「早く並んで!」。自分の声が、思っていたより大きく保育室に響いた。給食前の手洗いの列で、押し合いを始めた2人に向けた一言だった。2人は一瞬固まって、黙って列に戻った。言うことは聞いてくれた。それなのに、胸の奥がずっと重い。
夜、布団に入ってからも、あの子の固まった顔が浮かぶ。「どうしてもっと優しく言えなかったんだろう」「私、保育士に向いていないのかもしれない」。子どもに強く言ってしまう自分を責める気持ちは、保育を大切に思っている人ほど強くなります。
強い口調が出てしまうのは、性格や愛情だけの問題ではありません。疲れ、時間、人数、安全への焦りが重なったとき、誰にでも起こりうることです。この記事では、強く言ってしまう仕組みと、その場で言葉を止める方法、言ってしまった後の立て直し方、そして一人の工夫では足りないときに職場で変えられることをまとめました。
この記事でわかること
- 子どもに強く言ってしまう、優しくできないと感じる4つの条件
- 1日の中で声が強くなりやすい時間帯と、その見つけ方
- その場で言葉を止める3つの「間」と、言い換えの例
- 強く言ってしまった後の、子どもと自分への立て直し方
- 一人で抱えずに、職場の仕組みで余裕を取り戻す方法
結論
保育士が子どもに強く言ってしまうのは、多くの場合、性格や愛情の不足ではなく、疲れ・時間の追われ・見る人数の多さ・安全への焦りが重なって、心の余裕がなくなっているサインです。その場では、しゃがむ、名前を呼ぶ、声を半分にするという3つの「間」で言葉を止め、言ってしまった後は短く言い直して関係を修復します。そのうえで、強くなりやすい時間帯を記録し、休憩や人の配置といった職場の仕組みで余裕を取り戻すことが、感情をコントロールするいちばんの近道です。ただし、たたく・脅すなどの関わりは口調とは別の問題として、すぐに相談してください。
01強く言ってしまうのは、心の余裕が削られているサイン
要点:子どもに強い口調が出るのは、「疲れ」「時間」「人数」「安全への焦り」の4つが重なったときです。感情の問題に見えて、実は条件の問題であることが少なくありません。
「感情のコントロールができない」と悩む保育士の話を聞くと、強く言ってしまった場面の多くに共通点があります。朝から一度も座っていない、次の活動まで時間がない、1人で何人もの子を見ている、誰かがけがをしそうで焦っている。こうした条件がそろうと、人は誰でも、言葉を選ぶ前に声が出てしまいます。
図1
- 1
体の疲れ
早番からの長い勤務、取れない休憩、寝不足。疲れていると、小さな刺激にも反応が大きくなります
- 2
時間の追われ
給食、お迎え、行事の練習。「間に合わせなきゃ」という焦りが、言葉を短く強くします
- 3
見る人数の多さ
1人で多くの子を見ていると、一人ひとりに丁寧に話す余裕がなくなります
- 4
安全への焦り
走る、登る、押すなど、けがにつながりそうな場面では、とっさに大きな声が出ます
人数と休憩は、個人の努力では変えにくい
保育士の配置の最低基準は、1〜2歳児でおおむね6人につき1人以上、4歳以上児ではおおむね25人につき1人以上です[1]。たとえば25人の4歳児を1人で見ている時間帯に、全員に穏やかに、一人ひとりの目を見て話し続けるのは、どれほど経験のある保育士でも簡単ではありません。
休憩も同じです。労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与え、自由に利用させることになっています[2]。連絡帳を書きながらの10分や、子どもの横で食べる給食は、心と体を休める時間にはなりにくいものです。休めていない状態で「優しくできない」と自分を責めるのは、順番が逆かもしれません。
「ちゃんとさせなきゃ」が強い言葉を呼ぶこともある
もう一つ見落とされやすいのが、自分の中の「ちゃんとさせなきゃ」という気持ちです。先輩や園長に見られている、保護者に見られている、ほかのクラスはできているのに。そんな焦りがあると、子どもの行動を早く正したくなり、言葉が強くなります。強く言った相手は子どもでも、本当に向き合っていたのは周りの目だった、ということは珍しくありません。
「優しくできない」には2つの種類がある
「子どもに優しくできない」という悩みは、よく聞くと2つに分かれます。一つは、疲れや焦りで、誰に対しても余裕がなくなっている状態です。もう一つは、特定の子に対してだけ、イライラや苦手な気持ちが強く出てしまう状態です。
前者は、この記事で紹介する休憩や配置の見直しで変わりやすいものです。後者は、その子の行動のきっかけを知ることや、クラスの先生と関わり方をそろえることが助けになります。どちらの場合も、「優しくできない自分はだめだ」と決めつける前に、どちらの種類なのかを見分けてみてください。自分を責める気持ちが、少し具体的な課題に変わります。
02声が強くなりやすい時間帯を知っておく
要点:強い口調は、1日の中の決まった時間帯に集中しやすいものです。自分の「山」の時間を知っておくと、その前に準備ができます。
図2
- 7時30分 朝の受け入れ早番で大人が少なく、泣いている子と登園してくる子が重なる
- 10時 活動の切り替え片付けから主活動へ。全員を集めたい焦りが出やすい
- 11時30分 給食の準備手洗い、配膳、アレルギーの確認が一度に重なる
- 12時30分 午睡の前午前の疲れがたまり、子どもも大人も気持ちが揺れやすい
- 16時30分 夕方の合同保育年齢の違う子が混ざり、担任以外の子も見ることになる
- 18時30分 延長保育一日の疲れが出て、小さなトラブルが増える
時間帯は園やクラスによって違います。1〜2週間、強く言ってしまった場面を、時刻と場面だけでいいのでメモしてみてください。多くの人は、強くなる時間が2つか3つに集中していることに気づきます。山の時間が分かれば、「この時間は先に見通しを伝えておく」「片付けを5分早く始める」「この時間だけは同僚に一緒に入ってもらう」といった準備ができます。
メモは、自分を責めるための記録ではありません。「どの条件がそろうと、自分は強くなるのか」を知るための、保育の記録の一つだと考えてください。書くのは「時刻」「場面」「そのときの自分の状態(疲れ、焦り、空腹など)」の3つだけで十分です。
山の時間の前にできる準備の例
山の時間が分かったら、その10分前にできることを一つだけ決めておきます。たとえば次のような準備です。
- 給食前:手洗いの順番を、グループごとに先に伝えておく
- 午睡前:布団を敷く係と、子どもを見る係を同僚と分けておく
- 活動の切り替え:「長い針が6になったらお片付け」と、5分前に見通しを伝える
- 夕方:自分の水分補給とトイレを、合同保育が始まる前に済ませておく
最後の項目は意外に効きます。のどが渇いている、トイレを我慢しているといった体の小さな不快感は、自分で思っている以上に気持ちの余裕を奪います。子どものための準備と同じくらい、自分の体の準備も保育の一部です。
03その場で言葉を止める3つの「間」
要点:強い言葉が出そうになったら、しゃがむ、名前を呼ぶ、声を半分にする。この3つのどれか一つを挟むだけで、言葉の強さは変わります。
感情は、出そうになった瞬間に止めるのがいちばん難しいものです。だからこそ、考えなくても体が動く「型」を一つ決めておくと役に立ちます。
1. しゃがんで目の高さを合わせる
立ったまま上から話すと、声は自然と大きく、強くなります。しゃがむという動作を挟むだけで1〜2秒の間が生まれ、声の高さも下がります。子どもにとっても、大人の顔が近くにあるほうが話が入りやすくなります。
2. 最初に名前を呼ぶ
「やめなさい!」から始めると、次の言葉も強くなりがちです。最初に「〇〇くん」と名前を呼ぶと、目の前にいるのが一人の子どもであることを思い出し、言葉が少しやわらぎます。
3. 声を半分の大きさにする
大きな声で注意すると、周りの子どもも興奮し、部屋全体がざわつきます。あえて声を半分にすると、子どもは聞き取ろうとして静かになることがあります。
図3
| 場面 | 強く出やすい言葉 | 置き換える言葉の例 |
|---|---|---|
| 室内で走る | 「走らない!」 | 「歩こうね。ぶつかると痛いよ」 |
| 片付けをしない | 「何回言ったら分かるの!」 | 「あと3つ、先生と一緒に箱に入れよう」 |
| 友だちをたたいた | 「たたいちゃダメでしょ!」 | 「嫌だったんだね。でもたたくと痛いよ。なんて言えばよかったかな」 |
| 給食で遊び食べ | 「もう食べなくていい!」 | 「お腹いっぱいかな。ごちそうさまにする?」 |
| 列に並ばない | 「早くして!置いていくよ」 | 「〇〇くんの場所はここだよ。先生の後ろにおいで」 |
置き換えの言葉は、最初からすらすら出てくるものではありません。よく出会う場面を2〜3個だけ選んで、休憩中に小さな声で練習しておくと、いざというときに口から出やすくなります。
危ないときは、強い声で「止める」のはかまわない
道路に飛び出しそうなとき、高いところから落ちそうなとき、友だちに物を投げようとしているとき。命やけがに関わる場面では、短く強い声で「止まって!」と止めることが必要です。大事なのは、止めた後です。安全を確保したら、しゃがんで、落ち着いた声で「危なかったね。びっくりしたね」と理由を伝えます。強い声を使うことと、強い言葉で責めることは別のものです。
同僚と「交代の合図」を決めておく
自分ではもう抑えられそうにないと感じたとき、その場を同僚に任せられると、強い言葉を出さずにすみます。クラスの先生どうしで、「ちょっとお願いします」と声をかけたら、理由を聞かずにその子の対応を代わる、という約束をしておく園もあります。数分離れて水を一口飲むだけでも、戻ったときの声は変わります。交代を頼むことは逃げではなく、子どもを守るための判断です。
04強く言ってしまった後の立て直し方
要点:強く言ってしまったら、その日のうちに子どもに短く言い直し、自分に何が起きていたかをメモします。子どもとの関係は、言い直しで修復できます。
どれだけ気をつけていても、強く言ってしまう日はあります。そのとき大事なのは、言ってしまったことそのものより、その後の関わりです。子どもは、大人が言い直してくれた経験から、「間違えても、やり直せる」ことを学んでいきます。
図4
- その場を少し離れる可能なら同僚に一声かけ、深呼吸を3回。まず自分の気持ちを落ち着かせます
- 子どもに短く言い直す「さっきは大きな声を出してごめんね。危ないと思ったんだ」と、一言で伝えます
- 何があったかメモする時刻、場面、自分の状態(疲れ・焦り)を書き、次の準備に役立てます
- 同僚に一言共有する「さっき強く言っちゃって」と話すだけで、一人で抱え込まずにすみます
- その日の自分をねぎらう言い直せたこと、気づけたことを、自分でちゃんと認めます
子どもに謝ることに抵抗を感じる人もいるかもしれません。けれど、謝ることで大人の信頼がなくなるわけではありません。「先生も間違えることがある。でも、ちゃんと言い直す」という姿は、子どもにとって大切なお手本になります。
年齢に合わせた言い直しの例
言い直しの言葉は、子どもの年齢によって変えると伝わりやすくなります。
- 0〜1歳児:言葉より、抱っこや背中をさする、笑顔で目を合わせるなど、体と表情で安心を伝える
- 2〜3歳児:「大きな声でびっくりしたね。ごめんね」と短く。理由の説明は一言だけにする
- 4〜5歳児:「さっきは大きな声を出してごめんね。ぶつかって痛い思いをしてほしくなかったんだ」と、気持ちと理由をセットで伝える
4〜5歳児なら、「次はどう言ってくれたら分かりやすい?」と聞いてみるのも一つの方法です。子ども自身が考えた約束は、大人が決めた約束より守られやすいことがあります。
家に帰ってからの自己嫌悪とのつきあい方
帰宅後も、強く言ってしまった場面を何度も思い出して眠れない、という人は少なくありません。反省は一度で十分です。メモを書いた時点で、その日の振り返りは終わりにすると決めてください。それでも頭から離れない日が続く場合は、疲れがかなりたまっているサインです。後で紹介する相談先も頭に入れておいてください。
05相談事例:声を荒げる回数が、週3〜4回から月1〜2回に
要点:強く言ってしまう自分を責め続けていた保育士が、時間帯の記録をきっかけに職場の配置と休憩を見直し、余裕を取り戻したモデルケースです。気持ちの持ち方より先に、条件を変えたところに注目してください。
「優しくできないのは、心が冷たいからじゃなかった」
相談事例(モデルケース)
- お名前
- えみさん(仮名)・27歳
- 保育士歴
- 5年目
- 勤務先
- 私立の認可保育園(定員約70名)、1歳児クラス担任(4人担任)
- 変化
- 声を荒げてしまう回数 週3〜4回 → 月1〜2回/午睡中の休憩 書類をしながら10分ほど → 休憩室で45分
編集部強く言ってしまう自分に、はっきり気づいたのはいつですか。
積み木を投げた1歳の子に「やめなさい!」って、自分でも驚くくらいの声が出たんです。その子、びくっとして固まっちゃって。その顔が夜まで消えなくて。私、こんな保育士になりたかったんじゃないのにって、布団の中で泣きました。
編集部そこから、どうしたのですか。
主任に相談する勇気はまだなかったので、まず2週間、声が強くなった場面をメモしました。そしたら、9回のうち7回が11時半から12時半、給食から午睡に入るまでの時間だったんです。その時間の私、朝7時半から一度も座ってなかったんですよね。休憩も、午睡中に連絡帳を書きながらの10分くらいで。
編集部記録を見て、何を変えたのですか。
メモを持って主任に話しました。怒られるかと思ってたのに、「回数で持ってきてくれたから分かりやすい」って。給食の時間だけフリーの先生にクラスに入ってもらえることになって、午睡中も交代で45分、休憩室で本当に休めるようにシフトを組み直してもらいました。
編集部自分で続けている工夫はありますか。
「やめなさい」が出そうになったら、しゃがんで名前を呼ぶ。それだけ決めました。最初は3回に1回くらいしかできなかったけど、名前を呼ぶと不思議と声が小さくなるんですよね。強く言っちゃった日は、必ずその子に「さっきはごめんね」って言い直すようにしています。
優しくできないのは私の心が冷たいからじゃなくて、余裕が削られていたからでした。
えみさん(仮名)
えみさんの声を荒げてしまう回数は、3か月ほどで週3〜4回から月1〜2回程度まで減りました。変わったのは、えみさんの性格ではなく、休憩の取り方と、いちばん忙しい時間帯の人の配置です。
えみさんの経験が教えてくれるのは、強く言ってしまう場面を「時間帯」で記録すること、そして記録を持って職場に具体的に頼むことの効果です。「つらいです」より「この時間にもう一人入ってほしい」のほうが、相手も動きやすくなります。
※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。
図5
声を荒げてしまう回数
午睡中の休憩
給食〜午睡の時間の大人の人数
強く言った後の言い直し
06一人の工夫で足りないときは、職場の仕組みに頼る
要点:休憩が取れない、忙しい時間帯の人手が足りない、担当が偏っている。こうした原因は、気持ちの持ち方だけでは解決しません。記録をもとに、職場に具体的に相談してよい問題です。
図6
- 休憩を、子どもから離れて取れていない法律上の休憩は自由に利用できる時間です。書類をしながらでは休めません
- 早番から遅番までの勤務や、連続勤務が続いている疲れが回復しないまま、次の日の保育に入っています
- いちばん忙しい時間帯に、大人の数が足りない給食や午睡前など、山の時間の配置を見直す余地があります
- 加配が必要な子がいるのに、配置がない一人ひとりに丁寧に関わる余裕がなくなります
- 行事の準備が保育時間に食い込んでいる子どもと向き合う時間が削られ、焦りが生まれます
- 持ち帰り仕事で、家でも休めていない心と体の回復の時間がありません
当てはまる項目があれば、それはあなたの心の弱さではなく、働き方の条件の問題です。主任や園長には、「イライラしてしまう」と気持ちだけを伝えるより、「11時半から12時半の間に、強く言ってしまう場面が2週間で7回ありました。この時間だけ、もう一人入ってもらえませんか」のように、時間と回数を添えて伝えると、具体的な対策につながりやすくなります。休憩が取れない状況の相談の仕方は、休憩が取れないときの対処法で詳しく紹介しています。
相談する相手がいない、園の中では言いにくいという場合は、同じクラスの先生に「この時間、少し手伝ってもらえると助かる」と頼むところから始めても構いません。小さな頼みごとが通ると、次の相談もしやすくなります。子どもが言うことを聞かない場面そのものに悩んでいるなら、子どもが言うことを聞かないときの関わり方も参考になります。
07知っておいてほしい、2つの線引き
要点:一つは、強い口調と不適切な関わりの境目。もう一つは、自分の心と体が限界に近いサインです。どちらかに当てはまるときは、一人で工夫を続けるより、相談を優先してください。
強い口調と、不適切な関わりは違う
この記事で扱ってきたのは、疲れや焦りから強い口調が出てしまう悩みです。一方で、子どもをたたく、つねる、閉じ込める、「置いていく」「もう知らない」と脅して従わせる、人格を否定する言葉を繰り返すといった関わりは、口調の問題ではありません。保育所等の職員による虐待については、2025年10月1日から通報義務などの規定が施行されています[3]。自分がその線に近づいていると感じたら、隠さずに主任や園長に相談してください。相談することは、自分と子どもの両方を守る行動です。
心と体のサインが出ていたら、工夫より先に休む
眠れない、食欲がない、出勤前に涙が出る、休みの日もイライラが止まらない。こうした状態が2週間以上続いているなら、感情のコントロールの工夫より先に、休むことと受診を考えてください。かかりつけ医や心療内科のほか、働く人のための「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時。祝日と年末年始は休止)でも話を聞いてもらえます[4]。電話が苦手な人は、LINEで相談できる「こころの耳SNS相談」もあります[5]。ストレスが限界に近いと感じているなら、ストレスが限界のときのサインと対処も読んでみてください。
強く言ってしまう悩みは、保護者対応や職場の人間関係の疲れと重なっていることもよくあります。お迎えの時間の立ち話や連絡帳の返事で消耗しているなら、保護者対応に疲れたときの考え方が手がかりになります。「子どもに優しくできない」という悩みを、働き方の面から一緒にほどいていく場として、ほいくの相談室を使うこともできます。転職の予定がなくても、話すだけで大丈夫です。
よくある質問
子どもに優しくできない日があるのは、保育士に向いていないからでしょうか?
優しくできない日があることと、保育士に向いていないことは別の話です。多くの場合、疲れや人手不足など条件が重なっていることが原因です。強く言ってしまったことに悩み、言い直そうとしている時点で、子どもを大切に思う気持ちは十分に持っています。
特定の子にだけ、強く言ってしまいます。
同じ行動を何度も繰り返す子に対して強くなってしまうのは、よくあることです。その子の行動を記録してみると、行動の前に共通するきっかけ(眠い、お腹がすいた、待ち時間が長い)が見つかることがあります。発達の特性が気になる場合は発達の個人差への対応に不安があるときも参考にし、クラスの先生と関わり方をそろえてみてください。
先輩が子どもに強く言うのを見るのがつらいです。
口調が強いだけなのか、たたく・脅すなどの不適切な関わりなのかで、対応は変わります。不適切な関わりであれば、日時と場面をメモし、主任や園長に相談してください。口調の問題であれば、自分の関わりで子どもを安心させることを優先し、話せる関係なら「あの子、さっきの声でびっくりしていました」と子どもの様子として伝える方法もあります。
強く言ってしまったところを保護者に見られていたら、どうすればいいですか?
気になる場合は、隠さずに主任や園長に報告し、園として説明するかを相談します。保護者に話すときは、何があったのか、なぜ止めたのか、その後どう関わったのかを落ち着いて伝えると、誤解が広がりにくくなります。
感情のコントロールのために、日ごろからできることはありますか?
睡眠と食事を整えること、休憩で子どもから物理的に離れることが基本です。そのうえで、強くなりやすい時間帯を知り、置き換えの言葉を2〜3個用意しておくと、とっさの場面で役立ちます。気持ちを吐き出せる相手を職場の内外に一人持っておくことも、余裕を保つ支えになります。
クラスの先生どうしで、子どもへの言い方がそろいません。
同じ場面で先生ごとに言い方が違うと、子どもは混乱し、結果的に注意する回数が増えてしまいます。よく出会う場面を2〜3個選び、「この場面ではこう声をかける」とクラスで一言だけ決めておくと、全員の負担が軽くなります。クラス会議や午睡中の打ち合わせで、5分ほど話し合うだけでも変わります。
参考にした資料
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- こども家庭庁「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和7年法律第29号)の概要」
- こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
- こころの耳「働く人の『こころの耳SNS相談』」
※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。