ピアノが苦手な保育士でも働ける?練習法と職場の選び方

朝の会の「おはようのうた」。前奏を弾き始めたところで左手がもつれ、子どもたちの歌声だけが先に進んでいく。慌てて右手だけで追いかけ、なんとか最後まで弾き終えたものの、背中には冷や汗。隣のクラスから聞こえてくる軽やかな伴奏と比べてしまい、「私、保育士に向いていないのかな」と落ち込む。ピアノの悩みは、意外なほど多くの保育士が抱えています。

新卒で初めてクラスを持つ人、ブランクを経て復職を考えている人にとって、ピアノは大きな不安の種です。けれど、保育の現場で求められるピアノは、発表会で聴かせるための演奏とは違います。子どもの歌を止めずに支えること。そこに目標を絞れば、苦手な人でも準備のしかたがはっきりします。

この記事では、ピアノが苦手でも保育士として働けるのかという疑問に答えたうえで、園でピアノを使う場面と求められる水準、苦手な人のための練習の手順、園や面接での伝え方、ピアノの負担が少ない職場の探し方を順に紹介します。

この記事でわかること

  • ピアノが苦手でも保育士として働けるか、現場の実情
  • 園でピアノを使う場面と、求められる水準の目安
  • 苦手な人が1曲ずつ弾けるようにする練習の手順
  • 園や面接で、ピアノが苦手なことを伝える方法
  • ピアノの負担が少ない職場の探し方

結論

ピアノが苦手でも、保育士として働くことはできます。保育の場でピアノを使うのは、主に朝の会・帰りの会の歌、季節の歌、リズム遊び、誕生会や発表会などの場面で、多くの場合に求められるのは上手な演奏ではなく、子どもの歌を止めずに伴奏し続けることです。右手のメロディーと左手の簡単な和音(コード)で弾く簡易伴奏から練習すれば、毎日使う曲から1曲ずつ増やしていけます。それでも負担が大きいときは、入職前に園でのピアノの使い方を確認し、ピアノを使う場面が少ない職場を選ぶ方法もあります。

01ピアノが苦手でも、保育士は続けられる

要点:ピアノは保育で使う道具の一つで、ピアノが上手かどうかで保育士としての力が決まるわけではありません。園によってピアノの比重は大きく違い、苦手な人が働きやすい職場もあります。

保育士の仕事は、子どもの生活を支え、遊びを通して育ちを見守ることです。歌やリズム遊びはその大切な一部ですが、音楽を楽しむ方法はピアノだけではありません。

図1

  • 1

    手遊び・わらべうた

    道具がいらず、子どもの顔を見ながら歌える。乳児クラスでは特に中心になりやすい

  • 2

    打楽器

    鈴、カスタネット、タンバリンなどで、子どもと一緒にリズムを楽しめる

  • 3

    ギターやウクレレ

    和音だけで伴奏でき、立ったまま子どもの輪に入って弾ける

  • 4

    音源を使った体操・ダンス

    テンポが一定で、保育士は子どもと一緒に体を動かすことに集中できる

  • 5

    アカペラで歌う

    伴奏なしでも、保育士の歌声に子どもが合わせて歌える

図1 ピアノ以外で、子どもと音楽を楽しむ方法

実際、ピアノの使い方は園によって大きく違います。毎朝ピアノで歌を歌い、発表会では合奏や合唱の伴奏を担任が弾く園もあれば、音楽の活動は音源が中心で、ピアノはほとんど使わない園もあります。乳児中心の園では、ピアノより、子どもの顔を見ながら歌うわらべうたや手遊びが中心になることも多いものです。

保育士の求人は全国的に多く、2026年7月時点の有効求人倍率は2.80倍でした[1]。求人が多いということは、働く側が職場を選べる余地があるということです。ピアノが苦手なことを理由に、保育士という仕事そのものをあきらめる必要はありません。

「苦手」の中身を分けてみる

一口に「ピアノが苦手」と言っても、困っていることは人によって違います。楽譜が読めない、両手で弾けない、人前だと緊張して指が動かない、子どもを見ながら弾けない。どれに当てはまるかで、練習の方法も変わります。楽譜が読めないなら音名を書き込む、両手が難しいなら和音だけの伴奏から始める、緊張するなら同じ曲を何度も人前で弾いて慣れる。苦手の中身が分かれば、手の打ちようが見えてきます。

02園でピアノを使う場面と、求められる水準

要点:保育でピアノを使う主な場面は、毎日の歌、季節の歌、リズム遊び、行事の伴奏です。場面ごとに求められる水準は違い、毎日の歌は簡易伴奏で十分なことが多い一方、行事の伴奏は早めの準備が必要です。

図2

場面求められること苦手な人の工夫
朝の会・帰りの会毎日同じ歌を、子どもの声に合わせて止めずに弾くまずこの2曲を最優先で覚える。毎日弾くので上達も早い
給食・おやつの前の歌短い歌を、子どもの準備に合わせて弾く右手のメロディーだけでも成り立つことが多い
季節の歌月ごとに新しい歌を、子どもと一緒に覚えていく前の月のうちに簡易伴奏の楽譜を用意して少しずつ練習する
リズム遊び・体操子どもの動きに合わせてテンポを変える音源やタンバリンを使う方法も園と相談できる
誕生会誕生日の歌や、出し物の伴奏曲が決まっているので、一度覚えれば毎月使える
発表会・卒園式合唱や合奏、入退場の曲の伴奏担当を早めに確認し、2か月前から練習する。得意な職員と分担できないか相談する
図2 保育でピアノを使う主な場面と、苦手な人の工夫

表を見ると分かるように、毎日のように弾くのは、朝の会、帰りの会、食事の前の歌など、限られた曲です。まずはこの数曲を「止まらずに弾ける」状態にすることが、最初の目標になります。季節の歌や行事の曲は、そのあとで1曲ずつ増やしていけば間に合います。

「上手さ」より「止まらないこと」

保育のピアノでいちばん大切なのは、止まらないことです。子どもたちは、ピアノの音を頼りに歌っています。途中で止まったり、弾き直したりすると、歌が途切れてしまいます。反対に、音を一つ二つ間違えても、テンポを保って弾き続ければ、子どもたちは気にせず楽しく歌います。間違えたら、そのまま次の小節へ進む。この割り切りが、苦手な人にとっていちばんの近道です。

もう一つは、子どもの顔を見られることです。鍵盤ばかり見ていると、子どもの様子が分かりません。曲を覚えて、ときどき顔を上げて子どもと目を合わせられるようになると、ピアノの時間がぐっと保育らしくなります。

乳児クラスと幼児クラスでの違い

ピアノの使い方は、担当するクラスの年齢によっても変わります。0〜2歳児の乳児クラスでは、ピアノの前に座るより、子どもを膝にのせたり、輪になって座ったりして、保育士の声で歌うことが多くなります。テンポもゆっくりで、短い歌を何度も繰り返すのが中心です。

一方、3〜5歳児の幼児クラスになると、朝の会や季節の歌をピアノで弾く場面が増え、年長では合唱や合奏の伴奏を任されることもあります。ピアノに不安がある人は、最初の数年を乳児クラス中心で経験しながら練習を続ける、という考え方もあります。担当クラスの希望を伝えられる園なら、相談してみる価値があります。

03苦手な人のための、練習の進め方

要点:苦手な人は、簡易伴奏の楽譜を選び、右手、左手、両手、歌いながら、子どもを見ながら、の順に段階を踏んで練習します。休日にまとめて練習するより、毎日短い時間を続けるほうが身につきます。

図3

  1. 簡易伴奏の楽譜を選ぶ

    右手がメロディー、左手が和音(コード)だけの簡単な楽譜を選びます。音名が読みにくければ、鉛筆でドレミを書き込みます

  2. 右手だけで歌いながら弾く

    メロディーを右手で弾き、歌いながら曲の流れを体に入れます

  3. 左手の和音だけを練習する

    和音が変わる場所に印を付け、左手だけでリズムに合わせて押さえる練習をします

  4. 両手でゆっくり合わせる

    テンポを落とし、止まらずに最後まで弾き通すことを目標にします。間違えても戻りません

  5. 歌いながら弾く

    自分で歌いながら弾けるようにします。子どもと一緒に歌う本番の形に近づけます

  6. 顔を上げて弾く

    家族や鏡を子どもに見立てて、ときどき顔を上げながら弾く練習をします

図3 苦手な人が1曲を弾けるようにする手順

この手順で、1曲を1〜2週間かけて仕上げるイメージです。最初の1曲は時間がかかっても、和音の押さえ方に慣れると、2曲目、3曲目は早くなります。子どもの歌の多くは、限られた数の和音で弾けるからです。

まず覚えておくと便利な3つの和音

子どもの歌は、ハ長調(ドから始まる調)で書かれた簡易伴奏の楽譜がたくさんあります。ハ長調なら、左手で「ド・ミ・ソ」「ド・ファ・ラ」「シ・ファ・ソ」の3つの形を押さえられれば、多くの曲の伴奏ができます。楽譜にCやF、G7と書かれているのが、この3つの和音です。最初はこの3つの形を、目をつぶっても押さえられるくらいまで手に覚えさせると、新しい曲に取りかかるときの負担がぐっと軽くなります。

練習を続けるための工夫

  • 練習する時間を決める:夕食後の15分など、毎日同じ時間にすると習慣になります
  • 電子キーボードとヘッドホンを使う:夜でも周りを気にせず練習できます
  • 自分の演奏を録音する:止まってしまう場所が分かり、次に何を練習すればよいかが見えます
  • 弾ける曲を一覧にする:弾けるようになった曲を書き出すと、進んでいる実感が持てます
  • 前奏を短くする:前奏が難しい曲は、最後の数小節だけを前奏にするなど、弾きやすい形に整えます

新人は4月までに、毎日の歌から

新卒で入職する人は、4月までに、配属予定の園で毎日歌う朝の歌、帰りの歌、食事の前の歌を聞いておくと安心です。園によって歌う曲が違うので、内定後の連絡や入職前の研修のときに「毎日歌っている曲を教えてもらえますか」と聞いてみてください。この数曲を止まらずに弾けるようにしておけば、最初の1か月は乗り切れます。新人の時期のつらさ全般については新人保育士がつらいときに読みたいことでも整理しています。

ブランクがあって不安な人は

復職を考えている人は、指が動かなくなっていることへの不安が大きいかもしれません。まずは、昔弾いていた曲を一曲だけ取り出して、右手から弾き直してみてください。思っているより早く、指は感覚を取り戻します。新しい曲を増やすのは、そのあとで十分です。東京都の調査では、過去に保育士として働いた人が復職する場合の希望条件として、勤務時間(1日)を挙げた人が73.8%、通勤時間を挙げた人が61.6%でした[2]。ピアノの不安だけでなく、働く時間や通いやすさも含めて条件を整理しておくと、職場を選びやすくなります。復職全般の不安についてはブランクがあって復職が不安なときで詳しく紹介しています。

04ピアノが苦手なことを、園や面接で伝える方法

要点:ピアノが苦手なことは、隠すより先に伝えておくほうが、入職後のずれを防げます。伝えるときは「苦手です」で終わらせず、「今どこまで弾けて、どう準備しているか」を添えると、前向きな姿勢として受け取ってもらえます。

面接や見学で伝えるとき

面接でピアノについて聞かれたら、正直に答えます。そのうえで、練習していることと、得意なことを添えます。

「ピアノは得意ではなく、今は簡易伴奏で朝の歌や季節の歌を5曲ほど弾けるようになったところです。毎日練習を続けています。手遊びや絵本の読み聞かせは得意なので、そちらでも子どもたちと音楽や言葉の時間を楽しみたいと思っています。」

「苦手」という言葉だけを伝えると、相手はどの程度なのかが分かりません。弾ける曲の数や練習の様子を具体的に伝えることで、入職後に必要な準備を園と一緒に考えやすくなります。あわせて、「行事の伴奏は担任が弾くことになっていますか」と質問しておくと、入職後の負担も見えてきます。

入職後に、主任や先輩に相談するとき

入職してから困ったときは、一人で抱え込まずに相談します。

「季節の歌の伴奏がまだ追いつかなくて、来月の歌を早めに教えてもらえると助かります。発表会の伴奏は、得意な先生と分けて担当させてもらえないでしょうか。」

曲を早めに教えてもらう、伴奏を分担する、音源を使う場面を作る。こうしたお願いは、園にとっても対応しやすいものです。そのかわりに、自分の得意な製作や体操、絵本で力を発揮すれば、職員の間で役割を補い合う関係が作れます。

避けたい伝え方

反対に、次のような伝え方は、入職後に困ることにつながりやすくなります。

  • 面接で「弾けます」と言ってしまい、入職後に苦手だと分かる:最初の行事で大きな負担を抱えることになります
  • 「苦手なので弾きません」と線を引く:練習する姿勢が見えないと、周りの協力も得にくくなります
  • 本番の直前まで不安を言い出さない:代わりの方法を考える時間がなくなってしまいます

苦手を正直に伝え、練習している姿を見せ、困ったら早めに相談する。この3つを守っていれば、ピアノが苦手でも職場の中で孤立することはまずありません。

05ピアノの負担が少ない職場の探し方

要点:ピアノの負担が少ない職場を探すときは、求人票の文言だけでなく、見学や面接で「誰が、どの場面で、どのくらい弾くのか」を確かめます。保育園以外にも、保育士の資格を生かせる職場があります。

図4

  • 朝の会や帰りの会で、毎日ピアノを弾いているか毎日弾くなら、入職前に覚える曲の数が分かります
  • 行事の伴奏は誰が担当しているか担任が必ず弾くのか、得意な職員や外部の講師が担当するのかで、負担が大きく変わります
  • 音源やギターなど、ピアノ以外の方法も使われているかピアノ以外の方法が普段から使われていれば、苦手でも参加しやすくなります
  • 音楽活動や合奏に力を入れている園か鼓隊や合奏を特色にしている園では、ピアノの比重が高くなりがちです
  • 入職前に曲を教えてもらえるか事前に練習できるかどうかで、最初の数か月の不安が変わります
  • 苦手な職員へのフォローの例があるか「苦手な先生も練習しながら弾いています」など、実際の様子を聞いてみます
図4 見学や面接で確かめたい、ピアノのこと

見学では、保育室にピアノがあるか、朝の会でどう使っているかを実際に見られると、いちばん確かです。園見学の全体の確認ポイントは園見学のチェックリストにまとめています。求人票に「ピアノが弾ける方歓迎」と書かれていても、「必須」なのか「歓迎」なのかで意味は違います。気になる場合は、応募の前に問い合わせてみてもかまいません。

保育園以外の選択肢

保育士の資格は、保育園以外でも生かせます。放課後児童クラブ(学童保育)では、保育士の資格を持つ人が、都道府県などが行う研修を修了して放課後児童支援員として働くことができます[3]。児童発達支援や放課後等デイサービスでも、児童指導員または保育士を配置する基準があります[4]。こうした職場では、ピアノを弾く場面は保育園ほど多くないことが一般的ですが、職場によって活動の内容は違うため、ここでも見学や面接で確かめておくと安心です。

06相談事例:ブランク明け、ピアノの不安を抱えたまま復職した

要点:ここでは、ピアノへの不安から復職に踏み出せなかった人が、ピアノの比重に注目して職場を選び直したモデルケースを紹介します。練習より先に、何を確かめたかに注目してください。

「弾けないから無理」から「10曲は弾ける」へ

相談事例(モデルケース)

お名前
ゆうりさん(仮名)・31歳
保育士歴
3年(その後、子育てで4年のブランク)
勤務先
企業主導型保育園(0〜2歳児、定員約19名)、1歳児クラス中心のパート勤務
変化
弾ける曲 0曲 → 10曲、応募できなかった状態 → 週4日勤務で復職

編集部復職を考えたとき、何がいちばん不安でしたか。

ゆうりさん

ピアノです。もともと得意じゃなかったうえに、4年間まったく触っていなくて。求人を見ても、「ピアノが弾ける方」って書いてあるだけで画面を閉じていました。下の子が2歳になって、働きたい気持ちはあったのに、ピアノのせいで一歩が出なかったんです。

編集部何がきっかけで動き出したのですか。

ゆうりさん

相談したときに、「ピアノをどのくらい使うかは園によってかなり違うので、そこを一緒に確かめましょう」と言われたんです。弾けるようになってから応募する、じゃなくて、弾く量が少ない職場を探せばいいんだって。ずっと固まっていた気持ちが、そこでほどけました。

編集部職場はどうやって選びましたか。

ゆうりさん

0〜2歳児の小さな園を中心に見学しました。見学で「朝の会はピアノですか」って聞いたら、今の園は「手遊びとわらべうたが中心で、ピアノは誕生会くらい」とのことで。誕生会の歌なら毎月同じなので、それならできるかもって思えました。

編集部ピアノの練習はどうしましたか。

ゆうりさん

内定してから電子キーボードを買って、夜に子どもが寝たあと15分だけ練習しました。最初は誕生日の歌だけ。慣れてきたら季節の歌を足していって、半年で10曲くらい弾けるようになりました。今は「ピアノは苦手だけど、嫌いじゃない」くらいになっています。

ピアノが弾けないから無理、じゃなくて、ピアノが少ない場所を選べばよかったんですね。

ゆうりさん(仮名)

ゆうりさんは今、週4日のパートとして、1歳児クラスを中心に働いています。わらべうたや手遊びが得意なことを生かし、職員向けに手遊びを教える役も任されるようになったそうです。ピアノは誕生会のほか、季節の歌を少しずつ担当するようになりました。

このケースのポイントは、「ピアノが弾けるようになってから働く」ではなく、「ピアノの比重が自分に合う職場を選び、働きながら弾ける曲を増やす」という順番に切り替えたことです。苦手を完全になくしてから動こうとすると、いつまでも動けないことがあります。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図5

復職を考え始めたころ復職から半年後

弾ける曲の数

0曲
10曲

ピアノを弾く場面

想像するだけで不安
誕生会と季節の歌
図5 ゆうりさんの変化

07苦手なまま無理をしないために

要点:ピアノの練習は、気づくと持ち帰り仕事と同じように生活を圧迫することがあります。練習の時間に上限を決めることと、ピアノの比重が高い園では苦手を補いきれない場合があることを、知っておいてください。

練習が「家での仕事」にならないように

ピアノの練習は、多くの場合、家で自分の時間を使って行います。新人の時期や行事の前には、毎晩1時間以上練習している人もいます。上達のためには練習が必要ですが、それが睡眠や休息を削るほどになると、持ち帰り仕事と同じ問題を抱えることになります。練習は1日15〜20分など上限を決め、行事の伴奏など園の業務として必要な練習については、勤務時間内に練習できる時間がないか、園に相談してみてください。持ち帰り仕事の考え方は持ち帰り仕事がつらいときの考え方も参考になります。

ピアノの比重が高い園では、無理に合わせなくていい

正直に言えば、ピアノの比重が高い園で、苦手な人がその差を練習だけで埋めるのは簡単ではありません。発表会で毎年合奏の伴奏を担任が弾く、音楽活動が園の特色になっている、といった園では、どれだけ練習しても負担が大きく感じられることがあります。その場合は、自分の努力不足と考えるのではなく、園の方針と自分の得意が合っていないのだと考えてください。

苦手は、得意で補い合える

ピアノが得意な保育士がいれば、絵が得意な保育士、体を動かす遊びが得意な保育士、絵本の読み聞かせが得意な保育士もいます。職員の得意を組み合わせて保育をつくるのが、チームで働く保育園のよさです。ピアノが苦手でも、自分にしかできないことで子どもたちの毎日を支えることはできます。仕事量全体を見直したいときは保育士の残業が多い理由と減らし方も参考にしてください。

ピアノの不安を抱えたまま、職場選びや復職に迷っているときは、保育の現場を知る人に話してみるのも一つの方法です。ほいくの相談室では、転職するかどうかを決めていない段階でも、ピアノの比重が自分に合う職場の確かめ方を一緒に考えています。

よくある質問

ピアノが弾けないと、保育士として採用されませんか?

園によって考え方は違いますが、ピアノが苦手でも採用され、働いている保育士は多くいます。面接では、弾ける曲の数や練習していることを具体的に伝え、得意なことも合わせて話すと、前向きな姿勢が伝わります。ピアノの比重が高い園かどうかは、見学や面接で確かめておきましょう。

楽譜が読めないのですが、今から練習して間に合いますか?

簡易伴奏の楽譜なら、音名を書き込みながら練習することで弾けるようになる人は多くいます。最初は毎日弾く1〜2曲に絞り、右手だけ、左手だけ、両手と段階を踏んでください。焦らず1曲ずつ増やしていけば十分です。

ピアノの代わりに、音源を使うのはだめでしょうか?

音源を使った体操やダンスは、多くの園で取り入れられています。ただし、毎日の歌はピアノで、と決めている園もあるため、使ってよい場面は園の方針によります。迷ったら主任や先輩に「この場面は音源でもいいですか」と確認してみてください。

電子キーボードでも練習になりますか?

鍵盤の数が多く、鍵盤に重さがあるタイプなら、園のピアノとの差が小さくなります。ヘッドホンを使えば夜でも練習できるので、家での練習には便利です。最初は手ごろなものでも、弾く習慣をつけることを優先してください。

発表会の伴奏を任されて、どうしても不安です。

まずは曲が決まった時点で楽譜をもらい、2か月前から練習を始めてください。不安が大きいときは、簡単な伴奏に編曲してよいか、得意な職員と分担できないかを早めに相談しましょう。本番が近づいてから相談するより、早いほうが園も調整しやすくなります。

ピアノが苦手でも、担任を任せてもらえますか?

ピアノの得意・不得意だけで担任を決める園は多くありません。担任を任されたときに困らないよう、毎日の歌を数曲弾けるようにしておき、行事の伴奏は分担できるかを早めに相談しておくと安心です。不安があることを主任に伝えておけば、配属の際に考慮してもらえることもあります。

参考にした資料

  1. こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」(出典:厚労省 職業安定業務統計)
  2. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
  3. 放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準 第10条
  4. 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第5条・第66条

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

ほいくの相談室

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