保育士の子育て両立がつらい時に|家庭・職場・制度の整え方

18時15分、最後の子が保護者と手をつないで門を出ていく。急いで日誌を書き、自転車で自分の子の園へ向かうと、延長保育の部屋に残っているのはわが子だけ。「ママ、また最後だったよ」と言われて笑ってごまかし、帰宅後は夕飯、お風呂、寝かしつけ。子どもが寝たあとに、ようやく持ち帰った月案を開く。

よその子の成長を毎日見守っているのに、自分の子とはゆっくり話す時間がない。そう感じた瞬間に、両立のつらさは疲れだけでなく、罪悪感まで連れてきます。保育の仕事を大切にしている人ほど、「家庭も仕事も手を抜けない」と一人で抱え込みがちです。

この記事は、子育てをしながら保育士として働く人が、何から手をつければいいかを順番に整理するためのまとめです。今すぐ仕事を辞めるかどうかを決める必要はありません。つらさの正体を分けて、減らせるところから減らしていく手順を紹介します。

この記事でわかること

  • 保育士の子育て両立がつらくなりやすい4つの場面
  • つらさを「時間・体力・気持ち」に分けて見直す方法
  • 家庭・職場・法律の制度の3方向から負担を減らす具体策
  • 今の園で続けるか、働き方や職場を変えるかを見極める目安

結論

保育士が子育てとの両立をつらいと感じるのは、シフト勤務、急な休みの取りにくさ、持ち帰り仕事、行事の重なりが、家庭の予定と真正面からぶつかりやすいからです。まず1週間の時間の使い方を書き出し、つらさが時間・体力・気持ちのどこにあるかを分けてください。そのうえで、家庭の分担、園への相談、育児・介護休業法で使える制度の3方向から手を打つと、仕事を辞めなくても負担を減らせることがあります。それでも変わらないときに、時短勤務やパート、園を変える選択肢を検討する順番が、後悔の少ない進め方です。

01両立がつらくなるのは、保育の仕事と家庭がぶつかる場所が決まっているから

要点:保育士の両立のつらさは、朝夕の送迎、子どもの発熱、持ち帰り仕事、行事の4つの場面に集中しやすいものです。どこでぶつかっているかが分かれば、打つ手も選びやすくなります。

保育の仕事は、子どもを預かる時間に合わせて動きます。開所時間が長い園では、早番と遅番を職員で回すのが一般的で、勤務時間が日によって変わります。一方で、自分の子どもの園や学童にも、お迎えの時間があります。働く時間と預ける時間がずれる日に、ひずみが出ます。

もう一つの特徴は、休みの取りにくさです。保育士の配置は子どもの年齢ごとに国の基準で決まっていて、たとえば1〜2歳児はおおむね6人につき1人以上が必要です[1]。急に一人が抜けると、ほかの職員が穴を埋めることになります。その申し訳なさが、自分の子が熱を出した朝の判断を重くします。

図1

  • 1

    朝夕の送迎とシフト

    早番の日は自分の子を早く預け、遅番の日はお迎えに間に合わない。日によって家庭の段取りが変わる

  • 2

    子どもの発熱・呼び出し

    自分の子の園から電話が来ても、クラスを抜けにくい。休んだ翌日の気まずさも残る

  • 3

    持ち帰り仕事

    連絡帳、月案・週案、壁面や制作の準備が、寝かしつけ後の時間を少しずつ削っていく

  • 4

    行事の重なり

    運動会や発表会の準備期間と、自分の子の行事や体調不良が重なると、どちらも中途半端に感じる

図1 保育士の子育て両立がぶつかりやすい4つの場面

4つすべてが同じ重さでつらい人は、それほど多くありません。ある人は送迎のずれがいちばん苦しく、別の人は持ち帰りのせいで睡眠が足りていない。同じ「両立がつらい」でも、効く対策はまったく違います。まずは、自分がどの場面でいちばん消耗しているかに目を向けてください。

「よその子は見ているのに」という罪悪感について

保育士ならではのつらさとして、多くの人が口にするのが、わが子への罪悪感です。日中は子どもたちの気持ちに寄り添い、丁寧に関わる。その分、家に帰ると余力がなく、わが子には「早くして」とばかり言ってしまう。保育の専門職だからこそ、自分の子育ての粗が見えて、余計に落ち込みます。

けれど、家での関わりと仕事での関わりは、そもそも条件が違います。園では複数の大人が、計画を立てて保育をしています。家では一人か二人の大人が、疲れた夕方に家事と並行して子どもを見ています。同じ物差しで比べる必要はありません。罪悪感が強いときほど、「時間と体力が足りていない」という仕組みの問題として捉え直すことが、立て直しの入口になります。

02まず1週間を書き出して、つらさを「時間・体力・気持ち」に分ける

要点:対策を考える前に、1週間の起床から就寝までを書き出し、どこで時間が足りず、どこで体力が尽き、どこで気持ちがすり減っているかを分けます。分けると、家庭で解決することと職場に相談することが見えてきます。

手帳やスマートフォンのメモに、平日5日分の時間割を書いてみてください。起床、自分の子の登園、出勤、退勤、お迎え、夕飯、お風呂、寝かしつけ、持ち帰り仕事、就寝。早番の日と遅番の日は分けて書きます。何時に何をしたかを並べるだけで、「遅番の日は寝かしつけが22時になり、持ち帰りは0時過ぎまで」といった無理の集中が目に見えるようになります。

書き出したら、次の3種類に印をつけます。

  • 時間が足りない場面:送迎が間に合わない、夕飯の準備が慌ただしい、持ち帰りが深夜にずれ込む
  • 体力が尽きる場面:遅番の翌日の早番、行事前の残業、休日に疲れて動けない
  • 気持ちがすり減る場面:休むときの電話、わが子に怒ってしまった夜、同僚への申し訳なさ

図2

  • お迎えの時間に間に合わない日が週に2日以上ある時間の問題です。シフトの組み方や家庭の送迎分担で変えられる余地があります
  • 寝かしつけのあとに持ち帰り仕事をする日が週に3日以上ある睡眠が削られ、体力の問題に変わりつつあります
  • 休日の半分以上を寝て過ごしている疲れが回復しきっていないサインです。働く量の見直しが必要かもしれません
  • 自分の子の園から電話が来るのが怖い気持ちの問題です。休むときのルールや代わりの預け先を決めておくと軽くなります
  • パートナーと送迎や家事の分担を話し合ったことがない家庭の中で配分を変えられる可能性があります
  • 勤務先の育児に関する制度を確かめたことがない使える制度を知らないまま、我慢しているのかもしれません
  • わが子にきつく当たったあと、自分を責める夜が続いている余力が限界に近い状態です。一人で抱えないでください
  • 眠れない、食欲がない状態が2週間以上続いている両立の工夫より先に、休むことと受診を優先してください
図2 両立のつらさがどこにあるかを確かめるチェックリスト

印が「時間」に偏っているなら、シフトや送迎の段取りを変えることが近道です。「体力」に偏っているなら、働く時間や量そのものを減らす必要があるかもしれません。「気持ち」に偏っているなら、休み方のルールを決めることや、誰かに話を聞いてもらうことが役に立ちます。最後の2項目に当てはまる場合は、この記事の後半で紹介する相談先も確認してください。

03家庭・職場・制度の3方向から、負担を減らす

要点:負担を減らす手は、家庭の中、今の職場、法律で定められた制度の3方向にあります。どれか一つで解決しようとせず、小さな変更を組み合わせるのがこつです。

家庭の中で減らす

最初に見直したいのは、家庭の中の分担です。保育士は段取りが得意な分、家のことも自分で回してしまいがちです。送迎、夕飯、お風呂、寝かしつけ、自分の子の連絡帳の記入、園の持ち物の準備。家庭の仕事を一覧にして、誰が担当しているかを書き出してみてください。パートナーがいる場合は、「手伝って」ではなく「遅番の日のお迎えを担当してほしい」のように、場面と曜日を決めて頼むと続きやすくなります。

家事の手間を減らすことも、立派な両立策です。夕飯は週末に下ごしらえをまとめる、洗濯物はたたまずにしまう、わが子の園の準備は朝の5分にまとめる。家事を完璧に回すことより、平日の夜に30分の余白をつくることを目標にすると、気持ちにも余裕が戻ってきます。

家庭の外の手を借りる

実家が遠い、パートナーの帰りが遅いなど、家庭の中だけでは回らないこともあります。そのときに選択肢になるのが、病気の子どもを預かる病児保育です。病児保育事業には、病児対応型、病後児対応型、体調不良児対応型、訪問型の非施設型があり、2023年度には全国4,342か所で実施されています[2]。

病児保育は、多くの場合、事前の登録や受診が必要で、当日の朝に空きがないこともあります。子どもが元気なうちに、住んでいる地域の病児保育の場所、登録の方法、予約の受付時間を自治体の公式サイトで確かめておくと、いざというときに慌てずに済みます。祖父母や近所の知人など、頼れる人がいる場合も、「どんなときに、何時から何時まで頼めるか」を前もって話しておくと、お互いに負担が少なくなります。

今の職場に相談する

次に、職場への相談です。保育の現場では、シフトや担当は園長や主任が全体を見て決めています。家庭の事情を伝えていなければ、配慮のしようがありません。伝えるときは「つらい」だけで終わらせず、具体的なお願いの形にします。

  • 遅番を月に何回までにしてほしいか(例:週2回から月2回へ)
  • 行事のリーダーや係を、今年度は外してもらえないか
  • 持ち帰りになっている書類を、勤務時間内のどこで書けるか
  • 自分の子が発熱したときの連絡の流れと、代わりに入る人の決め方

一度にすべてを頼む必要はありません。いちばん効果が大きいものを一つ選び、次の月のシフトが決まる前に相談するのが現実的です。持ち帰りがいちばんの負担なら、持ち帰り仕事がつらいときの減らし方も参考になります。

法律で定められた制度を使う

3つめは、育児・介護休業法で事業主に義務づけられている制度です。2025年4月と10月に改正があり、子どもが3歳を過ぎてからも使える仕組みが増えました[3][4]。勤務先の就業規則と合わせて、自分の子の年齢で何が使えるかを確かめてください。

図3

制度3歳未満3歳〜小学校就学前小学校1〜3年生
短時間勤務1日原則6時間の短時間勤務制度を事業主が用意する義務園が用意する措置の一つとして選べる場合がある法律上の義務はない(園の独自制度を確認)
残業の免除所定外労働の制限の対象2025年4月から対象に拡大対象外
子の看護等休暇1年度に5日(子が2人以上は10日)、時間単位で取れる同じ(入園式・卒園式も取得事由に追加)2025年4月から対象に拡大(学級閉鎖も取得事由に追加)
柔軟な働き方の措置個別の周知と意向確認が事業主の義務始業時刻の変更や短時間勤務など5つのうち2つ以上を園が用意し、1つを選べる対象外
図3 子どもの年齢ごとに使える主な制度(育児・介護休業法)[3][4][5]

表のとおり、子どもが3歳になるまでは、1日6時間の短時間勤務制度を事業主が用意しなければなりません[5]。3歳から小学校に上がるまでは、2025年10月から、始業時刻の変更、テレワーク等、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇、短時間勤務のうち2つ以上を園が用意し、職員はその中から1つを選んで使えるようになりました[4]。「保育園だから時短は無理」と思い込まず、まず就業規則を確認し、使いたい制度を園長に伝えてみてください。時短勤務の具体的な使い方や、時短のまま職場を移る方法は時短勤務で転職する方法と制度の確認点で詳しく紹介しています。

04今の園で続けるか、働き方を変えるかを見極める

要点:3方向で手を打っても負担が減らないときは、働き方そのものを見直す段階です。選択肢は「辞める」か「続ける」かの二つではなく、少なくとも5つあります。

図4

3方向の工夫で負担は減ったか

  1. 今の園で担当や勤務を調整する遅番の回数、担当クラス、行事の係など、雇用形態を変えずに中身を変える
  2. 時短勤務を使う子どもが3歳未満なら法律上の短時間勤務制度、3歳以降は園の措置や独自制度を確認する
  3. 雇用形態を変える正社員からパートへ、またはパートから時短正社員へ。収入と時間の配分を変える
  4. 勤務時間が合う園に移る固定時間勤務、土日休み、自宅に近い園など、家庭に合わせた条件の職場を探す
  5. いったん仕事を離れる心身の不調があるときや、家庭の事情で時間がどうしても確保できないとき
図4 両立がつらいときに考えられる5つの道

どの道を選ぶかを決めるときは、「この数年、何を優先したいか」を家族で話しておくと迷いが減ります。家庭と仕事の優先順位のつけ方は育児中の働き方と優先順位の決め方で詳しく紹介しています。正社員のまま続けるかパートに切り替えるかで迷っているなら、子育て中の正社員・パートの選び方も役に立ちます。

決める前に、家族と確かめておきたい3つのこと

働き方を変えると、家庭の側にも影響が出ます。一人で決めて後から食い違うことがないよう、次の3つは家族と一緒に確かめておいてください。

  1. 収入が変わったとき、毎月の家計はいくらまでなら回るか
  2. 平日の送迎、夕方の家事、子どもの発熱時の対応を、それぞれ誰が担うか
  3. この働き方を何年続けるつもりか(例:下の子が小学校に上がるまで)

とくに3つめの「期限」を決めておくと、選んだ働き方を「仮の形」として受け止めやすくなります。時短もパートも、子どもが大きくなったら見直してよいものです。期限があるだけで、「キャリアを手放してしまった」という焦りが和らぐという人は少なくありません。

職場を変えれば楽になる、とは限らない

職場を変えれば、早番や遅番がない園、土日が休みの職場を選べる可能性があります。条件が合えば、両立の負担は大きく変わります。保育士の有効求人倍率は2026年7月時点で2.80倍と、全職種平均の1.15倍を大きく上回っていて[6]、求人そのものは見つけやすい状況です。

ただし、転職には見落としやすい負担もあります。法律上、年次有給休暇は入職から6か月続けて働き、出勤率が8割以上の人に10日付与されるのが基本です[7]。入職直後から付与するかどうかは園の就業規則次第なので、子どもが小さく発熱が多い時期に移ると、休める日数が一時的に減ることがあります。一方、子の看護等休暇は、勤続6か月未満の職員を労使協定で除外する仕組みが2025年4月に廃止されました[3]。人間関係を一から作り直す疲れもあるため、転職を考えるときは「今の園で変えられることを一度試したか」と「移った直後の数か月をどう乗り切るか」をセットで考えてください。勤務時間の決まった職場の探し方は固定時間勤務の求人の探し方にまとめています。

05相談事例:転職せずに、遅番と持ち帰りを減らした

要点:ここでは、「辞めるしかない」と思い込んでいた保育士が、つらさを絞り込んで今の園で働き方を調整したモデルケースを紹介します。何を、どの順番で変えたかに注目してください。

「辞めるしかない」と思っていたけれど、変えられることが残っていた

相談事例(モデルケース)

お名前
ふみさん(仮名)・34歳
保育士歴
12年目(相談当時)
勤務先
私立の認可保育園(定員約90名)、4歳児クラス担任・正社員
家族
夫と子ども2人(5歳・2歳)、地方都市に住み、実家は遠方
変化
遅番 週2回 → 月2回、寝かしつけ後の持ち帰り 週3日 → 月1日程度

編集部相談に来たとき、どんな状態でしたか。

ふみさん

下の子が1歳半のときに復帰して、半年くらいたった頃です。遅番の日はお迎えが19時ぎりぎりで、上の子に「また最後だった」って言われて。夜は月案と連絡帳の残りをやって、寝るのは1時近く。もう辞めるしかないのかなって、毎晩考えていました。

編集部1週間を書き出してみて、何が分かりましたか。

ふみさん

つらいのは全部じゃなくて、遅番の日とその翌日に集中していたんです。遅番が週2回あると、その2日と翌朝で、ほぼ1週間がつぶれていました。それと、夫が朝の送りしかしていないことも、紙に書いて見せて初めて伝わりました。夫は夫で、私が何を抱えているか知らなかったみたいです。

編集部園にはどう相談したのですか。

ふみさん

「遅番を月2回までにしてほしい」と、それだけをお願いしました。代わりに早番は週3回まで入れます、と書いたメモを持っていって。下の子が2歳なので、子の看護等休暇を時間単位で使えるかも確認しました。正直、断られると思っていたので、園長に「早く言ってくれればよかったのに」と言われたときは拍子抜けしました。

編集部家庭ではどんな変化がありましたか。

ふみさん

月2回の遅番の日は、夫がお迎え担当になりました。夕飯は週末に3品作り置きして、発表会の係も今年は外してもらえたので、制作の持ち帰りもほとんどなくなって。上の子と寝る前に絵本を読む時間が、また戻ってきたのがいちばんうれしいです。

辞めるか続けるかの前に、変えられることがこんなに残っていたんだと思いました。

ふみさん(仮名)

ふみさんは今も同じ園で4歳児クラスを担任しています。遅番が減った分、早番は週2〜3回に増えましたが、朝は夫が上の子の送りを担当しているため、家庭の段取りは崩れていません。下の子が3歳になる来年度に向けて、園が用意する働き方の措置のどれを選ぶかを、夫と話し合っているそうです。

ふみさんが最初に「全部つらい」と感じていたのは、遅番の日の無理が1週間全体に広がっていたからでした。書き出して場所を特定できたことで、お願いを一つに絞れ、園も応えやすくなりました。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図5

相談前3か月後

遅番の回数

週2回
月2回

持ち帰り仕事をする夜

週3日
月1日程度

0時前に寝られた日

週1日
週4日

夫がお迎えをする日

なし
月2日
図5 ふみさんの1週間の変化(モデルケース)

このケースから持ち帰れるのは、「辞める」「続ける」を考える前に、つらさの場所を一つに絞るという手順です。絞り込めれば、家庭に頼むこと、園にお願いすること、制度で解決することがはっきりします。もちろん、相談しても何も変わらない園もあります。その場合でも、一度具体的に伝えたという経験は、次の働き方を選ぶときの確かな判断材料になります。

06両立をがんばりすぎる前に、知っておいてほしいこと

要点:一つは、両立の形に正解はなく、子どもの年齢とともに変わっていいということ。もう一つは、心と体の不調のサインが出ているなら、工夫よりも休むことが先だということです。

1. 両立の正解は、子どもの年齢とともに変わる

子どもが0〜2歳の時期は発熱が多く、3歳を過ぎると行事や習い事、小学校に入ると放課後の居場所と、悩みの中身は変わっていきます。今の形が1年後も合うとは限りません。「この1年はこの形でいく」と期限を決めて、年度の切り替わりごとに見直すくらいの気持ちで十分です。いま時短やパートを選んでも、子どもが大きくなったら働き方を戻す人もいます。一度決めた形に縛られる必要はありません。

2. 心と体のサインは、何よりも優先する

朝起きられない、出勤前に涙が出る、わが子に怒鳴ってしまったあと何日も気持ちが沈む。そうした状態が2週間以上続いているなら、両立の工夫を考える前に休むことを優先してください。かかりつけ医や心療内科を受診することに加えて、働く人向けの「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時)のような公的な窓口もあります[8]。祝日や年末年始は休止しているので、つながらないときは日を改めてかけてください。

育児のための制度を使いたいと伝えても取り合ってもらえない、といった労働条件の悩みは、都道府県労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーで、無料・予約不要で相談できます[9]。

家庭のことと仕事のことが絡み合っていて、どこから話せばいいか分からない。そんなときは、保育の現場を知る人に順番に聞いてもらうだけでも、頭の中が整理されていきます。ほいくの相談室では、転職するかどうかを決めていない段階でも、子育てとの両立についての相談を受けています。

よくある質問

保育士は子育てと両立しにくい仕事なのでしょうか?

シフト勤務や持ち帰り仕事があるため、家庭の予定とぶつかりやすい面はあります。一方で、子どもの発達や園生活をよく知っている分、自分の子の園とのやりとりで迷いにくいという面もあります。両立のしやすさは職種そのものより、園の勤務体制と家庭の分担で大きく変わります。

子どもの発熱で休むたびに、同僚に申し訳なくなります。

小さい子どもが熱を出すのは避けられないことで、休むのは悪いことではありません。子の看護等休暇は1年度に5日(子どもが2人以上なら10日)あり、時間単位でも取れます[5]。休むときの連絡の流れや代わりの預け先を前もって決めておくと、当日の負担と気まずさが減ります。詳しくは子どもの発熱で休めないときの対処法をご覧ください。

30代で子育て中ですが、今から転職しても大丈夫でしょうか?

年齢そのものより、どんな条件の職場を選ぶかが大切です。入職直後は年次有給休暇がまだ付与されていないことがあるため、子どもの体調を崩しやすい時期は休みの調整が大変になります。勤務時間や休みの取りやすさを、面接や見学で具体的に確かめてから決めてください。

夫が家事や育児に協力的ではありません。どう話せばいいですか?

「もっと手伝って」と伝えるより、1週間の時間の使い方を書き出した紙を一緒に見るほうが、状況が伝わりやすくなります。そのうえで「遅番の日のお迎え」「朝の送り」のように、場面と曜日を決めて担当を頼むと、話し合いが具体的になります。

両立のために正社員をやめてパートになるのは、もったいないですか?

収入や賞与、社会保険の面では変化がありますが、もったいないかどうかは家庭の状況によります。正社員のまま時短勤務を使う、時間を区切ってパートで働くなど、間の選択肢もあります。数年後に働き方を戻すことも含めて、期限つきで考えると選びやすくなります。

参考にした資料

  1. 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項
  2. こども家庭庁「多様なニーズに対応した保育の充実②(病児保育・延長保育・一時預かり等)」令和8年3月版
  3. 厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
  4. 厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
  5. 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)」
  6. こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」(出典:厚労省 職業安定業務統計)
  7. 厚生労働省 FAQ「年次有給休暇とはどのような制度ですか…」
  8. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
  9. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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