業務委託の報酬が振り込まれるたびに、通帳に入金の行が1つ増える。1社だけのころは気にならなかったのに、取引先が3つになったころから、「これはもう事業なのでは」「何か届けを出さないといけないのでは」と、落ち着かなくなる。
確定申告の時期に、通帳と領収書の山を前にして、週末をまるごと使った記憶がよみがえる方もいるかもしれません。
個人事業主になる手続きは、思っているほど多くはありません。看護師が一人で業務委託を受ける場合、まず考える届け出は、開業届と青色申告承認申請書の2つです。ただ、期限や控除の条件には細かい決まりがあり、インターネットには古い情報も残っています。期限は、国税庁の今の案内で確かめることが大切です。
開業届と青色申告の手続き、帳簿の付け方の基本、副業の場合の考え方、税務署での相談のしかたまで、確かめた範囲で順に整理します。
フリーランスの看護師が個人事業主になるには?
フリーランスの看護師が個人事業主として事業を始めたら、税務署に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を出し、青色申告をするなら、青色申告承認申請書も期限内に出します。そのうえで、日々の取引を帳簿に記録し、1年分をまとめて確定申告をします。
開業届は、新たに事業所得などを生ずべき事業を始めた人が、事業を始めた年分の確定申告期限までに出す書類です[1]。書類を出すこと自体は一度で終わりますが、大事なのは、そのあと毎日の取引を記録し続けることです。
- 1事業の中身を書き出す
受ける仕事、取引先、事業を始める日を書き出します。
- 2開業届を出す
事業を始めた年分の確定申告期限までに、税務署に出します。
- 3青色申告にするか決める
青色にするなら、期限内に承認申請書を出します。
- 4口座と帳簿を整える
事業用の口座を分け、取引の記録を始めます。
- 5確定申告をする
1年分の帳簿から所得を計算して申告します。
業務委託でどんな在宅の仕事を受けられるか、仕事の取り方から知りたい方は、看護師がフリーランスで在宅の仕事をするにはを先に読んでおくと、流れがつかみやすくなります。
個人事業主・フリーランス・業務委託は、どう違う?
似た言葉が多く、混乱しやすいところです。「個人事業主」は事業をしている人の立場、「フリーランス」は働き方の呼び方、「業務委託」は契約の形、と分けて考えると整理できます。
押さえておきたいのは、開業届を出したかどうかだけで、所得の区分が決まるわけではないことです。所得税基本通達は、事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するとしています[3]。
どの程度なら事業と呼べるかは、仕事の続き方や規模など、個別の事情で変わります。この記事では断定しないので、迷うときは、仕事の様子をまとめて税務署で確かめてください。
なお、個人事業主になっても、看護師としての資格や、仕事の中身が変わるわけではありません。変わるのは、お金の記録のつけ方と、税金の手続きです。届け出を「大きな決断」と考えすぎず、記録を整える区切りだと受け止めると、気持ちが軽くなります。
開業届と青色申告承認申請書は、いつまでに出す?
開業届の期限は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の、確定申告期限までです[1]。提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、その翌日が期限になります[1]。インターネットには、今の案内と違う古い情報が残っていることもあるので、期限は国税庁の今の案内で確かめましょう。
青色申告承認申請書は、原則として、青色申告書で申告しようとする年の3月15日までに出します。その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、事業を始めた日から2月以内が期限です[1]。
| 書類 | 出す人 | 期限 |
|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書 | 事業所得などを生ずべき事業を始めた人 | 始めた年分の確定申告期限まで |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告をしたい人 | 原則、その年の3月15日まで |
| 同上(1月16日以後に開業) | その年の途中で事業を始めた人 | 事業を始めた日から2月以内 |
出典:国税庁「タックスアンサーNo.2090 新たに事業を始めたときの届出など」[1]
具体的な日付で考えてみます。たとえば2026年11月1日に事業を始めたなら、1月16日以後の開業なので、2026年分から青色申告にしたいときは、事業を始めた日から2月以内に承認申請書を出します[1]。開業届は、2026年分の確定申告期限(翌年3月15日)までに出せば間に合います[1][5]。
すぐに青色申告にしなくてもかまいません。開業した年は青色ではない申告(白色申告)をして、翌年から青色にする、という順番も選べます。その場合は、青色申告をしたい年の3月15日までに承認申請書を出します[1]。帳簿の付け方に慣れてから青色にしたい人には、この順番のほうが無理がありません。
提出の方法(窓口・郵送・e-Taxなど)や書き方は、国税庁のサイトか税務署で確かめてください。開業届には、職業や事業の概要、開業日などを書く欄があります。何をする事業かが分かる書き方にしておくと、あとで自分でも見返しやすくなります。
| 欄 | 書き方の例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 職業 | 看護師 | 資格と仕事が分かる言葉にする |
| 屋号 | (つけない場合は書かない) | 名前をつけて仕事をするなら書く |
| 事業の概要 | 業務委託による記事の監修、オンライン研修の講師 | 何を、どんな形で受けるかを書く |
| 開業日 | 事業として仕事を始めた日 | 取引の記録と合う日にする |
編集部まとめ
表は書き方の一例です。様式の細かい欄や記入のしかたは、国税庁のサイトの記載例で確かめてから書きましょう。
青色申告にすると、何が変わる? 控除の金額と条件
青色申告の大きな特徴は、青色申告特別控除です。国税庁の案内(令和8年4月1日現在の法令等)では、控除の額は、条件によって65万円・55万円・10万円に分かれます[5]。
55万円の控除は、不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営み、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳し、貸借対照表と損益計算書などを確定申告書に添付して、期限内(翌年3月15日まで)に提出する場合です[5]。これに加えて、仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿の要件を満たして保存する(届出が必要)か、e-Taxで申告する場合は、65万円になります[5]。これらの要件に当たらない青色申告者は、10万円の控除を受けられます[5]。
注意したい点が2つあります。1つは、55万円と65万円は、不動産所得や事業所得の事業を営む人が対象だということです。もう1つは、現金主義による所得計算の特例を選んでいる場合は、55万円・65万円の控除は受けられないことです[5]。
不動産所得か事業所得の事業を営み、正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳していますか?
次の質問へ進みます。
青色申告者なら、控除は10万円です。
貸借対照表と損益計算書を添付して、期限内に申告しますか?
控除は55万円です。次の質問へ進みます。
55万円・65万円の要件に当たらないので、10万円です。
e-Taxで申告するか、帳簿を優良な電子帳簿の要件で保存(届出が必要)しますか?
控除は65万円です。
控除は55万円です。
出典:国税庁「タックスアンサーNo.2072 青色申告特別控除」[5]
控除は、所得から差し引く額で、その額のお金が戻ってくるわけではありません。65万円の控除で税金がいくら減るかは、所得の額などによって変わります。「青色にすれば65万円得をする」という意味ではない点は、間違えやすいところです。
帳簿の付け方の基本
帳簿は、取引があった日に、日付・相手・内容・金額を記録するのが基本です。入ってきたお金(収入)と、仕事のために出ていったお金(経費)を分けて書き、請求書や領収書などの書類と結びつけておきます。
| 日付 | 相手 | 内容 | 収入 | 経費 |
|---|---|---|---|---|
| 11月5日 | ◯◯株式会社 | 10月分の記事の監修料 | 30,000円 | − |
| 11月8日 | 書店 | 看護の参考書 | − | 3,300円 |
| 11月20日 | 通信会社 | ネット回線(仕事で使う分) | − | 2,000円 |
| 11月28日 | △△株式会社 | オンライン研修の講師料 | 20,000円 | − |
編集部まとめ
ネット回線のように、仕事と私用の両方に使うものは、仕事で使う分だけを経費にする考え方があります。分け方は、看護師が確定申告で経費にできるもので取り上げています。
55万円・65万円の控除を受けるなら、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳する必要があります[5]。複式簿記は、1つの取引を「何が増えて、何が減ったか」の両面から記録する方法です。手で書くのが大変なら、会計ソフトやアプリを使うと、入力した取引から帳簿をまとめられます。
書類の保存も大切です。業務に係る雑所得の場合でも、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は、現金預金取引等関係書類の保存が必要です[4]。事業所得か雑所得かの区分にも、帳簿書類の保存の有無がかかわります[3]。
- 取引のたびに、書類をスマートフォンで撮って残す
- 週に1回、まとめて帳簿に入力する
- 月末に、通帳の入金・出金と照らし合わせる
- 足りない請求書や領収書を、取引先に頼む
入金の額が請求した額より少ないときは、差し引かれた理由を明細で確かめ、請求額と入金額の両方を記録しておきます。1年分の記録から申告書を作る手順は、看護師の確定申告のやり方にまとめています。
事業のお金と、家のお金を分ける
帳簿が続かない理由で多いのは、事業のお金と家のお金が混ざっていることです。報酬が生活費の口座に入り、仕事の本を家族の買い物と同じカードで買っていると、月末に1件ずつ仕分ける手間がかかります。
事業用の口座を1つ決め、報酬の入金と、仕事の経費の支払いをそこにまとめると、通帳の記録がそのまま帳簿の下書きになります。生活費は、月に1回、決めた額を事業用の口座から家の口座へ移すようにすると、収入の波があっても家計が見えやすくなります。
副業の看護師も、開業届を出したほうがいい?
副業の場合、開業届を出すべきかどうかは、一律には言えません。分かれ目になるのは、業務委託の活動が、社会通念上事業と称するに至る程度かどうかです[3]。
業務委託の副業の所得は、活動の程度によって、事業所得として扱われることも、業務に係る雑所得として扱われることもあります。所得税基本通達は、帳簿書類の保存がない場合は、その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合を除き、業務に係る雑所得に該当することに留意する、としています[3]。ここでいう300万円は、所得ではなく収入金額です。
ただし、帳簿書類を保存していれば必ず事業所得になる、というわけではありません。帳簿をつけていても、事業と呼べる程度かどうかで判定されます[3]。反対に、「300万円以下なら必ず雑所得」とも言えません。
事業所得として申告する場合
- 社会通念上、事業と称するに至る程度の活動であることが前提
- 開業届は、事業を始めた年分の確定申告期限までに出す
- 青色申告なら、条件を満たせば55万円・65万円の控除の対象
業務に係る雑所得として申告する場合
- 副業に係る収入のうち、営利を目的とした継続的なものなど
- 前々年の収入金額が300万円を超えると、取引の書類の保存が必要
- 前々年の収入金額が1,000万円を超える人は、申告書に収支内訳書などの添付が必要
出典:国税庁「タックスアンサーNo.1500 雑所得」、国税庁「所得税基本通達新旧対照表(「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正)」、国税庁「タックスアンサーNo.2090 新たに事業を始めたときの届出など」、国税庁「タックスアンサーNo.2072 青色申告特別控除」[4][3][1][5]
どちらで申告する場合も、確定申告が必要かどうかの目安は別にあります。本業の給与を1か所から受けていて、給与の全部が源泉徴収の対象となる人は、給与と退職金以外の所得の合計が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です[6]。開業届を出すかどうかとは別に、所得の額で決まる目安です。副業の申告の考え方は、看護師が副業すると確定申告は必要?で整理しています。
本業がある人は、勤め先の就業規則で、兼業の扱いも確かめておきます。確かめ方は、看護師の副業が禁止される理由にまとめています。
副業で始めた業務委託も、続けるうちに形が変わっていきます。取引先が増えた、単発の依頼が継続の契約になった、本業の時間を減らして業務委託を主な収入にすることにした。こうした変わり目は、開業届を出すかどうかを考え直したり、税務署に相談したりするよいきっかけです。毎年の確定申告の前に、1年の仕事の様子をふり返る習慣をつけておくと、判断の材料がそろいます。
迷ったら、税務署で相談する
税務署では、所得の区分や開業届について相談できます。相談の方法(電話・予約など)は、税務署や国税庁のサイトで確かめてから出かけましょう。相談のときは、自分の仕事の様子を具体的に伝えるほど、話が早く進みます。
伝えるとよいのは、取引先の数、契約が続いているかどうか、週にどのくらいの時間を使っているか、1年の収入の見込み、です。「看護師で、業務委託で記事の監修とオンラインの講師をしています。取引先は3社で、週に8時間ほどです」のように、数字を入れて話すと伝わりやすくなります。
チェックした数:
取引が複雑なときや、毎年の申告を任せたいときは、税理士に相談する方法もあります。
モデルケース:取引先が3社に増えた年に開業届を出し、記帳を始めたCさん
モデルケース(架空の例)
取引先が3社に増えた年に、開業届と青色申告承認申請書を提出。週30分の記帳で、書類探しの時間が大きく減った
- 1社3社業務委託の取引先
- 0分30分帳簿をつける時間(週)
- 1時間以上10分月末に書類を探す時間
このモデルケースは、在宅ワークを考える看護師が抱えやすい状況を想定して、編集部が作成した架空の例です。実在の人物・団体とは関係ありません。数字は説明のための例で、同じ結果になることを約束するものではありません。
成果
Cさんは、外来のパートを週3日続けながら、医療記事の監修と、介護職向けのオンライン研修の講師を業務委託で受けています。取引先が3社に増えた年に税務署で相談し、開業届と青色申告承認申請書を出しました。いまは毎週日曜の夜に30分、帳簿をつけています。
Cさん:入金の行を見て不安になるより、毎週30分で「分かっている」状態にできたのが大きかったです。
背景
看護師になって22年目。病棟にいたころの後輩から、記事の監修を頼まれたのが、業務委託の始まりでした。そのあと、介護施設の研修担当者の紹介で、オンライン研修の講師の仕事も続けて受けるようになりました。
困っていたこと
前の年は、確定申告の時期に通帳と領収書をひっくり返して、週末をまるごと使いました。取引先が増えて、「開業届を出すと何が変わるのか」「パートの給与があっても事業として届けられるのか」が分からず、調べるほど古い情報と新しい情報が混ざって迷っていました。
選んだ理由
Cさんは、取引先の数、契約の続き方、週の作業時間、1年の収入の見込みを紙1枚にまとめて、税務署で相談しました。仕事の様子を説明したうえで、事業として届け出ることにしました。青色申告の控除の条件も確かめ、複式簿記に対応した会計アプリを使い、e-Taxで申告する準備を始めました。
Cさん:何を聞けばいいか分からなかったので、仕事の様子を紙1枚にまとめて持っていきました。それだけで、話がずっと早く進みました。
始め方と工夫
事業用の口座を1つ分け、報酬の入金と経費の支払いを、そこにまとめました。領収書はその場でスマートフォンで撮り、紙は月ごとの封筒に入れています。パート先の就業規則も読み、兼業の届け出を済ませました。夫は「数字が見えると安心だね」と言い、月末に書類を探して慌てることもなくなりました。
Cさんの例で効いたのは、届け出そのものより、相談の前に仕事の様子を紙1枚にまとめたことでした。事業と呼べるかどうかの判断も、控除の条件も、自分の仕事の実際の姿から始まります。
気をつけたいこと:開業届を出す前に知っておきたいこと
開業届は、出せば何かが自動的に有利になる書類ではありません。出す前に、限界も知っておきましょう。
1つ目は、開業届を出しただけで、事業所得になるわけではないことです。事業所得かどうかは、活動が社会通念上事業と称するに至る程度かどうかで判定されます[3]。2つ目は、青色申告特別控除の65万円・55万円には、複式簿記での記帳や期限内の申告などの条件があることです[5]。条件を満たせなければ、控除は10万円になります。
3つ目は、税金と社会保険は別の基準だということです。厚生労働省は、年収130万円以上になると、週20時間未満で働く場合でも配偶者の扶養から外れ、国民年金と国民健康保険の保険料が発生すると説明しています[7]。業務委託の収入の数え方は、加入している健康保険で確かめてください。保険の考え方は、業務委託の看護師は社会保険に入れる?にまとめています。
インターネットには、「開業届を出せば税金が安くなる」とだけ書いた情報もあります。控除を受けるための条件や記帳の手間に触れていないものもあるので、自分の仕事の量と、続けられる記帳の形を考えてから決めましょう。
よいところ
- 条件を満たすと、所得から最大65万円を差し引ける
- 事業として、お金の流れを毎週つかめるようになる
- 書類を整理する習慣がつき、申告の時期に慌てにくい
気をつけたいところ
- 55万円・65万円には、複式簿記などの条件がある
- 届け出だけでは、事業所得になるとは限らない
- 帳簿と書類の保存に、毎週の手間がかかる
出典:国税庁「タックスアンサーNo.2072 青色申告特別控除」[5]
今日からできること
個人事業主になる準備は、書類を書く前の「自分の仕事の棚卸し」から始まります。今週のうちに、1つずつ進めてみましょう。
- 1今年の収入を書き出す
取引先ごとに、入金の日と額を一覧にします。
- 2仕事の様子を紙1枚にまとめる
取引先の数、契約の続き方、週の作業時間を書きます。
- 3事業用の口座を決める
報酬の入金と経費の支払いを、1つの口座にまとめます。
- 4税務署で相談する
紙1枚と書類を持って、所得の区分と開業届のことを聞きます。
- 5届け出と記帳を始める
期限を確かめて書類を出し、週1回の記帳を始めます。
在宅の仕事を始めてから続けるまでの全体の流れは、看護師の在宅ワークの始め方ガイドで段階ごとにまとめています。
よくある質問
開業届は、いつまでに出せばいいですか?
事業の開始等の事実があった日の属する年分の、確定申告期限までです[1]。期限が土・日曜日・祝日等に当たるときは、その翌日が期限になります。古い情報と違うことがあるので、国税庁の今の案内で確かめてください。
青色申告承認申請書の期限はいつですか?
原則として、青色申告をしようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、事業を始めた日から2月以内です[1]。
パートの給与があっても、開業届を出せますか?
給与があるかどうかより、業務委託の活動が事業と称するに至る程度かどうかが分かれ目です[3]。迷うときは、仕事の様子をまとめて税務署で相談しましょう。勤め先の就業規則で、兼業の扱いも確かめてください。
副業の所得でも、青色申告の65万円控除は使えますか?
55万円・65万円の控除は、不動産所得や事業所得を生ずべき事業を営む人が、条件を満たす場合のものです[5]。副業の所得が業務に係る雑所得に区分される場合の扱いは、税務署で確かめてください。
帳簿は手書きでもいいですか?
55万円・65万円の控除には、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)での記帳が必要で、65万円にはe-Taxでの申告か優良な電子帳簿での保存が条件です[5]。手書きかどうかより、受けたい控除の条件に合う形で続けられるかで選びましょう。
個人事業主になると、家族の扶養から外れますか?
税金の届け出と、健康保険の扶養は別の手続きです。厚生労働省は、年収130万円以上になると配偶者の扶養から外れ、国民年金と国民健康保険の保険料が発生すると説明しています[7]。業務委託の収入の数え方は、加入している健康保険で確かめてください。
業務委託をやめるときは、何か届け出が要りますか?
開業届の正式な名前は「個人事業の開業・廃業等届出書」です[1]。名前のとおり、事業をやめるときにも使う書類です。やめるときの期限や書き方は、国税庁の案内か税務署で確かめてください。青色申告をやめる場合の手続きも、あわせて確かめておきましょう。
インボイスの登録は必要ですか?
インボイス(適格請求書)の登録は消費税にかかわる手続きで、この記事では扱っていません。取引先から登録について聞かれたら、自分の取引の様子を伝えて、税務署で確かめてください。
まとめ
フリーランスの看護師が個人事業主になるには、税務署に開業届を出し、青色申告にするなら青色申告承認申請書も期限内に出して、日々の取引を帳簿に記録します。開業届の期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までです。
- 青色申告特別控除は、条件によって65万円・55万円・10万円に分かれる
- 開業届を出しただけで、事業所得になるとは限らない
- 副業で迷うときは、仕事の様子を紙1枚にまとめて税務署で相談する
届け出の前に、働き方や仕事の組み合わせから考えたいときは、LINEかフォームから気軽にご相談ください。