緩和ケアを受けながら家で過ごすと決まりかけたとき、家族の負担を軽くするいちばんの近道は、介護を家族の中だけで回そうとせず、在宅医・訪問看護・介護保険のサービスと分け合う形を、退院の前に組んでおくことです。家で過ごすといっても、家族が一日じゅうつきっきりで看るという意味ではありません。
ただ、どの仕組みをどれだけ使えるかは、ご本人の年齢、要介護認定の結果、住んでいる地域、病状、そして家族の人数や仕事によって変わります。同じ「在宅療養」でも、組み立て方は一軒ごとに違うと考えてください。自宅で最期まで過ごす場合の夜や急な変化への備えは別の記事に任せ、ここでは在宅療養を始める段階で負担を分ける話に絞ります。
退院の日が近づくのに、何も決まっていない方へ
- 「緩和ケアに移りましょう」と言われてから、家か病院かも決まらないまま、退院の日だけが近づいてくる。
- 母は家に帰りたがっている。でも介護をするのは誰なのか、自分の仕事はどうなるのか、考えるほど眠れない。
- 家で看てあげたい気持ちと、自分のほうが先に倒れるのではという怖さが、一日のうちに何度も入れ替わる。
この記事で分かること
- 在宅療養で家族の負担を分け合う4つの仕組み
- 介護保険を退院に間に合わせるための、相談と申請の順番
- 家族が休むための入院や泊まりのサービスの尋ね方
- 家族の中で「夜」「昼の連絡」「手続き」をどう分けるか
がんの家族が緩和ケアや在宅療養になります。家族の介護の負担が心配です。どんな支えがありますか?
支えは大きく4つあります。家に来てくれる医療(訪問診療と訪問看護)、介護保険のサービス、家族が休むための短い入院や入所、そして退院の準備を一緒に進める相談窓口です。家族は全部を自分でする人ではなく、これらをつなぐ立場に回れます。
在宅療養と聞くと、家族が食事も排泄の介助も夜の見守りも、すべて引き受ける姿を思い浮かべるかもしれません。実際には、在宅医が定期的に家を訪ねて診察と薬の調整をし、訪問看護師が体の様子を見てケアをし、ヘルパーが身の回りの手助けに入る、というように、何人もの手で一日が回っていきます。家族の手元に残るのは、その合間の時間と、「いつもと様子が違う」に気づいて伝える役目です。
ただし、この4つは待っていれば自然にそろうものではありません。介護保険は申請と認定が要り、訪問看護は主治医の指示から始まり、休むための入院は受け入れ先を探す必要があります。退院の日から逆算して、誰に何を頼むかを早めに決めていくことが、家族が倒れないための一番の備えになります。
家で過ごす本人と家族
- 在宅医定期的に家を訪ねて診察し、痛み止めなどの薬を調整する
- 訪問看護師体の様子を見てケアをし、家族に介助のやり方を教える
- ケアマネジャー介護保険のサービスを組み合わせ、利用の計画を立てる
- ヘルパー・介護用品身の回りの手助けや、介護用品の貸し出し(介護保険)
- 休むための入院・入所家族が休む数日のあいだ、本人を受け入れてもらう
- 医療ソーシャルワーカー退院の準備と、使える制度やサービスの相談
緩和ケアに移ることは、治療をあきらめることですか?
あきらめることではありません。緩和ケアはがんと診断されたときから受けられる医療で、痛みや息苦しさ、不安などを和らげ、本人と家族の暮らしを支えます。家に帰っても、医療は在宅医と訪問看護に引き継がれて続きます。
国立がん研究センターのがん情報サービスは、緩和ケアについて「がんと診断されたときから始まります」と説明しています。世界保健機関(WHO、2002年)の定義(日本緩和医療学会の定訳)でも、緩和ケアが生活の質を支える相手は「患者とその家族」とされています。在宅療養に移ったあとの家族の疲れや不安も、緩和ケアの中で相談してよいことなのです。
「緩和ケアに移る」と聞いた帰り道に、これからどんなケアが受けられるのかが気になった方は、[gk_link to=”post:palliative-care-what-next”]緩和ケアで受けられるケアと場所の違い[/gk_link]を先に読むと全体がつかめます。この記事では、その中でも「家で過ごす」と決まりかけたときに、介護の負担をどう分けるかに話を絞っていきます。
[gk_cta_mid title=”退院までの「誰に・何を・いつ」を、一緒に並べます”]退院の予定日と、今いちばん決まっていないことをフォームにひとことお書きください。担当がお電話で伺い、相談する順番と、退院前に確かめておくことを一緒に整理します。[/gk_cta_mid]介護保険は、がんの場合いつから、どうやって使えますか?
要介護認定を受ければ使えます。65歳以上は原因を問わず、40〜64歳はがん(医師が回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)が原因の場合が対象です。市区町村の窓口に申請し、認定の結果は原則30日以内に知らされます。
厚生労働省の表記では、40〜64歳の方が介護保険を使える特定疾病の一つとして、「がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)」が挙げられています。40〜64歳だから使えない、ということはありません。一方で、がんというだけで自動的に使えるわけでもなく、どちらの年齢でも要介護認定を受けることが前提です。
認定の結果が出るまでには日数がかかるので、申請は「退院が決まってから」より「家に帰る話が出たとき」に動き出すほうが、退院の日に間に合いやすくなります。入院中なら病院の医療ソーシャルワーカーが、家にいるなら地域包括支援センターや市区町村の介護保険の窓口が、申請の進め方を教えてくれます。退院が迫っているなど急ぐ事情があるときは、そのことも窓口にそのまま伝えてください。
介護保険で使えるのは、ヘルパーの訪問、入浴の手助け、介護用ベッドなどの貸し出し、通いや泊まりのサービスなどです。どれをどれだけ使えるかは、認定の結果と、ケアマネジャーが立てる計画で決まります。利用には自己負担があり、その割合は所得などによって変わるので、計画を立てる段階でケアマネジャーに確かめておくと安心です。
- 1相談する病院の医療ソーシャルワーカーに、退院後の介護のことで面談を申し込む
- 2申請する本人が住む市区町村の窓口に、要介護認定を申請する
- 3聞き取りと意見書本人の様子の聞き取りと、主治医の意見書をもとに審査される
- 4ケアマネジャーを決めるサービスの計画を立ててくれる事業所を選ぶ
- 5計画を立てる家族が介護できる時間を伝え、足りない部分にサービスを入れる
訪問看護は、どのくらいの回数来てもらえますか?
末期の悪性腫瘍の方の訪問看護は、要介護認定があっても医療保険の扱いになり、医療保険の訪問看護で原則とされる「週3日以内」という日数の制限もかかりません。回数は主治医の指示のもとで、体の状態に合わせて決まります。
訪問看護は、要介護認定を受けている人なら基本的には介護保険から使うものです。ただ、「末期の悪性腫瘍」は厚生労働大臣が定める疾病等に含まれているため、医療保険で受けることになります。どちらの保険になるかは、利用する側の希望では選べません。実際には、訪問看護は医療保険で、ヘルパーや介護用品は介護保険で、と二つの保険を組み合わせて一週間の予定を組んでいく形になります。
訪問看護師が来る時間は、家族にとって「教わる時間」でもあります。体の向きの変え方、口の中の手入れ、頓服の痛み止めを使う目安。最初の数回の訪問で一つずつ教わっておくと、看護師がいない時間の心細さが小さくなります。夜間や休日に電話で相談できるか、来てもらえることがあるかは、訪問看護ステーションによって違うので、契約のときに確かめてください。
訪問診療をする在宅医は、在宅療養支援診療所などに所属していることが多くあります。在宅療養支援診療所には、24時間連絡を受ける体制や往診の体制などが施設の基準として求められていますが、夜中でもすぐに来てもらえるという意味ではなく、実際の動き方は医療機関ごとに違います。夜の過ごし方や急な変化への備えは、[gk_link to=”post:end-of-life-care-at-home”]自宅で最期を迎えるための備え[/gk_link]で詳しく取り上げています。
| 観点 | 医療保険 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 主な中身 | 在宅医の訪問診療、訪問看護 | ヘルパーの訪問、介護用品の貸し出し、通いや泊まりのサービスなど |
| 始めるのに必要なこと | 主治医の診察と指示 | 要介護認定と、ケアマネジャーの計画 |
| 調整してくれる人 | 在宅医、訪問看護ステーション | ケアマネジャー |
| 家族が伝えておくこと | 痛み・眠り・食事の変化、夜の様子 | 家族が介護できる時間帯と人数、仕事の予定 |
家族が休むための入院(レスパイト入院)は使えますか?
家族の休息のために、短い期間だけ本人に入院してもらう「レスパイト入院」を受け入れている医療機関や、介護保険の泊まりのサービス(短期入所)を使える場合があります。受け入れの有無や条件は地域と施設で違うので、困る前に在宅医やケアマネジャーに尋ねておきます。
レスパイトは「ひと休み」という意味の言葉です。親族の法事で家を空けなければならない、介護している家族が熱を出した、夜の見守りが続いて眠れていない。そうしたときに数日だけ本人を病院や施設で受け入れてもらえれば、家族は倒れる前に立て直せます。医療的なケアが多い方は、受け入れられる先が限られることもあるため、「いざとなったら」ではなく、在宅療養を始める時点で一度聞いておくのがこつです。
ためらいの多くは、本人への申し訳なさから来ます。「家にいたいと言っているのに、病院に預けるなんて」。けれど、家族が休めずに倒れてしまえば、本人が家で過ごす時間そのものが続けられなくなります。本人に伝えるときは、「家での時間を長く続けたいから、3日だけ休ませてほしい」のように、目的と期間をはっきりさせて話すと受け止めてもらいやすくなります。
Q1休みたいのは、数時間から半日ほどですか
はい訪問看護やヘルパーが来る時間に合わせて外出する。ほかの家族と交代する
いいえ次の問いへ進む
Q2数日まとめて家を空ける、または休む必要がありますか
はいレスパイト入院や短期入所が使えるか、在宅医・ケアマネジャーに相談する
いいえ週のどこかに、介護の中心の人が休む曜日を固定する
Q3介護している人が、体調を崩しかけていますか
はい自分の受診を先にする。本人の過ごし方は在宅医や訪問看護と相談する
いいえ今の休み方を続け、月に一度見直す
退院までに、誰に、どの順番で相談すればいいですか?
入院中なら、病院の医療ソーシャルワーカー、介護保険の申請、ケアマネジャー、在宅医と訪問看護、退院前の話し合いの順に進めると漏れが少なくなります。申請からあとの3つは、並行して動かして構いません。
医療ソーシャルワーカーは、病院などで、患者さんや家族の経済的・心理的・社会的な困りごとの解決や調整を手伝う専門職で、入退院や療養の場の変化の相談にも応じます。窓口の名前は「地域連携室」「医療相談室」など病院ごとに違い、すべての病院にいるとは限りません。分からなければ、病棟の看護師に「退院後の介護のことを相談できる窓口はどこですか」と尋ねるのが早道です。
すでに家で過ごしている場合は、入口が変わります。地域包括支援センターは市町村が設置する機関で、地域の高齢者や家族介護者の相談を初期の段階から受けて、必要なサービスにつないでいます。本人が40〜64歳なら、市区町村の介護保険の窓口か地域包括支援センターに問い合わせてください。全国のがん診療連携拠点病院などにある、がん相談支援センターも使えます。家族だけでも、その病院にかかっていなくても、無料・匿名で相談できます。在宅医や訪問看護の事業所を探すのは、こうした公的な窓口や医療ソーシャルワーカーが中心です。がんと家族の相談室は医療機関から紹介料を受け取っておらず、在宅医などを1か所だけ勧めることもしません。
退院前の話し合いには、在宅医や訪問看護師、ケアマネジャーが集まることがあります(呼び方や開き方は病院ごとに違います)。ここで薬や介護用品の話だけで終わらせず、「家族が介護できるのは平日の夜と週末だけ」「日中は70代の母が一人で看る」といった家族の事情を、具体的に伝えておくことが、無理のない計画の土台になります。
- 1退院の話が出た週病棟の看護師に相談窓口を聞き、医療ソーシャルワーカーとの面談を申し込む
- 2面談のあと介護保険の申請を進め、ケアマネジャーの候補を教えてもらう
- 3同じころ在宅医と訪問看護ステーションを決め、夜間の連絡方法を確かめる
- 4退院前の話し合い家族が介護できる時間帯と人数を伝え、計画に反映してもらう
- 5退院して最初の週末実際に回してみて、無理が出たところをケアマネジャーに伝える
家族の中では、介護をどう分ければいいですか?
誰が一番がんばるかではなく、「夜の見守り」「平日の昼の連絡」「お金と手続き」「本人の話し相手」のように役割で分け、一人に全部が寄らないようにします。家族で埋まらない部分は、最初からサービスに任せると決めておきます。
在宅療養が始まると、いちばん近くに住む家族や、同居している配偶者に、すべてが集まりがちです。けれど、介護の中身を一つずつ分けてみると、そばにいなければできないことは意外に限られています。介護保険の書類や医療費の確認は遠方のきょうだいでもできますし、ケアマネジャーからの電話も、平日の昼に電話を受けられる人が担えば十分です。
夜の見守りは、とくに一人に寄りやすい役割です。毎晩同じ人が受け持つと、眠りが細切れになり、昼の判断が鈍っていきます。週末だけでも別の家族が泊まる、夜に迷ったら訪問看護の電話相談を使うと決めておく。それだけでも、夜を受け持つ人の体がもちます。
仕事をしている家族は、介護休業(要介護状態の家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れる)や、時間単位でも取れる介護休暇を組み合わせられます。在宅療養を始める時期に介護休業を充てる考え方もあります。休み方の組み立ては[gk_link to=”post:caregiving-leave-work-balance”]介護休業の使い方と会社への伝え方[/gk_link]で詳しく扱っています。
- 1夜の見守り誰が何曜日に受け持つか。一人に固定しない
- 2平日の昼の連絡ケアマネジャーや訪問看護からの電話を受ける人
- 3体の介助訪問看護師にやり方を教わり、ヘルパーに任せる部分を決める
- 4お金と手続き介護保険や医療費の書類。遠方の家族も担える
- 5本人の話し相手介助とは別に、病気以外の話をする時間をつくる
- 6介護する人の休み休む曜日を先に予定に入れておく
介護する家族が限界に近いときは、誰に伝えればいいですか?
訪問看護師、ケアマネジャー、在宅医に「家族が限界に近い」とそのまま伝えてください。サービスの回数や組み合わせ、休むための入院を見直すきっかけになります。家族自身のつらさは、がん相談支援センターでも相談できます。
がん情報サービスの「家族ががんになったとき」は、家族は本人を思って自分の気持ちを抑えがちで、そのうえ自分の暮らしも保たなければならない立場だとして、「第二の患者」ともいわれると紹介しています。国立がん研究センターが2022年に公表した遺族調査の報告(2017・2018年のがんによる死亡、有効回答54,167名)では、介護の負担感が大きかったと振り返った遺族は38.9%でした。負担が重く感じられるのは、家族の気持ちが弱いからではありません。
「限界」と口にするのは勇気が要ります。言いにくければ、事実だけを伝える形でかまいません。「夜に3回起こされて、この1週間ほとんど眠れていません」「腰を痛めて、体の向きを変えるのがつらくなりました」。具体的な事実があれば、専門職は訪問の回数を増やす、別のサービスを足す、休むための入院を探す、といった手を考えやすくなります。
父の退院を前に途方に暮れていた息子は、どう動いた?
説明のための例(実在の方の体験談ではありません)
1. 相談のあとに変わったこと
相談のあと、彼が最初にしたのは、母と遠方に住む妹と3人で「介護の時間割」を書くことでした。平日の夜は母、金曜と土曜の夜は彼が泊まり、妹は介護保険と医療費の書類を受け持つ。退院前の話し合いには、その時間割を持って出席しました。ケアマネジャーは母が一人になる平日の昼にヘルパーの訪問を入れ、訪問看護師は最初の訪問で、母に体の向きの変え方を教えてくれました。家に戻って2週間、母が朝まで眠れる日が週に3日できたといいます。「家に帰すと決めたのは家族だけど、家族だけで看ているわけじゃない。そう思えたのが大きかった」。
2. 相談を考えた背景
父は62歳です。抗がん剤を終えて緩和ケアに移ったあと、面会のたびに「家に帰りたい」と言うようになりました。病棟の看護師から退院の話が出たのは、ある金曜日の面会のときでした。帰りの車の中で、彼は母が一人で父を看る姿を思い浮かべ、ハンドルを握る手に力が入ったといいます。
3. 相談する前に困っていたこと
彼はまず介護保険について調べましたが、「65歳以上」という説明が目に入り、62歳の父は使えないと思い込んでいました。医療保険の訪問看護は原則週3日以内という説明も読み、父にも当てはまるものと考えていたそうです。母は「大丈夫、私がやるから」と言うばかりで、膝の痛みのことは口にしませんでした。
4. ここを選んだ理由・決め手
病院の相談窓口に行くつもりではいましたが、何を聞けばいいのかさえ分からず、予約の電話をかけられずにいました。夜にフォームを見つけ、名前はニックネームでよく、昼休みの時間帯を指定して折り返してもらえると知って送信しました。病院の外の人に、まず全体の順番だけ聞いてみたかったのが決め手です。送ってすぐに受付確認のメールが届き、「とりあえず一歩は出せた」と感じたそうです。
5. 相談で話したこと・その後
電話では、担当がまず彼の話を最後まで聞いたあと、40〜64歳でも医師が回復の見込みがない状態と判断したがんであれば介護保険の対象になり得ること、末期の悪性腫瘍の訪問看護は医療保険の扱いになることなど、制度の一般的な仕組みを伝えました。父の病状の見通しや、家で看られるかどうかについて、担当は判断していません。そのうえで、医療ソーシャルワーカーとの面談で聞く質問を3つにまとめ、メモにして送りました。面談の場で母が最初に口にしたのは、ずっと黙っていた膝の痛みのことでした。その一言から、ヘルパーの時間と、家族が休むための入院の相談が始まりました。
※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。
医療者に聞く質問例
- 退院後の介護のことを相談したいので、医療ソーシャルワーカーにつないでいただけますか。
- 介護保険の申請に使う主治医の意見書は、どなたにお願いすればいいですか。
- 家で過ごすなら、訪問看護にはどのくらいの頻度で来てもらうのがよい状態でしょうか。
- 家族が休むために、短い期間入院できる病院や施設はありますか。
- 退院までに、家族が覚えておいたほうがよい介助のやり方を教えていただけますか。
とはいえ、家で看ると決めかけている家族に伝えたい2つのこと
① 気持ちのこと──「家で看る」と「家族が休む」は、どちらも本人のため
本人の望む場所で過ごさせてあげたい気持ちと、自分が倒れたくないという気持ちは、ぶつかり合うものではありません。家族が休めているからこそ、本人は家での時間を長く続けられます。休むための入院を頼むことも、ヘルパーに入ってもらうことも、本人を手放すことではなく、家で過ごすという願いを守るための手段です。それでも気持ちが追いつかない夜は、訪問看護師や医療ソーシャルワーカー、がん相談支援センターに、その迷いごと話してください。途中で入院に戻ることになっても、それは失敗ではなく、その時点でいちばん穏やかに過ごせる場所を選び直したということです。
② 実務のこと──「家族の事情」を一枚にして、計画の土台にする
介護保険の計画も訪問看護の予定も、家族が伝えた事情をもとに組み立てられます。そこで、家族それぞれの「介護に使える時間帯」「仕事の予定」「体調や持病」「苦手な介助」を一枚の紙にまとめ、退院前の話し合いとケアマネジャーとの最初の打ち合わせに持っていきます。家族が言わなければ、専門職は「家族が日中ずっといる家」として計画を立ててしまうことがあるからです。この紙は、家族の誰かの仕事が変わったときや、介護の中心の人が体調を崩したときに書き直し、そのたびにケアマネジャーへ渡します。計画は一度決めたら終わりではなく、家族の事情に合わせて何度でも組み直せるものです。
今日できること
[gk_howto name=”今日できること” description=”退院の話が出た今夜から明日までに、家族ができる3つのこと” heading=”none”][gk_step title=”相談窓口を聞く”]明日の面会で、病棟の看護師に「退院後の介護を相談できる窓口はどこですか」と尋ね、医療ソーシャルワーカーとの面談の約束を取ります。[/gk_step][gk_step title=”申請先を確かめる”]本人が65歳以上か40〜64歳かと、住民票のある市区町村を確かめ、介護保険の窓口か地域包括支援センターの電話番号を控えます。[/gk_step][gk_step title=”休む日を一日だけ決める”]退院後の最初の2週間のうち、介護の中心になる人が休む日を一日だけ先に決め、家族に知らせておきます。[/gk_step][/gk_howto]よくある質問
[gk_faq][gk_q q=”40代や50代の家族でも、介護保険は使えますか?”]40〜64歳の方は、がんのうち、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものが原因の場合に、介護保険の対象になります。どちらの年齢でも要介護認定が必要なので、市区町村の介護保険の窓口か地域包括支援センター、入院中なら医療ソーシャルワーカーに相談してください。40歳未満の方は介護保険の対象外ですが、医療保険の訪問診療や訪問看護は年齢にかかわらず使えます。ほかに使える支えがないかも、同じ窓口で尋ねてみてください。[/gk_q][gk_q q=”要介護認定の結果が出る前に、退院の日が来てしまいそうです。”]結果の通知までは原則30日以内とされていますが、退院の日程と合わないこともあります。急ぐ事情があることを、申請の窓口と医療ソーシャルワーカーに早めに伝えてください。在宅医の訪問診療や訪問看護は医療保険で受けるものなので、介護保険の結果とは別に準備を進められます。結果を待つあいだの身の回りの手助けをどうするかも、ケアマネジャーの候補と相談しておくと安心です。[/gk_q][gk_q q=”本人が「知らない人が家に来るのは嫌だ」と言っています。”]説得する前に、何が嫌なのかを聞いてみてください。家の中を見られたくない、気をつかって疲れる、弱った姿を見せたくない、など理由はさまざまです。看護師なら受け入れやすいという方もいるので、訪問看護から始めて、慣れてきたらヘルパーを加えるという順番もあります。「お母さんを家で看続けるために、私たちにも手伝いが必要なんだ」と、家族の事情として伝えることも、本人が受け入れるきっかけになります。[/gk_q][gk_q q=”在宅の医療や介護には、どのくらいお金がかかりますか?”]使うサービスや本人の年齢・所得によって大きく違うため、一律には言えません。訪問診療や訪問看護などの医療費は高額療養費制度で1か月の自己負担に上限があり、その上限額は2026年8月に見直されたので、本人の場合の額は加入先の健康保険に確かめてください。介護保険のサービスの自己負担は、ケアマネジャーが計画を立てるときに見積もってもらえます。全体の見通しは、医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターでも相談できます。[/gk_q][gk_q q=”一人っ子で、ほかに頼れる家族がいません。”]家族の人数が少ないほど、最初から専門職の手を多めに借りる計画にしてかまいません。退院前の話し合いで「介護できる家族は自分一人で、平日は仕事がある」とはっきり伝えると、それを前提にサービスを組んでもらえます。休むための入院や泊まりのサービスも、早めに選択肢に入れておいてください。家族自身の気持ちのつらさは、がん相談支援センターでも聞いてもらえます。[/gk_q][/gk_faq]次に読むなら
- [gk_link to=”post:end-of-life-care-at-home”]自宅で最期まで過ごすとき、夜や急な変化にどう備えればいいですか?[/gk_link]
- [gk_link to=”post:palliative-care-what-next”]緩和ケアに移ると、どんなケアを受けられますか?[/gk_link]
- [gk_link to=”post:caregiving-leave-work-balance”]看病と仕事を長く両立させるには、休みをどう組み合わせればいいですか?[/gk_link]
- [gk_link to=”post:cancer-costs-support-systems”]治療費や介護費の負担を抑える制度には、何がありますか?[/gk_link]
- [gk_link to=”post:family-caregiver-exhausted-second-patient”]介護がつらく限界に近いとき、家族は自分をどう守ればいいですか?[/gk_link]
- [gk_link to=”page:night-number”]もしもの夜に電話する先を、先に決めておくには?[/gk_link]