看護師の副業が禁止される理由|就業規則の確かめ方と例外

夜勤明けの更衣室で、在宅でできる仕事の話をしたら、先輩に「うちは副業禁止でしょ」と言われた。入職のときに受け取った規程集は、ロッカーの奥にしまったまま。本当に禁止なのか、何がいけないのか、誰に聞けばいいのかも分からないまま、検索の履歴だけが増えていく。

「副業禁止」と言われている職場でも、規則を読んでみると、届け出や許可があれば認める書き方になっていることがあります。うわさだけで諦める前に、規則の言葉そのものを確かめる価値はあります。

一方で、職場が看護師の副業を気にするのには、それなりの理由もあります。夜勤で崩れやすい体のリズム、患者さんの秘密、病院の信用。理由を知っておくと、規則のどこを読めばよいか、許可を申請するときに何を伝えればよいかが見えてきます。

ここからは、副業が禁止・制限される理由を、国のガイドラインと看護師の職場ならではの事情に分けて整理します。公務員として働く場合の扱い、就業規則の確かめ方、許可の申請のしかたまで、順に進めます。

看護師の副業は、なぜ禁止されることがあるの?

看護師の副業が禁止・制限されるのは、職場が主に4つのことを心配するからです。体を休める時間が削られて本業に支障が出ること、患者さんや病院の秘密が漏れること、本業とぶつかること、病院の信用を損なうことの4つです。

この4つは、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が、会社が副業・兼業を制限できる場合の例として挙げているものと重なります。ガイドラインは「裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。」としたうえで、労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合を挙げています[1]。

副業が制限される4つの場合と、看護師の職場での例
ガイドラインが挙げる場合看護師の職場で心配されやすい例申請で示したいこと
労務提供上の支障夜勤明けに副業を入れ、本業でミスが増える時間帯と月の上限
業務上の秘密の漏洩患者さんや院内の出来事を記事や相談で話す病院の情報を使わないこと
競業で本業の利益が害される本業の取引先や、近くの同じ診療科で働く副業の相手と仕事の中身
名誉や信用を損なう行為看護師の肩書きで、商品の効き目を保証する名前や肩書きの出し方

出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月改定)」[1]

表の右の列は、左の心配を裏返したものです。4つの心配はどれも「副業そのものが悪い」という話ではなく、「本業に影響が出るかどうか」の話です。だからこそ、自分の副業がこの4つに当てはまらないことを具体的に示せれば、話は進めやすくなります。

ただし、ガイドラインは法律ではありません[1]。同じ在宅の副業でも、ある病院では届け出だけで始められ、別の病院では許可が必要、ということは起こりえます。最後に従うのは、勤め先の規則です。

「副業禁止」は法律で決まっている? ガイドラインと就業規則の関係

民間の病院や会社で雇われて働く看護師の場合、副業の扱いを具体的に決めているのは、多くの場合、勤め先の就業規則です。国のガイドラインは、会社がどう考えるとよいかの目安を示すもので、法律ではありません[1]。「国が認めているのだから、職場の規則は関係ない」とは言えない点に注意が必要です。

国の考え方は、平成30年を境に大きく変わりました。厚生労働省は平成30年1月にガイドラインをつくり、あわせてモデル就業規則(会社が規則をつくるときのひな形)から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削って、副業・兼業についての規定を新しく設けました[1]。

副業・兼業についての国の考え方の移り変わり
  1. 平成30年1月ガイドラインの策定

    「副業・兼業の促進に関するガイドライン」がつくられました。

  2. 平成30年1月モデル就業規則の見直し

    「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」の規定を削り、副業・兼業の規定を新しく設けました。

  3. 令和2年9月ガイドラインの改定

    ガイドラインが改定されました。

  4. 令和4年7月ガイドラインの改定(いまの版)

    副業・兼業を認めているか、条件付きならその条件を、ホームページ等で公表することが望ましいとしています。

出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月改定)」[1]

モデル就業規則はあくまでひな形なので、職場の規則が同じように変わっているとは限りません。規則が平成30年より前につくられたままなら、「許可なく他の業務に従事しないこと」に近い書き方が残っていることもあります。逆に、見直しが進んで、届け出だけで始められるようになっている職場もあります。

公表については「望ましい」とされているだけで、義務ではありません[1]。勤め先のホームページや採用ページに副業の方針が載っていれば手がかりになりますが、載っていないからといって禁止とは限りません。最後は規則そのものを読んで確かめるのが確実です。

ここがポイント

  • ガイドラインは「原則、認める方向」を示す目安で、法律ではありません。
  • 民間の職場で決め手になるのは、勤め先の就業規則です。
  • 公務員として働く人には、法律で別の決まりがあります。

看護師ならではの事情:夜勤の体、患者さんの秘密、病院の信用

ガイドラインの4つの心配は、どの業種にも当てはまるものです。ただ、看護師の職場には、それが強く出やすい事情があります。3つの場面に分けて確かめておきます。

夜勤明けの体を休める時間

交代制で働く看護師にとって、休む時間は次の勤務の安全に直結します。島根県の資料によると、日本看護協会編「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」(2013年)は、勤務間隔を11時間以上、1回の夜勤後の休息を24時間以上、2回連続の夜勤後は48時間以上とする基準などを示しています[2]。法律上の義務ではありませんが、副業の時間を考えるときの物差しになります。

本業どうしの間隔が十分にあっても、その間に副業を入れれば、体が休める時間はその分短くなります。たとえば日勤が17時30分に終わり、翌朝8時30分から日勤だとすると、間隔は15時間です。ここに19時から23時までの副業を入れると、翌朝までに休める時間は9時間半になります。

日勤のあとに副業を入れた日の例(時間は例)
本業の日勤8:30〜17:30
副業(例)19:00〜23:00
次の日勤までに休める時間23:00〜翌8:30(9時間半)

編集部まとめ

職場が「本業に支障が出ないか」を気にするのは、こうした予定を心配しているからです。副業を申請するなら、夜勤の入りと明けの日、連勤の合間を避け、休日の日中など、体が休まった時間に入れる計画を示すと、相手も判断しやすくなります。夜勤そのものがつらい場合は、副業より先に働き方を見直す道もあります。考え方は看護師の夜勤がつらいときの選択肢にまとめています。

患者さんの秘密と、病院の情報

看護師には、法律で守秘義務があります。保健師助産師看護師法第42条の2は、看護師などは正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと定め、資格を失った後も同じとしています[3]。これに違反して秘密を漏らした場合は、6か月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処せられます(第44条の4第1項)[3]。

副業でこの義務が問題になりやすいのは、経験を生かす仕事ほど、本業の出来事に触れる場面が多いからです。医療記事に「先日の患者さん」の話を書く。オンラインの講座で病棟の事例を話す。電話の相談で、相手が知り合いだと気づく。どれも悪気なく起こりえます。患者さんの話だけでなく、病院の経営や人事の話など、院内の情報の扱いにも気をつけたいところです。

自宅で働くときの情報の扱いは、在宅で働く看護師の個人情報と守秘義務でくわしく整理しています。

本業とのぶつかりと、病院の信用

「競業」とは、本業と同じ相手やお客を取り合うような仕事のことです。看護師の場合、近くの同じ診療科のクリニックで働く、本業の患者さんを副業先のサービスに案内する、といった場面が当てはまりやすくなります。在宅の仕事でも、本業で物品や機器の選定にかかわっている人が、その取引先の会社から仕事を受けると、立場が重なってしまいます。

信用の面では、肩書きの使い方に気をつけます。医薬品医療機器等法第66条は、何人も、医薬品や化粧品などの効能や効果について、虚偽又は誇大な記事を広告し、流布してはならないとし、医師その他の者が効能等を保証したものと誤解されるおそれがある記事もこれに当たるとしています[4]。「現役看護師が保証」と読める書き方は、書いた人だけでなく、勤め先の名前にも傷をつけかねません。書く仕事の広告のルールは、看護師ライターが守る広告のルールで確かめてください。

公務員として働く看護師は、副業できる? 許可という「例外」

公務員として働く看護師は、就業規則ではなく法律で兼業が制限されています。ただし、一切できないわけではなく、許可や承認を受ける仕組みがあります。

地方公務員の場合、地方公務員法第38条第1項は、職員は任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員などを兼ねたり、自ら営利企業を営んだり、報酬を得ていかなる事業や事務にも従事したりしてはならないと定めています[5]。ただし、非常勤職員については、短時間勤務の職を占める職員などを除き、この限りでないとされています。許可の基準は人事委員会規則などで定めることができるとされ、自治体ごとに違います[5]。

国家公務員の場合、国家公務員法第103条は、営利企業の役員などを兼ねることや自ら営利企業を営むことを禁じたうえで、人事院の承認を得た場合の例外を定めています。第104条は、報酬を得てほかの事業に従事するなどの場合に、内閣総理大臣と所轄庁の長の許可を要するとしています[6]。

働き方ごとの、副業の決まりと確かめる先
働き方決まりのもと許可などをする人確かめる先
民間で雇われて働く勤め先の就業規則勤め先(規則による)規則・人事や総務
地方公務員地方公務員法第38条任命権者人事の担当
国家公務員国家公務員法第103条・第104条人事院、内閣総理大臣と所轄庁の長人事の担当

出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月改定)」、e-Gov法令検索(デジタル庁)「地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条」、e-Gov法令検索(デジタル庁)「国家公務員法(昭和22年法律第120号)第103条・第104条」[1][5][6]

どの病院で働く人が公務員にあたるかは、病院の運営の形によって違い、ここでは確かめていません。勤め先が自治体や国にかかわる病院で、自分の身分がはっきりしないときは、採用のときの書類を見直すか、人事の担当に「自分は兼業の許可が必要な立場ですか」と聞くのが確実です。

同じ「許可が必要」でも、民間と公務員では、許可をする相手も手続きも違います。公務員の場合は、始めてから相談するのではなく、始める前に許可の手続きと基準を聞いておきましょう。

就業規則のどこを読めば、副業の決まりがわかる?

就業規則では、「兼業」「副業」「二重就職」「他の業務への従事」といった言葉の入った条文を探します。そのうえで、禁止・許可制・届出制のどれにあたるかと、規則が対象にしている仕事の範囲を確かめます。

規則の置き場所は職場によって違います。入職のときに受け取った規程集、院内のネットワークの共有フォルダ、看護部や総務の窓口などです。副業のことは、就業規則の本体ではなく、「兼業規程」「服務規程」のような別の規程に書かれていることもあります。パートや非常勤には別の就業規則が用意されている場合もあるので、自分の雇われ方に合う規則を読みます。

見つからないときは、総務や人事に「兼業の決まりを確かめたいので、規程を見せてください」と頼みます。師長に聞くより先に、規則を担当する部署に聞くほうが、話が早いこともあります。

就業規則の書き方と、読み取れること(例)
書き方の例読み取れること次にすること
許可なく他の業務に従事しないこと許可制(許可があればできる)申請の様式と出す先を聞く
事前に所定の届出をすること届出制届出の書類と時期を確かめる
兼業を禁止する禁止(例外の定めを探す)例外や相談の窓口を確かめる
次の場合は禁止又は制限する原則として認め、条件で制限条件に当たらないか確かめる
兼業の定めが見当たらない規則だけでは判断できない人事に確かめ、答えを残す

編集部まとめ

書き方は職場ごとに違うので、表は読み方の目安です。「禁止」とある場合も、すぐに諦めず、「ただし、許可を受けた場合はこの限りでない」のような例外の定めが続いていないかを、条文の最後まで読みます。

就業規則で確かめる6つのこと

チェックした数:

読んでも分からないところは人事の担当に聞き、答えはメールやメモで残しておきます。口頭の「たぶん大丈夫」は、担当者が変わると通じなくなることがあるからです。

許可の申請のしかたと、許可されやすい副業の考え方

申請の流れ

許可制の職場では、決められた様式の申請書に、副業先、仕事の内容、働く時間帯と時間数、期間を書き、本業への配慮を添えて出します。様式や出す先は職場によって違うので、規則と担当部署で確かめてください。流れの一例は次のとおりです。

許可の申請の流れ(例)
  1. 1規則と様式を確かめる

    就業規則と、申請書の様式・出す先・締め切りを確かめます。

  2. 2副業の中身を固める

    副業先、仕事の内容、雇われるか業務委託か、時間帯と時間数を決めます。

  3. 3上司に口頭で相談する

    師長などに、申請を考えていることを短く伝えます。

  4. 4申請書を出す

    時間の上限や、病院の情報を使わないことを書き添えます。

  5. 5条件を確かめて始める

    許可の条件と期間を書面で受け取り、その範囲で始めます。

  6. 6変わったら出し直す

    副業先や時間が変わるときは、もう一度申請します。

申請書の書き方に決まった正解はありませんが、最初の表の4つの心配に、1つずつ答えを書いておくと伝わりやすくなります。

申請書に書くことと、書き方の例
項目書き方の例
副業先◯◯株式会社(看護学生向けの学習支援)
仕事の内容オンラインでの個別の学習指導(自宅で行う)
契約の形業務委託(雇用ではない)
時間帯と時間数休日の10時〜12時。月10時間まで
期間許可の日から1年(続けるときは再申請)
本業への配慮夜勤の入りと明けの日は入れない。病院の情報は使わない

編集部まとめ

上司に口頭で相談するときの言い方の例

「休みの日に、自宅でオンラインの仕事をしたいと考えています。就業規則で許可制と確かめたので、申請の前にご相談させてください。夜勤の入りと明けの日には入れず、月10時間までにするつもりです。」

許可されやすい副業の考え方

許可されやすいのは、4つの心配に当てはまりにくい副業です。時間帯が本業とぶつからず時間数に上限があること、病院の情報を使わずにできること、本業と競合しない相手から受けること、名前や肩書きの出し方に配慮できること。この4つがそろうほど、職場は判断しやすくなります。

在宅の副業は、通勤がないぶん、時間の見通しを示しやすいのが強みです。決まった時間に働くシフト制の仕事なら、時間数をそのまま書けます。締め切りまで自分で進める書く仕事なら、「月◯時間まで」と自分で上限を決めて書きます。どんな在宅の副業があるかは、看護師が副業でできる在宅ワークで比べています。

申請の前に、許可の見通しを考える

副業の時間帯は、夜勤の入りと明けの日や、連勤の合間を避けられますか?

はい

時間帯と月の上限を、申請書に書きましょう。

いいえ

曜日や時間帯を動かせる副業から考え直しましょう。

本業で知った患者さんや病院の情報を使わずにできますか?

はい

「病院の情報は使わない」と、申請書に書き添えましょう。

いいえ

事例を書く・話す仕事は、扱う内容の線引きを先に決めましょう。

副業の相手は、本業の取引先や競合とは関係ありませんか?

はい

相手の業種と仕事の中身を書けば、判断してもらいやすくなります。

いいえ

立場が重なる相手の仕事は許可を得にくいので、別の相手を探しましょう。

モデルケース:規則を読み、条件を自分から示して許可を得たRさん

モデルケース(架空の例)

規則を読み、条件を自分から示して許可を得た。休日の午前に、看護学生のオンライン指導を月4回

  • 0時間8時間副業に使う時間(月)
  • 0円約1万6千円副業の収入(月)

このモデルケースは、在宅ワークを考える看護師が抱えやすい状況を想定して、編集部が作成した架空の例です。実在の人物・団体とは関係ありません。数字は説明のための例で、同じ結果になることを約束するものではありません。

成果

Rさんは、民間病院のICUで働きながら、休日の午前に看護学生向けのオンラインの学習指導を月4回しています。1回2時間で、副業に使う時間は月8時間、収入は月におよそ1万6千円です。始める前に就業規則を読み、申請書を出して、病院の許可を得ました。

Rさん:申請書に「夜勤の入りと明けの日には入れません」と自分から書いたのが、よかったと思います。話がすっと進みました。

背景

ICUで10年。後輩の指導を任されるうちに、Rさんは人に教えることが好きだと気づきました。子どもが生まれて、家計に月1〜2万円の足しがほしくなりましたが、夜勤の回数を増やすのは体がきついと感じていました。

困っていたこと

同僚から「うちは副業禁止」と聞いていたので、規程集を開く気になれずにいました。看護学生の指導を考えたものの、病院には実習に来る学生もいるため、何か問題にならないかという心配もありました。

選んだ理由

規程集を開くと、兼業は「所属長を経て病院長の許可を受ける」許可制でした。Rさんは、職場が心配しそうな点を書き出し、申請書で先に答えることにしました。時間は休日の午前だけで月10時間まで。夜勤の入りと明けの日は入れない。病院の事例は使わず、勤め先の名前も出さない。そして、自分の病院に実習に来る学校の学生は担当しないよう、仲介する会社に頼みました。

Rさん:実習で会う学生を担当しない、という点は、規則を読んで初めて気づきました。

始め方と工夫

師長に口頭で相談してから申請書を出し、3週間ほどで許可が出ました。条件は「月10時間まで、1年ごとに更新」です。Rさんは勤務表が出てから副業の予定を入れています。教える準備で看護の基礎を学び直す時間が増え、本業の後輩指導にも役立っています。妻も「休みの日の午前だけなら」と賛成し、その時間は子どもを連れて散歩に出てくれます。

Rさんの例でうまくいったのは、許可を「お願い」するだけでなく、職場が心配しそうな点に先回りして答えたことでした。規則を読むのは手間に見えますが、読んだぶんだけ、申請書に書く言葉が具体的になります。

気をつけたいこと:許可は「何でもOK」ではない

許可を得たあとも、気をつけたいことがあります。許可は、申請した中身に対して出されるものだからです。

1つ目は、許可の範囲です。副業先を増やす、時間を延ばす、仕事の中身が変わる。こうした変化は、許可を受けた範囲の外に出ることがあります。変わるときは、始める前にもう一度申請します。

2つ目は、規則の読み違いです。「業務委託なら雇われるわけではないから関係ない」と考える人もいますが、規則が「他の業務への従事」と広く書いていれば、業務委託も対象になりえます。自分の都合のよいように読まず、迷ったら担当部署に聞きます。

3つ目は、体調を守るのは自分だということです。規則の条件を守っていても、眠れない、疲れが抜けない日が続くなら、副業の量を減らすのが先です。

許可の範囲の中と外(例)

許可の範囲の中

  • 申請した副業先で、申請した仕事をする
  • 月の上限の時間内で働く
  • 申請した曜日と時間帯に入れる

範囲の外になりやすいこと

  • 別の副業先を増やす
  • 忙しい月に、上限を超えて働く
  • 仕事の中身が変わる(指導から執筆へ、など)

許可が出なかったときは、理由を聞いて、時間や内容を変えて出し直す道があります。それでも難しいときは、副業を認める職場に移る、在宅の仕事を本業にする、という選び方もあります。許可が出ないときの考え方は看護師の副業は職場にバレる?の後半で、職場の探し方は副業OKの看護師の職場の探し方で整理しています。黙って始めるのは、知られたときに説明ができず、規則に定められた処分の対象になることもあるので避けましょう。

今日からできること

規則を読むのは、思い立った今夜がいちばん進みます。全部を一度にやらなくても大丈夫です。1日に1つずつ進めれば、1週間ほどで申請するかどうかを決められます。

今夜から1週間でできること
  1. 1規程集の場所を確かめる

    共有フォルダ、院内の掲示、総務の窓口のどこにあるかを確かめます。

  2. 2兼業の条文を読む

    「兼業」「副業」「他の業務」の言葉を探し、禁止・許可制・届出制のどれかをメモします。

  3. 3副業の形を1行で書く

    仕事の内容、時間帯、月の時間数、契約の形を1行にまとめます。

  4. 44つの心配に答えを用意する

    時間、情報、競業、信用について、自分の答えを書き出します。

  5. 5担当部署に相談する

    申請の様式と出す先を聞き、必要なら申請の準備に入ります。

副業として何を選ぶかを含めて、在宅の仕事を始めるまでの全体の流れは、看護師の在宅ワークの始め方ガイドで段階ごとにまとめています。

よくある質問

看護師の副業は、法律で禁止されていますか?

民間の病院などで雇われて働く場合、副業の扱いは主に勤め先の就業規則で決まります。国のガイドラインは原則として副業・兼業を認める方向が適当としていますが、法律ではありません[1]。公務員として働く場合は、法律で許可や承認の仕組みが定められています[5][6]。

就業規則に副業のことが書かれていなければ、自由に始めてよいですか?

本体に書かれていなくても、「兼業規程」や「服務規程」など別の規程に定めがあることがあります。規則だけで判断できないときは、人事や総務に確かめ、答えをメールやメモで残しておくと安心です。

業務委託の副業や、報酬のない活動も申請が必要ですか?

職場の規則が何を対象にしているかによります。「報酬を得て」「他の業務に従事」など、規則の言葉を読み、迷うときは担当部署に聞きましょう。地方公務員の場合、地方公務員法は、報酬を得て事業や事務に従事することなどを許可の対象にしています[5]。

パートや非常勤でも、副業の許可は必要ですか?

パートや非常勤向けに別の就業規則があり、扱いが違うことがあります。地方公務員の場合、非常勤職員は許可の規定の対象外とされていますが、短時間勤務の職を占める職員などは除かれます[5]。自分がどれにあたるかは、人事の担当に確かめてください。

夜勤明けに副業をしても大丈夫ですか?

規則で禁じられていなくても、体を休める時間が削られます。島根県の資料によると、日本看護協会のガイドラインは、1回の夜勤後の休息を24時間以上とする基準を示しています(法律上の義務ではありません)[2]。副業は、休日など体が休まった時間に入れるのがおすすめです。

許可の申請をすると、職場での評価に響きませんか?

申請そのものがどう受け止められるかは職場によって違い、一概には言えません。時間の上限や情報を使わないことを自分から示し、本業を優先する姿勢を見せることが、いちばんの備えになります。

副業が職場に知られるのが心配です。

隠すより、規則に沿って申請するほうが、あとで困りません。住民税など、職場に知られる主な仕組みと先にできることは、看護師の副業は職場にバレる?にまとめています。

副業を始めたら、税金の手続きは必要ですか?

給与を1か所から受けていて給与の全部が源泉徴収の対象となる人は、給与と退職金以外の所得の合計が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です[7]。20万円は収入ではなく所得の額です。住民税の扱いも含めて、看護師が副業すると確定申告は必要?で確かめてください。

まとめ

看護師の副業が制限されるのは、体を休める時間、患者さんや病院の秘密、本業とのぶつかり、病院の信用の4つを、職場が心配するからです。国のガイドラインは原則として副業を認める方向を示していますが、法律ではなく、民間の職場で決め手になるのは勤め先の就業規則です。公務員として働く場合は、法律に許可や承認の仕組みがあります。

  • 就業規則の「兼業」の条文を最後まで読み、禁止・許可制・届出制のどれかを確かめる
  • 許可制なら、4つの心配に先回りして答える形で申請する
  • 許可の範囲を超えるときは、始める前に出し直す

規則の読み方や、申請するかどうかで迷ったら、ひとりで抱え込まずに、LINEかフォームから気軽にご相談ください。

zaitakuwork

ほいくの相談室 編集部。保育士の方からの相談で多く聞かれる悩みをもとに、公的な資料で確認できる情報をまとめています。