がんの緩和ケア、これからどうなる?受けられるケアと場所の違い

緩和ケアに移ると、がんを小さくするための治療に代わって、痛み、息苦しさ、吐き気、だるさ、不安や眠れなさといった「つらさ」を和らげることが、診療の中心になります。何もしなくなるのではなく、つらさの一つひとつに名前をつけて、薬やケア、暮らしの支えで対応していく医療です。どんな順番で何が起きていくか、それがどれくらいの期間かは人によって大きく違いますが、つらさを伝えれば対応してもらえる、という仕組みは、どの場所でも変わりません。

その一方で、外来に通うのか、入院するのか、家に帰るのかによって、担当する人と連絡先は変わっていきます。この記事では、ご家族の立場から、緩和ケアで実際に何をしてもらえるのかと、場所ごとの担当者と連絡先の整理のしかたをお伝えします。

「緩和ケアに移ります」と言われて、帰り道にこのページを開いた方へ

  • 「緩和ケアに移ります」と言われたけれど、病院で具体的に何をしてもらえるのか分からない。
  • 父が痛がったり息苦しそうにしたりしたとき、誰に、どこへ連絡すればいいのか分からない。
  • 外来なのか入院なのか、家に帰るのか。これから誰が父を診てくれるのかも聞けなかった。

この記事で分かること

  • 緩和ケアで和らげてもらえる、主なつらさと対応の例
  • 痛み・息苦しさ・不安を、家族が医療者にうまく伝える方法
  • 外来・病棟・在宅それぞれの担当者と、昼と夜の連絡先
  • 用件ごとに連絡先を分けた「連絡表」の作り方

父の抗がん剤が終了し、緩和ケアに移ると言われました。これから何が行われ、どうなっていくのですか?

痛み・息苦しさ・吐き気・不安や眠れなさなど、お父さまのつらさに一つずつ対応し、暮らしの支えも整えていきます。受ける場所は外来・入院中の緩和ケアチーム・緩和ケア病棟・自宅とあり、体調や希望に合わせて途中で変わることもあります。

日本緩和医療学会の定訳による世界保健機関(WHO、2002年)の定義では、緩和ケアは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と「その家族」の生活の質を、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出して対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチだとされています。対象には家族も含まれている、というところが大事な点です。

緩和ケアが始まるのは「がんと診断されたとき」からだと、国立がん研究センターのがん情報サービスも説明しています。治療が終わってから突然始まる別の医療ではなく、もともと治療と並んで受けられたものが、これからは中心になる、という切り替えです。お父さまご本人が「見捨てられた」と感じているときの受け止め方は、[gk_link to=”post:no-more-treatment-prognosis”]治療できないと言われたあとに続くケア[/gk_link]で取り上げています。

つらさ緩和ケアでの対応の例家族が伝えるとよいこと
痛み痛み止め(医療用麻薬を含む)の種類・量・使う時間を調整するいつ、どこが、どのくらい痛むか。薬を使ったあとの変化
息苦しさ原因に合わせた治療に、体の向きや室内の環境の工夫、薬などを組み合わせるどんなときに苦しくなるか(動いたとき、横になったとき)
吐き気・便秘原因に合わせた薬や、食事の形の工夫食べられた量、吐いた回数、便の出方
不安・眠れなさ話を聴く、薬を使う、心のケアの専門家につなぐ夜の様子、口にした心配ごと
意識の混乱原因を探し、薬や環境を整えるいつもと違う言動が出た時刻と様子
緩和ケアで和らげる主なつらさと、家族が伝えるとよいこと

痛みは、どこまで和らげてもらえるのですか?

痛みは我慢するものではなく、伝えて調整してもらうものです。痛み止めの種類や量、使う時間を、お父さまの痛みに合わせて医療者が調整していきます。調整の手がかりになるのが、ご本人とご家族からの「いつ・どこが・どのくらい」という情報です。

医療用麻薬を使うと聞いて、命が縮むのでは、意識がなくなるのでは、と心配になるご家族は少なくありません。この点について、日本緩和医療学会がまとめた『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』には、オピオイド(医療用麻薬)を使うことで生命予後が短くなるという根拠はない、と書かれています。眠気など気になる変化が出たときは、量や種類を見直せることがあるので、遠慮せずに医療者に伝えてください。

和らげる方法があっても、つらさが医療者に届かなければ使われません。国立がん研究センターの遺族調査(2025年公表。2021年に亡くなった方のがん遺族1,226名)では、からだの苦痛が少なかったと振り返った割合は37%で、前回の42%を下回っていました。遺族が振り返って答えた評価ですが、つらさが十分に和らいだとは感じられなかった家族も少なくないことが分かります。だからこそ、気づいたつらさは、遠慮せずに医療者へ届けてください。

お父さまが「大丈夫」と言って痛みを我慢しているように見えるときは、家族が見たままを伝えてください。「夜中に何度も体の向きを変えていました」「立ち上がるときに顔をしかめていました」。痛みの強さを、0から10までの数字で本人に言ってもらう方法を、医療者が使うこともあります。家族は一日一行、時刻と様子をメモしておけば十分です。

[gk_cta_mid title=”緩和ケアに移るときに聞くことを、3つにまとめます”]「緩和ケアに移る」と言われたときの説明で、耳に残った言葉をそのまま書いてお送りください。担当がお電話で言葉の一般的な意味をお伝えし、次の診察や医療ソーシャルワーカーとの面談で聞く質問を3つにまとめたメモをお送りします。[/gk_cta_mid]

息苦しさや不安には、どんな対応がありますか?

息苦しさには、原因に合わせた治療に加えて、体の向きや室内の環境の工夫、薬などを組み合わせて和らげます。不安や眠れなさにも、話を聴くこと、薬、心のケアの専門家への紹介といった対応があり、ご家族の不安も相談の対象です。

息苦しさの和らげ方については、日本緩和医療学会が『進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン 2023年版』をまとめていて、医療者は状態に合わせて方法を選びます。苦しそうな様子を見たとき、ご家族がまずすることは、自己流で何とかしようとすることではなく、見たままを看護師に伝えることです。伝えるときは、「いつから」「どんな様子か(肩で息をしている、話すと途切れる、など)」「痛み止めや頓服を使ったか」「本人が何と言っているか」の4つを順に話すと、相手が状況をつかみやすくなります。

不安や眠れなさは、体のつらさと切り離せません。夜になると怖さが増す、同じ心配を何度も口にする、といった様子も、緩和ケアで相談してよいことです。また、病状が進んだ方や看取りの時期には、つじつまの合わないことを言ったり落ち着かなくなったりする「せん妄」が起こりやすくなるとされています。せん妄は一時的に現れる意識の混乱で、徐々に進む認知症とは違います。原因によっては和らぐこともあるので、いつもと違う言動に気づいたら、時刻と様子を看護師に伝えてください。

そして、緩和ケアは家族のためのケアでもあります。がん情報サービスは、家族は「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢しがちで、「第二の患者」ともいわれると説明しています。眠れない、仕事が手につかない、といったご家族自身のつらさも、看護師や緩和ケアチームに話して構いません。

緩和ケアは、どこで、誰が担当してくれるのですか?

外来なら主治医や緩和ケア外来、入院中なら主治医と緩和ケアチーム、緩和ケア病棟ならその病棟の医師と看護師、自宅なら在宅医と訪問看護が中心になります。場所が変わると、担当者も、昼と夜の連絡先も変わります。

外来に通いながら受ける場合は、これまでの主治医が引き続き診るか、緩和ケア外来の医師と一緒に診る形が多くなります。一般病棟に入院中なら、主治医と病棟の看護師に、緩和ケアの専門チームが加わって対応します。緩和ケア病棟は、つらさを和らげることを専門にした病棟です。一般病棟と緩和ケア病棟の違いや、移るときの考え方は、[gk_link to=”post:end-of-life-in-hospital-wards”]一般病棟と緩和ケア病棟の違い[/gk_link]で詳しく扱っています。

専門のチームや外来は、待っていれば自動的に加わるとは限りません。入院中なら「父の痛みのことで、緩和ケアチームに入ってもらうことはできますか」、通院中なら「緩和ケア外来で診ていただくことはできますか」と、主治医や看護師に頼んで構いません。病院によっては、チームや外来の名前が違ったり、別の病院の外来を紹介されたりすることもあります。

自宅で受ける場合は、在宅医(訪問診療をする医師)と訪問看護師が中心になります。末期の悪性腫瘍の方は、要介護認定を受けていても、主治医の指示のもとで医療保険の訪問看護を受けられます。その場合、医療保険の訪問看護にある「原則週3日以内」という日数の制限もかかりません。介護保険と医療保険のどちらを使うかを、利用する側が希望で選ぶことはできません。在宅療養支援診療所には、24時間連絡を受ける体制や往診の体制などが求められていますが、夜間にどう対応してもらえるかは医療機関ごとに違います。自宅で最期まで過ごす場合の流れは、[gk_link to=”post:end-of-life-care-at-home”]自宅で最期を迎えるための備え[/gk_link]にまとめています。

場所中心になる担当者昼の連絡先夜・休日の連絡先
外来に通う主治医、緩和ケア外来の医師、外来の看護師外来の窓口や相談窓口病院の夜間の窓口(病院ごとに確かめる)
一般病棟に入院主治医、病棟の看護師、緩和ケアチーム病棟のナースステーション病棟の夜勤の看護師
緩和ケア病棟病棟の医師と看護師病棟病棟
自宅在宅医、訪問看護師、ケアマネジャー訪問看護ステーション、在宅医在宅医・訪問看護の24時間の連絡先(体制は医療機関ごと)
受ける場所ごとの、中心になる担当者と連絡先

担当者と連絡先は、どう整理しておけばいいですか?

「誰に・何を・いつ」を一枚の連絡表にまとめます。体のつらさは看護師へ、薬の調整は医師へ、お金や制度・療養場所の相談は医療ソーシャルワーカーへ、と用件ごとに分け、昼と夜の番号を並べて書いておきます。

緩和ケアに移ったあとに家族が困りやすいのは、つらさそのものより、「これは誰に聞けばいいのか」が分からないことです。外来の看護師に聞くことなのか、主治医に聞くことなのか、相談窓口なのか。迷っているうちに夜になり、夜になると聞ける人がさらに限られます。用件の急ぎ度で連絡先を分けておくと、迷う時間が短くなります。

  1. 1命に関わると感じる急変入院中ならすぐナースコール、自宅なら119番。在宅医がいるなら、どんなときに119番かを前もって決めておく
  2. 2今夜のうちに診てほしい病棟のナースコール、在宅医・訪問看護の24時間の連絡先、通院中なら病院の夜間の窓口
  3. 3次の診察や訪問で伝えればよいメモに書き、次に会う医師や看護師に渡す
  4. 4療養の場所・お金・制度の相談医療ソーシャルワーカー、がん相談支援センター
  5. 5気持ちのつらさ(本人・家族)看護師、緩和ケアチーム、がん相談支援センター
用件の急ぎ度で分けた連絡先(上の段ほど急ぐ)

夜に電話をかけるときは、話す順番を決めておくと、慌てていても伝わります。たとえば「〇〇(お父さまのお名前)の家族です。夜10時ごろから、背中の痛みが強くなっています。9時に頓服の痛み止めを使いましたが、変わりません。本人は『横になれない』と言っています」。名前、いつから、どんな様子か、使った薬、本人の言葉。この順に話せば、電話を受けた側も次にどうするかを判断しやすくなります。

連絡表は、場所が変わるたびに書き換えます。外来から入院へ、病棟から自宅へと移るとき、前の連絡先が残ったままだと、夜中に慌てて違う番号にかけてしまうことがあります。退院や転院の話が出たら、「これからは、夜はどこに電話すればいいですか」を必ず確かめてください。

  • 主治医の名前と診療科
  • 外来・病棟の電話番号と、夜間につながる番号
  • 在宅医・訪問看護の24時間の連絡先(自宅で過ごす場合)
  • 医療ソーシャルワーカーの名前と、相談窓口の場所
  • 痛み止めの名前と、追加で使ってよいときの決まり
  • 次の診察や訪問の日時
  • 家族の中で、医療者と連絡をとる人
連絡表に書いておく項目

医療ソーシャルワーカーや地域連携室には、何を相談できますか?

医療ソーシャルワーカーは、療養の場所の変化、退院や転院、使える行政サービス、お金の心配などを、社会福祉の立場から一緒に整理してくれる専門職です。病院によって「地域連携室」「医療相談室」など窓口の名前は違います。

緩和ケアに移ると、これからの療養の場所や、介護、お金のことが一度に動き始めます。たとえば、外来から在宅に切り替えるなら、在宅医や訪問看護ステーションを探し、介護保険の申請を考えることになります。介護保険は、65歳以上なら原因を問わず、要介護・要支援と認定されれば使えます。40〜64歳の方も、がん(医師が回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)は対象の特定疾病の一つで、申請は市区町村の窓口です。医療費は高額療養費制度で1か月の自己負担に上限があります。上限額は2026年8月に見直され、年間の上限も新しく設けられたので、お父さまの場合の額は、お父さまが加入している健康保険に問い合わせてください。

こうした話を、家族だけで一つずつ調べる必要はありません。入院先に医療ソーシャルワーカーがいれば、面談を申し込み、連絡表を見せながら「これから、どこで、誰に診てもらうことになりそうか」を一緒に確かめてもらいます。窓口が見つからないときや、今の病院に相談しにくいときは、がん相談支援センターを使えます。全国のがん診療連携拠点病院などにある窓口で、家族も、その病院に通っていない人も、無料・匿名で利用できます。

緩和ケアに移ってから、家族はどんな見通しを持っておけばいいですか?

体調には波があり、つらさが強まる時期と落ち着く時期をくり返しながら、少しずつ体力が落ちていくことが多いとされます。期間の幅はとても大きく、過ごす場所や担当者も途中で変わり得るので、その都度、医療者と確かめながら進みます。

緩和ケアの時期は、数日や数週間とは限らず、月の単位で続くこともあります。調子のよい日には、外出したり、好きなものを食べたりできることもあります。最期までの大きな流れは、[gk_link to=”post:what-happens”]がんの最期までの流れ[/gk_link]で一枚の地図にまとめています。

見通しが変わるたびに大事になるのが、どこで過ごしたいかというお父さまの希望です。もしものときに望む医療やケアを、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する取り組みを、厚生労働省は「人生会議」と呼んでいます。国立がん研究センターの遺族調査(2025年公表)では、医師と最期の療養場所について話し合ったと振り返った割合は53%で、前回の36%から増えていました。場所の希望は、一度決めたら変えられないものではありません。

連絡先が分からず夜に困っていた娘は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
50代・娘の立場(70代の父が抗がん剤を終え、外来で緩和ケアを受けることになった。母と父は二人暮らし、娘は車で40分の距離に住む)
相談のあとに変わったこと
用件ごとに連絡先を分けた連絡表ができ、夜に迷う電話がなくなった。父の痛みを毎日メモして伝えるようになり、痛み止めの使い方が見直された。

1. 相談のあとに変わったこと

相談のあと、彼女は「誰に・何を・いつ」の連絡表を作り、実家の電話の横に貼った。夜に父が痛がったときにかける病院の夜間の番号、薬のことを聞く外来の看護師、介護保険の相談をする医療ソーシャルワーカーの名前が並んだ。母は毎晩、父の痛みを時刻と様子で一行ずつノートに書くようになった。次の外来でそのノートを見せると、痛み止めを追加で使うときの決まりが見直された。「誰に聞けばいいか分かるだけで、母の声が落ち着いた」と彼女は話す。

2. 相談を考えた背景

外来で「抗がん剤は今回で終わりにして、緩和ケアに移りましょう」と言われた日、父は黙ってうなずき、母は帰りの車の中で泣いた。彼女は運転しながら、明日から何が変わるのかを誰も聞けていなかったことに気づいた。

3. 相談する前に困っていたこと

1週間後の夜中、父が背中の痛みを訴え、母から電話があった。どこに電話すればいいのか分からず、病院の代表番号にかけてみたが、つながるまでに時間がかかった。翌日、緩和ケアについて調べたが、「何もしないことではない」という説明はあっても、誰に何を頼めばいいのかは分からなかった。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院の相談窓口は平日の日中に開いていたが、仕事を抜けられるのは昼休みだけだった。夜のうちにフォームを送れて、折り返しの時間帯を選べること、医療者の言葉を一般的な意味に置き換えてもらえることが決め手になった。送ってすぐに受付確認のメールが届いた。

5. 相談で話したこと・その後

電話の担当は、最初に彼女の話を聞いてから、外来で言われた言葉を一緒に確かめた。父の痛みの原因や薬の量については「外来の先生と看護師さんに判断してもらうことなので」と言い、判断も予測もしなかった。そのうえで、用件ごとに連絡先を分ける連絡表の作り方を電話の中で一緒に整理し、医療ソーシャルワーカーとの面談で聞く質問を3つにまとめたメモを送った。最初の面談では、母が緊張して質問を読み上げられず、彼女が代わりに読んだ。それでも、夜間の番号と介護保険の申請の順番は、その日のうちに分かった。帰りの車で、母は「次は自分で聞いてみる」と言い、メモの余白に質問をもう一つ書き足した。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • これからは、どなたが主に父を診てくださいますか。緩和ケア外来や緩和ケアチームにもつないでいただけますか。
  • 夜間や休日に痛みや息苦しさが強くなったら、どの番号に、どんなときに連絡すればいいですか。
  • 痛み止めを追加で使っていいのは、どんなときですか。
  • 家族が見ていて、すぐに知らせたほうがいい様子を教えてください。
  • 療養の場所や介護、お金のことは、どなたに相談すればいいですか。

とはいえ、緩和ケアに移ったご家族に伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──「何もしてもらえない」と感じた日の気持ちも、自然なものです

「緩和ケアに移ります」と聞いた瞬間に、「もう何もしてもらえないのか」と感じたご家族は少なくありません。その気持ちは、お父さまのために何かをしてほしいと強く願っている表れで、責める必要はまったくありません。この記事で見てきたように、緩和ケアは、つらさの一つひとつに対応していく医療です。それでも気持ちが追いつかない日には、その戸惑いをそのまま看護師や緩和ケアチームに話してください。ご家族の戸惑いを受け止めることも、緩和ケアの役目に含まれています。

② 実務のこと──つらさの記録は、付き添う家族で一冊にまとめる

付き添う人が日によって替わると、医療者に伝わる様子も、人によって少しずつ違ってしまいます。「昨日は痛がっていた」「いや、今日は落ち着いていた」と話が食い違うと、薬の調整の手がかりがぼやけます。そこで、痛み、息苦しさ、眠り、食事の様子を、付き添う家族全員が同じノートに書き込む形にします。書くのは時刻と様子を一行ずつ。診察や訪問の日には、そのノートを医療者に見せます。記録を誰が医療者に伝えるかを一人決めておけば、伝える役の家族の負担も軽くなります。

今日できること

[gk_howto name=”今日できること” description=”緩和ケアに移ったその週に、家族ができる3つのこと” heading=”none”][gk_step title=”連絡表の枠を作る”]紙に「誰に」「何を」「昼の番号」「夜の番号」の4列を書き、今分かっているところだけ埋めます。[/gk_step][gk_step title=”様子のメモを始める”]今日の痛みや息苦しさ、眠りの様子を、時刻と一緒に一行だけ書き留めます。[/gk_step][gk_step title=”相談窓口の場所を聞く”]次の診察や面会で、医療ソーシャルワーカーがいる窓口の場所と名前を看護師に尋ねます。[/gk_step][/gk_howto]

よくある質問

[gk_faq][gk_q q=”緩和ケアに移ったら、もう病院には通えないのですか?”]そんなことはありません。外来に通いながら緩和ケアを受ける形も多く、これまでの主治医が引き続き診ることもあれば、緩和ケア外来の医師と一緒に診ることもあります。入院するか、自宅で在宅医に診てもらうかは、体調とご本人の希望、家族の状況を見ながら決めていきます。これからの通い方は、主治医に「今後はどこで、どなたに診ていただくことになりますか」と尋ねて確かめてください。[/gk_q][gk_q q=”医療用麻薬を使うと、意識がぼんやりしてしまいませんか?”]使い始めや量を変えたときに、眠気などが気になることはあります。そのときは、量や種類、使い方を見直せることがあるので、医療者に伝えてください。医療用麻薬で命が縮むという根拠はないとされています。痛みが和らいで夜に眠れるようになり、日中の表情が穏やかになる方もいます。ぼんやりしている時間が増えたと感じたら、それが薬のためか、病気の変化のためかを、医療者に見てもらってください。[/gk_q][gk_q q=”自宅に帰っても、緩和ケアは受けられますか?”]受けられます。在宅医の訪問診療と訪問看護が中心になり、末期の悪性腫瘍の方の訪問看護は、主治医の指示のもとで医療保険から受けられます。夜間の連絡体制は医療機関ごとに違うので、退院前に「夜はどこに電話すればいいか」を確かめておきます。介護保険のサービスと組み合わせることもできるので、入院中なら医療ソーシャルワーカーに相談しながら準備を進めてください。[/gk_q][gk_q q=”緩和ケア病棟には、すぐに入れるのですか?”]入院の手順や、空きが出るまでの流れは病院によって違います。面談や登録が先に必要なところもあるので、緩和ケア病棟を考え始めた時点で、医療ソーシャルワーカーや主治医に「どこに、どんな手順で相談すればいいですか」と尋ねておくと、いざというときに慌てずにすみます。一般病棟との違いや、移るタイミングの考え方は、病院で最期を迎える場合の記事で詳しく取り上げています。[/gk_q][gk_q q=”家族の不安やつらさも、緩和ケアで相談していいのですか?”]相談していいのです。緩和ケアの定義そのものに、患者さんとその家族の生活の質を支えることが含まれています。眠れない、何をしても落ち着かない、本人の前で泣いてしまう。そうしたご家族自身のつらさも、看護師や緩和ケアチーム、がん相談支援センターに話してください。ご家族が倒れずにいることは、お父さまの毎日を支えることにもつながります。[/gk_q][gk_q q=”費用はどのくらいかかりますか?”]費用は、受ける場所や使うサービス、加入している健康保険によって大きく違うので、金額の目安は一概には言えません。医療費には高額療養費制度による月ごとの上限があり、マイナ保険証で受診すれば、窓口での支払いは原則としてその上限額までになります(使えない医療機関や、事前の申請が必要な場合もあります)。介護保険のサービスを使う場合の負担もあわせて、医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターで見通しを相談できます。[/gk_q][/gk_faq]

次に読むなら

  • [gk_link to=”post:no-more-treatment-prognosis”]治療ができないと言われた本人に、どんなケアが続きますか?[/gk_link]
  • [gk_link to=”post:end-of-life-in-hospital-wards”]緩和ケア病棟と一般病棟では何が違い、付き添いはできますか?[/gk_link]
  • [gk_link to=”post:end-of-life-care-at-home”]自宅で最期まで過ごすには、何が必要ですか?[/gk_link]
  • [gk_link to=”post:what-happens”]がんの最期までには、どんな流れで何が起こりますか?[/gk_link]
  • [gk_link to=”post:hard-to-ask-doctor”]医師に聞きづらいことは、看護師にどう聞けばいいですか?[/gk_link]

連絡表と質問メモを、一緒に一枚にしませんか

[gk_form_cta]お父さまが今どこで緩和ケアを受けているかと、いちばん困っていることをひとことお書きください。送信が終わるとすぐに受付確認のメールが届き、ご希望の時間帯に担当がお電話します。誰に何を聞けばいいかを一緒に整理し、次の面談で使える質問メモを3つにまとめてお送りします。[/gk_form_cta]

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ほいくの相談室 編集部。保育士の方からの相談で多く聞かれる悩みをもとに、公的な資料で確認できる情報をまとめています。