「最後は苦しむのでは」という心配に、まずお伝えしたいのは、苦しさへの手立ては一つではなく、効かなければ次の手を考える仕組みが緩和ケアにはある、ということです。痛みには薬の種類や使い方を変える方法があり、息苦しさにも薬や酸素、姿勢の工夫があります。
一方で、どんな苦痛もゼロにできると約束できる医療はありません。痛みの感じ方や薬の効き方は人によって大きく違い、その方に合った和らげ方が見つかるまでに時間がかかることもあります。だからこそ、そばにいる家族の「苦しそう」という気づきが、手立てを動かすきっかけになります。
この記事では、痛み・息苦しさ・落ち着かなさ・のどの音について、いま分かっていること、医療用麻薬と鎮静についての誤解、そして医療者に「苦しそうです」と伝える具体的な言い方をまとめます。ご本人がご自分の最期を心配して読んでいる場合に向けた項目も設けています。
苦しむ姿を想像して、息が詰まりそうな方へ
- 「がんは最後に痛む」という話が頭から離れず、苦しむ場面ばかり想像してしまう。
- モルヒネを使ったら命が縮むのでは、眠らせたらもう話せないのでは、と聞くのが怖い。
- 苦しそうに見えても、看護師さんを呼ぶほどなのか、大げさなのか、判断がつかない。
がんの最期は、痛いのですか?
痛みが強く出る方もいれば、あまり出ない方もいて、がんの種類や広がり方によって違います。痛みが出た場合も、薬の種類・量・使い方を変えながら和らげていくのが、いまの緩和ケアの基本的な進め方です。
緩和ケアは、最期の時期だけのものではありません。がん情報サービスは、緩和ケアは「がんと診断されたときから始まります」と説明しており、痛みや息苦しさ、気持ちのつらさを、病気の時期を問わず和らげていく医療とされています。痛みの治療については、日本緩和医療学会が『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』をまとめています。
痛みの強さは、本人にしか分かりません。だから、和らげ方を決める出発点は本人の「痛い」という言葉です。飲み込むのが難しくなっても、貼り薬や注射に切り替えて続ける方法があります。言葉で伝えられなくなった時期には、顔をしかめる、うなる、触れると体をこわばらせる、同じ姿勢を嫌がるといった様子が、痛みの手がかりになることがあります。家族が気づいたことは、そのまま看護師さんに伝えて構いません。
- 1原因を探す痛みや息苦しさの原因に、治療で軽くできるものがないかを確かめる
- 2薬を合わせる医療用麻薬などの種類・量・使い方(飲む・貼る・注射)を調整する
- 3薬以外の工夫体の向き、クッション、部屋の温度や風、口の乾きのケア
- 4専門チームに相談する緩和ケアチームや緩和ケア外来、在宅緩和ケアの力を借りる
- 5鎮静を話し合うほかの方法で和らがない苦痛のとき、本人・家族と相談して検討する
息が苦しくなって、もがくような最期になるのですか?
息苦しさが出る方もいますが、酸素や薬、上半身の起こし方、顔に風を送る工夫など、和らげる方法があります。呼吸の形が大きく変わる最後の段階では、多くの方の意識が深く下がっていると考えられています。
息苦しさの緩和については、日本緩和医療学会の『進行性疾患患者の呼吸困難の緩和に関する診療ガイドライン 2023年版』があります。意識がはっきりしているときの息苦しさは、本人がつらさを感じている可能性が高いので、早めに伝えることが和らげる近道になります。
見ている家族がいちばん驚くのは、最後の段階の呼吸かもしれません。あごを動かすような呼吸、呼吸と呼吸の間が長くあく様子、のどの奥のゴロゴロという音。医療者は、こののどの音を「死前喘鳴」と呼ぶことがあります。飲み込む力が弱まり、唾液などがのどにたまって、呼吸のたびに動いて鳴る音です。この段階では意識が深く下がっていることが多く、見た目ほど本人は苦しんでいないと考えられています。
看取りの時期の家族向け冊子『これからの過ごし方について』(緩和ケア普及のための地域プロジェクト OPTIM)も、こののどのゴロゴロを、家族が心配しやすいことの一つとして取り上げています。吸引でかえって刺激になることもあるため、体の向きを変える、分泌物を減らす薬を使うなど、対応は看護師さんや医師が様子を見て判断します。
| 様子 | 一般的な受け止め方 | 家族ができること |
|---|---|---|
| のどの奥のゴロゴロ音 | 飲み込めなくなった唾液などが、呼吸のたびに動いて鳴る | 体の向きを変えてよいか、看護師さんに聞く |
| あごを動かすような呼吸 | 最期の近い時期に見られる呼吸の形で、意識は深く下がっていることが多い | そばで声をかけ、手に触れる |
| 呼吸の間があく | 止まったように見えて、また始まることを繰り返す | 揺さぶらずに見守り、様子を伝える |
| 意識があるときの息苦しさ | 本人がつらさを感じている可能性が高い | 「息が苦しそうです」と早めに伝える |
医療用麻薬(モルヒネなど)を使うと、命が縮むのですか?
日本緩和医療学会のがん疼痛のガイドライン(2020年版)は、医療用麻薬の使用で命が縮むという根拠はないとしています。痛みに合わせて量を調整しながら使う薬で、使い始めたことが最期の近さを意味するわけでもありません。
「モルヒネを使い始めたら終わり」「量が増えるのは悪くなっている証拠」と思っていると、痛み止めを頼むこと自体が怖くなります。けれど医療用麻薬は、痛みの強さに合わせて量や種類を調整する薬で、診断から間もない時期に使われることもあります。量が増えるのは、痛みに薬を合わせ直した結果のこともあり、量だけで病状を判断することはできません。
一方で、眠気、便秘、吐き気などの副作用が出ることはあります。眠ってばかりになった、話がかみ合わない、と感じたら、「薬の影響もありますか」と尋ねてください。量や種類、使い方を見直せる場合があります。眠る時間が増える理由は薬だけとは限らないので、[gk_link to=”post:sleeping-more-near-end”]眠りが増えることの意味[/gk_link]もあわせて読んでみてください。
家族の中には、「痛み止めを増やしてほしいと頼んだのは自分だ」と、あとから自分を責める方もいます。痛みを和らげてほしいと伝えたことは、本人のつらさに気づいて動いたということです。ガイドラインが示しているとおり、そのお願いが命を縮めたと考える根拠はありません。
「鎮静」とは何ですか?眠らせたら、もう話せなくなるのですか?
鎮静とは、手立てを尽くしても取りきれない強い苦痛に対して、薬の力で眠りを深め、つらさを感じにくくする緩和ケアの方法です。浅く一時的に使う形から、深く続ける形まであり、本人と家族の意向を聞きながら医療チームが検討します。
鎮静については、日本緩和医療学会が『がん患者の治療抵抗性の苦痛と鎮静に関する基本的な考え方の手引き 2023年版』をまとめています。この手引きは、少なくとも鎮静が平均的に命を縮めるような重大な影響はないと考えられる、としています。鎮静は命を縮めるための処置ではなく、苦痛を和らげるための選択肢の一つです。
浅い鎮静では、呼びかけに応えられる時間が残ることもあります。一方、深い鎮静を続ける場合は、言葉を交わすことが難しくなります。だからこそ、伝えておきたいことがあれば、鎮静が話題になる前から少しずつ伝えておくと、あとの心残りが小さくなります。「眠っていても、声は届いているかもしれない」と考えて、鎮静のあとも話しかけ続けるご家族もいます。
Q1本人は以前に「苦しいのは嫌」「眠っていたい」などの希望を話していましたか
はいその言葉をそのまま医療者に伝え、話し合いの材料にしてもらう
いいえ「本人ならどう考えそうか」を家族で話し、迷いも含めて医療者に伝える
Q2鎮静の前に、本人に伝えておきたい言葉がありますか
はい今日のうちに短く伝える。言葉にならなければ手を握るだけでもいい
いいえ無理に用意しなくていい。いつもの声で話しかければ十分
うなる、手を動かす、落ち着かない。これは苦しいサインですか?
痛みのサインのこともあれば、せん妄と呼ばれる一時的な意識の混乱のこともあり、見た目だけで区別するのは難しいものです。家族が見分ける必要はなく、「いつもと違う様子」をそのまま伝えれば、医療者が原因を探します。
せん妄は、一時的に起きる意識や認知の働きの乱れで、ゆっくり進む認知症とは別のものです。国立がん研究センターの解説では、病状が進んだ方や看取りの時期には起こりやすくなるとされています。薬、脱水、感染などが引き金になることもあり、原因によっては和らぐ場合があります。
そばにいるときは、否定や説得を重ねるより、落ち着いた声で名前を呼び、なじみのある物を手の届く所に置き、部屋の明かりを急に変えないようにすると、本人が安心しやすくなります。そのうえで、気づいたことをメモしておくと、医療者に状況が伝わりやすくなります。
- いつから、どのくらい続いているか
- 顔をしかめる、うなる、触られるのを嫌がるなどの様子
- 呼吸の速さや、肩で息をしていないか
- 夜に眠れているか、急に目覚めて混乱していないか
- 本人が口にした言葉(「痛い」「苦しい」「帰りたい」など)
- 何をすると少し落ち着いたか(体の向き、手を握る、声かけ)
「苦しそうです」と、医療者にどう伝えればいいですか?
遠慮はいりません。「いつから」「どんな様子か」「本人が何と言ったか」の3つを添えて、病棟ならナースコールで、自宅なら訪問看護の連絡先に伝えます。大げさかどうかを家族が判断する必要はありません。
たとえば病棟なら、「30分ほど前から父が肩で息をしていて、さっき『苦しい』と言いました。一度見ていただけますか」。自宅で夜なら、「〇〇の家族です。夜11時ごろから、うなり声が続いています。頓服の痛み止めは1回使いました。どうすればいいですか」。この程度の短さで十分です。痛みの強さを「0から10でいうと、いくつ?」と本人に聞いておくと、医療者にも伝わりやすくなります。
伝えることに遠慮がいらない理由は、ほかにもあります。国立がん研究センターが2025年に公表した遺族調査(2021年に亡くなった方のがん遺族1,226名)では、「からだの苦痛が少なかった」と答えた割合は37%で、前回の42%から下がっていました。遺族が振り返って答えた評価ですが、和らげる手立てがあっても、それが届ききっていない場面があることがうかがえます。家族の「苦しそう」は、その隙間を埋めるための大事な情報です。
医療者が駆けつけたときには、本人が落ち着いていることもあります。そんなときこそ、家族が見た様子を「さっきは5分ほど、こんなふうでした」と言葉で残してください。そして帰り際に、「次に同じ様子になったら、どうすればいいですか」と聞いておきます。頓服の痛み止めの使い方や、電話をする目安が分かると、次の夜の迷いが一つ減ります。医療者に聞きたいことがあってもなかなか声をかけられないときは、[gk_link to=”post:hard-to-ask-doctor”]看護師さんに小さく聞く方法[/gk_link]も参考になります。
苦しさを和らげることについて、どこに相談できますか?
まずは主治医と、病棟や訪問看護の看護師です。そのうえで、緩和ケアチーム、緩和ケア外来、緩和ケア病棟、在宅緩和ケアという専門の場があり、がん相談支援センターでは、どこに何を相談すればよいかを一緒に考えてもらえます。
緩和ケアは、入院中なら緩和ケアチームが病棟に来て関わり、通院中なら緩和ケア外来で受けられます。つらさの緩和を専門にした緩和ケア病棟もあり、自宅では在宅医と訪問看護による在宅緩和ケアがあります。「今の病院に緩和ケアチームはありますか」と聞くところから始められます。
がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などに置かれ、患者さんだけでなく家族や、その病院に通っていない人も、無料・匿名で利用できます。そこで話したことが、相談した人の同意なしに担当医や病院のスタッフに知られることはありません。「痛みが取れていない気がするが、主治医に言いにくい」という相談も、そこから始められます。
気づいた家族
- 病棟の看護師入院中は、まずナースコールで様子を伝える
- 主治医薬の調整や、これからの方針を相談する
- 緩和ケアチーム・外来痛みや息苦しさを専門に和らげるチーム
- 緩和ケア病棟つらさの緩和に特化した入院の場
- 訪問看護・在宅医自宅で過ごすときの、昼と夜の連絡先
- がん相談支援センターどこに何を相談すればよいかを、無料・匿名で一緒に考える
ご本人が、自分の最期の苦しさを心配しているときは?
その心配は、主治医や看護師さんにそのまま言葉にしてよいものです。「苦しいのは嫌」「最後まで話したい」「眠っていたい」といった希望は、和らげ方を選ぶときの大事な手がかりになります。
ご本人の方へ。家族の前では「大丈夫」と言いながら、夜にひとりで「最後は苦しむのだろうか」と調べてしまうのは、少しも恥ずかしいことではありません。怖さを抱えたまま平気なふりを続けるのは、とても疲れることです。ここでは泣いていいのです。
国の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」は、本人による意思決定を基本にしています。厚生労働省は、もしものときの医療やケアを前もって考え、家族や医療者と繰り返し話し合う取り組みを「人生会議」と呼んでいます。紙に書く必要はなく、「苦しいときは眠らせてほしい」「その前に家族と話したい」と、思ったときに一言伝えることから始められます。気持ちの落ち込みが続くときは、主治医やがん相談支援センター、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556、通話料がかかります)にも相談できます。
「苦しそう」を伝えられずにいた家族は、どう動いた?
説明のための例(実在の方の体験談ではありません)
1. 相談のあとに変わったこと
相談から10日ほどの間に、夜に2回、訪問看護の番号へ電話しました。それまでは、母がうなる夜は朝まで起きて様子を見るしかなく、週に4日はほとんど眠れていませんでした。電話のあと、在宅医が痛み止めの使い方を見直し、母が夜に眠れる日が増えたといいます。「電話していいんだ、と思えたのが大きかった」と振り返っています。
2. 相談を考えた背景
母は自宅で療養することを選び、訪問看護が週に何度か来ていました。昼間は落ち着いているのに、夜になるとうなり声が続くことがあり、父は「麻薬を増やしたら終わりだ」と痛み止めを増やすことに反対していました。
3. 相談する前に困っていたこと
夜中に「がん 最期 苦しい」と検索すると、つらい体験談ばかりが目に入りました。夜に訪問看護へ電話していいのか、どの程度なら呼んでいいのかが分からず、電話をかけても何をどう説明すればいいのか、言葉にできる自信がありませんでした。
4. ここを選んだ理由・決め手
病院のがん相談支援センターも考えましたが、その夜のうちに誰かに聞いてほしくて、まずLINEに短く送りました。翌朝いちばんに返事が届き、昼休みの時間帯を指定して、フォームから折り返しの電話を申し込みました。医療機関ではない相手なら、父の考えも含めて「こんなことを聞いていいのか」というところから話せそうだと思えたことが決め手でした。
5. 相談で話したこと・その後
担当は、母の状態を判断したり、薬の量について意見を言ったりはしませんでした。学会のガイドラインに書かれている医療用麻薬についての一般的な考え方を伝え、訪問看護に伝える「いつから・どんな様子か・母が何と言ったか」の3項目をメモにして送ってくれました。最初の夜は、電話をかけるまで20分ほど迷ったそうです。それでもメモを読み上げると、看護師さんはすぐに状況を分かってくれました。父は次の訪問診療に同席して自分で医師に質問し、薬の見直しに納得したといいます。
※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。
医師・看護師に聞く質問例
- 本人はいま、痛みや息苦しさをどのくらい感じていると見ていらっしゃいますか。
- 痛み止めが効いていないように見えるときは、どう伝えればいいですか。
- 夜中に苦しそうなときは、どこに、どんな言い方で連絡すればいいですか。
- 医療用麻薬の量を増やすと、眠気のほかにどんな変化がありますか。
- 鎮静が話題になるのは、どんなときですか。その前に家族が話しておくことはありますか。
とはいえ、苦しさを心配するあなたに伝えたい2つのこと
① 気持ちのこと──「苦しませたくない」と思う人がそばにいる意味
苦しむ姿を想像するだけで胸が詰まるのは、それだけ本人を大事に思っているからです。実際に苦しそうな姿を見て、病室から逃げ出したくなる日もあるかもしれません。それは冷たさではなく、見ている側も深く傷ついているしるしです。がん情報サービスは、本人を優先して自分の気持ちを後回しにしがちな家族のことを、「第二の患者」ともいわれると紹介しています。廊下で泣いてから戻る、交代して家で眠る。それも、そばに居続けるための工夫です。[gk_link to=”post:hard-to-watch-family-suffer”]見ているのがつらいとき[/gk_link]の向き合い方も、別の記事でまとめています。
② 実務のこと──苦しさに応える体制を、過ごす場所ごとに確かめておく
入院中なら、その病院に緩和ケアチームがあるか、夜間に痛み止めを追加するときは誰がどう判断するのかを、一度聞いておくと安心です。自宅で過ごす場合、末期のがんの方の訪問看護は、要介護認定があっても医療保険で受けられ、原則週3日以内という日数の制限もかかりません(主治医の指示が前提です)。在宅療養支援診療所には24時間連絡を受ける体制が求められていますが、来てもらえるまでの時間は医療機関ごとに違います。家族の中では、医療者に様子を伝える役を誰でも担えるよう伝え方を共有しておくと、どの家族が付き添っている夜でも同じように動けます。決めた連絡先がないまま急に様子が変わり、命に関わると感じたときは119番へ。救急車を呼ぶべきか迷うときに相談できる救急安心センター事業(#7119)もありますが、実施していない地域もあります。
今日できること
[gk_howto name=”今日できること” description=”苦しさへの不安を、手元の準備に変える3つのこと” heading=”none”][gk_step title=”伝える3項目をメモにする”]「いつから」「どんな様子か」「本人が何と言ったか」の3つの欄を、スマホのメモに作っておく。[/gk_step][gk_step title=”夜の連絡先を一番上に入れる”]病棟の電話番号、または訪問看護・在宅医の夜間の番号を、電話帳のすぐ見つかる場所に登録する。[/gk_step][gk_step title=”薬の心配を1つ質問にする”]「量を増やすと何が変わりますか」など、気になっていることを1つだけ書き、次の回診や訪問で聞く。[/gk_step][/gk_howto]よくある質問
[gk_faq][gk_q q=”がんで亡くなるときは苦しいのですか?最期は痛いのですか?緩和ケアでどこまで和らげられますか?”]痛みや息苦しさが出る方はいますが、医療用麻薬、酸素、姿勢の工夫など、和らげる方法は複数あります。それでも取りきれない強い苦痛には、本人や家族と相談して鎮静を検討する道もあります。どこまで和らげられるかは人によって違い、苦痛をゼロにすると約束することはできません。けれど、つらさを伝えるたびに次の手を考えてもらえるのが緩和ケアです。最後の段階の呼吸の変化やのどの音は、見た目ほど本人は苦しんでいないと考えられています。[/gk_q][gk_q q=”痛み止めが増えると、最期が近いということですか?”]そうとは限りません。医療用麻薬は痛みの強さに合わせて量を調整する薬なので、量が変わるのは、痛みに薬を合わせ直した結果のこともあります。量だけで病状は判断できないので、気になるときは「今回の調整は、どういう理由ですか」と医師や看護師さんに尋ねてください。[/gk_q][gk_q q=”鎮静をお願いしたら、家族が命を縮めたことになりませんか?”]そう考えてご自分を責めなくて大丈夫です。日本緩和医療学会の鎮静の手引き(2023年版)は、少なくとも鎮静が平均的に命を縮めるような重大な影響はないと考えられる、としています。鎮静は、ほかの方法では和らがない苦痛を和らげるための選択肢で、医療チームが本人の意向や家族の思いを聞きながら検討するものです。家族ひとりの決断で行うものではありません。[/gk_q][gk_q q=”のどがゴロゴロ鳴っているのに、吸引してもらえないのはなぜですか?”]のどの奥の音は、飲み込めなくなった唾液などが呼吸のたびに動くことで鳴っていて、吸引しても取りきれないことや、管を入れる刺激がかえって負担になることがあります。そのため、体の向きを変える、分泌物を減らす薬を使うといった方法が選ばれることもあります。理由が分からないときは、「吸引しないのはどうしてですか」と聞いて構いません。[/gk_q][gk_q q=”自宅で、夜中に苦しそうになったら、どこに連絡すればいいですか?”]まずは、訪問看護や在宅医と決めてある夜間の連絡先に電話します。在宅療養支援診療所には24時間連絡を受ける体制が求められていますが、来てもらえるまでの時間は医療機関ごとに違うため、事前の確認が役に立ちます。決めた連絡先がないまま急に様子が変わり、命に関わると感じたときは、119番に電話してください。[/gk_q][gk_q q=”本人が「大丈夫」と言って、痛みを我慢しているように見えます。”]家族に心配をかけたくない、強い薬を使うのが怖い、といった理由から、痛みを小さめに伝える方もいます。「痛みを伝えるのは、わがままではなく治療の一部だよ」と声をかけ、医師や看護師さんにも「本人は我慢しているかもしれません」と家族から伝えておくと、医療者が本人に直接たずねるきっかけになります。0から10の数字で痛みを答えてもらう方法も、言いにくさを和らげます。[/gk_q][gk_q q=”最期に苦しませてしまったのではと、今も自分を責めています。”]そう考えてしまうのは、それだけ本人のことを思っていたからです。苦しさの出方には病気そのものが大きく関わり、家族の判断だけで決まるものではありません。気持ちが晴れない日が続くときは、がん相談支援センターや、国立がん研究センター中央病院の遺族ケア外来のような、大切な人を亡くした方のための窓口があります。夜につらくなったときは、がん専門の窓口ではありませんが、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間・無料)にも電話できます。[/gk_q][/gk_faq]次に読むなら
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