がんになった夫の気持ちも、自分の気持ちも分からなくなるのは、夫婦の仲が壊れたからではありません。同じ病気に向き合っていても、怖がっているもの、家の中での役割、気持ちが追いつく速さが、二人のあいだで少しずつずれていくからです。ずれの正体が見えてくると、夫の沈黙や苛立ちを、自分への拒絶としてだけ受け取らずにすみます。
どこがずれやすいかは夫婦によって違い、同じ夫婦でも、治療の段階やその日の体調で変わります。この記事では、黙り込む夫と空回りしてしまう妻の場面を例に、すれ違いが起きる3つの理由、相手の気持ちを当てる前に自分の気持ちに名前をつける方法、二人だけで抱えないための第三者の使い方をまとめました。本人が話さないときの待ち方は[gk_link to=”post:patient-wont-open-up”]本人が話してくれないときの支え方[/gk_link]、配偶者への声のかけ方は[gk_link to=”post:words-and-support-for-spouse”]二人の関係を守る声かけ[/gk_link]で扱っています。妻の立場で書いていますが、夫が妻を支えている場合も、親子の場合も、同じように読めます。
夫の「別に」に、言葉が続かなくなった方へ
- 夫は黙り込み、こちらが声をかけるほど苛立たせてしまう。
- 「何かしてほしいことある?」と聞いても、「別に」としか返ってこない。
- 悲しいのか、怒っているのか、自分の気持ちまで分からなくなってきた。
がんになった夫の気持ちも、自分の気持ちも分からなくなりました。すれ違いを減らす方法はありますか?
あります。すれ違いの多くは、二人の「恐れの形」「役割」「時間」のずれから起きます。まずどのずれが起きているかを見分け、夫の気持ちを当てる前に、自分の気持ちに名前をつけるところから始めてください。
たとえば、こんな場面を思い浮かべてみてください(説明のための例です)。夕食の席で、妻が「明日の検査、何時に出る?」「先生に何を聞く?」と続けて話しかける。夫は箸を置き、「別に、いいよ」と席を立つ。妻は皿を洗いながら「どうして」と思い、気づけば、自分が悲しいのか腹が立っているのかも分からなくなっている。思い当たる方もいるかもしれません。
この場面に、悪い人はいません。妻の質問は、夫を失いたくない怖さから出ています。夫の「別に」も、妻とは違う怖さや、出番を失った悔しさから出ているのかもしれません。どちらも相手を思っているのに、気持ちの向きと速さが合っていないので、言葉が空回りします。
ほどき方の順番は、下の3つです。相手を変えることより、自分の側で見分けて、名前をつけることから始めると、会話の入り方が変わってきます。
- 1ずれを見分ける恐れの形・役割・時間のうち、どれがずれているかを考える
- 2自分の気持ちに名前をつける夫の気持ちを当てる前に、自分の側を一語で言葉にする
- 3伝えるか、預けるかを選ぶ夫に短く伝えるか、二人の外にいる人に話して整える
夫と自分とでは、怖がっているものが違うのですか?
違うことがよくあります。本人は自分の体の変化や、家族の重荷になることを怖がり、支える家族は、相手を失うことや、支えきれないことを怖がりやすいものです。同じ「怖い」でも向きが違うので、話がかみ合わなくなります。
妻が「治療はどうなるの」「先生は何て言ってた」と聞くのは、先のことが見えない怖さを、情報で埋めたいからです。ところが夫のほうは、先の話をされるたびに、自分の体がこれからどうなるのかという怖さを突きつけられます。妻にとっては安心するための質問が、夫にとっては怖さを呼び起こす質問になっている。これが、恐れの形のずれです。
怖さへの向き合い方も、人によって違います。話すことで落ち着く人もいれば、黙って考えることで自分を保つ人もいます。どちらが正しいということはなく、長年連れ添った夫婦でも、病気という初めての状況では、相手の向き合い方が見えにくくなります。夫の沈黙は、妻を締め出しているのではなく、夫なりの怖さの抱え方であることがあります。
| 観点 | 本人に起きやすい怖さ | 支える家族に起きやすい怖さ |
|---|---|---|
| 体のこと | 痛みや治療のつらさ、思うように動けなくなること | 苦しむ姿を見ること、そばで何もできないこと |
| 家族のこと | 家族の重荷になること、迷惑をかけること | 支えきれないこと、ひとりで家を回すこと |
| 先のこと | 自分がいなくなったあとの家族の暮らし | 相手のいない暮らしと、そこにいる自分 |
| 怖さへの向き合い方 | 黙って考えたい、弱みを見せたくない | 話して確かめたい、動いて紛らわせたい |
表のどの行が自分たちに当てはまるかを考えてみると、「夫は分かってくれない」という一つの不満が、「怖がっているものが違うだけかもしれない」という、少し扱いやすい形に変わります。
看病が始まると、夫婦の役割はどう変わるのですか?
支える側は、通院や薬や連絡の段取りを一手に引き受ける「管理役」になりやすく、本人は、それまで担ってきた役割を一つずつ手放す側に回ります。妻が先回りするほど、夫は出番がなくなったと感じ、それが苛立ちとして出ることがあります。
診断のあと、妻は通院の予約、薬の時間、食事の工夫、親戚や職場への連絡を引き受けます。そのあいだに夫は、仕事を休み、車の運転を控え、家計の管理も妻に任せるようになります。妻の「薬飲んだ?」「無理しないで」は心配から出た言葉ですが、出番を失いつつある夫の耳には、見張られているように響くことがあります。夫の苛立ちは、妻その人ではなく、役割を失っていく状況に向いていることもあるのです。
役割のずれは、妻の側にも負担を生みます。管理役は、休む場所のない役です。手を抜けば夫に悪い気がして、手を広げるほど疲れていく。疲れた人の声かけは、どうしても早口で、確認の多いものになります。空回りしているように感じるとき、その原因は言葉選びより、背負っている役割の重さのほうにあるかもしれません。
支える家族に増えていくもの
- 通院や薬、食事の段取り
- 親戚や職場への連絡
- 体調を見守り、気にかけ続ける役
本人から減っていくもの
- 働く、運転するといった家での出番
- 自分のことを自分で決める場面
- 家族を支える側にいる、という手ごたえ
体調の許す範囲で、夫に役割を一つ返すことは、すれ違いを減らす手がかりになります。ゴミ出しの曜日の管理、テレビの録画、家計簿。小さな役割でも、「家の中に自分の出番がある」という感覚は、本人を支えることがあります。どこまで任せてよいかは、体の状態に合わせて主治医や看護師に確かめてください。
気持ちが追いつく速さは、なぜ二人で違うのですか?
大きな知らせを受け止めるのにかかる時間は、人によって違うからです。同じ出来事のあとでも、片方はもう次の手を考えはじめ、もう片方はまだ最初の知らせの中に立ち止まっている、ということがよく起こります。
たとえば、検査の結果を聞いた日の帰り道、妻は車の中で治療の選択肢を調べはじめ、夫は窓の外を見たまま黙っている、という場面です。妻は「これからのことを一緒に考えたい」と思い、夫は「まだ何も考えたくない」と思っている。どちらも自然な反応ですが、速さがずれていると、妻の言葉は急かすように、夫の沈黙は投げやりに見えてしまいます。
ずれる方向は、いつも同じとは限りません。治療が進むうちに、本人のほうが先に受け止め、「もしものときのことを話しておきたい」と言い出し、家族のほうがまだその話をしたくない、ということもあります。
- 1結果を聞いた日妻は調べはじめる。夫は言葉が出ない
- 2次の週妻は治療の予定を話したい。夫はまだ考えたくない
- 3治療が始まったころ妻に疲れが出はじめる。夫は少しずつ現実を受け止めはじめる
- 4しばらくたって夫が先のことを話したくなる。妻はまだその話を聞きたくない
時間のずれは、どちらかが無理に合わせても縮まりません。役に立つのは、「今、夫はどこにいて、自分はどこにいるか」を見ておくことです。同じ場所にいないと分かれば、今夜は話の中身を合わせるのをやめ、「その話は、次の診察の前の晩にしよう」と、話す時期だけを決めておく、という選び方もできます。
[gk_cta_mid title=”夫の「別に」と自分のもやもやを、まずお聞きします”]ご家族の方のお話を、評価も助言もせずに20分お聞きします。話しているうちに、どのずれが起きているのか、自分がどんな気持ちでいるのかが、少しずつ言葉になっていくことがあります。[/gk_cta_mid]自分の気持ちが分からないときは、どうやって名前をつければいいですか?
体の感覚、気持ちの言葉、その奥の願い、の順に、3つの問いを自分に向けてみてください。「怖い」「悲しい」「腹が立つ」「疲れた」のように一語で言えると、正体の分からないもやもやが、扱える大きさになります。
一つめの問いは、「今、体のどこが重い?」です。胸が詰まる、肩が固い、胃が重い、喉の奥が熱い。気持ちが分からないときも、体は先に反応していることが多く、場所から入ると答えやすくなります。
二つめは、「いちばん近い言葉は?」です。下のリストから、今の自分に近いものを選んでみてください。一つに絞れなくてかまいません。「夫を支えたい」と「もう疲れた」、「早く治ってほしい」と「少しほっとした」のように、反対向きの気持ちが同時にあるのは、おかしなことではありません。
- 怖い
- 悲しい
- 腹が立つ
- 寂しい
- 疲れた
- 焦っている
- 申し訳ない
- むなしい
- ほっとした
- 何も感じない
三つめは、「その気持ちの奥で、本当はどうしてほしかった?」です。「腹が立つ」の奥に、「一緒に心配してほしかった」が隠れていることがあります。夫に向けた怒りの下に、怖さや疲れが重なっていることもあります。願いまで言葉にできると、夫に伝えるときも、責める言葉ではなく、頼む言葉を選びやすくなります。
名前は、寝る前に手帳に一語だけ書けば十分です。数日続けると、「焦り」が何度も出てくる、「寂しい」は通院の日に多い、といった自分の傾向が見えてきます。書いたものを夫に見せる必要はありません。気持ちを書き出して整理する方法は、[gk_link to=”post:sort-out-feelings-write-then-talk”]気持ちを書いて整える3ステップ[/gk_link]でも紹介しています。
夫の「別に」は、拒絶という意味ですか?
拒絶と決めつけなくて大丈夫です。まだ言葉にする準備がない、出番を失ったことへの苛立ち、妻とは違う怖さを抱えている、などいくつもの意味がありえます。どれかを当てるより、自分の気持ちの側から短く伝えるほうが、会話は途切れにくくなります。
「別に」を、3つのずれに照らしてみると、読み方が増えます。時間のずれなら、「まだ考えたくない」という意味かもしれません。役割のずれなら、「世話を焼かれるのがつらい」という意味かもしれません。恐れの形のずれなら、妻の質問が、夫の怖さとは違う方向を向いていたのかもしれません。どれなのかは、夫自身にも分かっていないことがあります。
だから、当てにいくのをやめ、自分の側の名前を伝えます。例:「最近、ずっと焦ってたみたい。責めたいんじゃなくて、怖かったんだと思う」。最後を質問で終わらせず、夫に答えを求めないのがこつです。返事がなくても、妻の焦りが夫を責めるためのものではないことは、言葉にしたぶんだけ伝わります。
伝えるのは、気持ちが少し落ち着いてからでかまいません。腹が立っている真っ最中に名前を口にすると、名前より勢いのほうが届いてしまうからです。伝える気になれない日は、伝えなくていいのです。
二人だけでほどけないときは、誰に間に入ってもらえますか?
看護師、病院の緩和ケアチーム、がん相談支援センターなど、二人の外にいる人に、夫婦それぞれが自分の気持ちを話す方法があります。第三者は、どちらが正しいかを決める人ではなく、言葉にならない気持ちを、届く言葉に置き換える手伝いをする人です。
夫婦の気持ちのずれは、近すぎる二人のあいだでは、かえって見えにくいものです。外にいる人に話すと、自分の気持ちを説明する途中で、「私が怒っていたのは、夫ではなく、この状況だったのかもしれない」と気づくことがあります。夫にとっても、妻ではない相手になら言える本音があるかもしれません。
世界保健機関(WHO)が2002年に示した緩和ケアの定義(日本緩和医療学会の定訳)は、患者さんだけでなく「その家族」の生活の質を、身体的な問題に加えて心理社会的な問題にも向き合いながら支えるものとしています。がん情報サービスの説明でも、緩和ケアは「がんと診断されたときから始まります」とされ、治療の終わりを待って使うものではありません。夫婦の気持ちのずれも、病院の看護師や緩和ケアチームに相談してよいことです。外来で「家で夫が黙り込むことが増えて、私もどう接していいか分からなくなっています」と伝えるだけでも、話を聞く時間をつくってもらえることがあります。
がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などにあり、家族だけでも無料・匿名で使えます。相談した内容が、相談した人の同意なく、担当医や病院のスタッフを含めたほかの人に知られることはないので、夫の通う病院のセンターでも、夫に知られずに自分の気持ちを話せます。眠れない、気持ちが沈むといったつらさが自分の中で強くなっているときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556。曜日や時間は地域ごとに異なり、通話料がかかります)で、地域の公的な相談窓口にもつながれます。
がんと家族の相談室では、ご家族のお話を、評価も助言もせずに20分お聞きします。夫婦のどちらが悪いかを決めることも、夫の気持ちを推し量って代わりに語ることもしません。ご本人からのお電話も、ご家族からのお電話もお受けしているので、夫婦がそれぞれ別の日に、自分の気持ちを話すこともできます。
すれ違いに疲れて、自分が限界に近いときはどうすればいいですか?
まず自分の休息を優先してください。家族は、本人を気づかうあまり自分の気持ちを後回しにしがちで、「第二の患者」ともいわれます。眠れない、食べられない日が続くときは、自分のかかりつけ医にも相談してかまいません。
国立がん研究センターのがん情報サービスは、家族が「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢しがちで、自分の日常生活も維持しなければならないことにふれ、「ご家族は、『第二の患者』ともいわれます」と紹介しています。すれ違いに疲れて、夫に優しくできない日があるのは、あなたの心が冷たいからではなく、支える側の余力が尽きかけているしるしです。
がん情報サービスの家族向けのページには、家族が自分のつらさや困りごとを担当医や看護師に相談してかまわないこと、相談しにくいときは看護師やがん相談支援センターに相談できることも書かれています。看病で疲れきったときの自分の守り方は、[gk_link to=”post:family-caregiver-exhausted-second-patient”]家族が自分を守る3つの方法[/gk_link]にまとめています。
夫の苛立ちが急に強くなった、怒鳴る、物に当たるといった様子が続くときは、痛みや眠れなさ、治療の影響など、体の理由が隠れていることもあります。夫婦の問題と決めつけず、主治医や看護師に伝えてください。夜中にどうしても気持ちがおさまらないときは、よりそいホットライン(0120-279-338)が24時間・無料で受けています。
夫の「別に」に傷ついていた妻は、何を変えた?
説明のための例(実在の方の体験談ではありません)
1. 相談のあとに変わったこと
相談から6週間がたったいま、この女性の手帳には、毎晩一語ずつ気持ちの名前が並んでいます。数えてみると、いちばん多いのが「焦り」で、次が「寂しい」でした。夕食のあいだは通院の話をしない、と自分で決め、ゴミ出しの曜日の管理と家計簿を夫に任せました。ほぼ毎晩のように起きていた言い争いは、週に1回ほどになりました。先日、家計簿をつけていた夫が「これやってると、ちょっと落ち着くな」とつぶやいたそうです。「夫の気持ちは、今も全部は分かりません。でも、自分の気持ちが分かると、『別に』で傷つく回数が減りました」。
2. 相談を考えた背景
夫のがんが分かったのは3か月前でした。治療が始まると、夫は休職し、運転も控えるようになりました。女性はパートの時間を減らし、通院の付き添い、薬の管理、親戚への連絡、娘への報告まで、一人で引き受けていました。
3. 相談する前に困っていたこと
夫が黙り込むことが増え、女性は本や記事で「本人の気持ちの聞き方」を調べては、試してみました。「何かしてほしいことある?」と聞くと、返ってくるのは「別に」。重ねて聞くと、夫は苛立って部屋に戻ってしまいます。浴室で泣いた夜もありましたが、悲しいのか腹が立っているのか、自分でも分かりませんでした。友人に話すと「あなたがしっかりしなきゃ」と言われ、それきり誰にも話していませんでした。
4. ここを選んだ理由・決め手
相談先を探すなかで、女性が求めていたのは、夫の直し方ではなく、自分の話を聞いてくれる場所でした。病院の相談窓口も考えましたが、夫の主治医と同じ建物で話すことに、まだ迷いがありました。相談室のページで、家族が自分の気持ちを相談してかまわないと読み、夫が点滴を受けている平日の午後の時間を選んで、フォームから電話を申し込みました。
5. 相談で話したこと・その後
最初の20分、担当は女性の話をさえぎらずに聞き、夫の病状や気持ちについては何も判断しませんでした。20分がたったところで、女性のほうから「自分の気持ちを整理したい」と頼み、恐れの形・役割・時間の3つのずれを一つずつ一緒に見ていきました。女性が「役割は、私が全部取り上げていたのかもしれない」と口にしたとき、担当は「そう感じたんですね」と受け止めただけでした。夫に何を返すかは、女性が自分で決めました。初めてゴミ出しを頼んだ朝、夫は少し間をおいて「おう」とだけ答えたそうです。
※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。
医療者に聞く質問例
- 家で夫が黙り込んだり、苛立ったりすることが増えました。体のつらさと関係していることはありますか。
- 家族の気持ちのつらさも、緩和ケアのチームに相談できますか。
- 夫婦それぞれが、別々に看護師さんに話を聞いてもらうことはできますか。
- 本人の体調から見て、家の中でどこまで役割を任せて大丈夫ですか。
- 治療の節目で、本人の気持ちが揺れやすいときに、家族が気をつけることはありますか。
とはいえ、すれ違いの中にいるあなたに伝えたい2つのこと
① 気持ちのこと──分からない日があっても、夫婦が終わるわけではありません
長く連れ添った夫婦でも、がんという初めての出来事の前では、相手の気持ちが見えなくなる日があります。見えないのは、絆が切れたからではなく、二人とも初めての場所で、それぞれの怖さを抱えているからです。夫の気持ちを全部分かろうとしなくてかまいませんし、自分の気持ちに名前がつかない日があってもかまいません。「何も感じない」も、立派な一つの名前です。夫の前で泣いてしまった日も、優しくできなかった日も、あとから責めなくて大丈夫です。
② 実務のこと──家の役割を、病気の前と後で書き出して分け直す
すれ違いの背景に役割のずれがあるなら、言葉より先に、役割の配置を見直すほうが効くことがあります。紙を3列に分け、病気の前に夫がしていたこと、今は妻がしていること、二人で決めることを書き出します。そのうえで、体調に合わせて夫に残せる役割、妻が手放してよい役割、娘や親戚、地域の窓口に預けられる役割に振り分けていきます。管理役を一人で抱えたままだと、どんなに言葉を選んでも、声には疲れがにじみます。役割の表は、治療の段階が変わったときに見直せば十分です。
今日できること
[gk_howto name=”今日できること” description=”すれ違いを少し減らすために、今夜から明日にかけてできる3つのこと” heading=”none”][gk_step title=”今日の気持ちに一語の名前をつける”]寝る前に、この記事のリストから今日いちばん近い言葉を一つ選び、日付と一緒に手帳に書く。[/gk_step][gk_step title=”夫に返せる役割を一つ探す”]ゴミ出しや録画の予約など、体調に無理のない役割を一つ選び、明日の朝に「これ、お願いしてもいい?」と頼んでみる。[/gk_step][gk_step title=”自分の気持ちを一度、二人の外で話す”]がん相談支援センターへの電話か、相談室のLINEに「夫の気持ちも自分の気持ちも分からなくなった」と一行送る。[/gk_step][/gk_howto]よくある質問
[gk_faq][gk_q q=”夫が怒りっぽくなりました。私の接し方が悪いのでしょうか?”]そうとは限りません。出番を失っていく悔しさや、言葉にならない怖さが、苛立ちとして出ることがあります。痛みや眠れなさ、治療の影響といった体の理由が隠れていることもあるので、「最近、怒りっぽくなった」と看護師や主治医に伝えてください。原因を自分の接し方だけに求めないことが、あなた自身を守ることにもなります。[/gk_q][gk_q q=”気持ちに名前をつけても、夫には言えそうにありません。”]言わなくてかまいません。名前をつけること自体に、もやもやを扱える大きさにする働きがあります。手帳に書いておくだけでも、次に夫の「別に」を聞いたとき、自分の中で何が起きているのかが分かりやすくなります。誰かに聞いてほしくなったら、夫ではなく、相談窓口で話してもいいのです。[/gk_q][gk_q q=”悲しいはずなのに、何も感じません。おかしいのでしょうか?”]おかしくありません。大きな出来事が続くと、気持ちが動かなくなったように感じることがあります。「何も感じない」も、今の気持ちの名前の一つです。ただ、何も楽しめない、眠れない、食べられないといった状態が続くときは、自分のかかりつけ医や、こころの健康相談の窓口に相談してください。[/gk_q][gk_q q=”夫とは時間のずれがあると分かっても、待つのがつらいです。”]待つあいだ、黙って耐える必要はありません。夫の速さを待つことと、自分の気持ちを外で話すことは両立できます。話す時期だけを夫と決めておく、待つあいだの自分の不安は第三者に預ける、という分け方をすると、待つ時間が少し軽くなります。[/gk_q][gk_q q=”家族ががん相談支援センターで話したことは、夫に伝わりますか?”]がん相談支援センターで相談した内容が、相談した人の同意なく、担当医や病院のスタッフを含めたほかの人に知られることはありません。夫の通う病院のセンターでも、別の病院のセンターでも、家族だけで無料・匿名で使えます。[/gk_q][gk_q q=”夜中に気持ちがおさまらず、夫を起こしてしまいそうです。”]声で誰かと話したい夜は、24時間・無料のよりそいホットライン(0120-279-338)に電話をかけられます。文字で吐き出したいなら、がんと家族の相談室のLINEに送っておけば、翌朝いちばんに読んでお返事します。言葉にならなければ、スタンプひとつでもかまいません。[/gk_q][/gk_faq]次に読むなら
- [gk_link to=”post:words-and-support-for-spouse”]夫や妻への声かけは、どんな言葉から始めればいい?[/gk_link]
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- [gk_link to=”page:for-family”]ご家族が自分の気持ちを話せる場所は?[/gk_link]