方と交代の組み方を、一緒に決めます”]家族の人数と、それぞれの住まいや仕事の事情をひとことお書きください。担当がお電話で、夜の電話を誰が受けて誰に回すか、今週の付き添いをどう組むかを一緒に整理し、「看取り前後にやることチェックリスト」もお送りします。[/gk_cta_mid]

親戚や知人には、誰に、いつ、何を伝えればいいですか?

連絡する相手を「今のうちに会いに来てほしい人」「様子を知らせておく人」「あとから知らせる人」の3つに分け、それぞれに送る文面を先に作っておきます。全員に同じ重さで連絡しようとしないことが、連絡を受け持つ家族を守ります。

いちばん上の段は、ご本人が会いたがっている人と、遠くから来るのに時間がかかる人です。ご本人がまだ話せるなら、「会っておきたい人はいる?」と一度だけ聞いてみてください。名前が出てこなくても、それで構いません。二段目は、ご本人のきょうだいや親しい友人など、様子は知っておいてほしいけれど、来てもらうかどうかはこれから決める人。三段目は、仕事の関係者や近所の方など、落ち着いてから知らせればよい人です。

  1. 1今のうちに会いに来てほしい人ご本人が会いたがっている人、遠方から来るのに時間がかかる人
  2. 2様子を知らせておく人ご本人のきょうだいや親しい友人。来てもらうかは様子を見て決める
  3. 3あとから知らせる人仕事の関係者、近所の方、年賀状のやりとりの相手。落ち着いてからでよい
連絡リストを3つの段に分ける(上の段ほど先に連絡する)

文面は、短く、事実だけにします。一段目の人には「父の容体が変わってきて、医師から、会えるうちに会っておいてほしいと言われています。来られるようなら、来る前に一度連絡をください」。二段目の人には「父は今、病院で穏やかに過ごしています。お見舞いは家族だけにさせてもらっています。何かあれば、こちらから連絡します」。病院によって面会の人数や時間に決まりがあるので、一段目の人を呼ぶ前に病棟に確かめておくと、来てくれた人を廊下で待たせずにすみます。

親戚から次々に電話がかかってくるときは、家族か親族のグループトークをひとつ作り、決まった時間に一日一回、様子を書き込む形にすると、電話の数がぐっと減ります。書き込むのは連絡の窓口になった一人だけにして、ほかの家族は「詳しくはグループを見てね」と返せば、説明が食い違うこともなくなります。

付き添いの交代表は、どう作ればいいですか?

「そばにいる人」「電話と連絡を受け持つ人」「家のことを回す人」の3つの役割に分け、日ごとに誰が何を受け持つかを書き出します。そこに「その日は休む人」の欄を加え、一人が全部を背負う形にしないことが、1週間をもたせるこつです。

付き添いというと、病室にいる人のことばかり考えがちです。けれど実際には、病室の外にも仕事があります。病棟や親戚からの電話を受け持つ人、子どもの送り迎えや食事、ペットの世話、郵便物といった家のことを回す人。この二つの役割を誰かが引き受けてくれるから、そばにいる人はベッドの横で手を握っていられます。

交代表で効いてくるのが「休む人」の欄です。その日の休む係になった人は、病院に行かず、電話にも出ず、眠って食べることが仕事になります。休むことを表に書いておくと、休む本人も「抜けて申し訳ない」と思わずにすみます。付き添いと自分の休息の釣り合いの取り方は、[gk_link to=”post:stay-together-and-rest”]付き添いと休むことの両立[/gk_link]で詳しく扱っています。

欄書き方の例決めておく理由
昼にそばにいる人「月・水:母/火・木:長女」面会の時間を、家族で途切れずにつなげる
夜に泊まる人「月:長女/火:長男」と一晩ずつ泊まり込みが一人に偏るのを防ぐ
連絡の窓口「病棟と親戚への連絡は長男」説明が食い違わず、電話の数も減る
家のこと「子どもの送迎と夕食は長女の夫」そばにいる人が家のことで呼び戻されない
その日に休む人「水:長男は病院に行かない」休むことを、後ろめたさのない役割にする
交代表に書いておく欄と、書き方の例

表は紙に書いて冷蔵庫に貼るか、家族のグループトークに画像で送っておきます。きょうだいの間で負担の差が気になるときは、「もっと来てほしい」と言う代わりに、表の空欄を見せて「ここに入れる日はある?」と聞くほうが、言い合いになりにくくなります。

仕事は、会社にどう伝えて、どう休めばいいですか?

まず上司に「家族が最期の時期に入り、急に休む日が出る」と事実を短く伝え、仕事の引き継ぎ先を決めます。休み方は、年次有給休暇、時間単位でも取れる介護休暇、条件に合えば介護休業、会社の忌引きの規定を人事に確かめて組み合わせます。

上司への伝え方は、詳しい病状より、これから起きることを先に伝えるほうが相手も動きやすくなります。たとえば「父が最期の時期に入り、医師から家族はできるだけそばにいるよう言われています。これからしばらく、急に休んだり早退したりする日が出ます。担当の仕事は〇〇さんに引き継がせてください」。メールなら、これに引き継ぎのメモを添えれば十分です。

制度の確認は人事に任せて構いません。介護休暇は1年に5日(対象の家族が2人以上なら10日)まで、時間単位でも取れるので、昼休みから病院に向かうような使い方もできます。介護休業は、要介護状態(2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れ、条件を満たせば雇用保険の介護休業給付金も出ます。ご本人の状態が当てはまるかどうかは、人事の判断を仰いでください。介護に直面した社員へ制度を一人ずつ知らせ、使うかどうかの意向を確かめることも、2025年4月から会社の義務になっています。忌引き(慶弔休暇)は法律で決まった休みではなく、会社が任意に設ける休暇なので、日数や対象は就業規則で確かめます。休み方の組み立て方は、[gk_link to=”post:cant-focus-at-work-family-cancer”]仕事に集中できないときの伝え方と休む制度[/gk_link]にまとめています。

  • 今週中に締め切りがある仕事と、その相手
  • 自分がいなくても進められる仕事と、止めておいてよい仕事
  • 取引先や社外の人への説明のしかた(「家族の事情で」とだけ伝える、など)
  • 連絡がつきやすい時間帯と、つかない時間帯
  • 自分の代わりに判断してよい人の名前
急に休む日に備えて、引き継ぎのメモに書いておくこと

子どもの預け先や、子どもへの伝え方はどうすればいいですか?

預け先は「夜中に急に出るとき」と「日中に付き添うとき」に分けて、それぞれ頼める人を決めておきます。子どもには、年齢に合った短い言葉で、おじいちゃんの具合がとても悪いこと、生活の何が変わり、何が変わらないかを伝えます。

夜中に病院から呼ばれたとき、寝ている子どもをどうするかは、その瞬間には決められません。配偶者が家に残れるのか、近くに住む家族に来てもらうのか、子どもを連れて行くのか。頼める人の名前と電話番号を、交代表の端に書いておきます。日中の付き添いには、学童保育の延長や、自治体の一時預かりが使える場合もあるので、住んでいる地域の窓口で確かめておくと選択肢が増えます。

伝え方について、がん情報サービスは、親ががんになったときに子どもと話す際の考え方として、話すかどうかに正解はなく、周りの大人が方針を共有しておくこと、子どものせいではないこと、うつらないことを伝えること、発達に合った言葉で段階的に話し、生活で「変わること」と「変わらないこと」を伝えることを挙げています。祖父母の病気を伝えるときにも、この考え方は参考になります。たとえば「おじいちゃんの病気がとても重くなって、ママはしばらく病院に行くことが増えるよ。夜ごはんはパパと食べようね。学校と習いごとは、いつもどおりだよ」。担任の先生にも「家族の事情で、しばらく落ち着かないかもしれません」と一言伝えておくと、学校での様子に気を配ってもらえます。

子どもに伝えること

  • おじいちゃん(おばあちゃん)の具合が、とても悪いこと
  • あなたのせいではないこと
  • 変わること(送り迎えの人、夕食の時間など)
  • 変わらないこと(学校、習いごと、寝る場所)

大人のあいだで決めておくこと

  • 誰が、何を、どこまで話すか
  • 夜中に急に出るときに、子どもを見てくれる人
  • 担任の先生への伝え方
  • 子どもが「会いたい」と言ったときの連れて行き方
子どもに伝えることと、大人のあいだで決めておくこと

眠れず、食べられない1週間を、どう乗り切ればいいですか?

気合いではなく、仕組みで乗り切ります。交代表に「横になる時間」を書き込み、食事は誰かに届けてもらうか、考えなくても口に入る形にしておきます。体の不調が続くときは、自分の受診も後回しにしないでください。

この1週間でいちばん削られやすいのは、付き添う人の睡眠と食事です。病院の椅子でうとうとするだけの夜が続くと、判断が鈍り、ささいなことで家族とぶつかりやすくなります。かばんに水と、すぐ食べられるものをひとつ入れておく。スマホのアラームを昼と夜の食事の時間に合わせておく。病院の売店や近くの店で買える物を、あらかじめ決めておく。どれも小さなことですが、決めておけば迷う手間がひとつ減ります。

親戚や友人から「何かできることがあったら言ってね」と声をかけられたら、遠慮せずに具体的なひとつを頼んでください。「水曜の夕方に、子どもを迎えに行ってもらえると助かります」「夕食をひとつ多めに作って、届けてもらえませんか」。手伝いたい人にとっても、頼みごとがはっきりしているほうが動きやすいものです。頭痛やめまい、胸の苦しさなど体の不調があれば、付き添いの合間でも受診してください。家族自身の心身のことは、病棟の看護師や医療ソーシャルワーカー、がん相談支援センターにも話してよいことです。家族だけの相談も、その病院に通っていない人の相談も、がん相談支援センターなら無料・匿名で受け付けています。

段取りに追われていた娘は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・娘の立場(父が緩和ケア病棟に入院中。小学生の子ども2人を育てながら会社勤め。弟は新幹線で2時間の町に住む)
相談のあとに変わったこと
1日に何本もかかっていた親戚からの電話が、夜に1回のグループへの書き込みにまとまった。交代表に「休む日」ができ、父のそばで過ごす時間を落ち着いて持てるようになった。

1. 相談のあとに変わったこと

相談のあと、彼女は連絡リストを3つの段に分け、親戚のグループトークに毎晩9時、父の様子を3行で書き込むようにした。それまで1日に7〜8本かかってきていた叔父や叔母からの電話は、ほとんど鳴らなくなった。交代表には、彼女、母、週末だけ来る弟、子どもの送り迎えを受け持つ夫の4人の名前が並び、毎日ひとり「休む人」が入った。上司には用意した一文で伝え、午後だけ病院に向かう日は介護休暇を時間単位で使った。「段取りを紙に出したら、父の顔を見る時間が戻ってきた」と、彼女は話す。

2. 相談を考えた背景

主治医から「週の単位、もしかすると日の単位かもしれません」と言われたのは、平日の夕方だった。その夜から電話が鳴り続け、彼女は病室の外の廊下で、親戚への説明と仕事のメールの返信をくり返していた。

3. 相談する前に困っていたこと

帰りの電車で「最期 1週間 家族 やること」と検索した。体の変化の一覧や葬儀の準備の記事は見つかったが、電話を誰が受けるか、子どもをどうするかといった家族の側の段取りは、どこにも書かれていなかった。眠っている父の横で上司へのメールを打っている自分が、ひどく冷たい人間に思えた。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院の医療ソーシャルワーカーにも相談したかったが、平日の日中は仕事を抜けられなかった。夜のうちに送れて、昼休みの時間帯を選んで折り返しを頼めること、名前はニックネームでよいことが決め手になった。夜11時、帰りの電車の中でフォームを送ると、すぐに受付確認のメールが届いた。

5. 相談で話したこと・その後

翌日の昼休み、担当はまず彼女の話を遮らずに聞いた。父があと何日かについては「それは病棟の看護師さんに確かめてみましょう」と言い、予測は口にしなかった。そのうえで、家族の顔ぶれと住まい、仕事の事情を一人ずつ確かめ、夜の電話を受ける順番、連絡リストの分け方、親戚に送る文面、上司への一文を一緒に作った。弟は初め、週末の泊まりを仕事を理由に渋ったが、土曜の夜だけにしたことで話がまとまった。その日の夕方、彼女は看護師さんに「夜中でも電話をくださるのは、どんな変化のときですか」と尋ね、答えを交代表の余白に書き足した。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 夜中でも家族に電話をくださるのは、どんな変化のときですか。
  • 電話をいただいたら、どのくらい急いで向かえばよいでしょうか。
  • 付き添いで泊まれる人数と、夜間に出入りできる入口を教えてください。
  • 親戚のお見舞いは、何人まで、どの時間帯なら大丈夫でしょうか。
  • 遠方の家族を呼ぶなら、どんな様子になったときが目安になりますか。
  • 病棟からの連絡先として、家族の電話番号を順番つきで書いてお渡ししてもいいですか。

とはいえ、段取りに追われるあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──段取りを考える手も、父を想う手です

連絡や交代表の話ばかりしていると、肝心なお父さまとの時間が、段取りの合間の残り時間のように感じられるかもしれません。けれど、あなたが電話を引き受けているあいだ、ほかの家族は手を握っていられます。あなたが仕事を整えたから、明日の午後をまるごと病室で過ごせます。段取りを考える手も、お父さまを想う手であることに変わりはありません。それでも、廊下でふいに涙が出ることはあるでしょう。泣いてしまうのは、気持ちが追いついていないのではなく、張りつめたまま走っている証拠です。涙が出たら、駐車場の車の中や階段の踊り場で少し泣いてから戻れば、それで十分です。

② 実務のこと──見立てより長くなったときの「組み替え日」を決めておく

「1週間」に合わせて組んだ交代表は、短い期間を全力で走る形になりがちです。見立てより長く続くこともあるので、週の半ばに一度、家族で表を見直す日を先に決めておきます。その日には、泊まり込みを続けている人がいないか、仕事の休み方をこのまま続けられるか、子どもの預け先に無理が出ていないかを確かめます。続きそうなら、介護休業が使えるかを人事に相談する、家のことを親戚に一部まかせる、といった組み替えをします。入院先に医療ソーシャルワーカーがいれば、療養の場所の変化や使える制度について家族の相談にも応じてくれるので、長引いたときの過ごし方を一緒に考えてもらえます。短い期間のつもりで無理を重ねるより、長くなっても崩れない形にしておくほうが、最後までそばにいられます。

今日できること

[gk_howto name=”今日できること” description=”今夜から明日にかけて、家族の段取りを軽くする3つのこと” heading=”none”][gk_step title=”電話を受ける人を決める”]病棟に伝える家族の連絡先を一人にしぼり、出られないときの二人目と、受けた人が次に誰へ回すかを、家族のグループに一行で送ります。[/gk_step][gk_step title=”連絡リストの見出しを作る”]スマホのメモに「会いに来てほしい人」「様子を知らせる人」「あとで知らせる人」の3つの見出しを作り、思いつく名前を入れていきます。[/gk_step][gk_step title=”上司への一文を下書きする”]「家族が最期の時期に入り、急に休む日が出ます」という一文と引き継ぎ先の名前を書いたメールを、送信する直前の状態まで作っておきます。[/gk_step][/gk_howto]

よくある質問

[gk_faq][gk_q q=”親戚がお見舞いに来たがっています。断ってもいいですか?”]断って構いません。この時期は、ご本人の体力と、誰に会いたいかという気持ちがいちばんです。病棟の面会の決まりも確かめたうえで、「今は父の体力を優先したいので、家族だけにさせてください。お気持ちは伝えます」と返せば十分です。代わりに手紙や声の録音を預かり、枕元で読んだり流したりすれば、来られない方の気持ちも届けられます。ご本人が会いたがっている人なら、短い時間だけ来てもらう形にする方法もあります。[/gk_q][gk_q q=”会社の忌引きは、何日もらえますか?”]忌引き(慶弔休暇)は法律で決められた休みではなく、会社がそれぞれに設けている特別な休暇です。日数や、どの続柄が対象になるか、給与が出るかどうかは会社によって違うので、就業規則か人事で確かめてください。亡くなる前の付き添いには、年次有給休暇や、時間単位でも取れる介護休暇を使う形が考えられます。分からないことは、人事に「家族が最期の時期に入りました。使える休みを確認させてください」と聞けば、それで十分な入り口になります。[/gk_q][gk_q q=”父のそばで、親戚への連絡や仕事の電話をしてもいいのでしょうか?”]段取りの電話は、できれば病室の外でかけるようにします。呼びかけに応えなくなっても、耳は聞こえている可能性があるといわれているからです。眠っているように見えるお父さまの横で、葬儀や仕事の話が続くのは避けたいところです。そのぶん、病室に戻ったら、いつもの声で「戻ったよ」「今日は天気がいいよ」と話しかけてください。電話を受け持つ人と、そばにいる人を交代表で分けておけば、病室の中を静かに保ちやすくなります。[/gk_q][gk_q q=”夜中の病院からの電話に、出られなかったらどうしよう、と不安です。”]病棟には、連絡を受ける人と、その人が出られないときの二人目の番号を、順番をつけて伝えておきます。電話は消音にせず、着信音を大きくして枕元に置き、充電器もそばに用意します。もし着信に気づくのが遅れたら、落ち着いて病棟にかけ直せば大丈夫です。気づけなかったことで自分を責める必要はありません。夜間に病棟へつながる番号も、日中のうちに確かめて登録しておきます。[/gk_q][gk_q q=”亡くなったあと、すぐに決めなければならないことは何ですか?”]その夜に決める必要があるのは、お体をどこへお運びするかくらいです。死亡届は亡くなったことを知った日から7日以内、火葬は亡くなってから24時間を経過した後でなければ行えないと法律で決まっているので、葬儀の内容や費用は翌日以降に考えて間に合います。その夜の電話先だけを先に決めておきたい方には、がんと家族の相談室の「もしもの夜の備え」という無料の登録があります。3分ほどで済み、葬儀について何かを決める必要はありません。相談室の紹介で葬儀などの専門サービスを利用された場合は、提携事業者から紹介手数料を受け取ることがあります(運営者情報で開示)。お断りいただいても費用はかかりません。[/gk_q][gk_q q=”夜、ひとりで不安になったとき、話せる場所はありますか?”]24時間、無料でかけられる電話相談としては、よりそいホットライン(0120-279-338)があります(がん専門の窓口ではありません)。がんと家族の相談室のLINEは無料で、匿名でも使えます。夜に送ったものは、翌朝いちばんに読んで返事をします。お電話(050-1720-6000)は、平日9:00〜18:00なら担当が直接お受けし、それ以外の時間は自動音声で受け付けて、翌朝9時までに担当から折り返します。ご本人の容体が急に変わったときは、まず病棟や在宅医、訪問看護に連絡してください。[/gk_q][/gk_faq]

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今週の段取りを、一緒に一枚にしませんか

[gk_form_cta]家族の顔ぶれと、いま一番困っている段取りをひとことお書きください。送信のあとすぐに受付確認のメールが届き、ご希望の時間帯に担当がお電話します。夜の電話の回し方、交代表の組み方、職場への伝え方を、一緒に整理します。[/gk_form_cta]

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ほいくの相談室 編集部。保育士の方からの相談で多く聞かれる悩みをもとに、公的な資料で確認できる情報をまとめています。