午睡の時間、どうしても眠れない子が布団の上で天井を見ている。そっと背中をさすっていたら、先輩に「起きている子に付き合うと、ほかの子が寝ないから」と小声で言われた。その日の帰り道、その言葉が頭の中で何度も繰り返されて、「私の考えが甘いのかな」「この園の保育、やっぱり合わない」と思い始める。
保育方針や保育観のずれは、食事、午睡、片付け、叱り方といった毎日の場面に何度も顔を出します。一回ごとは小さなことでも、積み重なると「この園にいる自分の保育」に自信が持てなくなります。言い返せば角が立ち、黙って従えば大事にしてきたものを手放したように感じる。どちらを選んでも苦しいのが、このテーマの難しさです。
この記事では、「合わない」の中身を見極める方法、園長や先輩に考えを伝えるときの手順、そして今の園で続けるか、方針の合う園を探すかを決める目安を、順番にまとめました。
この記事でわかること
- 保育方針が「合わない」と感じる理由を、3つの層に分けて見極める方法
- 現場でずれやすい4つの場面と、先輩の保育観の裏にある事情
- 保育観の違いとして話し合えることと、園の内外に相談すべきことの境目
- 園長や先輩に、角を立てずに考えを伝える5つのステップ
- 今の園で続けるか、方針の合う園へ移るかを決める目安
結論
保育士が園の保育方針を「合わない」と感じたときは、まず違いが「理念(園が大事にしていること)」「やり方(日々の手順やルール)」「人(言い方や相性)」のどの層にあるかを分けて考えます。やり方や人の層のずれは、子どもの姿を記録して伝えたり、期間を決めて小さく試したりすることで縮まることが多いものです。一方、理念そのものが根本から違い、話し合っても変わらない場合は、方針の合う園へ移ることも現実的な選択肢になります。ただし、子どもの心や体を傷つける関わりは「保育観の違い」ではなく、相談すべき問題です。
01「合わない」は、3つの層に分けると正体が見えてくる
要点:保育方針が合わないという感覚は、「理念」「やり方」「人」の3つの層が混ざってできています。どの層のずれなのかによって、変えられる余地も、最初の一手も変わります。
「この園の保育が合わない」と感じるとき、多くの場合、園のすべてが合わないわけではありません。たとえば、園のパンフレットには「一人ひとりのペースを大切に」と書いてあるのに、実際の午睡は全員が同じ時間に横になるルールになっている。これは理念のずれではなく、やり方のずれです。また、ルールそのものには納得できても、先輩の伝え方がきつくて受け入れにくい、ということもあります。こちらは人の層の問題です。
3つの層を分けずに「全部合わない」と感じていると、園を変えるしかないように思えてきます。けれど、分けてみると、話し合いで変えられる部分が意外と残っていることがあります。
図1
| 層 | 具体的な例 | 変わる余地 | 最初の一手 |
|---|---|---|---|
| 理念(園が大事にしていること) | 子どもの主体性より、一斉にそろうことを何より重視している | 小さい。園の土台にあたる | 園の理念や保育目標の文書を読み直し、自分の考えと比べる |
| やり方(日々の手順やルール) | 午睡は全員横になる、給食は完食を促す、制作は全員同じものを作る | 中くらい。理由があれば見直されることもある | ずれを感じた場面と、そのときの子どもの姿を記録する |
| 人(言い方や相性) | 先輩の注意がきつい、園長の指示が日によって変わる | 相手しだい。伝え方や距離で変わることもある | 相手のねらいを先に聞き、こちらの伝え方を変えてみる |
1〜2週間、「モヤっとした場面」をメモしてみる
層を分けるいちばん確かな方法は、記録です。1〜2週間、保育の中で「あれ?」「それは違う気がする」と感じた場面を、短くメモしてください。書くのは、日時、場面、誰の言葉や指示だったか、そのとき自分はどうしたかったか、子どもはどんな様子だったか、の5つで十分です。
メモがたまったら、一つずつ「理念・やり方・人」のどれに当たるかを書き込みます。すると、ずれが特定の場面(午睡だけ、給食だけ)に集中していたり、特定の人との間でだけ起きていたりすることが見えてきます。反対に、どの場面でも、誰とでも、同じ種類のずれが起きているなら、理念の層が違う可能性が高いと考えられます。
02現場でずれやすい4つの場面と、その裏にある事情
要点:保育観のずれは、食事・午睡・遊びと活動・叱り方の4つの場面で起こりやすいものです。先輩や園長の考えには、人数や過去の出来事など、その園なりの事情が隠れていることもあります。
図2
食事
苦手なものも一口は食べるよう促すか、量や食べる順番を子どもに選ばせるか
子どもの姿を共有すると話し合いやすい
午睡・休息
全員を同じ時間に寝かせるか、眠れない子は静かに休めばよいとするか
場所と人手の工夫で歩み寄れることが多い
遊びと活動
一斉活動を中心にするか、子どもが選べる遊びを中心にするか
園の理念に近く、ずれが深いこともある
叱り方・声かけ
その場で大きな声で止めるか、落ち着いてから理由を話すか
安全に関わる場面とそれ以外を分けて考える
どの場面にも、ただ一つの正解はありません。たとえば食事で「一口は食べてみよう」と促す先輩も、子どもを苦しめたいわけではなく、「食べられるものを増やしてあげたい」という願いを持っていることがほとんどです。ずれの多くは、同じ「子どものため」を、違う方向から見ていることから生まれます。
先輩の保育観の裏には、人数や経験の事情がある
保育士の配置の最低基準は、1〜2歳児がおおむね6人につき1人以上、3歳児がおおむね15人につき1人以上、4歳以上児がおおむね25人につき1人以上と決められています[1]。1人の大人が何人もの子どもを見る現場では、「一人に時間をかけると、ほかの子の安全が見えなくなる」という不安が常にあります。先輩が「抱っこしすぎないで」「全員そろってから始めて」と言うとき、その背景には、少ない人手の中で全員を守ってきた経験があるのかもしれません。
また、過去にその園で起きたけがやヒヤリハットが、今のルールの理由になっていることもあります。理由を知らないまま反発すると、相手には「この園の安全を軽く見ている」と映ってしまいます。まずは理由を知る。それだけで、話し合いの入口が変わります。
職員どうしの考えのずれは、多くの園で課題になっている
東京都が令和4年度に行った保育士実態調査では、今の職場で改善してほしい項目として、職員間のコミュニケーションを挙げた人が26.8%いました[2]。保育観のずれを話し合える場がないことは、あなたの園だけの問題ではありません。ずれを「相手の性格の悪さ」ではなく「話し合いの仕組みが足りないこと」として捉え直すと、少し気持ちが楽になります。
03「保育観の違い」で片づけてはいけない関わり
要点:子どもを怖がらせて従わせる、体に痛みを与える、人格を否定する言葉を使うといった関わりは、保育観の違いではありません。園長や主任、それで難しければ園の外にも相談してよい問題です。
保育観のずれに悩む人の中には、「先輩のあの関わり方は、本当に考え方の違いで済むのだろうか」と感じている人もいます。保育所等の職員による虐待については、通報義務などを定めた改正児童福祉法の規定が2025年10月1日から施行されています[3]。子どもの心や体を傷つける関わりは、好みや考え方の差として受け流してよいものではありません。
図3
- 子どもをたたく、強く引っぱるなど、体に痛みを与える関わりがある考え方の違いではなく、子どもの安全の問題です
- 「置いていくよ」「お母さんに言うよ」など、怖がらせて従わせる言葉が日常的に使われている子どもの心を傷つけ、大人を信頼しにくくさせます
- 食べ物を無理に口に入れる、食べ終わるまで席を立たせない窒息の危険や、食べることへの恐怖につながるおそれがあります
- 特定の子だけを無視する、からかう、ほかの子の前で責める子どもの尊厳に関わる問題です
- 押し入れや別室に一人で閉じ込める安全面でも心の面でも、見過ごせない関わりです
- 疑問を口にした職員が責められ、誰も意見を言えない雰囲気がある問題が改善されにくい職場の状態です
当てはまるものがあれば、まず日時、場面、聞こえた言葉をそのままメモしてください。そのうえで、信頼できる主任や園長に伝えます。園の中で話しにくい場合や、伝えても変わらない場合は、法人の相談窓口や、園がある市区町村の保育担当の窓口に相談する方法もあります。窓口の名前や連絡先は、市区町村の公式サイトで確かめられます。
不適切な関わりを見てしまったとき、「新人の自分が言っていいのか」「先輩との関係が壊れる」とためらうのは自然なことです。けれど、黙っていることで一番つらい思いをするのは子どもです。一人で抱え込まず、まず誰か一人に話すことから始めてください。
04園長や先輩に伝えるときは「子どもの姿」から話す
要点:保育観の違いを伝えるときは、「私はこう思う」より先に、具体的な子どもの姿を示し、相手のねらいを聞くことから始めます。小さな提案を、期間を決めて試すと、相手も受け入れやすくなります。
保育観は、その人が何年もかけて身につけてきたものです。正面から「その考えは違うと思います」とぶつかると、相手は自分の保育を否定されたと感じて、かえって構えてしまいます。そこで役に立つのが、話の主語を「私」から「子ども」に変えることです。
図4
- 場面を1つに絞る「全部合わない」ではなく、午睡なら午睡、給食なら給食と、話し合う場面を一つだけ選びます
- 子どもの姿を記録する何時に、どの子が、どんな様子だったかを、数日分メモします
- 相手のねらいを先に聞く「このやり方には、どんな理由があるんですか」と、責めずに聞きます
- 小さな提案をする全体を変えるのではなく、「この子だけ」「この時間だけ」の小さな案を出します
- 期間を決めて試し、振り返る1〜2週間試し、子どもの様子を一緒に振り返ります
伝え方の例
たとえば午睡のずれなら、次のように話すことができます。
「Aくん、今週は4回、30分以上目を開けたまま横になっていました。全員を横にさせているのは、どんな理由からですか。……そうだったんですね。それなら、起きている子が2人までのときは、私が絵本コーナーで一緒に静かに過ごすのを、1週間だけ試させてもらえませんか。」
気をつけたいのは三つです。子どもの様子を回数や時間で伝えること、相手の理由をいったん受け止めること、そして「やめてほしい」ではなく「試させてほしい」と頼むことです。試した結果、子どもの様子が良くなれば、言葉で説得するよりずっと伝わります。うまくいかなければ、元のやり方に戻せばいいだけです。
その場で意見が分かれたら、子どもの前では話し合わない
保育の最中に先輩と考えが食い違ったとき、その場で「でも」と言い返したくなることがあります。けれど、子どもの前で大人どうしが言い合うと、子どもはどちらの言葉に従えばいいのか分からなくなり、不安になります。その場ではクラスで決めているやり方にいったん合わせ、午睡中や降園後に「さっきの場面について、少しだけ相談させてください」と時間をもらうほうが、結果的に話がこじれにくくなります。時間を置くと、自分の気持ちも落ち着き、感情ではなく子どもの姿を中心に話せるようになります。
「保育方針を変えたい」と思ったときに、現実的にできること
園全体の方針を一人の保育士が変えるのは、正直に言って簡単ではありません。方針を決めるのは、多くの場合、園長や法人です。ただし、方針が実際に形になる場所は、日々のクラス運営、職員会議、園内研修、指導計画の振り返りといった、保育士が関われる場にあります。
話し合いの共通の土台として役立つのが、保育所保育指針です。指針は第1章総則から第5章職員の資質向上までの5つの章で構成されています[4]。「私はこう思う」ではなく「指針のこの部分と照らし合わせると、どうでしょう」と話すと、個人の好みの話から、園としての保育の話に移りやすくなります。
園長と方針が合わないとき
園長は方針を最終的に決める立場であることが多く、正面から対立すると、立場の差がそのまま重くのしかかります。直接話すのが難しい場合は、主任を通して伝える、職員会議の議題として出す、子どもの記録を文書にまとめて渡す、といった方法もあります。園長との関係そのものに悩んでいる場合は園長や主任と合わないときの考え方を、先輩の言い方が怖くて話せない場合は先輩が怖いときの関わり方を参考にしてください。
05相談事例:午睡の15分から、クラスのルールが変わった
要点:ここでは、「この園の保育は全部合わない」と感じていた保育士が、ずれを一つの場面に絞り、先輩と小さく試したことで、クラスのルールが見直されたモデルケースを紹介します。
「全部合わない」と思っていたのは、午睡の時間だけだった
相談事例(モデルケース)
- お名前
- さくらさん(仮名)・31歳
- 保育士歴
- 9年目(今の園は3年目)
- 勤務先
- 社会福祉法人の認可保育園(定員約120名)、2歳児クラス担任(3人担任)
- 変化
- 保育のモヤモヤを家に持ち帰る日 週4日 → 週1日ほど/午睡で眠れない子の過ごし方をクラスで見直し
編集部最初は、どんなことに悩んでいたのですか。
前の園は、眠れない子は無理に寝かせない方針だったんです。今の園は「午睡の時間は全員横になる」が決まりで、起きている子の背中をトントンしていると、先輩に「起きてる子に付き合うと周りが寝ないよ」って。言われるたびに、ここの保育は私と全部合わないんだって思い込んでいました。
編集部メモを取ってみて、どうでしたか。
2週間で、モヤっとした場面が11回ありました。数えてみたら、そのうち8回が午睡だったんです。園の理念を読み返したら「一人ひとりの生活リズムを大切に」って書いてあって。あれ、理念は私と同じなんだって。ずれていたのは、午睡のやり方だけでした。
編集部先輩には、どう話したのですか。
いきなり「変えましょう」とは言えないので、まず「全員を横にさせるのは、どうしてですか」って聞きました。そうしたら、何年か前に、起きていた子が部屋を歩き回って、寝ている子の手を踏んでしまったことがあったそうで。ちゃんと理由があったんですよね。だから、起きている子が2人までなら私がそばについて、絵本コーナーで静かに過ごす、というのを2週間だけ試させてほしいとお願いしました。
編集部試してみて、何が変わりましたか。
毎日、起きていた子の様子と、そのあとのおやつの時間の機嫌をメモしました。それを職員会議で見せたら、園長が「2歳児クラスはこれでいこう」と。今は「30分たっても眠れない子は、静かなコーナーで過ごしていい」がクラスのルールになっています。全部が私の思いどおりになったわけじゃないけど、話せば変わることもあるんだって分かったのは大きかったです。
合わないと思っていたのは園全体じゃなくて、午睡の15分だけでした。
さくらさん(仮名)
さくらさんはその後、給食での声かけの違いについても、同じように「先に先輩の理由を聞く」ところから話し合うようにしているそうです。保育のことで家に帰ってもモヤモヤが続く日は、週4日ほどから週1日ほどに減りました。
このケースから持ち帰れるのは、ずれを一つの場面に絞ること、相手の理由を先に聞くこと、期間を決めて試すことの三つです。さくらさんの考えが受け入れられたのは、話し方がうまかったからではなく、子どもの記録という「誰も否定しにくい材料」を持っていたからでした。
※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。
06今の園で続けるか、方針の合う園を探すかの目安
要点:ずれがやり方や人の層にあるなら、まず今の園で話し合う価値があります。理念の層が違い、2〜3か月話し合っても変わらない場合や、子どもの安全に関わる関わりが続く場合は、園を変えることを考えてよい段階です。
図5
違いはどの層にあるか
- やり方の違い場面を一つに絞って提案し、期間を決めて試す。今の園で変わる余地が大きい
- 人との違い相手のねらいを聞き、伝え方や距離のとり方を変える。主任など間に入ってくれる人を探す
- 理念の違い(話し合っても変わらない)年度の区切りなどを目安に、方針の合う園へ移る準備を始める
- 子どもの安全や尊厳に関わる違い記録を残し、園長・法人・市区町村の窓口へ相談する。自分の心も守る
- 心と体が限界に近いどの層の違いかを考える前に、まず休むことと受診を優先する
話し合いの期間の目安は、提案してから2〜3か月です。年度の途中で担任体制が変わる、行事が重なるといった事情もあるため、すぐに結果が出なくても、焦って結論を出す必要はありません。反対に、何度提案しても「うちはこういう園だから」と聞いてもらえない場合や、意見を言うたびに関係が悪くなる場合は、その園で自分の保育観を大切にし続けるのは難しいかもしれません。
ずれに悩むうちに、眠れない、出勤前に涙が出るといった状態が続いているなら、どの道を選ぶかを考える前に、かかりつけ医や心療内科に相談してください。働く人のための「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時。祝日と年末年始は休止)でも、話を聞いてもらえます[5]。
方針の合う園を探すなら、理念の文章より「場面」を見る
次の園を探すとき、ホームページや求人票の理念だけで判断すると、同じずれを繰り返すことがあります。「子ども主体」「のびのび保育」といった言葉は、多くの園が使っているからです。見学では、給食で苦手なものが出たときの声かけ、午睡で眠れない子の過ごし方、子どもどうしのトラブルの場面に、保育士がどう関わっているかを見てください。言葉より、場面のほうが園の方針を正直に表しています。見学での見方は保育方針が合う園の見つけ方にまとめています。
面接では「眠れない子は、午睡の時間をどう過ごしていますか」「苦手な食べ物が出たとき、先生方はどんな声かけをしていますか」のように、場面を指定して聞くと、答えに園の考え方がにじみます。抽象的に「保育方針を教えてください」と聞くより、ずっと具体的な答えが返ってきます。
07保育観の違いとつきあううえで、覚えておきたいこと
要点:自分の保育観も、経験とともに変わっていくものです。そして、すべてが一致する園はどこにもありません。違いをなくすことより、違いを話し合える場所かどうかで考えると、選択を誤りにくくなります。
自分の保育観も「完成形」ではない
保育観の違いに悩むのは、自分の中に大切にしたい保育がある証拠です。それ自体はとても価値のあることです。ただ、保育観は、経験や出会った子どもたちによって少しずつ形を変えていきます。5年前の自分と今の自分では、同じ場面でも違う関わり方をしているはずです。先輩のやり方をすぐに否定せず、「この関わりから学べることはあるか」と一度考えてみると、自分の保育の引き出しを増やすきっかけになることもあります。
どの園に移っても、ずれはゼロにならない
方針の合う園に移っても、細かなやり方や人との違いは、どこかで必ず出てきます。大事なのは、ずれが出たときに、それを口に出せる雰囲気があるかどうかです。「違う意見を言っても大丈夫な園か」は、方針の中身と同じくらい、働きやすさを左右します。
保育方針のずれに加えて保護者とのやりとりにも疲れているなら、保護者対応がつらいときの対処法もあわせて読んでみてください。誰に話せばいいか迷っているなら、保育の悩みの相談先と整理の仕方が手がかりになります。ほいくの相談室では、転職するかどうかを決めていない段階でも、保育観のずれをどう言葉にして伝えるかを一緒に整理する相談を受けています。
よくある質問
新人のうちから、保育方針について意見を言ってもいいのでしょうか?
意見を言うこと自体は問題ありません。ただ、新人のうちは園のルールの理由を知らないことも多いため、まずは「このやり方にはどんな理由があるんですか」と質問の形で聞くほうが受け止められやすくなります。理由を知ったうえで気になることが残れば、子どもの姿を添えて相談してみてください。
保育方針が合わないことを理由に転職するのは、甘えでしょうか?
甘えではありません。保育方針は毎日の子どもとの関わり方そのものに関わるため、合わない状態が続くと大きな負担になります。面接で理由を聞かれたら、前の園を否定するのではなく「子どもが選べる遊びを大切にしたい」のように、自分が大事にしたい保育を中心に伝えると前向きに受け止められやすくなります。
先輩のやり方に従うべきか、自分のやり方を通すべきか迷います。
安全に関わるルールや、クラスで決めた約束は、まず従うのが基本です。そのうえで、疑問に思うことは子どもの記録をもとに相談し、合意できたことから変えていきます。自分のやり方だけを黙って通すと、子どもが大人によって違う対応を受けて混乱することがあります。
保護者から園の方針について質問されたら、どう答えればいいですか?
自分が納得しきれていない方針でも、保護者の前では園の方針として説明するのが基本です。答えにくい質問は、その場で無理に答えず「確認してお伝えします」と引き取り、主任や園長と相談してから返事をすると安心です。
方針が合わない園で働き続けると、自分の保育が悪くなる気がして不安です。
そう感じるのは、自分の保育を大切にしているからこそです。今の園で取り入れられることと、譲れないことを分けて書き出しておくと、流されているのか、学んでいるのかを見分けやすくなります。譲れないことまで手放している感覚が続く場合は、園を変えることも考えてよい時期です。
保育観の違いを相談できる人が、園の中にいません。
園の中に話せる人がいない場合は、養成校時代の友人や前の園の同僚など、保育を知っている園の外の人に聞いてもらうのも一つの方法です。園の名前や個人が特定されない形で話せば、気持ちの整理にもなります。保育の現場を知る相談窓口を使うと、伝え方を一緒に考えてもらうこともできます。
参考にした資料
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項
- 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 調査結果の概要」
- こども家庭庁「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和7年法律第29号)の概要」
- 保育所保育指針(こども家庭庁掲載)
- こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。