夜、がんのことで電話相談したい|つながるまでの夜の過ごし方

夜中に家族の余命のことで不安になり、誰かに電話したくなったときは、フリーダイヤルで24時間対応のよりそいホットライン(0120-279-338)に、今夜のうちに電話をかけられます。がんの専門窓口ではありませんが、眠れない理由をそのまま話してかまいません。

病院で「そろそろ」と言われた夜は、その言葉が何度も頭の中で再生され、意味をひとりで決めつけてしまいがちです。けれども、その言葉がどのくらいの時間を指しているのかは、言った人に確かめるまで分かりません。受け止め方も、確かめるまでの過ごし方も、人によって違ってかまいません。今夜すべきことと朝に回してよいことを分けるだけで、朝までの時間は少し過ごしやすくなります。

この記事では、「そろそろ」と言われた夜にその言葉をどう抱えておくか、今夜病院へ向かうかの考え方、遠くの家族に知らせる時期、そして朝いちばんの電話で確かめたいことのメモをまとめました。深夜にこのページを開いている自分を、どうか責めないでください。

「そろそろ」が頭から離れない夜に

  • 夕方、看護師さんに「そろそろかもしれません」と言われた。その言葉が頭の中を回って、眠れない。
  • 誰かに電話したいけれど、深夜2時にかけていい相手が思い浮かばない。
  • 病院に電話したら迷惑だろうか。でも、朝まで待っていいのかも分からない。

夜中に家族の余命のことで不安になり、誰かに電話したいです。夜でも電話できる相談先はありますか?

あります。よりそいホットラインはフリーダイヤルで、夜中も24時間、電話を受け付けています。家族の様子に急な変化があるときは病棟へ、命に関わると感じたら119番へ。朝につなぎたい話は、相談室の電話かLINEに残しておけます。

夜に電話したくなる理由は、一つではありません。ご家族の様子が今どうなっているかを知りたいのか、言われた言葉が怖くて誰かの声を聞きたいのか、明日からどうすればいいかを誰かと決めたいのか。理由によって、かける先が変わります。

今夜のうちに誰かの声を聞きたいなら、よりそいホットラインです。厚生労働省の補助金事業として運営されている電話で、通話料はかかりません。福島県からかける場合は0120-279-226、050で始まるIP電話の場合は050-3655-0279が窓口です。がんの専門窓口ではないので、病気の詳しい説明は要りません。「家族が入院していて、今日『そろそろ』と言われて眠れません」で十分伝わります。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)は、かけた地域の公的な相談窓口につながりますが、曜日や時間は都道府県によって違い、夜に受け付けていない地域もあります(通話料がかかり、050のIP電話からはかけられません)。

がんと家族の相談室の電話(050-1720-6000)は、夜は担当が出られません。夜間の電話は自動音声で受け付け、翌朝9時までに担当から折り返します。LINEなら、夜のうちに送ったものを翌朝いちばんに担当が読んでお返事します。今夜のうちに人と話したい夜は先に24時間の窓口を使い、朝からのことを相談室に預ける、という分け方ができます。深夜につながる窓口の仕組みは、[gk_link to=”post:late-night-phone-help”]夜間につながる窓口と仕組み[/gk_link]で詳しく紹介しています。

  1. Q1家族の様子に急な変化がある、または病棟から変化を知らされましたか

    はい入院中は病棟へ、在宅なら在宅医や訪問看護の夜間連絡先へ。命に関わると感じたら119番

    いいえ次の質問へ

  2. Q2今夜のうちに病院へ向かうべきか、迷っていますか

    はい病棟に電話して「今夜、家族が向かったほうがいい状態か」だけを尋ねる

    いいえ次の質問へ

  3. Q3言葉が頭から離れず、今すぐ誰かの声を聞きたいですか

    はいよりそいホットライン(24時間・フリーダイヤル)へ

    いいえ朝に話したいことを相談室のLINEか電話に残し、メモを書いて横になる

「そろそろ」と言われた夜、電話をかける先を決める分かれ道

「そろそろ」と言われた夜、その言葉をどう抱えておけばいいですか?

夜のうちに意味を決めつけず、「実際に言われたこと」と「夜になって自分が足していること」を分けて書いておきます。言葉がどのくらいの時間を指しているかは、朝、言った人に確かめるまで分かりません。

夜は、昼間に聞いた言葉が何倍にもふくらむ時間です。夕方の病棟で聞いた「そろそろかもしれません」が、夜中の2時には「今夜かもしれない」「もう話せないかもしれない」「自分は間に合わないかもしれない」と、別の言葉に置き換わっていきます。置き換わった言葉は、実際に言われた言葉より、ずっと重く響きます。

この重さを少し軽くするために、紙を縦に二つに分け、左に「実際に言われたこと」、右に「夜になって自分が足していること」を書いてみてください。左には、言った人、時刻、言葉をそのまま。右には、頭の中で回っている想像を。書き分けてみると、左の列は意外に短く、右の列ばかりが長いことに気づくかもしれません。

実際に言われたこと(書き方の例)

  • 夕方5時ごろ、担当の看護師さんから「そろそろかもしれません」
  • 「何かあれば、夜でもお電話します」
  • 今夜来てほしい、とは言われていない

夜になって自分が足していること(書き方の例)

  • 今夜のうちに、何か起きるのではないか
  • もう、話せないのではないか
  • 自分だけ、間に合わないのではないか
夜に書き分けておく「言われたこと」と「自分が足していること」

左の列は、朝に確かめるための材料になります。右の列は消さなくてかまいませんが、今夜のうちに答えを出さなくていいものです。右に書いた怖さは、朝の電話で話してもいいし、話さずに置いておいてもかまいません。「そろそろ」という言葉が医療者のあいだでどんな気持ちで使われることが多いかは、[gk_link to=”post:nurse-says-soon-meaning”]看護師の「そろそろ」の意味[/gk_link]で取り上げています。

[gk_cta_mid title=”夜の電話は、朝の約束になります”]050-1720-6000に夜かけていただいた電話は自動音声でお受けし、翌朝9時までに担当からお電話します。声を出しにくい夜は、看護師さんの言葉をLINEに一行送るだけでもかまいません。[/gk_cta_mid]

今夜のうちに病院へ向かうべきか、どう決めればいいですか?

病棟から今夜来てほしいと言われているなら、向かってかまいません。言われていないのに迷うときは、病棟に電話して「今夜、家族が向かったほうがいい状態か」だけを尋ねると、ひとりで推し量らずにすみます。

「そろそろ」と言われた夜にいちばん迷うのは、今から病院へ向かうべきかどうかです。行かなかったせいで間に合わなかったらと思う一方で、夜中に駆けつけて自分が倒れては元も子もない、という気持ちもあります。この迷いは、夜の家の中で考えていても答えが出ません。判断の材料を持っているのは病棟です。

夕方の時点で「今夜は付き添ってください」「今夜のうちに来られますか」と言われていたなら、迷わず向かってかまいません。そうした言葉がなく、それでも落ち着かないなら、病棟に電話して尋ねる方法があります。病棟には夜も看護師がいます。夜間の家族からの問い合わせをどう受けるかは病院によって違いますが、今夜向かうかどうかを決めたいという用件なら、短く伝えれば足ります。「夜分にすみません。〇号室の〇〇の家族です。夕方に『そろそろ』と伺ってから落ち着かなくて。今夜、家族が向かったほうがいい状態かどうかだけ、教えていただけますか」。

答えを聞いたら、「ありがとうございます。朝にまた、昨日のお話の続きを伺わせてください」と区切ると、続きは朝の電話に回せます。がん情報サービスは、家族が自分のつらさや困りごとを担当医や看護師に相談してかまわないと説明しています。ただ、夜中の電話は用件を一つに絞り、気持ちの話は朝や面会のときに時間をもらうほうが、お互いに落ち着いて話せます。

ご自宅で療養している場合は、在宅医や訪問看護から聞いている夜間の連絡先が窓口です。在宅療養支援診療所には、24時間連絡を受ける体制などが施設基準として求められていますが、夜間にどう対応するかは医療機関ごとに違うので、連絡先と、どんなときにかけるかを確かめておいてください。

遠くに住む家族には、今夜のうちに知らせるべきですか?

病棟から今夜来てほしいと言われていなければ、夜中に起こさず、言われた言葉のまま文面を下書きして、朝に送る方法があります。相手から「夜中でも知らせてほしい」と言われているなら、その約束を優先してかまいません。

「そろそろ」と聞いた夜、遠くに住むきょうだいや親族に今すぐ知らせるべきかで迷う方は少なくありません。知らせなかったせいで間に合わなかったらどうしよう、と思う一方で、夜中に電話をかけて相手まで眠れなくさせるのも気が引けます。

判断の目安は二つです。一つは、病棟から今夜来てほしいと言われているかどうか。言われているなら、夜中でも知らせてかまいません。もう一つは、相手がすぐに動ける距離にいるかどうか。飛行機や新幹線でしか来られない距離なら、夜中に知らせても、実際に動けるのは朝からになることが多いでしょう。その場合は夜のうちに文面を下書きし、朝いちばんに送るほうが、相手も落ち着いて予定を立てられます。知らせ方に正解はありません。

文面は、言われた言葉を言い換えずに書きます。「今日の夕方、看護師さんから『そろそろかもしれません』と言われました。明日の朝、病棟に詳しく聞いてみます。分かったらまた連絡します」。自分の想像を混ぜずに伝えると、受け取った側も必要以上に慌てずにすみます。呼ぶ時期について医療者の考えを聞きたいときは、朝の電話で「会わせたい家族が遠方にいます。連絡の時期をどう考えればいいでしょうか」と尋ねてみてください。

朝いちばんの電話で、病棟に何を確かめればいいですか?

「そろそろ」がどんな様子の変化を見ての言葉だったか、今日から家族ができる付き添いの形、夜中にまた不安になったときの連絡のしかた、の3つです。夜のうちにメモにしておくと、短い電話でも聞きもらしません。

朝の電話で聞けることには限りがあります。たくさんのことを聞こうとすると、聞きたかったことの半分も聞けずに終わってしまうことがあります。そこで、夜のうちにメモを作り、聞くことを3つに絞っておきます。

一つめは、「そろそろ」がどんな様子の変化を見ての言葉だったか。言葉の背景にある変化が分かると、何に気をつけて付き添えばいいかも見えてきます。二つめは、今日から家族ができる付き添いの形。面会できる時間、泊まれるかどうか、何人までそばにいられるか。三つめは、夜中にまた不安になったときの連絡のしかた。どんなときに病棟から電話をもらえるのか、家族から電話してよいのはどんなときかを聞いておくと、次の夜の過ごし方が変わります。主治医から話を聞きたいときは、看護師さんに「先生から今の様子をお聞きできる時間を作っていただけますか」と頼んでおくと、面談の段取りにつながることがあります。

  • 言われた言葉と、言った人・時刻(言い換えずに)
  • 病棟に聞きたいこと(3つまで)
  • 夜のあいだに、病棟から連絡があったかどうか
  • 今日、家族で決めたいこと(付き添いの順番・遠方の家族への連絡・仕事の休み)
  • 自分の今日の予定のうち、動かせないもの
  • 電話をかける相手と、かける時刻
朝いちばんの電話の前に、夜のうちにメモしておくこと

メモは、きれいに書かなくてかまいません。寝不足の頭でもすぐに読めるよう、大きな字で一行ずつ書いておきます。電話の途中で声が震えても、紙を読み上げれば用件は伝わります。

朝になったら、今日決めることをどう整理すればいいですか?

今日決めることを「遠方の家族を呼ぶか」「今夜泊まるか」「会社に何と伝えるか」「お金の見通し」の4つに分け、それぞれ誰に確かめるかを決めます。全部を今日中に決めなくてかまいません。

病棟に確かめたあとは、家族の側で決めることが続きます。一度に考えようとすると、夜と同じように頭がいっぱいになってしまうので、4つに分けて、それぞれ確かめる相手と材料を並べてみてください。

決めることまず確かめる相手決めるときの材料
遠方の家族を呼ぶか病棟の看護師・主治医医療者が考える連絡の時期、相手が来られる日
今夜泊まるか病棟泊まれるかどうか、自分の体力、本人の希望
会社に何と伝えるか勤め先の上司・人事休む日の見通し、使える休暇の制度
お金の見通し病院の医療ソーシャルワーカー入院中の費用や、休むあいだの収入の心配
「そろそろ」の翌日に決めることと、確かめる相手

会社への連絡は、病状を詳しく説明する必要はありません。「家族が入院していて、医療者から状態の変化を伝えられました。今週は付き添いのため、休みや早退をいただく日が出そうです。日中は携帯電話に出られます」。事実と見通しと連絡手段の三つがあれば、職場も段取りを考えやすくなります。介護休暇は、1年に5日(対象家族が2人以上なら10日)まで時間単位でも取れる制度で、2025年4月からは、介護に直面した社員に会社が個別に制度を知らせ、意向を確かめることなども義務になりました。使えるかどうかは、勤め先の人事や就業規則で確かめてください。

お金の心配は、入院先に医療ソーシャルワーカーの相談窓口があれば、療養中の経済的な問題や、使える行政サービスについて相談できます。がんと家族の相談室の朝の電話では、この4つを今の状況に合わせて一緒に整理します。病状の見通しを言うことはありませんが、どこに何を確かめればいいかを、一緒に書き出していきます。

朝まで、どう過ごせばいいですか?

書く、送る、横になる、の3つを順に。言われた言葉と朝のメモを書き、相談室のLINEなどに一言送って朝の約束をつくり、着信音を確かめてから横になります。眠れなくても、体を休めるだけで十分です。

「そろそろ」と言われた夜に眠れないのは、ごく自然なことです。眠ろうとするより、朝までの時間を三つの作業に分けて過ごしてみてください。

一つめは、書くこと。この記事で紹介した「言われたこと」と「足していること」の書き分けと、朝いちばんの電話のメモです。頭の中で回っていたものが紙の上に移ると、少しだけ頭に余白ができます。二つめは、送ること。相談室のLINEに、看護師さんの言葉と今の気持ちを一行で送っておけば、翌朝いちばんに担当が読んでお返事します。きょうだいへの文面は、送らずに下書きのまま置いておきます。三つめは、横になること。病棟からの電話に気づけるように、スマートフォンを充電し、着信音の音量を確かめてから、明かりを少し落として横になります。眠れなくても、目を閉じて体を休めているだけで、朝の電話をかける力は残せます。

  1. 1深夜言われた言葉と、夜に足している想像を書き分ける
  2. 2そのあと朝いちばんの電話のメモを作り、聞くことを3つに絞る
  3. 3寝る前相談室のLINEに一行送り、きょうだいへの文面は下書きに置く
  4. 4横になる着信音の音量を確かめ、明かりを落として目を閉じる
  5. 5朝メモを見直して病棟へ電話する。夜に相談室へ電話した場合は、9時までに担当から折り返し
深夜から朝いちばんの電話までの過ごし方(一例)

夜中に余命のことが頭から離れないときの考えの扱い方は、[gk_link to=”post:thinking-about-prognosis-at-midnight”]夜中に余命を考えてしまうとき[/gk_link]でも紹介しています。

「そろそろ」と言われた夜、娘さんは朝までに何を決めた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・娘の立場(父が一般病棟に入院中。夜は電車で40分の自宅に戻る。母はすでに亡く、兄は飛行機の距離に住む)
相談のあとに変わったこと
頭の中で回っていた「そろそろ」を紙1枚に書き分けて、明け方に少し眠れた。朝の電話で病棟に確かめることを3つに絞り、兄には言われた言葉のまま連絡。兄が週末に来ることが決まり、自分は平日の午後を休む形で付き添いを始めた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談の翌朝から、この女性の夜の過ごし方は少し変わりました。枕元には、病棟に聞くことを3つ書いたメモと、充電したスマートフォン。「そろそろ」と言われた夜は一睡もできませんでしたが、2日目の夜は明け方に3時間ほど眠れたといいます。朝の電話で看護師さんに、言葉の背景にあった様子の変化と、家族が付き添える時間を確かめ、兄には聞いた言葉をそのまま送りました。兄は週末に来ることになり、女性は職場と相談して、平日の午後を休む形で付き添いを始めました。「夜に決めなくていいことが、こんなにあったんだと思った」と話します。

2. 相談を考えた背景

父は入院して2週間ほど。面会の帰りぎわ、病棟の看護師さんから「そろそろかもしれません」と声をかけられました。母はすでに亡くなっていて、兄は遠くに住んでいます。病院の近くにいるのは女性だけで、付き添いも連絡も、ひとりで担っていました。

3. 相談する前に困っていたこと

家に帰っても、言葉が頭から離れませんでした。午前2時、言葉の意味を検索しては、出てきた文章にまた怖くなる。兄に電話しようとして、時刻を見てやめる。病棟に電話しようとして、「こんな時間に迷惑だ」とやめる。誰に何をすればいいのか分からないまま、時計の針だけが進んでいきました。

4. ここを選んだ理由・決め手

相談室を知ったのは、その夜の検索でした。夜は担当が電話に出られないこと、自動音声で受け付けて翌朝9時までに折り返すことが、はっきり書かれていました。今すぐ話せるわけではないと分かったうえで、「朝になれば話せる人がいる」と思えたことが決め手だったそうです。午前2時半、LINEに「父が入院中で、そろそろと言われました。眠れません」と送りました。

5. 相談で話したこと・その後

翌朝いちばんにLINEの返事が届き、9時を待って電話をかけると、担当が名前を名乗って出ました。担当は、お父さんの容体がいつ変わるかについては何も言わず、言われた言葉と、夜に浮かんだ想像を書き分けてみることを提案しました。病棟に聞くことは3つに絞り、兄への連絡は言われた言葉のまま送ることにしました。会社への伝え方も一緒に考え、介護休暇を時間単位で使えるかを人事に確かめることを決めました。電話を切ったあと、女性はメモを手に病棟へ電話をかけました。「書いた紙があると、声が震えても読めばいい、と思えた」と振り返ります。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

病棟の看護師・医師に聞く質問例

  • 昨日の「そろそろ」は、どのような様子の変化を見てのお言葉でしたか。
  • 今日から家族が付き添える時間と、泊まれるかどうかを教えていただけますか。
  • 夜中に家族が不安になったとき、病棟に電話してもよいでしょうか。どんなときにかければいいですか。
  • 会わせたい家族が遠方にいます。連絡する時期を、どう考えればいいでしょうか。
  • 先生から今の様子をお聞きできる時間を、作っていただけますか。

とはいえ、「そろそろ」の夜を過ごすあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──準備をすることと、望みを持つことは両立します

「そろそろ」と聞いて付き添いや連絡の準備を始めると、まだ目の前にいる家族を、もう見送る側に回ってしまったように感じて、自分を責めたくなることがあります。けれども、準備をすることと、少しでも長く一緒にいたいと願うことは、同時に持っていてかまいません。準備は、残された時間を落ち着いてそばで過ごすための段取りです。看病する家族は「本人はもっとつらいのだから」と自分の気持ちを後回しにしがちで、がん情報サービスでも、ご家族は「第二の患者」ともいわれると紹介されています。眠れない夜があるのは、それだけ家族を大切に思っているからです。

② 実務のこと──本人が望んでいたことを、家族と病棟で分かち合っておく

「そろそろ」と言われたあとは、誰に会ってもらうか、どう過ごしてもらうか、といった判断が続きます。そのとき拠り所になるのは、本人がこれまでに話していたことです。「あの人には会いたいと言っていた」「家族の写真を近くに置きたいと話していた」。思い出せることを家族で持ち寄り、病棟の看護師さんにも伝えておけば、日々のケアの中で気にかけてもらえることがあります。厚生労働省は、もしものときに望む医療やケアを前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する取組を「人生会議」と呼んでいて、国の指針も本人による意思決定を基本としています。本人が話せる状態なら、本人の言葉がいちばんの手がかりです。前もって話し合えていなかったとしても、責める必要はありません。今から思い出せることを一つずつ集めれば十分です。

今日できること

[gk_howto name=”今日できること” description=”「そろそろ」と言われた夜から明日の朝までに、できる3つのこと” heading=”none”][gk_step title=”朝の電話のメモを1枚にまとめる”]病棟に聞くことを3つまでに絞り、言われた言葉と一緒に1枚の紙に書いて、枕元に置きます。[/gk_step][gk_step title=”きょうだいへの文面は、下書きにしておく”]言われた言葉を言い換えずに書き、送るのは朝にします。病棟から今夜来てほしいと言われている場合は、夜のうちに知らせてかまいません。[/gk_step][gk_step title=”朝の電話の時刻にアラームをかけて横になる”]病棟に電話する時刻を決めてアラームをかけておけば、寝過ごす心配をせずに横になれます。相談室のLINEに一行送っておけば、翌朝いちばんに担当が読んでお返事します。[/gk_step][/gk_howto]

よくある質問

[gk_faq][gk_q q=”「そろそろ」と言われたことを、本人に伝えたほうがいいですか?”]決まった正解はありません。ご本人が自分の状態をどこまで知りたいと思っているかによって変わります。伝えるかどうか、伝えるならどんな言葉にするかは、病棟の看護師さんや主治医と一緒に考えてかまいません。ご本人が「知りたくない」と話しているなら、その気持ちも大事にしてください。[/gk_q][gk_q q=”自分ががんの本人で、夜になると余命のことを考えて眠れません。どこにかければいいですか?”]今夜のうちに声で話したいときは、24時間・フリーダイヤルのよりそいホットライン(0120-279-338)があります。がんと家族の相談室のLINEに一言送っていただければ、翌朝いちばんに読んでお返事します。眠れない夜が続くときは、主治医や看護師に伝えてください。ご本人が夜に頼れる先は、[gk_link to=”post:afraid-of-the-end-at-night”]最期が怖くてたまらない夜に[/gk_link]でも紹介しています。[/gk_q][gk_q q=”同じ知らせを聞いたはずなのに、きょうだいとの受け止め方がずれてしまいます。”]同じ言葉を聞いていないと、受け止め方はずれやすくなります。病棟から聞いた言葉を言い換えずに、同じ文面できょうだい全員に送ると、話の土台がそろいます。そのうえで、付き添いや連絡の役割を分ける話し合いを朝や昼の時間に持つと、夜中の電話でぶつかることが減ります。[/gk_q][gk_q q=”夜中に何度も病棟へ電話してしまいそうで、気が引けます。”]夜中の電話は、「今夜向かったほうがいいか」のように用件を一つに絞ると短くすみます。朝の電話で、家族から夜に電話してよいのはどんなときかを確かめておけば、次の夜に迷わずにすみます。不安な気持ちそのものを聞いてほしいときは、24時間のよりそいホットラインや、朝の相談の電話に向けてください。[/gk_q][gk_q q=”付き添いで仕事を休むと、収入が心配です。”]長く休む場合の介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れ、雇用保険の介護休業給付金は原則として「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で計算されます。対象になるかどうかは、勤め先の人事や就業規則で確かめてください。入院中の費用の心配は、入院先に医療ソーシャルワーカーの相談窓口があれば、そこでも相談できます。[/gk_q][gk_q q=”「もしもの夜に電話する先」の登録とは、どんなものですか?”]もしもの夜に電話する先を一つ決めておくための、がんと家族の相談室の登録です。無料で、3分ほどで済みます。登録しても、何かを決める必要はありません。夜中に誰へ電話すればいいか分からなくなる不安を、昼のうちに一つ減らしておくための備えです。[/gk_q][/gk_faq]

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朝の電話で、今日決めることを一緒に整理しませんか

[gk_form_cta]看護師さんに言われた言葉と、電話に出やすい時間帯、折り返しの電話番号を書いて送ってください。お名前はニックネームで構いません。受付確認のメールは送信の直後に届きます。そのあとご希望の時間帯に担当からお電話し、遠方の家族を呼ぶか、泊まるか、会社に何と伝えるかを一緒に整理します。[/gk_form_cta]

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ほいくの相談室 編集部。保育士の方からの相談で多く聞かれる悩みをもとに、公的な資料で確認できる情報をまとめています。