保育士が乳児院・児童養護施設へ転職する前に知ること

学生時代の施設実習で、消灯後の暗い部屋に座り、なかなか寝つけない子の背中をとんとんし続けた夜がある。「明日もいる?」と小さな声で聞かれて、うまく答えられなかった。保育園で働くようになって何年たっても、あの夜のことをふと思い出す。そんな記憶を胸に、施設で働くことを考え始める保育士の方がいます。

保育園で何年か働いたあとに、乳児院や児童養護施設など、子どもが暮らす「施設」で働くことを考える保育士は少なくありません。一方で、施設の仕事は外からは見えにくく、「夜勤があるのは本当?」「保育園の経験は通用する?」「つらいことが多いのでは」と、不安も大きくなりがちです。

この記事では、保育士が乳児院・児童養護施設・障害児施設などに転職するときに知っておきたいことを、施設の種類、勤務の形、仕事の中身、向き不向き、求人の探し方の順に整理しました。施設で働く大変さについても、正直に書いています。読み終えたときに、自分が施設に向いているかを考える材料がそろっていることを目指しました。

この記事でわかること

  • 施設保育士が働く場所の種類(乳児院・児童養護施設・障害児入所施設など)
  • 夜勤や宿直を含む勤務の形と、夜勤の日の流れ(例)
  • 施設の種類ごとに違う保育士の仕事の中身
  • 施設保育士に向いているかを確かめる10の問い
  • 施設の仕事のしんどさと自分を守る方法、求人の探し方と見学で聞くこと

結論

保育士が乳児院・児童養護施設・障害児入所施設などの施設に転職すると、子どもが暮らす生活の場で、食事、入浴、睡眠、遊び、学習、通院まで、生活全体を支える仕事になります。保育園との最大の違いは、子どもの生活が24時間続くため、夜勤や宿直を含む交替制の勤務があることと、家族との関係や将来の自立まで見据えて関わることです。夜をまたぐ勤務を続けられるか、何年もかけて子どもと関係を築けるか、職員同士で情報を細かく共有できるかが、向き不向きの分かれ目になります。求人は施設を運営する社会福祉法人や自治体の募集に出ることもあるため、探す場所を広げ、見学で勤務表と夜勤の回数、職員を支える仕組みを確かめてから応募してください。

01施設保育士とは:働く場所の種類と、保育園との違い

要点:「施設保育士」は、乳児院や児童養護施設、障害児入所施設など、保育所以外の児童福祉施設で働く保育士を指す言葉です。子どもを預かる場所ではなく、子どもが暮らす場所で働く点が、保育園との根本的な違いです。

保育士の資格を持って社会福祉施設等で働いている人は、2024年10月1日時点で約67.5万人いて、この中には児童養護施設などで働く保育士も含まれています[1]。保育士の多くは保育所で働いていますが、資格を活かせる場所は保育所だけではありません。

施設で暮らしている子どもたちは、親の病気や経済的な事情、虐待など、さまざまな理由で家庭で暮らすことができない子どもたちです。また、障害のある子どもが、日常生活の支援や将来の自立に向けた支援を受けながら暮らす施設もあります。保育士は、そうした子どもたちにとって、毎日の生活をともにする身近な大人になります。

図1

  • 1

    乳児院

    主に乳児が暮らし、必要に応じて幼児も生活する。授乳、離乳食、睡眠、発達の見守りなど、0歳児クラスに近い関わりが中心

  • 2

    児童養護施設

    主に幼児から高校生までが暮らす。登校の準備、学習、進路の相談、退所後の自立に向けた支援まで関わる

  • 3

    障害児入所施設

    障害のある子どもが暮らし、食事や入浴などの生活の支援と、自立に向けた練習を行う。医療的なケアが必要な子どもが暮らす施設もある

  • 4

    通所の障害児施設

    子どもが自宅から通う。児童発達支援や放課後等デイサービスなどで、夜勤はなく日中の勤務が中心

図1 施設保育士が働く主な場所

「預かる」のではなく「一緒に暮らす」

保育園では、朝に子どもを迎え、夕方に保護者へ返します。施設では、子どもが帰る場所そのものが施設です。朝は起こして身支度を手伝い、学校や園に送り出し、帰ってきたら「おかえり」と迎え、宿題を見て、夕食を食べ、お風呂に入れ、布団に入るまで見守ります。熱を出せば病院に連れて行き、学校の面談にも出かけます。

施設によっては、少人数のグループで家庭に近い形で暮らす「小規模なユニット」をとっていて、職員が台所で食事を作ることもあります。保育の専門性に加えて、家事や生活を回す力が求められる点も、保育園との大きな違いです。

02勤務の形:夜勤・宿直を含む交替制の働き方

要点:施設は子どもの生活が24時間続くため、早番・日勤・遅番に加えて、夜勤や宿直を含む交替制の勤務が一般的です。月に何回の夜勤があるかで、生活のリズムは大きく変わります。

保育園でも早番や遅番はありますが、施設ではそれが夜を通して続きます。勤務の組み方は施設ごとに違いますが、早番、日勤、遅番、夜勤(または宿直)を組み合わせたシフトで、月に数回の夜勤が入ることが多くなります。休日も土日に固定されず、平日に休むことが増えます。

図2

  1. 16:00出勤。日勤の職員から、子ども一人ひとりの体調と学校での様子を引き継ぐ
  2. 16:30〜18:00宿題を見る、幼児と遊ぶ、夕食の準備を手伝う
  3. 18:00〜19:00夕食。食べた量や表情を見ながら、その日の話を聞く
  4. 19:00〜21:00入浴、歯みがき、翌日の準備。幼児から順に布団に入る
  5. 21:00〜23:00中高生と話す時間、記録。消灯後に見回りをする
  6. 23:00〜6:00交代で休憩と仮眠をとりながら、夜中の見回りや、目を覚ました子への対応をする
  7. 6:00〜8:00起床、朝食、身支度。登校と登園を見送る
  8. 8:00〜10:00日勤の職員に夜の様子を引き継ぎ、記録をまとめて退勤
図2 児童養護施設の夜勤の流れ(例:16時から翌朝10時までの勤務)

夜勤のある働き方では、労働時間と休憩、深夜の手当の扱いを必ず確かめてください。法律では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を勤務の途中に与えることになっています[2]。また、午後10時から午前5時までの深夜に働いた分には、25%以上の割増賃金を支払うことが定められています[3]。

施設によっては、夜を「夜勤」ではなく「宿直」として扱っているところもあり、勤務の扱いや手当の計算の仕方が違います。求人票に「夜勤あり」「宿直あり」とだけ書かれている場合は、1回の勤務時間、仮眠の時間と場所、手当の金額、夜勤明けの休みの扱いを、面接で具体的に聞いておきましょう。

休日と有給休暇の取り方も確かめておく

シフト制の施設では、休日は勤務表で決まります。月の休日数は何日か、希望休を何日まで出せるか、連休は取れるかを確かめておきましょう。有給休暇は、雇い入れから6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に10日が付与され、その後は勤続年数に応じて増えていきます[4]。交替制の職場では、誰かが休むと別の職員の勤務が変わるため、有給休暇を取りやすくする工夫をしているかどうかも、施設ごとに差が出やすい点です。

夜勤のある生活は、自分の体と相談して決める

夜勤明けの日は、体が昼夜の切り替えについていかず、思ったより疲れが残ることがあります。保育園の早番と遅番の切り替えでも体がつらかった人は、夜勤の回数が少ない施設や、日勤中心の働き方ができる施設を選ぶ方法もあります。シフトによる体の負担については、早番・遅番の負担を軽くする方法も参考になります。

03施設の種類で変わる、保育士の仕事の中身

要点:同じ「施設保育士」でも、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設では、子どもの年齢、生活の支援の中身、家族との関わり方が大きく違います。自分がどの年齢の子どもと、どんな形で関わりたいかを先に考えておくと、施設を選びやすくなります。

図3

項目乳児院児童養護施設障害児入所施設
主な子どもの年齢主に乳児主に幼児から高校生施設により幅がある
生活の支援授乳、離乳食、おむつ替え、睡眠、発達の見守り身支度、食事、学習、生活習慣、金銭の使い方食事、入浴、排せつ、移動などの介助と、自立に向けた練習
保育士の役割特定の大人として、安心できる関係を築く親に代わる身近な大人として、日々の相談に乗る一人ひとりの特性に合わせて、生活の質を高める
家族との関わり面会の付き添い、家庭に戻る準備面会や外泊の調整、家庭に戻る準備や退所後の支援面会の調整、家族との情報共有
一緒に働く職種看護師、栄養士、心理職など児童指導員、心理職、栄養士など看護師、児童指導員、リハビリの専門職など
図3 乳児院・児童養護施設・障害児入所施設の仕事の違い

乳児院は、0歳児クラスの経験がある保育士にとって、仕事のイメージをつかみやすい施設です。ただし、保育園と違って、夜中の授乳やおむつ替え、夜泣きへの対応も仕事に含まれます。また、子どもとの間に安定した関係をつくるために、特定の職員が特定の子どもを担当する形をとる施設もあり、担当の子どもの成長を細かく記録し、関係機関と共有する役割も担います。

児童養護施設は、子どもの年齢の幅が広いのが特徴です。幼児の寝かしつけと、高校生の進路の相談を、同じ夜に担当することもあります。思春期の子どもは、大人を試すような言動をとることもあり、受け止める力と、毅然とした態度の両方が求められます。学校の宿題や定期テストの勉強を見る、高校受験や就職に向けた相談に乗る、アルバイトの給料の使い方を一緒に考えるなど、保育園では経験しない関わりも増えていきます。

障害児入所施設は、生活の介助の比重が大きくなる施設です。食事や入浴、排せつの介助、移動の支援など、体を使う仕事も多くあります。保育園で培った観察力や、言葉にならない気持ちをくみ取る力は、ここでも大きな強みになります。日中だけの勤務を希望する場合は、通所の障害児施設を検討するのも一つの方法です。

04施設保育士に向いているかを確かめる10の問い

要点:施設の仕事に向いているかどうかは、保育の経験年数よりも、生活のリズム、長い時間軸、チームでの働き方、気持ちの切り替えに関わる問いで見えてきます。当てはまるものが多いほど、施設の働き方と相性がよいと考えられます。

図4

  • 夜をまたぐ勤務を、月に数回なら続けられそうか夜勤や宿直は施設の働き方の前提になる。体質や家庭の事情と合うかを考える
  • 土日に休めない月があっても困らないかシフト制で平日休みが増える。家族や友人との予定の立て方が変わる
  • 何年もかけて関係を築くことにやりがいを感じるか子どもの変化は、数か月から数年単位で見えてくることが多い
  • 試すような言動を、個人への攻撃と受け取らずにいられるか大人を信じられるかを確かめる行動として表れることがある
  • 料理や掃除など、生活を回すことが苦にならないか小規模なユニットでは、家事が仕事の一部になる
  • 記録を細かく書き、職員同士で共有することを大切にできるか交替勤務のため、引き継ぎの正確さが子どもの安心に直結する
  • 子どもとの別れを、前向きに受け止められそうか家庭に戻る、ほかの場所に移るなど、別れは仕事の一部になる
  • 自分の気持ちを、誰かに話して整理する習慣があるか感情の負担が大きい仕事なので、一人で抱えない工夫が欠かせない
  • 学校や病院、児童相談所など、外の人とやりとりすることに抵抗がないか子どもの生活を支えるために、多くの関係機関と連携する
  • 自分の生活と仕事の境目を意識して保てるか子どもへの思いが強いほど、休日も仕事のことを考えがちになる
図4 施設保育士に向いているかを確かめる10の問い

10の問いのうち、半分以上に「はい」と答えられるなら、施設の働き方と相性がよい可能性があります。反対に、1つ目と2つ目に強い抵抗がある場合は、通所の施設や、日勤中心の働き方ができる施設から考えるほうが、無理なく続けられるかもしれません。どの問いも、正解・不正解ではなく、自分の暮らし方と仕事の形が合うかを確かめるためのものです。

05相談事例:保育園の0歳児担任から乳児院に移ったひよりさん

要点:ここでは、保育園の0歳児クラスから乳児院に転職したモデルケースを紹介します。夜勤への不安をどう確かめ、入職後に何が変わったかに注目してください。

「ばいばい」がいちばん嬉しくて、いちばんさみしい

相談事例(モデルケース)

お名前
ひよりさん(仮名)・27歳
保育士歴
6年目(うち乳児院2年目)
勤務先
社会福祉法人の乳児院(定員約30名)、正職員、夜勤あり
家族
一人暮らし
変化
持ち帰り仕事 週2日 → なし/夜勤 なし → 月4〜5回

編集部乳児院への転職を考えたのは、どうしてですか。

ひよりさん

0歳児クラスを3年続けて担当して、赤ちゃんの発達を見るのがすごく好きだって気づいたんです。それと、クラスにいた子が家庭の事情で途中で退園して、乳児院に移ったと聞いたことがあって。その子が夜、誰に抱っこされて寝ているんだろうって、ずっと気になっていました。保育園は大好きだったけど、そういう子のそばにいたいって気持ちが、だんだん大きくなりました。

編集部転職の前に、いちばん不安だったことは何ですか。

ひよりさん

夜勤です。早番と遅番の切り替えでも体がきつかったので、夜をまたぐなんて無理かもって。見学のときに勤務表を見せてもらったら、夜勤は月4〜5回で、明けの次の日は必ず休みになっていて。仮眠の部屋も見せてもらえたので、具体的に想像できるようになりました。

編集部実際に働いてみて、どうでしたか。

ひよりさん

最初の3か月は、夜勤明けの日にぐったりして何もできなかったです。でも、明けの日はとにかく寝て、次の休みに予定を入れる、って決めてからは楽になりました。持ち帰りの仕事はなくなりました。保育園では壁面や制作を家でやっていたので、それがないのは大きいです。

編集部乳児院ならではの難しさはありましたか。

ひよりさん

担当していた男の子が、1年半たって家庭に戻ることになったときです。毎日ミルクをあげて、初めて歩いた日も見ていた子だったので。家庭に戻るのはいちばん嬉しいことなのに、最後の日はトイレで泣きました。先輩に「さみしいのは、ちゃんと関わってきた証拠だよ」って言われて、少し救われました。

「ばいばい」が、いちばん嬉しくて、いちばんさみしい。そういう仕事なんだと思っています。

ひよりさん(仮名)

ひよりさんは2年目の今、新しく入った職員に、授乳や寝かしつけのときの記録の書き方を教える役割も担っています。夜勤のある月とない月で生活のリズムを分けて考えるようになり、休日は友人と会う予定を、夜勤明けの翌々日に入れるようにしているそうです。

このケースのポイントは、夜勤への不安を「勤務表」「明けの休み」「仮眠の場所」という具体的なことで確かめたことです。不安をそのままにせず、見える形にしてから決めたことで、入職後の大変さも想定の範囲として受け止められています。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図5

保育園の0歳児担任乳児院

持ち帰り仕事

週2日
なし

夜勤

なし
月4〜5回

土日の休み

毎週
月に1〜2回

一人の子と過ごす時間

1日1時間ほど
勤務中の大半
図5 ひよりさんの働き方の変化(入職1年後)

06施設の仕事のしんどさと、自分を守る方法

要点:施設の仕事には、子どもの深い傷つきに触れる場面や、別れの場面が避けられずにあります。やりがいが大きい分、自分の気持ちを守る仕組みを持っておくことが、長く働くための前提になります。

施設で暮らす子どもの中には、大人を信じられなくなっている子もいます。わざと困らせるような言動をとったり、強い言葉をぶつけてきたりすることもあります。こうした行動は、「この大人は自分を見捨てないか」を確かめるためのものだと言われることがありますが、頭で分かっていても、毎日受け止めるのは簡単ではありません。

もう一つのしんどさは、別れです。子どもが家庭に戻ること、別の施設や里親のもとに移ること、18歳で施設を出て自立することは、どれも子どもにとって大切な節目です。けれど、毎日をともにしてきた職員にとっては、さみしさや心配が残ります。

こうしたしんどさから自分を守るために、次のようなことを意識している職員が多くいます。

  • 感じたことを、その日のうちに職員同士で話す
  • 記録に事実を書き、気持ちは別のノートや会話で吐き出す
  • 休日は意識して仕事以外の予定を入れる
  • 施設の外に、話を聞いてくれる人を持つ

気持ちの落ち込みが続く、眠れない日が2週間以上続くといったときは、医療機関の受診を考えてください。働く人向けの「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時。祝日と年末年始は休止)でも、仕事の悩みを聞いてもらえます[5]。相談先の選び方は保育士のメンタル不調の相談先にまとめています。

施設を選ぶときには、職員を支える仕組みがあるかどうかも大切な判断材料です。心理職などの専門職に相談できる機会があるか、事例を振り返る会議が定期的に開かれているか、新人職員に先輩がつく期間があるか。見学のときに聞いてみると、施設の考え方が見えてきます。

07求人の探し方と、見学で聞いておきたいこと

要点:施設の求人は、保育園の求人と比べると数が少なく、運営する法人や自治体の募集ページに出ることもあります。見学では、勤務表、夜勤の回数、職員を支える仕組みを具体的に確かめてください。

乳児院や児童養護施設は、社会福祉法人などが運営しています。自治体が運営している施設では、自治体の職員として採用されることもあります。保育士向けの求人サイトに加えて、ハローワーク、法人のホームページ、自治体の職員募集のページを見ておくと、見落としが減ります。法人によっては、保育園と施設の両方を運営していて、法人内での異動の希望を出せる場合もあります。施設は欠員が出たときに年度の途中で募集をかけることもあるので、気になる施設があれば、募集の有無にかかわらず見学の相談をしておくと、次の募集の知らせを受けやすくなります。

図6

  1. 働きたい施設の種類を決める乳児院、児童養護施設、障害児入所施設のどれか。夜勤を含む働き方ができるかも考える
  2. 求人を探す保育士向けの求人サイト、ハローワーク、法人のホームページ、自治体の募集ページを見る
  3. 見学を申し込む子どもの生活の様子、職員の動き、勤務表、仮眠の場所を見せてもらう
  4. 面接で条件を確かめる夜勤の回数と時間、手当、明けの休み、研修と相談の体制を聞く
  5. 労働条件を書面で確かめる就業場所と業務の変更の範囲、勤務時間、賃金を労働条件通知書で確認する
図6 施設保育士として働き始めるまでの流れ

求人を出す側は、業務内容、就業時間・休憩・休日、時間外労働の有無、賃金などを、原則として最初の面接までにすべて明示することになっています[6]。夜勤のある施設では、1か月の勤務時間の組み方も大切なので、気になることは遠慮せずに質問してください。また、2024年4月からは、労働契約を結ぶときに就業場所と業務の「変更の範囲」も明示することが必要になりました[7]。同じ法人の別の施設に異動する可能性があるかどうかも、ここで確かめられます。

保育園以外で保育士の資格を活かせる職場の全体像は、保育園以外で保育士が働ける場所で一覧にしています。職場のタイプごとの違いを比べたいときは、保育士の職場タイプの選び方も役に立ちます。

施設の仕事は、外からは見えにくい分、一人で調べていると不安ばかりが大きくなりがちです。ほいくの相談室では、転職するかどうかを決めていない段階でも、保育士さんの相談を受けています。施設で働くことへの迷いを話しながら、自分の暮らし方に合う働き方を一緒に整理できます。

よくある質問

施設保育士は、必ず夜勤がありますか?

入所施設では夜勤や宿直を含む交替制の勤務が一般的ですが、回数や形は施設によって違います。日勤中心の働き方ができる施設や、夜勤のない通所の施設もあります。求人票と見学で、夜勤の回数と勤務時間を確かめてください。

保育園での経験は、乳児院や児童養護施設で活かせますか?

活かせます。乳児院では0歳児クラスでの授乳や睡眠の見守り、児童養護施設では幼児クラスでの生活習慣の支援や遊びの経験が役立ちます。一方で、家族との関係の調整や、思春期の子どもへの関わりは、入職後に学んでいくことになります。

子どもとの別れがつらくなりそうで不安です。

その不安は、子どもを大切に思う気持ちの表れです。別れは施設の仕事の一部ですが、職員同士で気持ちを話せる施設では、さみしさを一人で抱えずにすみます。見学のときに、職員の気持ちを支える仕組みがあるかを聞いてみてください。

夜勤があると、給料は保育園より高くなりますか?

深夜の時間帯に働いた分には25%以上の割増賃金が支払われることになっており[3]、夜勤手当を設けている施設もあります。ただし、基本給や手当の決め方は施設ごとに違うため、夜勤の回数と手当を含めた月の収入の見込みを、面接で具体的に確かめてください。

30代や40代から施設に転職しても大丈夫でしょうか?

年齢よりも、夜勤を含む勤務を続けられる体力と、子どもや家族に落ち着いて向き合えるかが問われます。保育園での経験や自分の子育ての経験が、子どもや家族との関わりに活きる場面もあります。見学で勤務表を見せてもらい、自分の生活に合うかを具体的に確かめてから応募してください。

一度施設で働いたあと、保育園に戻ることはできますか?

戻ることはできます。子どもの生活全体を見てきた経験や、家族との関係に配慮した関わりは、保育園でも保護者支援の場面で役立ちます。面接では、施設で何を学び、保育園でどう活かしたいかを具体的に伝えられるようにしておくと安心です。

参考にした資料

  1. こども家庭庁「保育人材の確保のための総合的な対策」令和8年3月版
  2. e-Gov法令検索「労働基準法」
  3. 厚生労働省 FAQ「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」
  4. 厚生労働省 FAQ「年次有給休暇とはどのような制度ですか…」
  5. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
  6. 厚生労働省 求職者向けリーフレット(2024年4月)
  7. 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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