最期が近い子どものそばで|がんの終末期の変化と親にできること

治すための治療が難しいと告げられたあとも、お子さんのために親ができることは残っています。体に起きる変化を前もって知っておくこと、苦しさを和らげる手立てを医療者と一緒に選ぶこと、そして触れて、声をかけて、そばにいることです。

これから先の変化は、病気の種類や体の状態によって、現れ方も順番も一人ひとり違います。ここに書くことが全部起きるわけでも、書いた順に起きるわけでもありません。残された日数の見通しは、この記事では書きません。今のお子さんを見ている主治医や看護師に、その都度たずねてください。

知りたい気持ちと、知るのが怖い気持ちの両方を抱えたまま、ここまで読みに来てくださったのだと思います。読むのがつらくなったら、途中で閉じてかまいません。

治療の選択肢がなくなったと聞いた、お父さん・お母さんへ

  • 治療の選択肢がなくなったと言われてから、これから子どもの体に何が起きるのか、考えるだけで涙が出る。
  • 苦しまないでほしい。でも、どれが苦しさのサインなのかも分からない。
  • 知らないままでいるのも怖くて、子どもが眠ったあと、病室の明かりを落としてこのページを開いている。

この記事で分かること

  • 最期が近い時期に、みられることのある体の変化と、その受け止め方
  • 痛みや苦しさを和らげる緩和ケアと、親から医療者に伝えてよいこと
  • そばで親にできること(触れる・声・好きなもの・きょうだい)
  • 病院で過ごすか、家で過ごすかを考えるときの手がかり

子どものがんの最期が近いと言われました。どんな変化が起きて、親は何ができますか?

眠っている時間が長くなる、食べる量や飲む量が減る、呼吸のリズムが変わるといった変化がみられることがあります。親にできるのは、変化の意味を医療者に聞きながら、触れる・声をかける・好きなものを近くに置くことです。

こうした変化は、病気が進むにつれて、体の働きが少しずつゆっくりになっていくなかで起きてくるものです。食べられなくなるのも、眠る時間が増えるのも、親の世話が足りなかったからではありません。

大切なのは、変化を「あと何日」という時計として読まないことです。体の変化は、残された時間を測る目盛りではなく、お子さんの体が今どんなふうに過ごそうとしているかを知らせる手がかりです。気になる変化に気づいたら、看護師に「今の様子を、どう見ていますか」とたずねてください。同じ変化でも、お子さんの病気や状態によって意味が違うことがあります。

看取りの時期の家族に向けては、体に起きてくる変化や、のどのゴロゴロ、せん妄(意識の混乱)、点滴などについて、家族の心配に沿って説明する冊子もつくられています(緩和ケア普及のための地域プロジェクト〈OPTIM〉『これからの過ごし方について』)。医師や看護師が説明に使うことを想定したものです。変化が起きてから驚かずにすむよう、「これから起こりうる変化を、前もって教えていただけますか」と頼んでおくのも一つの方法です。

変化体の中で起きていること(一般的に)そばでできること
眠る時間が長くなる体の働きがゆっくりになっていく無理に起こさず、手を握って話しかける
食べる量・飲む量が減る体が受け取れる量が少なくなっている看護師に方法を聞き、口の中を湿らせる
呼吸のリズムが変わる浅くなったり、間があいたりする苦しそうに見えるか、看護師と一緒に確かめる
のどでゴロゴロと音がするのどの奥にたまったものが音を立てる体の向きを変えてよいか相談する
落ち着かない・混乱する意識の混乱(せん妄)が起きていることがあるいつもの声と音楽で、安心できる空気をつくる
みられることのある変化と、そばでできること(現れ方も順番も一人ひとり違います)

子どもは苦しむのでしょうか?痛みや息苦しさは和らげられますか?

痛みや息苦しさなどの苦痛を和らげることは、緩和ケアの中心となる役割です。親が子どもの表情や動きから感じた「つらそう」は、そのまま医療者に伝えてかまいません。和らげる方法は、状態に合わせて組み合わせていきます。

緩和ケアは、WHOの定義(日本緩和医療学会の定訳)では、生命を脅かす病に直面している患者とその家族の生活の質を、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早く見つけて対応し、苦痛を予防し和らげることで高めるアプローチとされています。対象には家族も含まれています。お子さんのつらさだけでなく、そばにいる親のつらさも、相談してよいものです。

小さな子どもは、痛みを言葉で説明できないことがあります。顔をしかめる、体を丸める、触られるのをいやがる、好きな動画にも反応しない。そうした小さな変化に気づけるのは、いつもそばにいる親です。「いつもと違う」と感じたら、遠慮せずにナースコールを押してください。

医療用麻薬の痛み止めについて、「量が増えたら命が縮まるのでは」と心配になる親もいます。がんの痛みの薬について日本緩和医療学会がまとめた『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』には、「オピオイドの使用が生命予後を短縮するという根拠はない」と書かれています。ほかの方法で和らがない苦痛があるときには、眠ることで苦痛を感じにくくする「鎮静」が話し合われることもあります。学会の手引き(2023年版)は、鎮静が平均的に命を縮めるといった重い影響はないと想定される、としています。お子さんに使う薬の種類や量は、体の大きさや状態に合わせて主治医が考えるものなので、心配は質問の形でそのまま伝えてください。

[gk_cta_mid title=”今の状況と気持ちを、お電話で一緒に整理します”]この時期のことは、文字だけでは足りないかもしれません。ご希望の時間帯をフォームでお知らせいただければ、担当からお電話し、今夜泊まるか、誰に連絡するかといったことを一緒に整理します。[/gk_cta_mid]

最期が近い子どものそばで、親にできることは何ですか?

触れること、声をかけること、好きなものをそばに置くことです。眠っている時間が長くなっても、手を握る、いつもの呼び方で名前を呼ぶ、好きな音楽を小さく流すといった関わりは続けられます。

体を拭く、髪をとかす、手や足をそっとさする。看護師と一緒にするお世話の一つひとつが、言葉のいらない会話になります。病棟の決まりの範囲で、添い寝ができるかどうかも聞いてみてください。家で使っていたタオルやパジャマ、いつもの柔軟剤の香り、ぬいぐるみなど、においや手ざわりで「おうち」を感じられるものも、そばに置いておけます。

反応が少なくなっても、声をかけ続けることには意味があります。カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究(2020年)では、ホスピスの患者さんの脳波を調べ、反応がなくなった状態でも、一部の人の脳が音に反応していたと報告されています。調べられたのは少ない人数で、言葉の意味まで分かっているかどうかは分からないとされていますが、反応が返ってこなくなっても、耳には声が届いている可能性があるといわれています。くわしくは[gk_link to=”post:unresponsive-can-still-hear”]反応がなくなったときの記事[/gk_link]にまとめています。

話しかける言葉は、特別なものでなくてかまいません。「今日は雨が降っているよ」「弟がね、さっき電話で笑ってたよ」。いつもの家の会話を、いつもの声で続けることが、お子さんにとっての安心になります。本人が話せるうちは、「今いちばんしたいことは何?」と小さな希望をたずねてみてください。好きなアニメを一緒に見る、ペットの写真を見る、友だちからの手紙を読んでもらう。病棟に相談すると、かなえる方法が見つかることもあります。

  • 手を握る、髪をなでる、背中にそっと手を当てる
  • いつもの呼び方で名前を呼び、今日あったことを話す
  • 好きな音楽や、家族の声の録音を小さく流す
  • 家で使っていたタオルやぬいぐるみを、手の届くところに置く
  • 口の中を湿らせる方法を看護師に教わり、親の手でしてあげる
  • 添い寝ができるか、病棟の決まりを聞いてみる
五感でつながる、そばでできること

治療をやめると決めたのは、子どもをあきらめたことになりませんか?

なりません。治すための治療から、苦しさを減らすことに力を注ぐ治療へ重心を移すのは、お子さんの今を大切にするための選択です。その決断をしたことで、親が自分を責める理由はありません。

「治療をやめる」という言い方は、何もしなくなるように聞こえてしまいます。けれど実際には、痛みや息苦しさを和らげる治療も、お子さんと家族の過ごし方を支えるケアも、続いていきます。国立がん研究センターのがん情報サービスは、緩和ケアを受けられる場として、さまざまな職種で支える緩和ケアチーム、専門の医師や看護師による緩和ケア外来、緩和ケア病棟、自宅で受ける在宅緩和ケアの4つを挙げています。子どもの場合にどの形で受けられるかは病院や地域によって違うので、主治医に確かめてください。

決断は、親が一人で背負ったものではありません。主治医や看護師と話し合い、お子さんの様子を見ながら、みんなで選んだ道です。それでも夜になると「別の選択をしていれば」と考えてしまうかもしれません。その考えが浮かぶのは、最後まで子どもを守ろうとしてきた親だからこそです。

誤解されやすい受け止め方

  • もう何もしてもらえなくなる
  • 親が子どもをあきらめた

実際に続いていくこと

  • 痛みや息苦しさを和らげる治療とケア
  • 本人と家族の過ごし方を支える医療者の関わり
  • 親のつらさを聞いてもらえる相談の場
「治療をやめる」という言葉の受け止め方と、実際に続いていくこと

病院と家、どちらで過ごすのがいいのですか?

どちらが正解ということはありません。お子さんの希望、苦痛を和らげる体制、家族の暮らし、きょうだいのことを並べて、医療チームと一緒に決めていきます。状態や気持ちに合わせて、考え直すこともできます。

病院で過ごす良さは、医療者がすぐそばにいて、苦痛の変化にその場で対応してもらえることです。家で過ごす良さは、自分の部屋や家族の声、ペットや庭の景色など、お子さんにとっての「いつも」に囲まれていられることです。どちらを選んでも、そこに込めた親の思いは同じです。

家で過ごすには、在宅医と訪問看護の支えが欠かせません。訪問看護は、主治医の指示を受けて家に来てもらう仕組みです。在宅医療を担う診療所の中には、24時間連絡を受ける体制などを国の施設基準として整えている「在宅療養支援診療所」があります。ただ、すぐに駆けつけられるかどうかや、子どもの在宅医療に対応しているかどうかは医療機関ごとに違うため、病院の医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターと一緒に、地域で頼れる先を探していきます。

家で過ごすと決めたら、夜中に様子が変わったとき最初に電話する先を、在宅の担当チームと決めて、紙に書いて貼っておいてください。どんなときに救急車を呼び、どんなときは呼ばずに担当チームへ連絡するのかも、前もって話し合っておくと、いざというときに迷わずにすみます。

  1. Q1お子さんは「おうちに帰りたい」と話していますか

    はい家で過ごすために必要な準備と、外泊で試せるかを主治医に聞く

    いいえ病院で、家に近い過ごし方(好きなもの・きょうだいの面会)ができるかを聞く

  2. Q2家で、苦しさを和らげる体制(在宅医・訪問看護)を整えられそうですか

    はい夜中に様子が変わったとき最初に電話する先を、前もって決めておく

    いいえ医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターと、地域で頼れる先を探す

  3. Q3家族の体力やきょうだいの生活に、余裕はありそうですか

    はい交代できる人と役割を決め、家族が休める時間も予定に入れる

    いいえ病院で過ごしながら、外出や外泊など家族の時間をつくる方法を相談する

病院と家、迷ったときの分かれ道

きょうだいは、そばにいてもいいのでしょうか?

きょうだいの年齢と気持ちに合わせて、そばにいる形を選べます。会うかどうかを本人に選んでもらい、会う前に「どんな様子か」を短く伝えておくと、怖さを和らげる助けになります。

病気の子のそばに来たきょうだいは、管や機械、眠ってばかりの姿に驚くことがあります。会う前に「お姉ちゃんは、お薬でよく眠っているよ。声は聞こえているかもしれないから、話しかけてあげてね」のように、見るものと、できることを伝えておきます。面会の決まりは病棟によって違うので、先に看護師に確かめてください。

きょうだいにも役割があると、そばにいやすくなります。絵を描いて飾る、好きな歌を歌う、手をつなぐ、学校での出来事を話す。会うのが怖いと言うきょうだいには、無理に連れてこず、手紙や声の録音で関わる方法もあります。どの形を選んでも、それがきょうだいなりのお別れの準備になります。年齢ごとの話し方は、[gk_link to=”post:explaining-cancer-to-sick-child”]本人やきょうだいへの伝え方の記事[/gk_link]も参考にしてください。

きょうだいの学校や保育園の先生には、家の状況を短く伝えておくと、きょうだいの小さな変化に気づいてもらいやすくなります。

遠くの家族を呼ぶ時期や、今夜泊まるかは、どう決めればいいですか?

体の変化から日数を読み取ろうとせず、その日のお子さんを見ている看護師や主治医に「会わせたい人がいます。呼ぶなら、いつごろがよいでしょうか」「今夜は泊まったほうがよいですか」と直接たずねるのが確かです。

遠くに住む祖父母や親戚を呼ぶかどうかは、親がとても迷いやすいところです。呼んでも状態が落ち着いて長く過ごせることもあれば、急に変化が起きることもあり、医療者にも正確な時期は分かりません。だからこそ、「会わせたい人のリスト」と「連絡する順番」を先に紙に書いておき、医療者の見立てを聞いたらすぐに動ける形にしておくと安心です。

連絡するときの一文も、前もって決めておけます。たとえば「○○の具合が変わってきています。会いに来られそうなら、病院に来てもらえますか。来られるかどうかは、そちらの体調と都合を優先してください」。何度も同じ説明をするのがつらいときは、連絡の係を一人決めて任せてかまいません。

今夜泊まるかどうかは、病棟の決まりと、家で待つきょうだいの世話、親自身の体力を合わせて考えます。看護師に「夜のあいだに様子が変わったとき、家族への連絡はどのようにしていただけますか」と聞いておくと、家に帰る夜も、少し安心して眠れます。

この時期、親自身の心と体はどう守ればいいですか?

交代で眠る、食べる、外の空気を吸う時間を、予定として先に決めてしまうことです。親のつらさも緩和ケアの対象で、医療者や相談窓口に「親としてつらい」と話してかまいません。

「本人はもっとつらいのだから」と自分の気持ちを後回しにし、暮らしも回し続けなければならない家族のことを、国立がん研究センターのがん情報サービスは「ご家族は、『第二の患者』ともいわれます」と書いています。家族の病気が進んだときについてのページでも、家族が自分のつらさを医療者に相談してよいことに触れています。

まだ起きていない別れを思って、今から悲しくなるのは自然なことです。日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の『Foundation News』(2025年4月)は、これを「予期悲嘆」と呼び、「喪失が現実となる以前に起こる悲嘆」と説明しています。子どもの前で笑いながら、廊下に出ると涙が止まらない。その揺れ動きを、ひとりで抱え込まないでください。

がん相談支援センターには親だけで相談することもでき、費用はかからず、名前を伏せてもかまいません。小児がんにくわしい相談相手としては、公益財団法人がんの子どもを守る会のソーシャルワーカーもいます。電話は東京03-5825-6312、大阪06-6263-2666で、受付は平日10時〜17時(年末年始を除く)です。夜中に気持ちがあふれたときは、よりそいホットライン(0120-279-338)が無料で24時間受け付けています。がん専門の窓口ではありませんが、眠れない夜の話を聞いてもらえます。

お子さんとご家族

  • 主治医・病棟の看護師体の変化の見方と、今夜の過ごし方の相談
  • 緩和ケアチーム痛みや息苦しさを和らげる方法を一緒に考える
  • 訪問看護・在宅医家で過ごすときの苦痛の緩和と、夜間の連絡
  • 医療ソーシャルワーカー在宅の準備、制度、家族の暮らしの調整
  • がん相談支援センター家族だけでも、無料・匿名で相談できる
  • がんの子どもを守る会小児がん専門のソーシャルワーカーに相談できる
  • がんと家族の相談室今夜の判断と気持ちの整理を、電話で一緒に
最期の時期の親子を支える人たち

迷い続けていたお母さんは、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・母親の立場(小学5年の娘が入院中。治すための治療は終わり、緩和ケアが中心になった。小学2年の弟がいる)
相談のあとに変わったこと
娘の「つらそう」を、その場で看護師に伝えられるようになった。弟が週に2回、病室で姉と過ごす時間をつくり、夜の付き添いを夫と交代できるようになった。

1. 相談のあとに変わったこと

娘が顔をしかめたり、体を丸めたりしたときは、その場でナースコールを押して「痛そうに見えます」と伝えるようにした。それまでは、看護師が忙しそうだからと、次の見回りまで待っていた。弟は週に2回、学校帰りに病室へ来て、姉の手を握りながら、その日の出来事を話すようになった。夜の付き添いは夫と1日おきに交代し、母親も家で眠れる夜ができた。「聞いていいことと、伝えていいことが、思っていたよりずっと多かった」

2. 相談を考えた背景

娘の病気が再発し、主治医から、治すための治療はこれ以上難しいと説明を受けたのは、桜が散ったころだった。緩和ケアのチームが加わり、痛み止めの薬が少しずつ調整されていた。母親は、娘の前では笑顔でいようと決め、夜は病室の簡易ベッドで、娘の寝息を聞きながら朝を待つ日が続いていた。

3. 相談する前に困っていたこと

ネットで子どもの最期について調べると、大人のがんの記事ばかりが出てきた。娘の体にこれから何が起きるのか。痛み止めを増やすと、命が短くなるのではないか。弟を病室に連れてきていいのか。誰に聞けばいいのか分からず、回診の数分では言葉が出なかった。「聞いたら、もう終わりだと認めることになる気がして」

4. ここを選んだ理由・決め手

病院の相談支援センターも考えたが、病棟を離れる時間がとれなかった。夜、娘が眠ったあとにフォームから、翌日の昼の時間帯を指定して申し込むと、すぐに受付確認のメールが届いた。決め手は、医療機関ではなく、病状の判断はしないと書かれていたこと。主治医との関係を気にせずに、迷っていることをそのまま話せると思ったという。

5. 相談で話したこと・その後

電話では、担当がまず20分ほど母親の話を聞き、そのあと迷っていることを「痛み」「弟」「夜の付き添い」の3つに分けた。痛み止めの心配については、学会のガイドラインに書かれている一般的な内容を伝えたうえで、娘さんの薬のことは主治医に確かめるよう、聞き方を3つの質問にまとめて送った。担当は娘さんの見通しについては何も言わなかった。弟のことは、病棟の決まりを看護師に聞くところから始めた。最初の面会で弟は病室の入り口で立ち止まったが、2回目には自分から姉の手を握った。「この子たちの時間を、私が決めすぎないようにしようと思えました」

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

主治医・看護師に聞く質問例

  • 今の様子を、どのように見ていらっしゃいますか。
  • つらそうに見えるとき、親はどんなしぐさに気をつけて、どう知らせればいいですか。
  • 痛み止めや眠れるお薬について、心配なことを聞いてもいいですか。
  • 家で過ごす時間をつくることはできますか。そのためには何が必要ですか。
  • きょうだいが面会するとき、気をつけることはありますか。
  • 夜のあいだに様子が変わったとき、家族への連絡はどのようにしていただけますか。

とはいえ、この時期に覚えておいてほしい2つのこと

① 気持ちのこと──泣いても、眠っても、そばにいることに変わりはありません

子どもの前で涙がこぼれる、疲れて眠ってしまう、病室を出て深呼吸したくなる。どれも、親であることをやめたわけではありません。お子さんがいちばん安心するのは、完璧な親ではなく、いつもの声で名前を呼んでくれる親です。強くいられない日があっても、そのままの姿でそばにいてください。

② 実務のこと──付き添いの体制と、連絡の流れを先に組んでおく

この時期は、夜の付き添い、きょうだいの世話、親戚への連絡、職場への報告が一度に重なります。誰がどの夜に付き添うか、きょうだいを誰が迎えに行くか、親戚への連絡は誰が受け持つかを、紙一枚に書き出して家族で共有しておくと、急な変化があっても役割を探さずに動けます。職場には、急な休みが続くかもしれないことを早めに伝え、窓口になる人を一人決めておくと、病室から何度も説明せずにすみます。

今日できること

[gk_howto name=”今日できること” description=”今夜から明日にかけて、そばで始められる3つのこと” heading=”none”][gk_step title=”看護師にひとつ聞く”]次に看護師さんが来たら「今の様子を、どう見ていますか」とたずね、答えをノートに一行書きとめます。[/gk_step][gk_step title=”「おうち」をひとつ持ってくる”]家で使っていたタオル、好きな音楽、きょうだいの声の録音など、五感でつながるものをひとつ病室に置きます。[/gk_step][gk_step title=”自分が横になる時間を決める”]今夜か明日、交代してもらう人と時間を決め、短くても横になって目を閉じる時間をつくります。[/gk_step][/gk_howto]

よくある質問

[gk_faq][gk_q q=”子どもに「死んじゃうの?」と聞かれたら、どう答えればいいですか?”]その場で完璧な答えを用意しなくて大丈夫です。まず「どうしてそう思ったの?」「何が心配?」と、本人の気持ちを聞いてみてください。怖いのは痛みなのか、ひとりになることなのかで、伝えたい言葉は変わります。「ずっとそばにいるよ」「痛くないように、みんなで守るよ」のように、本人が安心できる約束を伝えることもできます。どこまで話すかは、主治医や看護師と相談しながら決めていけます。[/gk_q][gk_q q=”痛み止めの量が増えていくと、命が縮まりませんか?”]日本緩和医療学会のガイドライン(2020年版)は、医療用麻薬(オピオイド)の使用が命を縮めるという根拠はないとしています。量が増えるのは、多くの場合、そのときの痛みに合わせて調整しているためです。お子さんの薬の量や種類について不安があれば、「この量はどんな考えで決めていますか」と主治医にそのまま聞いてかまいません。[/gk_q][gk_q q=”食べられなくなったら、点滴をしたほうがいいのでしょうか?”]点滴(輸液)が楽になる助けになるかどうかは、体の状態によって変わります。看取りの時期の家族向けの冊子も、点滴について、家族の心配に沿って説明する項目を設けています。「この子の場合、点滴は楽に過ごす助けになりますか」と主治医にたずね、医療チームと一緒に考えてください。食べられないことは、親のせいではありません。[/gk_q][gk_q q=”その瞬間に立ち会えなかったらと思うと、病室を離れられません。”]何日も眠らずにそばにいることは、誰にもできません。交代できる人がいるときは任せて休み、看護師に「様子が変わったら知らせてください」と伝えておいてください。それでも離れているときに変化が起きることはあります。その瞬間にそばにいられたかどうかで、お子さんへの思いや、親として過ごしてきた時間の価値が変わることはありません。[/gk_q][gk_q q=”子どもが亡くなったあと、親の悲しみはどこに相談できますか?”]国立がん研究センター中央病院では、がんで大切な人を亡くした方に向けて「遺族ケア外来」を設けています。がん相談支援センターでも、家族の立場で相談できます。今は考えられなくてかまいません。必要になったときに、ここに戻ってきてください。[/gk_q][gk_q q=”夜中に気持ちが追いつかなくなったら、どこに話せばいいですか?”]夜中でも無料で話せる電話として、よりそいホットライン(0120-279-338)が24時間受け付けています。相談室の050-1720-6000には、平日の9時から18時までは担当が直接出ます。それ以外の時間は、夜間や休日も含めて自動音声が受け付け、翌朝9時までに担当から折り返しのお電話をします。LINEなら匿名で、夜に届いたものは翌朝いちばんに読んでお返事します。[/gk_q][/gk_faq]

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今夜のことを、電話で一緒に整理しませんか

[gk_form_cta]今のお子さんの様子をひとことと、折り返しのお電話番号、話しやすい時間帯をお書きください。受付確認のメールがすぐに届いたあと、その時間帯に担当からお電話します。今夜泊まるか、誰に連絡するか、言葉にならない気持ちのことまで、急がずに一緒に整理します。[/gk_form_cta]

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ほいくの相談室 編集部。保育士の方からの相談で多く聞かれる悩みをもとに、公的な資料で確認できる情報をまとめています。