保育士が仕事に行きたくない・苦痛なとき|気持ちの背景別の対処法

玄関で靴を履こうとして、手が止まる。今日のシフトは誰と一緒だったか、昨日の連絡帳に保護者から返事が来ているか。考え始めると、胸のあたりがずんと重くなる。「行きたくない」。声に出さなくても、そう思う朝が少しずつ増えていく。

それでも園に着けば、子どもたちが「せんせい、おはよう」と駆け寄ってきて、一日はなんとか回っていきます。だからこそ「行ってしまえば大丈夫なんだから」と、朝の重さを見ないふりをしてしまう。けれど、行きたくない気持ちが毎朝のように続くなら、それは心と体が何かを知らせているサインです。

仕事に行きたくない気持ちは、一つの理由だけでできているとは限りません。人間関係、仕事の量、体の疲れ、保護者対応、保育という仕事そのものへの迷い。いくつかが重なると、何がつらいのか自分でも分からなくなります。この記事では、その気持ちの背景を分けて、背景ごとの対処法を紹介します。

この記事でわかること

  • 「行きたくない」気持ちをつくる5つの背景と、自分がどれに近いかの見分け方
  • 1週間のメモで、行きたくない気持ちの正体をつかむ方法
  • 背景ごとの対処法(今日できること・園に相談すること・環境を変える目安)
  • どうしても行けない朝の連絡のしかたと、休む・受診する目安

結論

保育士が仕事に行きたくない、仕事が苦痛だと感じるときは、その気持ちを「人間関係」「仕事の量や偏り」「体の疲れ」「保護者・子どもとの関わり」「保育という仕事への迷い」の5つの背景に分けて考えると、対処法が見えてきます。背景によって、自分の工夫で軽くなるもの、園に相談すれば変わるもの、環境を変えないと解決しにくいものがあるためです。まずは1週間、行きたくないと感じた場面をメモして、どの背景がいちばん重いかを確かめてください。ただし、眠れない、食べられないといった不調が2週間以上続いているなら、対処より先に休むことと受診を優先します。

01「行きたくない」は、いくつかの背景が重なってできている

要点:保育士が仕事に行きたくないと感じる背景は、大きく5つに分けられます。多くの場合は一つではなく、二つ三つが重なっているため、まず分けて眺めることが対処の出発点になります。

「仕事に行きたくない」という言葉は、とても大きな言葉です。この一言の中に、先輩と同じシフトになる不安も、終わらない書類への疲れも、早番が続いた体のだるさも、全部まとめて入ってしまいます。まとめたままだと、どれから手をつければいいのか分からず、「自分は保育士に向いていないのかもしれない」という一番大きな結論に飛びついてしまいがちです。

図1

  • 1

    人間関係

    特定の先輩や主任と組む日が憂うつ、職員室の空気が重い、質問するのが怖い

  • 2

    仕事の量や偏り

    書類や制作が終わらない、行事の担当が毎回自分に来る、持ち帰りが続いている

  • 3

    体の疲れ

    早番・遅番が続いて眠りが浅い、腰や肩が痛い、休日も疲れが抜けない

  • 4

    保護者・子どもとの関わり

    特定の保護者への対応が怖い、クラスが落ち着かず毎日ぐったりする

  • 5

    保育という仕事への迷い

    子どもと関わっても楽しいと思えない、この仕事を続ける意味が分からない

図1 「行きたくない」をつくる5つの背景

東京都が保育士を対象に行った調査でも、過去に保育士として働いた人が辞めた理由の上位は、職場の人間関係(31.5%)、仕事量が多い(23.1%)、給料が安い(22.1%)、健康上の理由(20.6%)でした[1]。多くの保育士が、同じような背景でつまずいています。行きたくない気持ちは、あなた一人の弱さから生まれたものではありません。

「月曜だけ」か「毎日」かで、意味が変わる

行きたくない気持ちが出る頻度にも目を向けてください。週明けの月曜だけ重いなら、休日とのギャップや週の始まりの緊張が中心かもしれません。特定の曜日だけなら、その日のシフトや担当、会議に原因がありそうです。一方で、曜日に関係なく毎朝重い、休日の夜から気持ちが沈む、という状態なら、疲れが積み重なっている可能性があります。頻度を知るだけでも、対処の方向が絞られます。

「行きたくない」が「仕事が苦痛」に変わってきたら

最初は朝だけだった重さが、勤務中もずっと続くようになる。子どもの泣き声や保護者の声に、以前より強く疲れを感じる。そうなると「行きたくない」は「仕事が苦痛」という感覚に変わっていきます。この段階まで来ているなら、工夫で乗り切ろうとするより、休みを取ることを早めに考えてください。苦痛を感じながら働き続けるほど、回復にかかる時間は長くなります。

021週間のメモで、気持ちの正体をつかむ

要点:行きたくない気持ちの背景は、頭の中で考えるより、1週間だけ記録をつけて見返すほうがはっきりします。「いつ」「誰と」「何の前に」重くなったかを書くだけで十分です。

朝の気分は、その日の天気や睡眠でも変わります。一日だけで判断すると、たまたま疲れていた日の気分に引っ張られてしまいます。1週間分を並べてみると、「木曜の朝だけ特に重い」「遅番の翌日はいつも行きたくない」といった、繰り返しの形が見えてきます。

図2

  1. 朝の重さを点数にする

    起きたときの「行きたくない度」を0〜10で書く。理由は考えなくてよい

  2. その日の予定を一行書く

    シフト(早番・遅番)、組む職員、会議や行事の準備、保護者面談などを書く

  3. 重くなった場面を書く

    日中に気持ちが沈んだ場面を、時間と相手と一緒に書き留める

  4. 少し楽だった場面も書く

    子どもとの遊びや、話しやすい同僚との時間など、気持ちが軽かった場面も残す

  5. 5つの背景に印をつける

    1週間たったら、書いた場面を5つの背景のどれに当たるかで分ける

  6. いちばん多い背景を一つ選ぶ

    印が多かった背景から、次の章の対処法を試す

図2 行きたくない気持ちを分ける1週間メモ

たとえば、ある1週間のメモが次のようになったとします。

  • 月曜:朝7点。早番。主任と二人で朝の受け入れ。ミスを指摘されて落ち込む
  • 水曜:朝4点。遅番。子どもと粘土遊びをした時間は楽しかった
  • 木曜:朝8点。行事の打ち合わせ。準備の担当がまた自分に決まる
  • 金曜:朝6点。連絡帳の返事に厳しい言葉があり、昼まで気になる

このメモからは、「主任と組む日」と「行事の担当が決まる日」に重さが集中していることが分かります。子どもと遊ぶ時間は楽しめているので、保育そのものが嫌になったわけではなさそうだ、ということも見えてきます。

メモを見返すときの3つの視点

見返すときは、「いつ重いか」「誰といるときに重いか」「何の前に重いか」の三つに注目します。いつ、が分かればシフトの調整が、誰と、が分かれば人との距離の取り方が、何の前、が分かれば仕事の分担の見直しが、それぞれ手がかりになります。点数が低かった日、楽だった場面も大切な情報です。何があると楽なのかが分かれば、それを増やす方向でも考えられます。

03背景別の対処法:今日できること、園に相談すること

要点:背景ごとに、自分でできる工夫、園に相談して変えてもらうこと、環境を変えることを考える目安が違います。いちばん重い背景から一つずつ試してください。

図3

背景今日できること園に相談すること環境を変える目安
人間関係話す相手を選び、相手の言葉を記録しておくシフトの組み合わせや担当クラスの調整相談しても強い言動が続くとき
仕事の量や偏り1週間の業務と時間を書き出す担当の持ち回り、書類の様式の見直し何度伝えても偏りが変わらないとき
体の疲れ睡眠と食事を優先し、休日は予定を入れすぎない早番・遅番の連続を減らす相談体調が回復しても勤務形態がつらいとき
保護者・子どもとの関わり一人で返事を抱えず、主任に共有する難しい保護者対応を園として引き受けてもらう園が対応してくれない状態が続くとき
保育という仕事への迷い楽しかった場面を書き留める担当年齢や役割を変えられないか相談する休んでも迷いが消えないとき
図3 背景別に見る「行きたくない」への対処

人間関係が理由のとき

特定の人と組む日だけ行きたくないなら、まずは相手との距離の取り方を工夫します。業務の確認は短く要点だけにする、言われたことをメモに残す、話しやすい同僚を一人つくっておく、といった方法です。強い言葉で繰り返し責められる、無視されるといった状態が続く場合は、自分の受け止め方の問題ではありません。職場の人間関係のつらさについては保育士の人間関係がつらいときの対処法で詳しく紹介しています。

仕事の量や偏りが理由のとき

行事の担当や書類が一人に集中しているなら、メモの記録を持って主任に相談するのが近道です。国も「保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン」で、記録や書類の見直し、ICTの活用、保育補助者の活用といった改善の事例を示しています[2]。仕事を減らしてほしいと伝えるのは、わがままではなく、保育の質を保つための相談です。伝え方は仕事を減らしてほしいときの伝え方を参考にしてください。

体の疲れが理由のとき

朝起きるのがつらい、早番の前の晩に眠れないといった体の疲れが中心なら、気持ちを奮い立たせるより先に、睡眠と勤務の組み方を見直します。遅番の翌日に早番が入る組み方が続いていないか、休日に予定を詰め込みすぎていないかを確かめてください。朝起きられない状態が続くときの受け止め方と受診の目安は、朝起きられない・出勤が怖いときの考え方にまとめています。

保護者・子どもとの関わりが理由のとき

特定の保護者への対応が怖い、クラスが落ち着かずに毎日ぐったりする、という場合は、担任一人で受け止めている状態を変えることが先です。保護者への返事は主任と相談してから書く、難しい話し合いには主任や園長に同席してもらう、クラスの状況を職員会議で共有して加配や応援を相談する。一人で抱える時間が短くなるだけで、朝の重さは変わります。2026年10月1日からは、顧客等による社会通念上許容される範囲を超えた言動(カスタマーハラスメント)への対策が事業主の義務になっています[3]。保護者とのやりとりで深く傷ついたときは、園として対応してもらうよう相談してよいのです。

保育という仕事への迷いが理由のとき

子どもと関わっても楽しいと思えない、仕事を続ける意味が分からない。この背景がいちばん重いときは、少し慎重に考えます。疲れが限界までたまると、本来好きだったことにも喜びを感じにくくなるからです。まずは休んで体を回復させ、それでも迷いが残るかを確かめてください。休んで元気が戻ってから考えた答えのほうが、あとで後悔しにくくなります。

東京都の調査では、現在保育士として働いている人の78.7%が「今後も保育士として働き続けたい」と答えています[4]。行きたくない朝があることと、保育の仕事を続けたい気持ちは、同じ人の中に同時にあってもおかしくありません。担当する年齢を変える、行事の少ない園に移る、保育園以外で資格を活かすなど、保育との関わり方を変えることで、迷いが小さくなる人もいます。

04行きたくない朝を少し軽くする、前の晩と朝の工夫

要点:背景への対処と並行して、前の晩と朝の過ごし方を少し変えると、出勤までのハードルが下がります。全部をやる必要はなく、できそうなものを一つ選べば十分です。

行きたくない気持ちが強い朝は、起きてから家を出るまでの一つひとつの動作が重く感じられます。服を選ぶ、弁当を詰める、天気を確かめる。その小さな判断が積み重なるほど、玄関で立ち止まる時間が長くなります。朝に考えることを減らし、出かける理由を一つ増やすことが、この工夫のねらいです。

図4

  • 前の晩に、翌日の服と持ち物をそろえておく朝に決めることが一つ減るだけで、動き出しが楽になります
  • 寝る前の30分は、園のグループLINEを見ない夜に仕事の連絡を見ると、頭が勤務モードに戻り、寝つきが悪くなります
  • 翌日の「最初の30分」の段取りだけを決めておく一日全部を考えると重くなります。朝の受け入れまでの流れだけで十分です
  • 朝に小さな楽しみを一つ用意する好きな飲み物や通勤中の音楽など、出かける理由を一つ増やします
  • 通勤の途中に「区切りの場所」をつくる駅の改札や角のコンビニなど、そこで深呼吸して気持ちを切り替えます
  • 帰ったあとの予定を一つ入れておく夕方の楽しみがあると、一日の終わりが見えて朝の気持ちが軽くなります
図4 出勤のハードルを下げる工夫(できそうなものを一つ選ぶ)

これらは、行きたくない気持ちの背景そのものを解決するものではありません。あくまで、出勤までの負担を少し減らすための工夫です。工夫を続けても朝の重さがほとんど変わらないなら、背景への対処か、休むことのほうに力を回してください。

05どうしても行けない朝にすること

要点:体が動かない、涙が止まらないなど、どうしても行けない朝は、始業前に短く連絡して休みます。有給休暇は働く人が指定した時季に取るのが原則で、取得を理由にした不利益な扱いは禁止されています。

「行きたくない」と「行けない」は違います。行きたくないけれど体は動く日と、玄関から一歩も出られない日。後者の朝に無理をして出勤すると、保育中の判断が鈍り、子どもの安全にも関わります。行けない朝は、休むことがいちばん安全な選択です。

図5

  1. 状態を確かめる起き上がれるか、涙や動悸が続いていないかを確かめる
  2. 始業前に連絡する園の決まった連絡方法で、園長か主任に「体調不良で休みます」と短く伝える
  3. 引き継ぎを一つだけ伝える今日の保育で気になる子どもや、届いている連絡を一つだけ伝える
  4. 横になって休む連絡が終わったら、スマートフォンを置いて休む
  5. 受診を考える同じような朝が続くなら、内科や心療内科の予約を入れる
図5 どうしても行けない朝の動き方

連絡は「体調がすぐれないため、本日はお休みをいただきます。○○ちゃんのお迎えが祖母になる件は、連絡帳に書いてあります」のように、休むことと、一番大事な引き継ぎだけで十分です。年次有給休暇は、働く人が指定した時季に取るのが原則で、園が時季を変えられるのは事業の正常な運営を妨げる場合に限られます[5]。有給休暇を取ったことを理由に不利益な扱いをすることも禁止されています[6]。

「行けない朝」が週に何度もあるなら

行けない朝が月に1回程度なら、疲れがたまっていた日と考えてもよいかもしれません。けれど、週に何度もあるなら、体と心が限界に近いサインです。その場合は、個別の対処法を試すより先に、まとまった休みを取ることと受診を考えてください。休むことへの迷いが強いなら、辞めたい・休みたいのは甘えなのかと悩むときも読んでみてください。

06相談事例:「向いていない」と思っていたのは、仕事の偏りだった

要点:ここでは、1週間のメモで行きたくない気持ちの正体が分かり、園に相談して働き方を変えたモデルケースを紹介します。

嫌だったのは保育ではなく、毎回自分に来る担当だった

相談事例(モデルケース)

お名前
ひろきさん(仮名)・26歳
保育士歴
4年目(相談当時)
勤務先
社会福祉法人の認可保育園(定員約90名)、5歳児クラス担任(2人担任)
変化
「行きたくない」と感じた朝 週5日 → 週1日ほど/行事の設営や力仕事の担当 ほぼ毎回 → 月1回の当番制

編集部仕事に行きたくないと感じ始めたのは、いつごろですか。

ひろきさん

4年目の春からです。毎朝、駐輪場で自転車を止めたあとに、しばらく動けなくなる日が続いて。子どもは好きなはずなのに、なんでこんなに行きたくないんだろうって。正直、自分は保育士に向いてないんだと思い込んでいました。

編集部メモをつけてみて、何が分かりましたか。

ひろきさん

月曜と木曜の朝の点数が、いつも8とか9だったんです。月曜は週末に届いた行事の連絡を確認する日で、木曜は行事の打ち合わせの日でした。プールの準備も運動会のテントも音響も、職員で男性が僕一人なので、毎回「お願いね」って自然に回ってきていて。子どもと遊んでいる時間の点数は、ほとんど2とか3でした。

編集部それを見て、どう感じましたか。

ひろきさん

拍子抜けしました。嫌だったのは保育じゃなくて、行事の設営と力仕事が全部自分に来ることだったんだって。それまでは「男だから仕方ない」って、自分でもどこかで思っていたんです。

編集部園には、どのように伝えましたか。

ひろきさん

メモを見せながら主任に話しました。「設営と力仕事が、この2か月で12回ありました。保育の準備が後回しになっています」って、回数で伝えたんです。主任も気づいていなかったみたいで、翌月から設営は職員の当番制になりました。遅番の翌日の早番も、なるべく入らないように組んでもらえました。

数字で見せたら、「男の先生だから」で片づけられなくなりました。

ひろきさん(仮名)

ひろきさんはその後も同じ園で働き続け、翌年度は4歳児クラスの担任になりました。行きたくないと感じる朝は、行事前の週に少しある程度だそうです。「今でも重い朝はあります。でも、何が重いのか分かっているから、前ほど怖くないんです」と話しています。

このケースで役に立ったのは、「行きたくない」を一つの塊のまま扱わず、場面ごとに分けて記録したことです。点数と回数があったことで、ひろきさん自身も、相談を受けた主任も、変えるべきことを同じように理解できました。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図6

相談前半年後

「行きたくない」と感じた朝

週5日
週1日ほど

設営や力仕事の担当

2か月で12回
月1回の当番

遅番の翌日の早番

月4回
月1回以下

朝の「行きたくない度」の平均

8点
3点
図6 ひろきさんの変化(相談前と半年後)

07行きたくない気持ちを分けるときに、気をつけたいこと

要点:気持ちを分けて考えることは役に立ちますが、それで全部が解決するわけではありません。「行けば平気」に頼りすぎないことと、分けても軽くならないときは休むことを優先することの2つを覚えておいてください。

1. 「行ってしまえば平気」に頼りすぎない

行きたくない朝でも、園に着けば体が勝手に動き、子どもと笑って一日を終えられる。保育士にはそういう人が多くいます。けれど、それは疲れが消えたのではなく、緊張で一時的に動けているだけのこともあります。帰宅したとたんに動けなくなる、休日を寝て過ごす、といった状態が続いているなら、「行けているから大丈夫」とは言い切れません。

2. 分けても軽くならないときは、休むことを先にする

5つの背景に分けても、どれもが同じくらい重い。メモをつける気力もわかない。そんなときは、対処法を試す段階ではなく、休む段階に来ています。眠れない、食欲がない、涙が出るといった状態が2週間以上続くなら、内科や心療内科を受診してください。夜に誰かと話したいときは、働く人のための「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時)も利用できます[7]。限界に近いときの休み方と相談の順番は、ストレスが限界のときの休む・相談・環境を変える順番で詳しく紹介しています。

3. 環境を変えることは、逃げではない

背景を分けて、園にも相談して、それでも変わらない。そうなったときに職場を変えるのは、逃げではありません。人間関係や園の方針のように、一人の努力では動かせないものもあるからです。大切なのは、「何が変われば行きたくなくなるのか」が分かった状態で動くことです。1週間のメモは、次の職場を選ぶときに「これだけは避けたい」条件を決める材料にもなります。

行きたくない気持ちを誰かに話すと、「みんなそうだよ」と流されたり、「じゃあ辞めれば」と言われたりすることがあります。そうではなく、気持ちを一緒に分けてくれる相手がいると、次の一歩が見えやすくなります。ほいくの相談室では、転職を決めていない段階でも、行きたくない気持ちの整理から相談できます。メモを見せながら話すだけでもかまいません。

よくある質問

仕事に行きたくないのは、保育士に向いていないからですか?

そうとは限りません。行きたくない気持ちの背景が、人間関係や仕事の偏り、体の疲れにある場合、保育の仕事そのものは嫌になっていないことも多くあります。1週間のメモで、子どもと関わる場面の気持ちがどうかを確かめてから判断してください。

行きたくない日に休むのは、ずる休みになりますか?

体調がすぐれない日に休むことは、ずる休みではありません。年次有給休暇は働く人が指定した時季に取るのが原則で、取得を理由に不利益な扱いをすることは禁止されています[6]。無理をして出勤し、保育中の判断が鈍るほうが心配です。

毎週月曜日だけ、特に行きたくなくなります。

週の始まりの緊張や、休日とのギャップが中心かもしれません。日曜の夜に翌朝の準備を済ませておく、月曜の朝に楽しみな予定を一つ入れる、といった工夫で軽くなることがあります。月曜に会議や特定の人とのシフトが重なっているなら、その組み合わせも確かめてみてください。

仕事が苦痛で、子どもと遊んでいても楽しくありません。

好きだったことを楽しめない状態が続いているなら、疲れがかなりたまっているサインです。対処法を探すより先に休み、2週間以上続くようなら心療内科などを受診してください。休んで回復してから、仕事を続けるかどうかを考えても遅くありません。

園長に「行きたくない」と正直に言ってもいいですか?

「行きたくない」とだけ伝えると、相手もどう対応すればいいか迷います。「木曜の打ち合わせのあと、行事の担当が続いてつらい」のように、場面と困っていることを具体的に伝えると、相談として受け止めてもらいやすくなります。

休みの日も、次の出勤日のことを考えて憂うつになります。

休日にも仕事のことが頭から離れないのは、心が休めていないサインです。考える時間を朝の15分だけと決める、気になることを紙に書き出して置いておく、といった方法で、仕事と気持ちを少しずつ切り離せます。詳しくは休日も仕事を考えてしまうときの切り離し方を参考にしてください。

参考にした資料

  1. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 調査結果の概要」
  2. 保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン(こども家庭庁掲載)
  3. 厚生労働省 職場のハラスメント対策リーフレット
  4. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
  5. 確かめよう労働条件「年次有給休暇」
  6. 確かめよう労働条件「年次有給休暇」
  7. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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