看護師の職務経歴書の例文|病棟・外来・訪問看護の経験別に3例

応募しようと決めた在宅の求人の、いちばん下の欄に「履歴書と職務経歴書をメールでお送りください」とある。夜勤明けの昼下がり、パソコンで新しい文書を開いたものの、1行目の「職務要約」から先に進めない。カーソルだけが点滅している画面を、しばらく眺めてしまう。

病院から病院への転職では、履歴書だけで応募できる職場もあります。看護師として10年、15年と働いてきても、職務経歴書を書くのは初めてという人もいるでしょう。検索して見つかる例文は、事務職や営業職のものが目につきます。看護師の例文があっても、病院に応募するための書き方です。在宅の仕事に合うのかどうかは、わかりません。

職務経歴書には、決まった正解の文章はありません。けれど、項目の並びと1行の書き方には、読みやすい形があります。形さえ決まれば、書く中身はもうあなたの経験の中にあります。

ここでは、内科病棟・外来・訪問看護の3つの経験別に、在宅の仕事に応募するときの職務経歴書の例文を載せました。形と順番を借りて、数字と場面をあなたの経験に置きかえれば、今夜から下書きを始められます。

看護師の職務経歴書の例文は、どう使えばいい?

例文は、形と書く順番を借りて、中身を自分の経験に置きかえるために使います。職務経歴書の基本の形は、職務要約、職務経歴、生かせる経験、資格とPCスキル、在宅で働く環境、自己PRの6つの項目を、この順に並べたものです。長さはA4で1〜2枚が、読む人に負担をかけにくい目安です。

このあと紹介する3つの例文は、どれもこの形で書いています。違うのは、どの経験を厚く書いたかです。応募する仕事で使う経験は厚く、それ以外は短く。例文ごとの配分を、まず表で比べてみてください。

3つの例文の早見表
例文1 内科病棟2 外来3 訪問看護
架空の人物看護師歴12年看護師歴11年看護師歴14年
応募先の例在宅の電話健康相談在宅のチャット健康相談在宅の夜間オンコール代行
厚く書いた経験家族からの電話、退院前の説明電話の問い合わせ、案内文づくり夜間の電話の判断、記録
生かす強み聞き取りと説明文字で伝える力一人で判断し記録する力

編集部まとめ

まずは次のひな形で項目の並びをつかみ、そのあとで自分に近い例文を1つだけ読むと、書き始めるまでが早くなります。

例文について

この記事の3つの例文は、編集部が作った架空の人物のものです。病院名などは「◯◯」とし、件数や年数も書き方を示すための例です。特定の人物や施設をもとにしたものではありません。

そのまま使えるひな形(テンプレート)は?

ひな形といっても、決まった書式があるわけではありません。文書ソフトで新しいファイルを開き、次の6つの見出しを上から順に打ち込めば、それがそのままひな形になります。見出しの下に書く中身と、量の目安を表にまとめました。

職務経歴書のひな形:項目の並びと書く量
順番項目書くこと量の目安
1職務要約経験年数・職場の種類・生かす経験3〜5行
2職務経歴期間・勤務先・部署・業務と実績1職場5〜8行
3生かせる経験応募先の仕事で使う力2〜3項目
4資格・PCスキル免許と取得年月、使える操作3〜5行
5在宅で働く環境部屋・回線・機器・保管の場所2〜3行
6自己PR強み・場面・数字・生かし方5〜8行

編集部まとめ

いちばん上には「職務経歴書」という表題を置き、その下の右側に提出する日付と氏名を書きます。日付を西暦にするか和暦にするかは、一緒に出す履歴書とそろえておきましょう。

1の職務要約は、読む人が最初に目を通す段落です。経験年数、職場の種類、応募先で生かしたい経験の3つを、3〜5行に収めます。書き出しに迷ったら、職務要約はいちばん最後に書くのがこつです。2〜6を書き終えてから見返すと、どこを要約すればよいかが自然に見えてきます。

5の「在宅で働く環境」は、一般的なひな形にはない項目です。それでも、在宅の仕事に応募するなら自分で足しておくと親切です。在宅の求人では、環境そのものが条件になっていることがあるからです。たとえば、あるオンライン面談の仕事の求人では、パソコンは会社が貸与するとされていました。一方で、自宅のインターネット環境は自分で整えること(ポケットWi-Fiは不可)と、重要書類を施錠して保管できる場所があることが条件でした[1]。

項目ごとに何を書くのかの考え方は、看護師の職務経歴書の書き方にまとめています。この記事では、形を借りてすぐに書き始めることを優先します。

ひな形を探していると、見慣れない言葉に出会うことがあります。どれを選んでも間違いではありませんが、言葉の意味を知っておくと、自分に合う形を選びやすくなります。

ひな形を選ぶときに出てくる言葉
職務要約
経歴を3〜5行にまとめた、職務経歴書の最初の段落です。
編年体
古い職場から順に書く形です。経歴の流れが伝わりやすくなります。
逆編年体
いまの職場から順にさかのぼって書く形です。直近の経験を先に見せられます。
キャリア式
職場ごとではなく、経験の種類ごとにまとめる形です。職場の数が多い人に向きます。

職場が2〜3か所までなら編年体、いまの職場の経験をいちばん見せたいなら逆編年体が書きやすいでしょう。この記事の3つの例文は、どれも編年体で書いています。手書きの指定がなければ、パソコンで作り、PDFにして送るのが扱いやすい方法です。

経験別の例文3つ:内科病棟・外来・訪問看護

ここからは、経験の場所ごとに書いた3つの例文です。全部を読む必要はありません。下敷きにする例文は、いちばん長く働いた職場の種類で決めると迷いません。外科や小児科の病棟なら例文1、健診センターやクリニックなら例文2、訪問看護や介護施設など、利用者の暮らしの場で働いてきたなら例文3が近い形です。

どの例文を下敷きにするか決める

いちばん長く働いた場所は、病棟ですか?

はい

例文1(内科病棟)の形から始めましょう。外科や混合病棟でも、項目の並びは同じです。

いいえ

次の質問へ進みましょう。

外来・クリニック・健診など、短い時間で多くの人と接する職場が長いですか?

はい

例文2(外来)を下敷きにすると、件数の書き方をそのまま借りられます。

いいえ

訪問看護や介護施設が長いなら、例文3(訪問看護)の形が近くなります。

例文1:内科病棟の経験を生かす(在宅の電話健康相談に応募)

1つ目は、総合病院の内科病棟で12年働いてきた看護師の例文です。応募先は、在宅で電話の健康相談に答える仕事を想定しています。電話の仕事に近い「家族からの電話」と「退院前の説明」を厚く書き、それ以外の業務は短くまとめました。

例文1 内科病棟12年の看護師(架空の人物)

職務要約

総合病院の内科病棟(消化器・呼吸器、50床)で12年間、看護師として勤務してきました。入院中の患者の家族からの電話に答える役割と、退院前の生活の説明を長く担当してきました。電話で状態を順に聞き取り、専門の言葉を使わずに伝える経験を、健康相談の仕事に生かしたいと考えています。

職務経歴

2014年4月〜現在 医療法人◯◯会 ◯◯総合病院(400床)内科病棟 常勤

  • 受け持ち:日勤7〜8人。夜勤は看護師3人で50床を担当(月4〜5回)
  • 電話の対応:家族からの問い合わせを1日5〜10件受け、内容を記録して医師やリーダーに報告
  • 退院前の説明:家での酸素の使い方や食事の注意について、月に10件ほど患者と家族に説明
  • 説明の資料:退院の説明書を、図を入れた1枚の形に作り直し、病棟で使われるようになった
  • 役割:リーダー業務(週2回)、新人の指導係(3年間で2人)

生かせる経験

  • 電話で、相手の話を順に聞き取って記録する力
  • 専門の言葉を使わずに、生活の言葉で説明する力

資格・PCスキル

  • 看護師免許(2014年3月取得)
  • 電子カルテの入力と検索、Wordでの文書作成、Excelでの簡単な表づくり

在宅で働く環境

自宅の個室(ドアを閉められます)、光回線(有線でつなげます)、ノートパソコン、ヘッドセットがあります。

自己PR

家族からの電話では「いつから・どんな様子か・何が心配か」の順に聞き取り、要点を3行の記録にまとめてから医師に伝えてきました。急ぐかどうかを確かめる質問の順番を身につけたことが、私の強みです。貴社の健康相談でも、相談する方の不安を受け止めながら、落ち着いて状況を聞き取ります。

例文1でいちばん厚いのは、電話の対応と退院前の説明の2行です。どちらも、件数だけでなく、そのあと何をしたか(記録して報告した、資料を作り直した)まで書いています。数字と「そのあと」がそろうと、読む人は働く姿を思い浮かべられます。

反対に、点滴や与薬、検査の介助といった病棟の毎日の業務は、あえて1つずつ書いていません。看護師ならしてきたことで、電話の健康相談とのつながりが読む人に見えにくいからです。受け持ちの人数の1行があれば、病棟で看護をしてきたことは十分に伝わります。

自己PRの「いつから・どんな様子か・何が心配か」のように、自分がふだん使っている手順を言葉にすると、ほかの応募者と同じ文になりにくくなります。手順は、あなたが毎日くり返してきたことの中にあります。

例文2:外来の経験を生かす(在宅のチャット健康相談に応募)

2つ目は、産婦人科病棟で4年働いたあと、内科・小児科のクリニックの外来で7年働いてきた看護師の例文です。応募先は、チャットやメールの文字で健康の相談に答える在宅の仕事を想定しました。外来の「電話の問い合わせ」と「案内文づくり」を厚く書いています。

例文2 病棟4年・外来7年の看護師(架空の人物)

職務要約

総合病院の産婦人科病棟で4年、その後、内科・小児科のクリニックの外来で7年、看護師として勤務してきました。外来では、受診前の電話の問い合わせへの対応と、検査や予防接種の案内文づくりを担当してきました。短い時間で相手の状況をつかみ、文字でもわかりやすく伝える経験を、チャットの健康相談に生かしたいと考えています。

職務経歴

2015年4月〜2019年3月 ◯◯病院(300床)産婦人科病棟 常勤

  • 出産の前後の看護と、退院後の生活の説明を担当
  • 夜勤(2交代・月4回)、新人の指導係を1年担当

2019年4月〜現在 ◯◯内科・小児科クリニック(1日の外来患者 約80人)外来 パート(週4日)

  • 電話の問い合わせ:「受診したほうがよいか」などの電話を1日10〜15件受け、医師に確かめたうえで受診の時間を案内
  • 案内文:検査の前の注意や、予防接種のあとの過ごし方の案内文を8種類作り直した
  • 問診:受付のあとの問診と、急ぐ患者がいないかの確認
  • 予約:予防接種の予約の受付と、予約の画面の管理

生かせる経験

  • 電話で聞いた内容を整理して、決まった形で記録する力
  • 年齢や知識の違う相手に合わせて、言葉を選んで書く力

資格・PCスキル

  • 看護師免許(2015年3月取得)
  • Wordでの案内文の作成、Excelでの予約表の管理、チャットでの院内の連絡

在宅で働く環境

自宅の書斎(ドアを閉められます)、光回線、ノートパソコンがあり、平日の9時〜15時は家族が不在です。

自己PR

クリニックの案内文を作り直すとき、1文を40字以内にし、「してほしいこと」を最初に書くと決めました。作り直してからは、同じ内容を電話で聞き直されることが少なくなりました。チャットの相談でも、読み返さなくてもわかる短い文で、次にすることをはっきり伝えます。

例文2の工夫は、職場ごとに書く量を変えたことです。7年前に離れた産婦人科病棟は2行、いまの外来は4行。応募先に近い経験ほど、新しく、厚く書いています。

パートで働いてきた期間も、雇用の形と日数(パート・週4日)を添えれば、りっぱな職歴です。短い時間で働いてきたことを引け目に感じる必要はありません。1日の外来患者の数を添えると、限られた時間の中でどれだけの人と接してきたかが伝わります。

チャットの仕事に応募するなら、職務経歴書の文章そのものが「短い文で書ける人か」の見本にもなります。例文2の自己PRが、ほかの2つより短い文でできているのは、そのためです。

例文3:訪問看護の経験を生かす(在宅の夜間オンコール代行に応募)

3つ目は、急性期病院の循環器病棟で8年、訪問看護ステーションで6年働いてきた看護師の例文です。応募先は、介護施設などから夜間にかかってくる電話を、自宅で受ける仕事を想定しました。

ある会社の採用ページでは、介護施設からの夜間の緊急の電話を看護師が自宅で受け、緊急性を判断して指示を出す仕事と説明されています。電話と並行して、パソコンでレポートを作って送ることも業務とされています[2]。そこで例文3では、電話での判断と、記録の速さを厚く書いています。

例文3 病棟8年・訪問看護6年の看護師(架空の人物)

職務要約

急性期病院の循環器病棟で8年、訪問看護ステーションで6年、看護師として勤務してきました。訪問看護では、1日4〜5件の訪問に加え、利用者や家族からの夜間の電話に当番として対応してきました。電話で状態を聞き取り、急ぐかどうかを判断して、主治医への連絡や家族への助言につなげてきた経験を、夜間の電話の仕事に生かしたいと考えています。

職務経歴

2012年4月〜2020年3月 ◯◯病院(450床)循環器病棟 常勤

  • 心不全・心筋梗塞の患者の看護、夜勤のリーダー(月2〜3回)

2020年4月〜現在 ◯◯訪問看護ステーション(看護師8人) 常勤

  • 訪問:1日4〜5件、受け持ちの利用者は約20人
  • 夜間の電話当番:月6〜7回。1回の当番で受ける電話は0〜3件で、状態を聞き取り、訪問・受診・朝まで様子を見るのいずれかを判断
  • 連携:主治医への報告と、ケアマネジャーや介護施設の職員との電話での調整
  • 記録:タブレットで訪問の記録を入力し、報告書は当日中に作成

生かせる経験

  • 電話だけの情報から、急ぐかどうかを判断する力
  • 介護職員にも伝わる言葉で、次にしてほしいことを伝える力

資格・PCスキル

  • 看護師免許(2012年3月取得)、普通自動車免許
  • タブレットでの記録の入力、Wordでの報告書の作成、ビデオ会議への参加

在宅で働く環境

寝室と離れた洋室で、夜間も声を気にせず電話を受けられます。光回線とWi-Fi、スマートフォン、ノートパソコンがあります。

自己PR

夜間の電話当番では、まず呼吸・意識・痛みの様子を確かめ、急ぐ場合は救急要請を、急がない場合は朝までに見てほしい点を具体的に伝えてきました。電話を切ったあと10分以内に記録を残すことを、自分の決まりにしています。貴社の夜間の電話の仕事でも、判断の理由が後から読んでもわかる記録を、速く正確に残します。

例文3では、夜間の電話当番を、回数(月6〜7回)と1回あたりの件数(0〜3件)に分けて書きました。「オンコールあり」と書くだけでは、どのくらい電話を受け、何を判断してきたのかが伝わらないからです。

夜間の電話を自宅で受ける仕事には、経験の年数を応募の条件にしている求人もあります。自宅からのフルリモート勤務とされていた夜間オンコールの求人では、正看護師の資格と、看護師の実務経験丸5年以上が条件でした(2026年10月8日に確認した求人の例)[2]。職務要約の1行目で、合計の年数がすぐわかるように書いておきましょう。

もう1つ気をつけたいのが、「在宅」という言葉の使い方です。訪問看護の経験を書くときに「在宅看護」「在宅で」と書くと、利用者の家を訪ねる仕事のことか、自宅で働く仕事のことか、読む人が迷うことがあります。訪問のことは「訪問看護」「利用者の自宅を訪問」と書き分けておくと安心です。言葉の違いは在宅看護師と在宅勤務の違いで整理しています。

例文を自分の経験に直す5つの手順

例文をそのまま写すと、ほかの応募者と同じ文になってしまうことがあります。例文の言い回しは、ほかの人も目にしているかもしれないからです。借りるのは形と順番だけにして、中身は次の5つの手順で置きかえていきましょう。

例文を自分の経験に直す5つの手順
  1. 1いちばん近い例文を選ぶ

    いちばん長く働いた職場の種類で、例文1〜3から1つ選びます。

  2. 2求人票の仕事内容に線を引く

    「電話」「記録」「説明」など、応募先で使う言葉を3つ拾います。

  3. 3自分の場面を書き出す

    拾った言葉ごとに、自分がしてきた場面を1つずつメモします。

  4. 4数字を入れる

    件数・人数・回数・期間を、覚えている範囲で幅をつけて入れます。

  5. 5声に出して読む

    自分の言葉に聞こえない文は、ふだんの話し言葉に直します。

たとえば、透析室で長く働いてきた人が例文1を下敷きにするなら、電話の対応の行は次のように置きかえられます。行の形(相手・件数・そのあとしたこと)はそのままで、中身だけが自分の職場のものになっています。

例文の1行を、自分の経験に置きかえた例

以前

家族からの問い合わせを1日5〜10件受け、内容を記録して医師やリーダーに報告(例文1のまま)

いま

透析のない日に体調を崩した患者からの電話を週3〜4件受け、聞き取った内容を記録して、次の透析の担当者に申し送り

置きかえるときに迷いやすいのが数字です。正確な件数がわからなくても、「1日に何件くらいだったか」「週に何回くらいか」を思い出し、幅をつけて書けば十分です。勤務表や手帳を見返すと、回数や時期を思い出せることがあります。

ただし、多めに盛るのはやめましょう。面接で「その電話は、どんな内容が多かったですか」と聞かれたときに、答えられる数字だけを書きます。業務内容をどこまで書くか、数字をどう入れるかは、職務経歴書に看護師の業務内容はどこまで書く?でくわしく取り上げています。自己PRの組み立て方と強み別の例文は、看護師の職務経歴書の自己PRにまとめました。

モデルケース:例文の形を借りて、自分の経験に書き直したYさん

モデルケース(架空の例)

例文の形を借りて3日で職務経歴書を仕上げ、在宅のチャット健康相談の仕事へ

  • 2週間白紙のまま3日で完成職務経歴書の下書き
  • 応募できずにいた2社中1社書類選考の通過
  • 往復80分0分通勤の時間(1日)

このモデルケースは、在宅ワークを考える看護師が抱えやすい状況を想定して、編集部が作成した架空の例です。実在の人物・団体とは関係ありません。数字は説明のための例で、同じ結果になることを約束するものではありません。

成果

Yさんは、外来の例文の形を借りて職務経歴書を3日で書き上げ、応募した2社のうち1社で書類選考を通りました。面接を経て、いまは在宅でチャットの健康相談に答える仕事を、平日の日中に週3日しています。

Yさん:白紙を前にして2週間、何も書けなかったんです。並べる順番が決まったら、書くことは自分の中にちゃんとありました。

背景

Yさんは、総合病院の整形外科病棟で6年働いたあと、出産を機に退職し、健診センターでパートとして3年働いてきました。4歳の子どもの保育園の送り迎えに往復80分の通勤が重なり、朝はいつも時計を気にしながら家を出ていました。

困っていたこと

在宅の求人に応募しようとしたところ、「職務経歴書を添付」とありました。病院の転職では履歴書しか出したことがなく、ひな形を手に入れても、どの欄に何を書けばいいのかがわかりません。見つけた例文を写してみると、自分の経験とは違う言葉ばかりになり、2週間、下書きは白紙のままでした。

選んだ理由

Yさんは、外来の例文がいちばん近いと感じました。健診センターも、短い時間で多くの人と接し、結果の見方を説明する職場だったからです。応募先のチャット相談の求人票に線を引くと、「文字で」「わかりやすく」「記録」という言葉が並んでいました。

Yさん:健診の結果の見方を、紙に書いて渡していたのを思い出して。あれも文字で伝える仕事だったんだと気づきました。

始め方と工夫

1日目は、ひな形の6つの見出しだけを打ち込み、職歴の欄に職場と期間を書きました。2日目は、健診の結果の説明を1日20人ほど担当してきたことと、再検査をすすめる案内文を作り直したことを、例文の行の形に合わせて書きました。3日目に職務要約を最後に書き、夫に読んでもらって、わかりにくいと言われた言葉を2か所直しました。

Yさんの例で効いたのは、例文の文章ではなく、項目の並びと1行の形を借りたことでした。書く中身は、もともとYさんの経験の中にありました。文字で相談に答える仕事の中身は、看護師のチャット相談の仕事で紹介しています。

気をつけたいこと:例文の丸写しと、書きすぎ

例文は便利ですが、使い方を間違えると、かえって伝わりにくい書類になります。気をつけたいことを3つ挙げます。

1つ目は、丸写しです。例文の文章をそのまま使うと、面接で中身をくわしく聞かれたときに、自分の言葉で答えられません。例文と同じ件数を書いて、「その10件はどんな電話でしたか」と聞かれて詰まってしまう。そんな場面を避けるためにも、数字と場面は必ず自分のものにしましょう。

2つ目は、守秘です。例文のように具体的に書くほど、患者や利用者の情報に近づきます。看護師には、正当な理由がなく業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない義務があり、資格を失った後も同じです[3]。職務経歴書も例外ではありません。患者の名前はもちろん、日付と病名と年齢を組み合わせた書き方など、読む人が誰のことか思い当たるような書き方は避けます。

3つ目は、応募資格を満たさない求人に送ってしまうことです。書類を整えることに気をとられ、応募資格の欄を読み飛ばすことがあります。たとえば、特定保健指導のオンライン面談の求人の中には、対象の資格を保健師または管理栄養士とし、看護師は不可としているものもありました[1]。例文を直す前に、資格と経験の欄だけは読んでおきましょう。

例文を下敷きにするよいところ・気をつけたいところ

よいところ

  • 項目の並びに迷わず、書き始められる
  • 件数や役割の入れ方を、そのまま借りられる
  • 応募先に合わせて、厚く書く経験を選びやすい

気をつけたいところ

  • 丸写しすると、面接で中身を聞かれて困る
  • 例文の数字に引っぱられて、多めに書きやすい
  • 自分の職場にない業務まで書き足したくなる

職務経歴書は、面接に進むための入り口です。書いた内容は、面接でそのまま質問の材料になります。在宅の仕事の面接で聞かれやすいことは、看護師の面接でよく聞かれる質問にまとめました。

今日からできること

全部を今夜仕上げなくて大丈夫です。今夜は6つの見出しを打ち込むところまで。それだけで、明日からは空いた欄を埋めるだけになります。書き上げたら、送る前に次の7つを確かめてください。

送る前に確かめること

チェックした数:

ファイルの名前のつけ方や、送るときのメールの本文は、在宅の仕事の応募メールと書類の送り方で例を紹介しています。書類づくりから応募、研修、働き始めるまでの全体の流れは、看護師の在宅ワークの始め方ガイドで確かめられます。

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よくある質問

看護師の職務経歴書のテンプレートは、どこで手に入りますか?

決まった書式はないので、文書ソフトで新しいファイルを開き、この記事のひな形の6つの見出しを順に打ち込めば、それがテンプレートになります。転職サイトなどが配っている書式を使ってもかまいません。その場合も、在宅で働く環境の欄は自分で足しておくと親切です。

職務経歴書に、志望動機の欄は必要ですか?

この記事のひな形には入れていません。志望動機は、履歴書の欄や面接で伝えることが多いからです。職務経歴書では、自己PRの最後の1文で応募先の仕事とのつながりを示せば十分です。求人で書くように指定されているときは、自己PRの前に足しましょう。

職務経歴書は何枚にまとめればいいですか?

A4で1〜2枚が、読む人に負担をかけにくい目安です。経験が長くても、応募先で使う経験を厚く、それ以外を1行ずつにまとめれば、2枚に収めやすくなります。

職場が多く、例文の形に収まりません。

職場ごとではなく、経験の種類ごとにまとめる「キャリア式」にすると、すっきりします。「電話の対応」「説明と指導」「記録」のように見出しを立て、それぞれに職場と期間を添えて書きましょう。

ブランクがあるときは、どう書けばいいですか?

空いている期間を隠さず、「2020年4月〜2022年3月 子育てのため離職」のように1行で書きます。その間に学び直したことがあれば添えましょう。ブランクの長さ別の考え方は、ブランクがある看護師の在宅ワークにまとめています。

准看護師でも、例文と同じ形で書けますか?

書けます。資格の欄に准看護師免許と取得年月を書き、ほかは同じ形で大丈夫です。ただし、在宅の求人には正看護師の資格を条件にするものもあるので[2]、応募資格の欄を先に確かめてください。

例文の言い回しを、そのまま使ってもいいですか?

項目の並びや、「相手・件数・そのあとしたこと」という1行の形は、そのまま借りてかまいません。文章そのものは、自分の経験の言葉に置きかえましょう。面接では、書いた内容をくわしく聞かれることがあります。

まとめ

看護師の職務経歴書は、職務要約・職務経歴・生かせる経験・資格とPCスキル・在宅で働く環境・自己PRの6つを順に並べ、A4で1〜2枚にまとめるのが基本の形です。例文から借りるのは形と順番で、中身はあなたの経験です。

  • いちばん近い例文を1つ選び、ひな形の6つの見出しを打ち込む
  • 応募先で使う経験を2〜3つ選び、件数と、そのあとしたことまで書く
  • 患者が特定されない書き方と、応募資格を最後に確かめる

どの経験を厚く書けばいいか迷ったときは、ひとりで抱え込まずに相談してください。LINEでも、下のフォームからでも受け付けています。

zaitakuwork

ほいくの相談室 編集部。保育士の方からの相談で多く聞かれる悩みをもとに、公的な資料で確認できる情報をまとめています。