給食の配膳中、トレーを置こうとした手を、隣の先生がそっと止めた。「それ、Fくんのじゃないよ」。卵を除去したFくん用のトレーと、ほかの子のトレーを取り違えかけていた。口に入る前だったので、何も起きなかった。主任にすぐ報告し、記録も書いた。誰も強くは責めなかった。
それなのに、翌日から配膳の時間になると手が冷たくなる。名札を何度も見直し、それでも不安で、もう一度トレーを確かめる。夜、布団の中で「もしあのとき気づかれなかったら」と考え始めると、眠れなくなる。
保育中のミスは、どれだけ経験を積んでも起こりえます。そして、命を預かる仕事だからこそ、一つのミスが心に残す傷は深くなりがちです。この記事では、ミスに気づいた直後にやること、自分を責めずに次を防ぐ振り返りの方法、事故やミスの後に仕事が怖くなったときの立て直し方と相談先をまとめました。
この記事でわかること
- ミスに気づいた直後から、その日のうちにやることの順番
- 自分を責める振り返りと、次を防ぐ振り返りの違い
- 事故やミスの後に「仕事が怖い」と感じる理由と、よくある反応
- 怖さやプレッシャーを少しずつ小さくしていく方法
- 受診や相談を考えたいサインと、使える相談先
結論
保育中にミスをしたら、まず子どもの安全を確かめ、すぐに主任や園長へ報告し、起きたことを記録します。落ち込むのはその後で構いません。振り返りでは「誰が悪いか」ではなく「どこで防げたか」を考え、確認の手順や人の配置といった仕組みに置き換えることで、同じミスを防ぎやすくなります。事故やミスの後に仕事が怖くなるのは、心が自分を守ろうとする自然な反応です。ただし、眠れない、何度確認しても不安が消えないといった状態が2週間以上続くなら、一人で耐えずに受診や相談窓口を利用してください。
01ミスに気づいたら、「子ども」「報告」「記録」の順に動く
要点:ミスに気づいた直後にやることは、子どもの安全の確認、主任や園長への報告、記録の3つです。この順番を決めておくと、頭が真っ白になっても体が動きます。
ミスに気づいた瞬間は、誰でも動揺します。「どうしよう」「怒られる」という気持ちが先に立ち、何から手をつければいいか分からなくなることもあります。だからこそ、迷ったときに戻れる順番を、あらかじめ頭に入れておくことが助けになります。
図1
- 気づいた直後子どもの様子と安全を確かめる。けが、体調の変化、誤食の有無を見る
- すぐに主任や園長に報告する。小さなことでも、自分で判断せずに伝える
- 報告の後園の指示に従い、看護師への連絡、医療機関の受診、保護者への連絡などを進める
- 落ち着いたら起きたことを時系列で記録する。時刻、場所、関わった人、子どもの様子を書く
- 降園時保護者への説明は、園として誰がどう伝えるかを決めてから行う
- 退勤前自分の気持ちを誰か一人に話す。一人で抱えたまま帰らない
小さなミスほど、早く言う
「けがもなかったし、言わなくてもいいかな」と思うようなミスほど、早く報告してください。報告が遅れると、後から分かったときに「なぜすぐ言わなかったのか」という別の問題が生まれます。また、自分にとっては小さく見えるミスが、園全体で見ると、同じ場所や同じ時間帯で何度も起きている危険のサインであることもあります。迷ったら言う。これを自分のルールにしておくと、報告するかどうかで悩む時間がなくなります。
記録は、自分を守るためのものでもある
ミスの記録を書くのは、気が重い作業です。けれど、記録は園のためだけでなく、自分を守るためのものでもあります。時間がたつと、記憶はあいまいになり、「あのとき何分だったか」「誰がそばにいたか」を正確に思い出せなくなります。保護者から後日問い合わせがあったときや、園で振り返りをするときに、その日のうちに書いた記録があれば、事実に基づいて落ち着いて話すことができます。書くときは、「〜してしまった」「私の不注意で」といった自分を責める言葉ではなく、時刻、場所、子どもの様子、自分がしたことを、見たとおりに書いてください。
命に関わる場面は、迷わずマニュアルどおりに
食物アレルギー、薬の取り違え、午睡中の呼吸や体位の確認など、命に関わる場面のミスは、園のマニュアルに沿って、すぐに動くことが何より優先です。「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」では、生活管理指導表に基づく対応を必須とし、食物アレルギーは原因となる食品の「完全除去」を基本としています[1]。誤って配膳した可能性があるときは、口に入る前でも、すぐに主任や看護師に伝えてください。
保護者への説明は、一人で背負わない
ミスが保護者に関わる場合、担任として自分で謝りたい、説明したいと感じるかもしれません。けれど、何をどこまで、誰が伝えるかは、園として決めることです。一人で先に説明すると、内容が食い違ったり、必要以上に自分を責める言い方になったりすることがあります。保護者から強い言葉を受けて落ち込んでいる場合は、保護者から怒られたときの立て直し方も参考にしてください。
02振り返りは「誰が悪いか」ではなく「どこで防げたか」
要点:振り返りの目的は、犯人探しではなく、同じことが誰にも起きないようにすることです。自分のミスを「確認の手順」「人の配置」「環境」の問題に置き換えると、園の対策に生かせます。
ミスの振り返りが「誰が悪かったのか」で終わると、ミスをした人は萎縮し、次に何かあったときに報告をためらうようになります。そうなると、園全体で見たときの危険は、むしろ増えてしまいます。振り返りでは、「どの段階なら防げたのか」「仕組みを変えれば、誰がやっても防げるのか」を考えます。
図2
| 項目 | 責める振り返り | 次を防ぐ振り返り |
|---|---|---|
| 最初の問い | 誰のせいで起きたのか | どの段階なら防げたのか |
| 話し合う中身 | 本人の注意不足、気のゆるみ | 手順、人の配置、環境、時間帯 |
| 記録の書き方 | 「〇〇先生が確認を怠った」 | 「出発前の人数確認が1人の目だけで行われていた」 |
| 本人の気持ち | 萎縮して、次のミスを言い出しにくくなる | 自分の経験が、園の対策に生かされる |
| その後 | 同じことが別の人に起こる | 手順が変わり、全員のミスが減る |
ヒヤリハットとして書くときの項目
けがにつながらなかったミスは、ヒヤリハットとして記録し、共有するのが一般的です。書くときは、日時、場所、そのときの状況、なぜ起きたと思うか、どうすれば防げるか、の5つを押さえます。「なぜ起きたか」は、人(疲れ、慣れ)、物(トレーの色が同じ)、環境(狭い通路、死角)、仕組み(確認が1人だけ)に分けて考えると、対策が出てきやすくなります。
自分のミスを「仕組み」に置き換える例
- 散歩の人数確認で数え漏れた → 出発前と到着後に、2人で名簿を声に出して確認する
- 午睡チェックの記入が抜けた → タイマーを使い、確認した人がその場で記入する
- 与薬の連絡を見落とした → 朝の受け入れで、与薬の有無を口頭で確かめる欄を作る
- アレルギー対応の配膳を取り違えかけた → 専用のトレーと名札に加え、2人で読み上げて確認する
国は2016年3月に「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」を策定しており、施設・事業者向け、自治体向け、事故発生時の対応の3つの文書で構成されています[2]。事故防止は、一人の保育士の注意力だけに任せるものではなく、施設として取り組むものだという考え方が、ここにも表れています。
03「仕事が怖い」は、心が自分を守ろうとしている反応
要点:事故やミスの後に、確認をやめられない、その場面を避けたくなる、眠れないといった反応が出るのは、心が二度と同じことを起こさないように警戒している状態です。異常ではありませんが、長く続くなら手当てが必要です。
図3
- 1
何度も確認してしまう
人数や名前を5回、6回と数え直す。確認が終わっても不安が消えない
- 2
その場面を避けたくなる
散歩、プール、配膳など、ミスが起きた場面の担当を外れたくなる
- 3
夜に思い出して眠れない
布団に入ると、場面が何度も頭の中で繰り返される
- 4
自分を責め続ける
「私は保育士失格だ」と、一つのミスを自分全体の評価にしてしまう
- 5
子どもとの関わりがぎこちなくなる
慎重になりすぎて、遊びの中で子どもを止めることが増える
こうした反応は、あなたが子どもの安全を真剣に考えているからこそ起こります。ただ、警戒が強すぎる状態が続くと、心も体も疲れ切ってしまいます。怖さを無理に消そうとするより、「今、警戒モードになっている」と気づくことから始めてください。気づくだけで、反応に振り回される感覚が少し弱まります。
プレッシャーの正体を3つに分ける
「仕事のプレッシャーがつらい」と感じるとき、その中身はたいてい3つに分けられます。一つ目は、子どもの命を預かる責任そのもの。二つ目は、同僚や保護者にどう見られるかという周りの目。三つ目は、「一度もミスをしてはいけない」という自分の中の完璧主義です。一つ目は本当に重いものですが、二つ目と三つ目は、考え方や職場の雰囲気で軽くできる部分があります。全部を一つの塊として抱えず、どれがいちばん重いのかを見てみてください。事故そのものへの不安が強い人は、事故が怖いときの考え方と備えも参考になります。
命を預かる責任は、一人で背負うものではない
保育の現場で事故やけがが起きているのは、あなたの園だけではありません。こども家庭庁の集計では、2025年の1年間に教育・保育施設等から国に報告された事故は3,130件で、そのうち骨折が2,533件と81%を占め、死亡は1件でした[3]。
図4
この数字は、ミスを軽く見てよいという意味ではありません。どれだけ注意を重ねても、子どもが集団で過ごす場では、けがや事故の危険がなくならないということです。だからこそ、事故防止は、確認の手順、人の配置、環境の見直しといった、園全体の仕組みで支えるものとされています。あなた一人の注意力に、すべての責任があるわけではありません。
04怖さを少しずつ小さくしていく方法
要点:怖い場面からずっと離れていると、怖さはかえって大きくなります。見守り役から始めて、段階を踏んで戻っていくと、少しずつ自信を取り戻せます。
図5
- 見守り役で入るミスが起きた場面に、まずは担当ではなく補助として参加する
- 2人体制で担当する同僚と一緒に、確認の手順を声に出しながら担当する
- 確認の型を使って担当する決めた手順どおりに確認し、終わったら「確認済み」と周りに伝える
- 振り返りで共有する不安だった点、うまくいった点を短く話し、手順を微調整する
確認の回数は、気持ちではなく「型」で決める
不安が強いと、確認は何回やっても足りないように感じます。そこで、確認の回数と方法を、あらかじめ型として決めておきます。たとえば「出発前に2人で名簿を声に出して1回、門を出たところでもう1回」と決めたら、それ以上はしない。型どおりにできたら、それで十分だと自分に言い聞かせます。気持ちに任せて確認を続けるより、決めた手順を守るほうが、実際の安全性も高くなります。
一日の終わりに「できたこと」を3つ書く
ミスの後は、できなかったことばかりが頭に浮かびます。寝る前に、その日できたことを3つ書き出してみてください。「配膳で読み上げ確認ができた」「Fくんと笑って給食を食べた」「不安だったことを主任に話せた」。小さなことで構いません。続けていると、ミスの記憶だけで一日が埋まることが少なくなります。
一時的に担当を変えてもらうのは、逃げではない
怖さが強い間は、ミスが起きた場面の担当を一時的に外してもらうのも一つの方法です。それは逃げではなく、自分と子どもの安全を守るための調整です。ただし、ずっと避け続けるのではなく、上の段階のように、時期を決めて少しずつ戻ることを園と相談しておくと、復帰しやすくなります。
体を休めることも、怖さを小さくする
不安や怖さは、疲れているときほど大きく感じられます。ミスの後は、気が張って眠りが浅くなり、疲れがさらにたまるという悪循環に入りやすい時期です。休日は仕事の連絡を見ない時間をつくる、有給休暇を1日だけ取って何もしない日にする、といった形で、意識して体を休めてください。心の問題に見えることの一部は、睡眠と休息で軽くなります。
05相談事例:ヒヤリハットを出したら、園の仕組みが一つ増えた
要点:ここでは、ベテランになって初めてのヒヤリハットをきっかけに眠れなくなった保育士が、ミスを園で共有し、受診もしたことで、少しずつ散歩の担当に戻っていったモデルケースを紹介します。
「私だけじゃなかった」と分かった職員会議
相談事例(モデルケース)
- お名前
- かなえさん(仮名)・44歳
- 保育士歴
- 18年目
- 勤務先
- 公立保育所(定員約90名)、4歳児クラス担任
- 変化
- 夜中に目が覚める日 週5日 → 週1日ほど/散歩前の人数確認 1人で5〜6回 → 2人で声に出して2回
編集部何があったのですか。
公園から帰るときの人数確認で、トイレに行っていた子を数え忘れたまま、出発しかけたんです。もう一人の先生がすぐ気づいてくれて、ほんの1分ほどのことでした。けがもなかった。でも、18年やってきて初めてで。「私、子どもを置いていくところだった」って、そればかり考えてしまって。
編集部その後、どんな状態になったのですか。
散歩の前の晩から眠れなくなりました。人数を何度数えても不安で、5回、6回って数えてしまう。若い先生たちの前で落ち込んでいる姿を見せちゃいけないと思って、平気なふりをしていたのが、いちばんしんどかったですね。
編集部何がきっかけで、気持ちが変わったのですか。
園長が「かなえさん一人のミスじゃなくて、出発前の確認の仕方の問題だよね」って言ってくれて。職員会議でヒヤリハットとして共有したら、若い先生から「私も同じこと、ありました」って3人も手が挙がったんです。私だけじゃなかったんだって、そこで初めて肩の力が抜けました。
編集部体調のほうは、どうしたのですか。
夜中に目が覚めるのが3週間続いたので、思い切ってかかりつけの内科に相談して、心療内科を紹介してもらいました。行く前は、ベテランが何をって思ってたんです。でも、話を聞いてもらって、眠れないことも相談できて。もっと早く行けばよかったです。
ミスを隠さずに出したら、園の仕組みが一つ増えました。私の失敗が、誰かの次の事故を防ぐかもしれないと思えたんです。
かなえさん(仮名)
かなえさんの園では、その後、散歩の出発前と到着後に、2人で名簿を声に出して確認する手順が決まりました。かなえさんは1か月ほど見守り役で散歩に参加し、その後、2人体制で担当に戻りました。夜中に目が覚める日は、4か月ほどで週5日から週1日ほどに減っています。
かなえさんの回復を支えたのは、ミスを個人の失敗で終わらせず園の仕組みに変えたこと、そして眠れない状態が続いたときに受診をためらわなかったことの2つでした。経験が長い人ほど、「自分が弱音を吐いてはいけない」と抱え込みがちです。
※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。
図6
夜中に目が覚める日
散歩前の人数確認
散歩の担当
園内のヒヤリハットの共有
06怖さが続くときは、我慢しないでほしいサイン
要点:次のような状態が2週間以上続くなら、気持ちの持ち方で乗り越えようとせず、受診や相談を考えてください。ミスを理由に人格を否定され続けている場合も、一人で抱える必要はありません。
図7
- 眠れない、夜中に目が覚める日が2週間以上続いている疲れが回復しないまま、さらに不安が強くなる悪循環に入りやすい状態です
- 確認を何度繰り返しても、不安が消えない不安の強さが、確認では追いつかないところまで来ています
- 出勤前に動悸や吐き気がする、涙が出る体が職場を危険だと感じているサインです
- ミスの場面が、意図せず何度も頭に浮かぶ一人で抱えず、専門家に話を聞いてもらう価値があります
- 食欲が落ちた、何をしても楽しくない心のエネルギーが落ちているサインです
- ミスを理由に、人格を否定する言葉を繰り返し受けている指導の範囲を超えている可能性があります
当てはまるものがあれば、かかりつけ医や心療内科に相談してください。受診に迷う場合は、心療内科に行くべきか迷ったときの目安を参考にしてください。働く人のための「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時。祝日と年末年始は休止)でも、話を聞いてもらうことができます[4]。電話で話すのが難しければ、専用フォームから24時間送れる「こころの耳メール相談」もあり、受理から1週間以内に回答されます[5]。
ミスを理由に責められ続けているとき
ミスの後に、上司や先輩から注意を受けるのは自然なことです。ただし、職場のパワーハラスメントは、優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、働く環境を害するものとされています[6]。客観的に見て必要で相当な範囲の指導はこれに当たりませんが、何日も繰り返し人格を否定される、ほかの職員の前で長時間責められるといった状態は、指導の範囲を超えている可能性があります。園の中で相談しにくいときは、全国の総合労働相談コーナーで、無料・予約なしで相談できます[7]。詳しくはパワハラの相談先にまとめています。
07ミスと向き合うときに、忘れないでほしいこと
要点:ミスをゼロにすることはできません。だからこそ、仕組みで防ぎ、ミスを隠さない職場が子どもを守ります。そして、ミスをした直後に、保育士を続けるかどうかを決める必要はありません。
ミスをゼロにすることはできない。だから仕組みがある
どれだけ経験を積んでも、人はミスをします。疲れている日もあれば、子どもの数が多い日もあります。ミスをしない保育士を目指すより、ミスをしても子どもに届く前に止められる仕組みをつくるほうが、子どもを確実に守れます。あなたのミスは、その仕組みを一つ増やすための材料にできます。
隠したミスは、あとでいちばん重くなる
ミスを隠すと、その場はやり過ごせても、後から分かったときの信頼の損失はずっと大きくなります。それ以上に、自分の中で秘密を抱え続ける重さは、心をすり減らします。報告して、共有して、仕組みに変える。それが、自分の心を守るいちばんの近道でもあります。
事故の後すぐに「辞める」と決めなくていい
ミスや事故の直後は、「もう保育士を続けられない」と感じることがあります。その気持ちは自然なものですが、強いショックを受けた直後の判断は、偏りやすいものです。まずは休むこと、話すこと、受診することを優先し、続けるかどうかは、眠れるようになってから考えても遅くありません。
ミスの後、保護者と顔を合わせるのがつらく感じるときは、保護者対応がしんどいときの向き合い方が役に立ちます。怖さやプレッシャーを職場にどう伝えればいいか分からないときは、ほいくの相談室で一緒に言葉を探すこともできます。辞めるかどうかを決める前の段階でも、話を聞いています。
よくある質問
保護者に、直接謝りに行くべきでしょうか?
謝りたい気持ちは大切ですが、まず主任や園長に相談し、園として誰がどう伝えるかを決めてから動いてください。担任が同席して謝罪する場合も、事実の説明は園の方針に沿って行うと、説明が食い違うことを防げます。
始末書を書くように言われました。どう受け止めればいいですか?
園によっては、事故やヒヤリハットの報告書を「始末書」と呼ぶこともあります。何を書く書類なのか、誰が読み、どう使われるのかを確かめてみてください。起きたことと、今後の対策を事実として書く書類であれば、自分を責める言葉を並べる必要はありません。
同じミスを2回してしまいました。もう信頼されない気がします。
同じミスが繰り返されるのは、個人の注意だけでは防げない仕組みの穴があるサインかもしれません。自分を責めるより先に、「どの手順のどこで起きたか」を主任と一緒に確かめ、確認の型を見直してください。正直に報告し、対策に協力する姿勢は、信頼を取り戻す力になります。
事故の後、保育士を辞めたい気持ちが消えません。
強いショックの後に辞めたいと感じるのは、自然なことです。ただ、眠れない、涙が出るといった状態のときは判断が偏りやすいため、まず休むことと受診を優先してください。気持ちが落ち着いてから、今の園で続けるか、働き方を変えるかを考えても遅くありません。
ベテランなのにミスをして、若い先生に顔向けできません。
経験が長くても、ミスは起こります。むしろ、ベテランがミスを隠さず共有する姿は、若い先生が「言ってもいいんだ」と思えるきっかけになります。一人で平気なふりを続けるより、信頼できる同僚や園長に、今のつらさを話してみてください。
ミスの後、同僚の目が気になって仕方ありません。
ミスの直後は、周りが自分をどう見ているかに敏感になりやすいものです。実際には、多くの同僚は「自分にも起こりうること」として受け止めています。気になる場合は、「この前はご迷惑をおかけしました。今は確認の手順をこう変えています」と一度だけ伝えておくと、自分の中でも区切りがつきやすくなります。
参考にした資料
- 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)
- こども家庭庁「事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」
- こども家庭庁「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」
- こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
- こころの耳「働く人の『こころの耳メール相談』」
- 厚生労働省 パワーハラスメント対策リーフレット
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。