保育士の給料が安い理由と手取りを増やす現実的な方法

25日の給料日。休憩室でスマホの明細アプリを開き、手取りの欄で指が止まる。家賃と奨学金の返済、スマホ代を引くと、自由に使えるお金は数万円しか残りません。同じ年に就職した友人が「ボーナスで旅行に行く」と話すのを聞いて、笑って相づちを打ちながら、少しだけ胸が苦しくなる。

保育の仕事は、子どもの命を預かり、早番の7時から延長保育の19時まで気を張り続ける仕事です。それなのに、なぜこれほど手取りが少ないのか。自分の園だけが安いのか、保育士という仕事全体がそうなのか。そこが分からないままだと、「我慢して続ける」か「保育をやめる」かの二択に追い込まれてしまいます。

この記事では、保育士の給料が安いと言われる理由を、国が定める公定価格の仕組みと公的な統計から整理します。そのうえで、今の園のままでできることから職場を変えることまで、手取りを増やす方法を手間の少ない順に並べました。読み終えたときに、自分の給料のどこに手を入れられるかが一つ見つかれば十分です。

この記事でわかること

  • 保育士の給料が全産業と比べてどのくらい低いのか(公的統計)
  • 給料が決まる仕組み(公定価格・処遇改善等加算・園の配分)
  • 同じ保育士でも給料に差がつく5つの理由
  • 手取りを増やす方法と、どれから手をつければよいか

結論

保育士の給料が安いと感じるのは、気のせいではありません。こども家庭庁が賃金構造基本統計調査から作成した資料では、2025年の月収換算は保育士34.3万円、全産業39.6万円で、差は縮まってきたものの今も残っています[1]。私立の認可保育所では、国が定める公定価格をもとに人件費が組み立てられ[2]、その中から各法人が給与を配分するため、配分の仕方の違いも手取りに表れます。保育士が手取りを増やしたいなら、まず給与明細で処遇改善の手当と残業代を確かめ、次に住まいの補助、役割と手当、交渉、職場を変えることの順に検討すると、無理のない一手が見つかります。

01保育士の給料は、統計で見ても全産業より低い

要点:公的な統計では、保育士の月収換算は全産業より約5万円低い水準です。ただし、この差は10年あまりで少しずつ縮まってきています。

「保育士は給料が安い」という話は、感覚だけのものではありません。こども家庭庁は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに、保育士と全産業の「月収換算」を比べた資料を公表しています。月収換算とは、毎月決まって支給される給与に年間賞与の12分の1を足した額で、役職者を除いて計算されています[1]。

図1

月収換算で見た保育士と全産業の比較(役職者を除く)[1]

保育士(2012年)26.3万円
全産業(2012年)35.0万円
保育士(2025年)34.3万円
全産業(2025年)39.6万円
図1 月収換算で見た保育士と全産業の比較(役職者を除く)[1]

2012年には保育士と全産業の差が8.7万円ありましたが、2025年には5.3万円まで縮まりました[1]。「何も変わっていない」わけではなく、国の改善は少しずつ数字に表れています。それでも、月5万円あまりの差は、1年にすれば60万円を超えます。同じように朝から夕方まで働く人と比べて、これだけの差があると知れば、「安い」と感じるのは自然なことです。

統計には、最近の改善がまだ入りきっていない

もう一つ知っておきたいのは、統計の数字と、今の給与との間には時間差があることです。公定価格の保育士等の人件費は、令和6年度に10.7%、令和7年度に人事院勧告を踏まえて5.3%改善されました[3]。ただし、令和6年度分は2024年12月の適用のため2025年の賞与などに反映しきれておらず、令和7年度分は2025年12月の適用のため2025年の賃金には影響していないと、同じ資料に注記があります[4]。令和8年度の公定価格でも、この5.3%の改善は継続して確保されています[5]。

つまり、上のグラフの「2025年」は、直近の改善が入りきる前の姿です。自分の園で改善分がどう反映されたかは、統計ではなく、自分の明細でしか確かめられません。

給料への不満は、多くの保育士が抱えている

東京都が保育士を対象に行った調査では、保育士を辞めたいと考える理由として「給料が安い」を挙げた人が61.6%で、最も多くなっていました[6]。また、今の職場で改善してほしいこととして「給与・賞与等の改善」を選んだ人は62.7%にのぼります[7]。給料の不満を口にすることに、後ろめたさを感じる必要はありません。

02給料が決まる仕組み:公定価格から手取りまで

要点:私立の認可保育所では、国が定める公定価格をもとに人件費が組み立てられ、その中から法人が給与を決めます。国が人件費を上げても、どう配分するかは園によって違います。

保育士の給料が「安い」理由を考えるには、お金がどこから来て、どこを通って手元に届くのかを知るのが近道です。流れを5つの段階に分けると、次のようになります。

図2

  1. 国が公定価格を定める保育士の本俸の基準額が示され、人件費の積算は地域区分によって変わる
  2. 処遇改善等加算が上乗せされる職員の平均経験年数や賃金改善の要件に応じて、加算がつく
  3. 法人に運営費が入る加算の取得状況などによって、園ごとに入る金額が変わる
  4. 法人が給与規程で配分する基本給、各種手当、賞与、処遇改善の手当にどう分けるかを決める
  5. 保険料や税金が引かれる健康保険料、厚生年金保険料、所得税、住民税などを差し引いた額が手取りになる
図2 保育士の給料が手元に届くまでの流れ

公定価格の中の「人件費」はいくらで計算されているか

令和8年度の公定価格では、保育士の本俸基準額は254,694円、特殊業務手当の基準額は7,800円とされています。賞与や地域手当なども含めた予算積算上の人件費年額は、20/100地域で548万円、その他地域で458万円、全国平均で491万円です[2]。

ここで注意したいのは、これが「運営費を計算するための積算上の数字」だということです。この金額には処遇改善等加算の区分1〜3が含まれておらず、通知には、この額を理由に給与水準を下げることは不適切だとも書かれています[2]。積算どおりの金額が一人ひとりに支払われると決まっているわけではありません。それでも、自分の年収とこの数字を並べてみると、「園に入っているお金」と「自分に届いているお金」の距離を考えるきっかけになります。

処遇改善等加算は「給料を上げるための上乗せ」

公定価格には、保育士の賃金を上げるための「処遇改善等加算」が上乗せされています。令和7年度からは、それまでの加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが一本化され、区分1(基礎分)、区分2(賃金改善分)、区分3(質の向上分)に整理されました[8]。2022年に始まった月額9,000円相当の改善も、今は区分2に含まれています[9]。

この加算が、毎月の手当として入るのか、年度末の一時金としてまとめて入るのかは、園によって違います。一時金でまとめて支払われる園では、毎月の明細だけを見ていると「処遇改善なんて入っていない」と感じやすくなります。

国が上げても、手取りが増えた実感がわきにくい理由

人件費の改善が発表されても、手取りが増えた実感がないという声はよく聞かれます。理由はいくつか考えられます。改善分が基本給ではなく手当や一時金に入ると、毎月の手取りには表れにくくなります。賞与を基本給の何か月分という形で計算している園では、手当が増えても賞与は増えません。また、額面が増えれば保険料や税金も少し増えるため、手取りの伸びは額面の伸びより小さくなります。

03同じ保育士でも、給料に差がつく5つの理由

要点:保育士の給料は、地域、経験年数、処遇改善の配分、任されている役割、運営主体によって変わります。自分の給料が安い原因がどれなのかを見極めると、打てる手が変わります。

図3

  • 1

    地域区分

    公定価格には20/100から「その他」までの8つの地域区分があり[10]、人件費の積算額も地域によって違う[2]

  • 2

    経験年数

    処遇改善等加算の区分1は、職員の平均経験年数に応じて加算率が2〜12%になる[8]

  • 3

    処遇改善の配分

    区分2・区分3の加算を、誰に、いくら、どの形で配るかは園の配分による

  • 4

    役割

    区分3には月額4万円分と5千円分の枠があり[8]、任される役割によって手当が変わることがある

  • 5

    運営主体と園種

    公立か私立か、認可か認可外かで、給与の決め方そのものが違う

図3 保育士の給料に差がつく5つの理由

地域による差は、個人の努力では埋めにくい

公定価格の地域区分は、国家公務員・地方公務員の地域手当の区分に合わせて決められています[10]。同じ経験年数の保育士でも、働く市区町村によって人件費の積算が変わるということです。なお、この地域区分の見直しは2026年4月には実施されず、令和9年度に向けて引き続き検討されることになっています[11]。

地域の差は、今の園で頑張って埋められるものではありません。逆に言えば、通勤できる範囲に地域区分の違う市があるなら、職場を選ぶときの判断材料になります。地域や経験年数による違いは保育士の平均年収と、地域・経験年数による差で詳しくまとめています。

配分と役割の差は、確かめれば見えてくる

地域区分とは違い、処遇改善の配分や役割による差は、園に聞けば見えてくるものです。たとえば、区分3の加算をどの役割の職員に、月いくら配っているか。区分2の賃金改善を、基本給と手当のどちらに入れているか。こうした点を知らないまま「うちは安い」と感じているなら、確かめるだけで見え方が変わることがあります。

図4

同じ地域・同じ経験年数の求人と比べて、自分の年収は低いか

  1. 地域の水準そのものが低い今の園での工夫より、通勤圏の別の市や地域区分の違う園を調べるほうが近道になる
  2. 処遇改善の配分が見えない明細と園の説明で、区分2・区分3の手当がどこに入っているかを確かめる
  3. 役割の割に手当がない担当している仕事を書き出し、手当や時間の確保を相談する材料にする
  4. 時間外が支払われていない残った日と時間を記録し、まず主任や園長に確認する
  5. 園全体の給与水準が低い交渉と並行して、配分のよい職場を探し始める
図4 自分の給料が安い原因はどこにあるか

どの原因にも当てはまらず、同じ地域・同じ経験年数の求人と比べても大きな差がないなら、今の給料は「保育士の水準としては平均的」だということです。その場合、手取りを増やすには役割を広げるか、住まいの補助などで支出側を軽くするほうが現実的です。

04手取りを増やす方法を、手間の少ない順に比べる

要点:いきなり転職を考える前に、明細の確認、残業代、住まいの補助、役割と手当、交渉の順に確かめると、今の園のままで増やせる分が見つかることがあります。それでも足りないときに、職場を変えることを考えます。

図5

方法手間期待できること気をつけたいこと
明細と処遇改善の確認小さい受け取っている手当の全体像が分かる金額は増えないが、交渉や比較の土台になる
残業代の確認小さい〜中くらい記録されていない時間外の分が支払われる時間の記録を残すことが前提になる
住まいの補助中くらい家賃の負担が減り、使えるお金が増える対象者や上限額は自治体と園で違う
役割と手当中くらい区分3などの手当がつく仕事量も増えるため、見合うかを確かめる
給与の交渉中くらい〜大きい基本給や手当の見直し根拠になる数字の準備が必要
職場を変える大きい配分や地域区分の良い園で年収が上がる月給だけで比べると見落としが出る
副業中くらい〜大きい本業以外の収入ができる就業規則で認められているかを確かめる
図5 保育士が手取りを増やす方法の比べ方

明細を読み、処遇改善の手当を探す

最初の一手は、お金を増やすことではなく、今いくらもらっているかを正確に知ることです。12か月分の明細と、賞与・一時金の明細を並べ、基本給、手当、時間外手当、賞与、一時金を年間で足してみてください。思っていた年収と違うことは珍しくありません。手当の名前の読み方は給与明細の見方と処遇改善の手当の探し方で、項目ごとに整理しています。

残業代が正しく支払われているか確かめる

運動会や発表会の前、書類が締め切りの週など、タイムカードを押してから残っている時間はないでしょうか。法定労働時間を超えた時間外労働には25%以上の割増賃金が必要です[12]。また、賃金を請求できる期間は、当分の間3年とされています[13]。まずは、残った日と時間を手帳に書き留めるところから始めてください。

住まいの補助を使う

家賃は、毎月の支出でいちばん大きいことが多い費用です。国の保育士宿舎借り上げ支援事業は、採用から5年以内の常勤保育士を対象に、月額75,000円を上限として市区町村ごとに上限を決めています[14]。東京都では1戸あたり月82,000円が基準額です[15]。ただし、使えるかどうかは自治体と園が事業を実施しているかで決まります。自治体による違いは借り上げ社宅の自治体ごとの違いで確かめられます。

役割を引き受け、手当を得る

区分3の加算には月額4万円分と5千円分の枠があります[8]。東京都では、職務分野別リーダー等として発令された職員を対象にしたキャリアアップ補助金もあります[16]。リーダーや担当を引き受けるときは、手当の額だけでなく、そのための時間がシフトの中で確保されるかを確かめてください。手当が月5,000円でも、毎週の持ち帰りが2時間増えるなら、割に合わないこともあります。

交渉する、職場を変える、副業を考える

ここまでを確かめても足りないときは、園長への交渉、職場を変えること、副業が選択肢に入ります。交渉は、明細や担当の変化といった数字を用意してから臨むほうが話が進みます。進め方は給料交渉の進め方と伝え方を参考にしてください。職場を変えるなら、月給の数字だけでなく賞与や手当、処遇改善の配分まで比べる必要があります。詳しくは給料の高い職場の条件と探し方にまとめました。副業を考える場合は、先に就業規則を確認しておくと安心です。詳しくは保育士の副業が認められているかの確かめ方をご覧ください。

05今月から始める、4週間の進め方

要点:給料の悩みは、一度に全部を解決しようとすると動けなくなります。最初の4週間は「知る・記録する・聞く」に絞ると、無理なく次の判断につながります。

給料のことで動こうと思っても、毎日の保育と書類で手いっぱいの中、何から始めればいいか迷うものです。ここでは、1か月で終えられる範囲に絞った進め方を紹介します。どの手順も、転職するかどうかを決めていなくてもできる作業です。

図6

  1. 1年分の明細を集める

    毎月の明細と、賞与・一時金の明細を手元にそろえ、年間の合計を出す

  2. 手当の内訳に印をつける

    基本給、処遇改善に関係する手当、時間外手当、住宅手当などを色分けする

  3. 時間外を2週間記録する

    タイムカードの後に残った時間と持ち帰りの時間を、手帳に書き留める

  4. 住まいの補助を調べる

    自治体の公式サイトで宿舎借り上げ支援事業の有無と対象を確かめる

  5. 園に一つだけ質問する

    処遇改善の配分方法か、時間外の扱いのどちらか一つに絞って聞く

  6. 同じ地域の求人と比べる

    同じ経験年数の求人を3〜5件選び、年収で並べてみる

図6 保育士が手取りを増やすための最初の4週間

4週間が終わったら、分かったことを紙1枚にまとめてみてください。「処遇改善は年度末の一時金で年間約○万円」「時間外は月に約○時間あるが記録されていない」のように、数字で書けることが増えているはずです。その紙が、園長と話すときにも、ほかの職場と比べるときにも、いちばんの材料になります。

06相談事例:保育をやめる前に、給料をばらしてみた

要点:ここでは、給料の内訳を確かめたことで、保育を続けながら年収を増やせたモデルケースを紹介します。何が分かり、何を変えたのかに注目してください。

「保育をやめるしかない」から、年収を約23万円増やすまで

相談事例(モデルケース)

お名前
なごみさん(仮名)・29歳
保育士歴
7年目
勤務先
地方都市の私立認可保育園(定員約70名)、4歳児クラス担任
暮らし
一人暮らし、奨学金を返済中
変化
年収 約318万円 → 約341万円(1年後)

編集部相談に来たとき、どんな状況でしたか。

なごみさん

手取りが17万円台で、家賃と奨学金を払うと本当に余裕がなくて。正直、保育はもう続けられないと思って、事務職の求人ばかり見ていました。給料が安い理由も分からないまま、「保育士だから仕方ない」と諦めていたんです。

編集部まず、何から確かめましたか。

なごみさん

1年分の明細と、3月にもらった一時金の明細を並べました。処遇改善の分は毎月の手当じゃなくて、年度末にまとめて出ていたんです。全部足したら、思っていた年収より20万円近く多くて。ちょっと拍子抜けしました。

編集部そこから、収入が増えたきっかけは何でしたか。

なごみさん

運動会と発表会の前は毎日1時間くらい残っていたのに、タイムカードを先に押すのが当たり前になっていたんです。それを主任に相談して、行事前の残業も記録してもらえるようになりました。あと、園長に「区分3の手当はどういう基準で配っていますか」と聞いたら、食育のリーダーを探していると教えてもらえて。

編集部リーダーを引き受けることに、迷いはありませんでしたか。

なごみさん

ありました。仕事が増えるだけなら嫌だなって。でも、月1回の会議と給食室との打ち合わせが中心で、その時間をシフトの中で取ってもらえると確認できたので、引き受けることにしました。

安いのは私のせいじゃなかった。仕組みが分かったら、どこに手を入れればいいかが見えました。

なごみさん(仮名)

なごみさんは、行事前の残業代が月平均8時間分ほど支払われるようになり、リーダーの手当として月5,000円がつきました。年度末の一時金と合わせ、年収はおよそ23万円増えています。

ただ、なごみさんは「これで十分」とは考えていません。通勤できる範囲にある地域区分の高い市の求人も時々見ながら、来年の春にもう一度、自分の年収と比べると決めています。このケースから持ち帰れるのは、辞めるか続けるかを考える前に、自分の給料の内訳を一度ばらしてみることです。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

07お金のために動く前に、正直に伝えておきたいこと

要点:手取りを増やす方法はありますが、一人の工夫で全産業との差がすべて埋まるわけではありません。そして、給料のためだけに動くと、別のものを失うことがあります。

自分の工夫で埋められる差と、埋められない差がある

明細の確認や残業代、手当でできることは、年に数万円から数十万円の範囲であることが多いものです。地域区分のような仕組みの差は、個人の努力では動きません。「もっと頑張れば上がるはず」と自分を追い込むのではなく、埋められる差と埋められない差を分けて考えてください。埋められない差に疲れたときに職場や地域を変えるのは、逃げではなく、合理的な判断です。

給料だけを見て選ぶと、時間や心の余裕を失うことがある

月給が2万円高い園に移ったら、持ち帰りの書類が毎週5時間増えた。そんな話は珍しくありません。時給に直すと前の園より低くなっていた、ということも起こります。給料を比べるときは、年収と同時に、働く時間、休みの取りやすさ、通勤時間も並べてください。お金は生活を支える大事な条件ですが、それだけで続けられる仕事ではないことも、保育士なら身にしみているはずです。

給料の悩みは、家族や同僚には話しにくいものです。ほいくの相談室では、転職するかどうかを決めていない段階でも、明細の読み方や手当の確かめ方から一緒に整理しています。「この金額は安いのか」を誰かと確かめるだけでも、次に何をするかは決めやすくなります。

よくある質問

保育士の給料は、これから上がる見込みはありますか?

公定価格の人件費は令和6年度に10.7%、令和7年度に5.3%改善され、令和8年度もこの改善が続いています[3][5]。ただし、国の改善がどれだけ個人の給与に届くかは、園の配分によって変わります。自分の園での反映のされ方は、明細と園の説明で確かめてください。

手取りが少ないのは、税金や保険料が高いからですか?

額面からは健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税などが引かれるため、手取りは額面より少なくなります。ただ、手取りが少ないと感じる原因が、そもそも額面が低いことにある場合も多くあります。まず額面の内訳を見て、どこが低いのかを確かめるのが先です。

処遇改善の手当がいくらなのか、園に聞いてもいいですか?

聞いてかまいません。「処遇改善の手当は、毎月の手当と一時金のどちらで、年間いくらくらいですか」のように、責める言い方ではなく確認の形で聞くと、答えてもらいやすくなります。

給料が安いことを理由に転職してもいいのでしょうか?

給料は働き続けるための大事な条件で、それを理由に職場を変えることはおかしなことではありません。東京都の調査でも、保育士を辞めた理由として「給料が安い」を挙げた人は22.1%いました[17]。ただし、月給だけでなく賞与、手当、働く時間まで比べてから決めると、後悔が少なくなります。

保育士の給料が安いのは、園長や法人が悪いからですか?

一概にそうとは言えません。公定価格の地域区分のように、園の努力では変えられない部分もあります[10]。一方で、処遇改善の配分や手当の付け方は法人が決めるため、説明を求めることはできます。仕組みの問題と園の問題を分けて考えると、誰に何を聞けばよいかが見えてきます。

パートの保育士でも、処遇改善の対象になりますか?

処遇改善等加算の区分2(賃金改善分)は全職員を対象としています[8]。ただし、パートの職員にどのような形で配分しているかは園によって違うため、雇用契約書や園の説明で確かめてください。

参考にした資料

  1. こども家庭庁「基礎資料(保育士・幼稚園教諭等の処遇改善)」令和8年3月版
  2. こども家庭庁通知「令和8年度における私立保育所の運営に要する費用について」(2026年7月31日 こ成保第536号)
  3. こども家庭庁「基礎資料(保育士・幼稚園教諭等の処遇改善)」令和8年3月版
  4. こども家庭庁「基礎資料(保育士・幼稚園教諭等の処遇改善)」令和8年3月版
  5. こども家庭庁「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項」(2026年4月)
  6. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
  7. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 調査結果の概要」
  8. こども家庭庁「基礎資料(保育士・幼稚園教諭等の処遇改善)」令和8年3月版
  9. こども家庭庁「基礎資料(保育士・幼稚園教諭等の処遇改善)」令和8年3月版
  10. こども家庭庁「公定価格における地域区分に関する対応について」(2024年12月19日 子ども・子育て支援等分科会 資料7)
  11. こども家庭庁「令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項」(2026年4月)
  12. 厚生労働省 FAQ「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」
  13. 確かめよう労働条件Q&A「賃金請求権の消滅時効は…」
  14. こども家庭庁「令和8年度 保育関係予算の概要」
  15. 東京都「魅力ある保育」保育従事職員宿舎借り上げ支援事業
  16. 東京都福祉局「東京都保育士等キャリアアップ補助金 東京都保育サービス推進事業補助金 令和8年度当初交付申請について」(2026年2月2日)
  17. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 調査結果の概要」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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