保育記録の書き方に悩む保育士へ|指導計画まで使える型

夜9時、台所のテーブルに個別記録の用紙と週案のファイルを広げる。今日のBちゃんのことを書こうとすると、「元気に遊んでいました」「楽しそうでした」しか出てこない。先週、主任から戻ってきた記録には、赤ペンで「これは感想です。姿を書いてください」とあった。姿って、どう書けばいいんだろう。気づけば30分たっても、1行しか進んでいない。

保育記録や指導計画が苦手だという悩みは、新人だけのものではありません。子どもと関わることは好きで、保育の手ごたえもある。それなのに、書類を前にすると手が止まる。書けない自分は、子どもをちゃんと見ていないのではないかと不安になる人もいます。

けれど、書けない理由の多くは「見ていない」ことではなく、見たことを「どの順番で、どこに置けばいいか」が分からないことにあります。この記事では、書けない原因の見つけ方、迷わずに書ける記録の型、日々の記録を指導計画につなげる流れ、そして書類の時間を減らす工夫を、具体的な書き換え例とともにまとめました。

この記事でわかること

  • 保育記録が書けない原因を、5つのつまずきから見つける方法
  • 場面・姿・関わり・考察の「4つの枠」で書く記録の型と書き換え例
  • 日々の記録を週案・月案(指導計画)のねらいにつなげる流れ
  • 記録にかかる時間を減らす工夫と、持ち帰りが続くときの考え方
  • 新人が書類を書けないときの、先輩への頼り方

結論

保育記録の書き方に悩む保育士は、まず「何を書くか選べない」「言葉にならない」「時間がかかる」「直されて自信がない」「指導計画とつながらない」のどこで止まっているかを確かめます。多くの場合、記録を「場面」「子どもの姿(事実)」「保育者の関わり」「考察(読み取りと次の手立て)」の4つの枠で書くと、感想ではない記録になり、書く時間も短くなります。さらに、考察に書いた「次の手立て」を週末に拾い集めると、それが週案や月案のねらいの材料になります。書類が勤務時間内に終わらない状態が続くなら、個人の力不足ではなく、園の仕組みとして相談してよい問題です。

01書けない理由は、5つのつまずきのどこかにある

要点:保育記録が書けないとき、手が止まっている場所は人によって違います。どこで止まっているかが分かると、やるべきことが一つに絞れます。

「記録が苦手」とひとことで言っても、中身はさまざまです。書く場面が決められない人もいれば、場面は決まっているのに言葉にならない人、書けるけれど1人分に何十分もかかる人もいます。まずは、自分がどこでつまずいているのかを確かめてください。

図1

どこで手が止まっている?

  1. 何を書けばいいか選べない1日の中から「おっ」と思った場面を1つだけ選ぶ。全部書こうとしない
  2. 見たことが言葉にならない4つの枠に当てはめて、事実から先に書く
  3. 書けるが時間がかかりすぎる書く時間と場所を決め、メモの段階で半分仕上げておく
  4. 直されてばかりで自信がない赤ペンの指摘を並べ、よく言われることを2〜3個に絞る
  5. 指導計画とつながらない考察の「次の手立て」を週末に拾い、ねらいの材料にする
図1 保育記録が書けないときの原因の見つけ方

実習日誌と、現場の記録は書き方が違う

新人のうちに記録で苦しむ理由の一つは、養成校の実習日誌と、現場の記録の書き方が違うことです。実習日誌では、1日の流れを時系列で細かく書き、そこから学んだことをまとめることが多かったはずです。一方、現場の個別記録や保育日誌では、限られた時間の中で、子どもの育ちが見える場面を選んで書くことが求められます。全部を書こうとすると、時間がいくらあっても足りません。「選んで書く」に切り替えるだけで、記録はずっと短く、読みやすくなります。

「毎日同じことしか書けない」と感じるとき

特に0〜1歳児の記録では、「ミルクを飲んだ」「よく眠った」「機嫌よく過ごした」と、毎日同じ内容に見えることがあります。そんなときは、大きな出来事ではなく、小さな変化に目を向けてみてください。昨日は手のひら全体でつかんでいたおもちゃを、今日は指先でつまもうとしていた。保育者の声がするほうへ、首を回すのが少し早くなった。子どもの育ちは、こうした小さな変化の積み重ねです。「昨日と何が違ったか」を一つ探すつもりで見ると、書く材料は毎日見つかります。

02保育記録は「4つの枠」で書くと迷わない

要点:記録は「場面」「子どもの姿(事実)」「保育者の関わり」「考察(読み取りと次の手立て)」の4つに分けて書きます。この順番を守るだけで、感想と事実が混ざらなくなります。

図2

  • 1

    場面

    いつ、どこで、何をしていたときか。「10時15分、園庭の砂場で」のように短く書きます

  • 2

    子どもの姿(事実)

    子どもの言葉や動きを、見たまま・聞いたままに書きます。気持ちの推測はまだ入れません

  • 3

    保育者の関わり

    自分が何を言い、何をしたか。手を出さずに見守ったことも、関わりの一つです

  • 4

    考察(読み取りと次の手立て)

    なぜそうしたと思うか、どんな育ちが見えるか、次にどう関わってみるかを書きます

図2 保育記録の4つの枠

書き換えの例

同じ場面でも、4つの枠を意識すると、記録はこれだけ変わります。

書き換える前:「Aちゃんは今日も砂場で元気に遊んでいました。とても楽しそうでした。」

書き換えた後:「10時15分、砂場。Aちゃん(2歳4か月)がカップに砂を詰めてはひっくり返し、崩れるのを3回繰り返す。4回目に保育者が『ぎゅっぎゅってしてみる?』と手のひらで押す動きを見せると、まねをして押し固め、形ができると『できた!』と保育者の顔を見た。崩れても繰り返していたことから、形を作ることへの興味が高まっていると思われる。明日は少し湿らせた砂を用意し、型抜きの遊びを広げてみたい。」

書き換えた後の記録は長く見えますが、書く順番が決まっているので、慣れると5〜10分ほどで書けるようになる人が多い形です。大事なのは、最後の一文が「次の手立て」で終わっていることです。この一文が、後で指導計画を作るときの材料になります。

図3

項目感想になりやすい書き方記録になる書き方
子どもの様子元気に遊んでいたカップに砂を詰め、ひっくり返す動きを3回繰り返した
気持ち楽しそうだった形ができると「できた!」と言い、保育者の顔を見た
保育者の関わり見守った手のひらで押す動きを見せ、まねするのを待った
次への手立てまた遊ばせたい明日は湿らせた砂を用意し、型抜きの遊びに広げてみる
図3 感想になりやすい書き方と、記録になる書き方(例)

事実と解釈を混ぜないコツ

「楽しそう」「嫌がっていた」「満足していた」は、保育者の解釈です。解釈を書くこと自体は悪くありませんが、事実の欄に入れると、読み手には根拠が見えなくなります。「楽しそう」と感じたなら、なぜそう感じたのか、つまり笑っていた、声を上げた、何度も繰り返した、といった事実を事実の欄に書き、「〜と思われる」「〜ようだ」という言葉は考察の欄だけで使う。このルールを一つ決めるだけで、赤ペンの指摘はぐっと減ります。

03日々の記録を、週案・月案につなげる

要点:指導計画は、ゼロから考えるものではありません。日々の記録の考察に書いた「次の手立て」を集めて、子どもの育ちに共通することを言葉にすると、それがねらいになります。

指導計画が苦手な人の多くは、計画を「立派な文章で書くもの」だと考えています。けれど、指導計画の出発点は、目の前の子どもの姿です。子どもの姿は、すでに毎日の記録に書いてあります。つまり、記録と計画は別々の書類ではなく、一本の線でつながっています。

図4

  1. 毎日の記録1日1場面を4つの枠で書き、考察は「次の手立て」で終わらせる
  2. 週末に3つ拾うその週の記録から、気になった姿を3つ選ぶ
  3. 共通する育ちを言葉にする「自分でやりたい気持ちが強くなっている」など、3つに共通することをまとめる
  4. 次週のねらいにするまとめた言葉を、子どもの側から見た「ねらい」に書き直す
  5. 内容と環境を考えるねらいに近づくための活動と、用意する物・場所・関わり方を決める
  6. 翌週の記録で振り返るねらいに対して子どもがどうだったかを、記録の中で確かめる
図4 日々の記録から指導計画へつなげる流れ

つなげ方の例(1歳児クラス)

たとえば、1週間の記録に「給食でスプーンを自分で持ちたがる」「着替えでズボンを自分で引っぱろうとする」「靴を自分で持ってくる」という姿が並んだとします。3つに共通するのは、「自分でやってみたい」という気持ちです。これを次週のねらいに書き直すと、「身の回りのことを自分でしようとする気持ちを大切にする」となります。内容は「スプーンを使って食べることを楽しむ」、環境は「握りやすい太さのスプーンを用意する」、関わりは「手を添えすぎず、できたところを一緒に喜ぶ」のように具体化していきます。

翌週の記録では、そのねらいに対して子どもがどうだったかを見ます。スプーンを持つ時間が長くなった、こぼしても続けようとした、といった姿が書ければ、それが月案の振り返りにもそのまま使えます。

ねらいの言葉に迷ったら

ねらいの言葉が浮かばないときは、保育所保育指針を手元に置いておくと助けになります。指針は第1章総則、第2章保育の内容、第3章健康及び安全、第4章子育て支援、第5章職員の資質向上の5つの章で構成されています[1]。担当する年齢の子どもの姿に近い言葉を第2章から探すと、ねらいの書き方の手がかりが見つかります。あわせて、去年の同じ月の月案や、先輩が書いた月案を見せてもらうと、園でよく使われる言い回しが分かり、書き直しの回数も減ります。

04書く時間を減らすための工夫

要点:記録の時間を減らすには、書く時間を決めること、メモの段階で半分仕上げること、園の仕組み(ICTや書類の様式)を見直すことの3つが効きます。

書く時間と場所を先に決める

「空いた時間に書こう」と思っていると、空いた時間は来ません。午睡中の30分、降園後の20分など、書類の時間をあらかじめ決めておきます。子どもから離れて書類に向き合える時間(ノンコンタクトタイム)を設けている園もあります。自分の園にそうした時間がなければ、主任に相談してみる価値があります。

メモの段階で半分仕上げる

エプロンのポケットに付箋とペンを入れておき、「おっ」と思った場面があったら、時刻、子どもの名前、言葉や動きのキーワードだけを書きます。たとえば「10:15 Aちゃん 砂 カップ3回 できた!」程度で十分です。このメモがあるだけで、後で記録を書くときに思い出す時間が大きく減ります。メモを書くときは、子どもの個人情報が外に出ないよう、持ち帰らない、置き忘れないといった園のルールを守ってください。

一つのメモを、連絡帳・日誌・個別記録に生かす

連絡帳、保育日誌、個別記録と、毎日書く書類は一つではありません。ところが、どの書類にも同じ子どもの同じ1日が書かれています。付箋のメモを一つ取っておけば、連絡帳には「今日は砂場で型抜きに夢中でした」と保護者向けの言葉で、個別記録には4つの枠で、日誌にはクラス全体の流れの中の一場面として、と書き分けることができます。書類ごとに一から思い出すのではなく、元になるメモを一つにすることで、思い出す時間を何度も繰り返さずにすみます。どの書類にどこまで同じ内容を使ってよいかは園によって考え方が違うため、最初に主任に確かめておくと安心です。

ICTの導入は、園によって大きく違う

記録や計画をタブレットやパソコンで書く園も増えています。こども家庭庁の資料によると、保育所等のうち、登降園管理・計画記録・保護者連絡・キャッシュレス決済のいずれかの機能を導入している施設は80.8%ですが、4つすべてを導入している施設は11.7%にとどまっています[2]。

図5

保育所等のICT導入の状況(2024年9〜10月調査)[2]

いずれかの機能を導入80.8%
4つの機能すべてを導入11.7%
図5 保育所等のICT導入の状況(2024年9〜10月調査)[2]

国は、4つの機能すべてを導入する施設の割合を2026年度に20%以上、2029年度に50%以上とする目標を掲げています[2]。また、国の「保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン」では、ICTの活用や記録・書類の見直しの事例が示されています[3]。システムの導入費用の一部を補助する事業もあり、4つの機能を導入する場合の上限は端末購入等を含めて130万円です[4]。

ICTを使えば必ず楽になるとは限りませんが、手書きの清書や、同じ内容の転記が減る園は少なくありません。転職を考えるときは、記録の方法を見学や面接で確かめておくと安心です。

持ち帰りが続くなら、仕組みの問題として相談する

法定労働時間は原則1日8時間・1週40時間です[5]。保育記録や指導計画は、保育の仕事の一部です。それを毎晩家で書いている状態は、本来は勤務時間内に収まるべき仕事が、見えない形であふれているということです。主任や園長には「記録に1人分40分かかっていて、週3日は家で書いています。午睡中に30分、書類の時間をもらえませんか」のように、時間を添えて相談してみてください。書類が終わらない状況の見直し方は書類仕事が終わらないときの対処法でも紹介しています。

05相談事例:記録1人分40分が、15分になるまで

要点:記録の書き方に悩み、毎週家で書き直していた2年目の保育士のモデルケースです。赤ペンの傾向をつかんだことと、4つの枠で書くようにしたことで、書く時間が大きく減りました。

赤ペンを並べたら、言われていたことは2つだけだった

相談事例(モデルケース)

お名前
まゆさん(仮名)・23歳
保育士歴
2年目
勤務先
私立の認可保育園(定員約50名)、0歳児クラス(3人担任)
変化
個別記録1人分にかかる時間 約40分 → 約15分/記録の持ち帰り 週3日 → 月2日ほど

編集部どんなところでつまずいていたのですか。

まゆさん

0歳児の個別記録って、毎日同じに見えるんですよ。「ミルクを飲んだ、よく寝た、機嫌がよかった」で終わっちゃって。主任に出すと「それは記録じゃなくて日誌だね」って赤ペンが入る。何を直せばいいのか分からなくて、毎週家で書き直していました。

編集部変わるきっかけは、何だったのですか。

まゆさん

赤ペンが入った記録を10枚、机に並べてみたんです。そしたら、書かれていることは「事実と感想が混ざっている」と「次にどうするかがない」の2つだけでした。それまでは全部ダメなんだと思っていたので、ちょっと拍子抜けしました。

編集部書き方は、どう変えたのですか。

まゆさん

エプロンのポケットに付箋を入れて、その日「おっ」と思った場面を1つだけ、時間と子どもの動きをメモするようにしました。それを、場面、姿、関わり、考察の4つの枠に入れるだけ。考察は「〜と思われる。次は〜してみる」で必ず終わらせる、と決めました。最初の1か月は、それでも25分くらいかかってましたけど。

編集部指導計画のほうは、どうですか。

まゆさん

月案は、相変わらず得意ではないです。でも、1か月分の記録の考察を読み返すと、次のねらいに使える言葉がもう書いてあるんですよね。ゼロから考えなくていいと分かってから、月案に向かうときの気持ちが全然違います。

書けなかったのは、見ていなかったからじゃなくて、見たことをどこに置けばいいか分からなかったからでした。

まゆさん(仮名)

まゆさんは記録の型を変えると同時に、主任に相談して、午睡中に30分の書類の時間を確保してもらいました。半年後、個別記録1人分にかかる時間は約40分から約15分に、記録の持ち帰りは週3日から月2日ほどに減っています。

赤ペンの指摘を「全部ダメ」と受け取らず、並べて傾向をつかむ。まゆさんの変化は、そこから始まりました。指摘が2〜3個に絞れれば、直すべきことははっきりします。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図6

相談前半年後

個別記録1人分にかかる時間

約40分
約15分

記録の持ち帰り

週3日
月2日ほど

赤ペンで返ってくる記録

ほぼ毎回
月に2〜3回

月案を書き始めるまで

数日迷う
その日のうちに書き始める
図6 まゆさんの変化(相談前と半年後)

06新人が書類を書けないときの、先輩への頼り方

要点:先輩に見てもらう前に、自分で確かめられることを確かめ、聞きたいことを1つに絞ります。「全部見てください」より、具体的な質問のほうが答えてもらいやすくなります。

新人のうちは、書類のことで先輩に何度も聞くのは申し訳ない、忙しそうで声をかけにくい、と感じるものです。けれど、聞かずに一人で抱えると、提出の直前に大きく直されて、結局もっと時間がかかってしまいます。聞き方を工夫すれば、先輩の時間も、自分の時間も節約できます。

図7

  • 4つの枠がそろっているか足りない枠が分かれば、指摘も具体的になります
  • 事実の欄に「楽しそう」「かわいい」などの感想が入っていないかいちばん多く直される点です
  • 考察が「次の手立て」で終わっているか次につながらない記録は、指導計画にも使えません
  • 子どもの名前や月齢の書き方が園のルールどおりか細かな形式の指摘を減らせます
  • 聞きたいことを1つに絞ったか「全部見てください」より、答えてもらいやすくなります
  • 提出の期限に余裕があるか直す時間がないと、持ち帰りの原因になります
図7 先輩に記録を見てもらう前に確かめること

頼み方の例

  • 「この場面の考察で、次の手立てが思いつかなくて。先輩ならどう書きますか」
  • 「先輩が去年書いた月案を、書き方の参考に見せてもらえませんか」
  • 「赤ペンでよく言われるのが『事実と感想が混ざっている』なんですが、この記録はどこが混ざっていますか」

どれも、聞きたいことが一つに絞られています。先輩からすると、何に困っているかが分かるので、短い時間で答えやすくなります。

赤ペンは、人格の評価ではない

真っ赤になって戻ってきた記録を見ると、自分の保育まで否定されたように感じるかもしれません。けれど、赤ペンは記録の書き方への指摘であって、あなたの保育や人柄への評価ではありません。新人のころは、誰の記録も赤くなります。仕事を覚えるのに時間がかかって焦っている人は、新人保育士が仕事を覚えられないときの考え方も参考にしてください。

07書類の悩みで、自分を責めすぎないために

要点:記録が苦手でも、保育が下手なわけではありません。そして、書類の量そのものが多すぎる園もあります。自分の書き方を工夫することと、仕組みを見直すことの両方が必要です。

記録が苦手でも、保育が下手なわけではない

子どもの前でとっさに判断する力と、それを文章にする力は、別の力です。記録が苦手でも、子どもとの関わりに手ごたえを感じているなら、その感覚は大切にしてください。書く力は、型を覚えて回数を重ねれば、少しずつ伸びていきます。保育そのものに自信をなくしかけているなら、保育に自信がないときの考え方も読んでみてください。

書類の量そのものが多すぎる園もある

東京都が令和4年度に行った保育士実態調査では、今の職場で改善を希望する項目として、事務・雑務の軽減を挙げた人が40.1%いました[6]。同じ内容をいくつもの書類に転記する、手書きで清書し直す、といった仕組みがある園では、どれだけ書き方を工夫しても限界があります。書き方を工夫しても勤務時間内に終わらないなら、それは個人の努力の問題ではありません。書類の少ない園の見分け方は書類が少ない園の見分け方にまとめています。

連絡帳の返事に毎晩悩むなど、書類の悩みが保護者とのやりとりと重なっているなら、保護者対応がつらいときの対処法も参考になります。書類の負担が自分の書き方の問題なのか、園の仕組みの問題なのか、一人では見分けにくいときはほいくの相談室に話してみてください。転職するつもりがなくても、整理のための相談として受け付けています。

よくある質問

連絡帳と保育記録は、何が違うのですか?

連絡帳は保護者に園での様子を伝えるためのもの、保育記録は保育者が子どもの育ちを読み取り、次の保育につなげるためのものです。同じ場面を使ってもかまいませんが、連絡帳では保護者が安心できる言葉を、保育記録では事実と考察を分けて書く、というように目的に合わせて書き分けます。

0歳児の記録が、毎日同じ内容になってしまいます。

大きな出来事を探すのではなく、「昨日と何が違ったか」を一つ探すつもりで見てみてください。指先の使い方、視線の向け方、声の出し方など、小さな変化が0歳児の育ちの記録になります。ミルクや睡眠の量は別の表にまとめ、記録の本文では変化に集中すると書きやすくなります。

指導計画の「ねらい」と「内容」の違いが分かりません。

ねらいは「子どもにどんな育ちを願うか」、内容は「そのねらいに近づくために、子どもが経験すること」と考えると整理しやすくなります。たとえば、ねらいが「自分でしようとする気持ちを大切にする」なら、内容は「スプーンを使って食べることを楽しむ」のようになります。

パソコンやタブレットが苦手で、記録をICTで書く園が不安です。

ICTの記録は、選択肢やひな形が用意されていることが多く、手書きより書き始めやすいと感じる人もいます。不安なら、見学や面接のときに、実際の入力画面や研修の有無を確かめておくと安心です。最初の数週間は、操作に慣れることを目標にすれば十分です。

記録1人分に何分かかれば、普通なのでしょうか?

園の様式や記録の種類によって大きく違うため、決まった目安はありません。まずは自分が今何分かかっているかを1週間測り、型を使ってどれだけ縮むかを確かめてみてください。工夫しても勤務時間内に収まらない場合は、時間を添えて主任に相談する材料になります。

書類が少ない園を探すことはできますか?

求人票だけでは分かりにくいため、見学や面接で「記録や指導計画はどの方法で書いていますか」「書類の時間は勤務中に取れますか」と聞くのが確実です。ICTの導入状況や、ノンコンタクトタイムの有無も、書類の負担を知る手がかりになります。

参考にした資料

  1. 保育所保育指針(こども家庭庁掲載)
  2. こども家庭庁「省力化投資促進プラン―保育―」
  3. 保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン(こども家庭庁掲載)
  4. こども家庭庁「省力化投資促進プラン―保育―」
  5. 厚生労働省 FAQ「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」
  6. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 調査結果の概要」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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