保育士が仕事を抱え込むとき|頼るのが苦手な人の頼み方

20時を過ぎた職員室で、一人で壁面飾りの花びらを切っている。隣のクラスの先生が帰り際に「手伝おうか」と声をかけてくれたのに、口から出たのは「大丈夫です、もう少しなので」。本当は、あと2時間はかかる。おたよりの下書きも、週案の修正も、まだ鞄の中に残っている。

仕事を抱え込んでしまう保育士は、責任感が強く、周りをよく見ている人であることがほとんどです。「みんな忙しいのに頼むのは悪い」「自分でやったほうが早い」「できないと思われたくない」。そう考えているうちに、仕事も気持ちも一人で抱えるのが当たり前になり、気づいたときには弱音を吐くことさえ難しくなっています。周りからは「何でもこなせる人」に見えているので、誰も手を差し伸べてくれない。その孤独が、さらに抱え込みを深めていきます。

この記事では、保育士が仕事を抱え込んでしまう理由と、抱え込みが限界に近づいているサイン、頼るのが苦手な人でも使いやすい頼み方の型、相談する勇気が出ないときの小さな一歩をまとめました。頼ることは甘えではなく、保育をチームで続けるための技術です。技術なので、練習すれば誰でも少しずつ身につけられます。

この記事でわかること

  • 保育士が仕事を抱え込みやすい4つの理由
  • 抱え込みが限界に近づいているサイン
  • 頼るのが苦手な人でも使える、頼み方の型と例文
  • 弱音を吐けない人が、少しずつ相談できるようになるための練習
  • 園の中で相談しにくいときの、園の外の相談先

結論

保育士が仕事を抱え込んでしまうときは、「頼むのは迷惑」という思い込みをいったん脇に置き、頼む内容を小さく具体的に切り分けることから始めます。「手伝ってください」と漠然と頼むより、「壁面の花びらを20枚、明日の午睡中に切ってもらえますか」のように、何を、どれだけ、いつまでにを添えると、相手も引き受けやすくなります。弱音を吐くのが苦手な人は、困っている事実を一つ伝える練習から始めると、相談への抵抗が少しずつ小さくなります。ただし、眠れない、涙が出るといった状態が続いているなら、仕事の分担を考えるより先に、休むことと受診を優先してください。

01保育士が仕事を抱え込みやすい理由

要点:抱え込みの背景には、「迷惑をかけたくない」「自分でやったほうが早い」「できない人と思われたくない」「頼み方が分からない」という4つの気持ちがあります。どれも性格の欠点ではなく、真面目さや気づかいの裏返しです。

図1

  • 1

    迷惑をかけたくない

    周りの先生も忙しいのを知っているから、自分の仕事で手をわずらわせたくない

  • 2

    自分でやったほうが早い

    説明する手間を考えると、自分でやるほうが早く、仕上がりも思いどおりになる

  • 3

    できない人と思われたくない

    頼むと「この人は仕事が回せない」と評価が下がるのではと不安になる

  • 4

    頼み方が分からない

    頼んだ経験が少なく、何をどう言えばいいのか、言葉が見つからない

図1 保育士が仕事を抱え込みやすい4つの理由

4つのうち、自分に一番当てはまるものはどれでしょうか。「迷惑をかけたくない」が強い人は、頼むことへの罪悪感を減らす考え方が役に立ちます。「自分でやったほうが早い」が強い人は、短期的な早さと長期的な負担を比べる視点が必要です。「できない人と思われたくない」人は、頼み方の型を使って、頼むことを「仕事の段取り」として見せる方法が向いています。「頼み方が分からない」人は、例文をそのまま使うところから始めてください。

保育の仕事は、抱え込みが外から見えにくい

保育の仕事には、壁面やおたより、指導計画、連絡帳、行事の準備など、子どもの前ではない時間に進める仕事がたくさんあります。こうした仕事は、誰がどれだけ抱えているのかが周りから見えにくく、持ち帰って家で進めていれば、なおさら気づかれません。「あの先生はいつも余裕がある」と思われている人ほど、実は家で毎晩2時間作業している、ということもあります。抱え込みが見えないから、周りも手を出せない。その悪循環を断つには、まず自分の抱えている仕事を「見える形」にすることが必要です。

抱え込みは、個人の性格だけの問題ではない

東京都が保育士を対象に行った調査では、現在の職場で改善を希望する項目として、職員数の増員、事務・雑務の軽減、職員間のコミュニケーションが上位に挙がっています[1]。人が足りず、雑務が多く、職員同士で話す時間がない。そうした職場では、誰かが仕事を抱え込みやすくなるのは自然なことです。

図2

現在の職場で改善を希望する項目(東京都保育士実態調査〔令和4年度〕・複数回答の一部)[1]

給与・賞与等の改善62.7%
職員数の増員48.6%
事務・雑務の軽減40.1%
職員間のコミュニケーション26.8%
勤務シフトの改善25.1%
図2 現在の職場で改善を希望する項目(東京都保育士実態調査〔令和4年度〕・複数回答の一部)[1]

あなたが抱え込んでいるのは、頼むのが下手だからだけではなく、職場の仕組みにも理由があります。そう考えると、頼むことは「自分の弱さを見せること」ではなく、「職場の仕組みを少し直すこと」だと捉え直せます。

02抱え込みが限界に近づいているサイン

要点:持ち帰りが増え、休憩も仕事で埋まり、誰かに「大丈夫?」と聞かれると涙が出そうになる。こうしたサインが重なっているなら、抱え込みは限界に近づいています。

抱え込んでいる本人は、「まだ大丈夫」「この時期を乗り切れば」と考えがちです。けれど、限界は突然やってくるように見えて、実はその前にいくつものサインが出ています。次の項目で、今の自分を確かめてみてください。

図3

  • 持ち帰り仕事が週の半分以上ある実際の仕事量が、勤務時間に収まらなくなっています
  • 休憩中も書類や製作をしている体と気持ちを休める時間が取れていません
  • 「手伝おうか」に反射的に「大丈夫」と答える頼ることへの抵抗が、習慣になっています
  • 自分しか分からない仕事が増えている休んだときに誰も代われない状態は、自分も職場も追い詰めます
  • 同僚に頼むくらいなら徹夜したほうが楽だと思う頼むことの心理的な負担が、体の負担を上回っています
  • 「大丈夫?」と聞かれると涙が出そうになる気持ちが限界まで張りつめているサインです
  • 休日も、残っている仕事のことが頭から離れない回復の時間が取れていません
  • 眠りが浅い、食欲が落ちている心と体に負担が表れています。受診も考えてください
図3 仕事の抱え込みが限界に近いサイン

当てはまる項目が多いほど、抱え込みは深刻になっています。特に最後の2つが2週間以上続いているなら、頼み方を工夫する前に、休むことと受診を考えてください。ストレスが限界に近いときのサインは、保育士のストレスが限界のときのサインと対処にもまとめています。

まず、抱えている仕事を全部書き出す

頼む前の準備として、今抱えている仕事を紙に全部書き出してみてください。「壁面(12月分)」「おたより下書き」「週案の修正」「発表会の衣装の手配」「新人の日誌へのコメント」。書き出すと、自分でも驚くほどの量になっていることがあります。そのうえで、一つひとつに「自分でなければできない」「人に頼める」「やらなくてもいい」の印をつけます。人に頼める仕事が一つでも見つかれば、それが最初に頼む候補です。

「自分しか分からない仕事」を減らしておく

抱え込む人ほど、仕事のやり方や進み具合が自分の頭の中にしかない状態になりがちです。その状態で急に体調を崩すと、休んでいる間も「あれはどうなったか」と気になって休めず、周りも何をどう引き継げばいいのか分からずに困ります。おたよりの下書きはクラスの共有ファイルに置く、壁面の型紙は決まった棚にしまう、保護者とのやりとりは要点を連絡ノートに残す。こうした小さな工夫で、「自分がいないと回らない仕事」は減らせます。それは周りのためだけでなく、自分が安心して休むための準備でもあります。

03頼るのが苦手な人のための、頼み方の型

要点:頼み方は、「状況」「具体的なお願い」「量と期限」「お礼や代わりの申し出」の4つを入れた型で伝えると、相手が引き受けやすくなります。漠然と「手伝って」と言うより、ずっと頼みやすく、断られたときの気まずさも小さくなります。

頼むのが苦手な人は、頼む内容が大きすぎることがよくあります。「発表会の準備を手伝ってほしい」と言われても、相手は何をどれだけすればいいのか分からず、身構えてしまいます。頼む内容を、相手が5分から30分で終えられる大きさに切り分けると、頼むほうも頼まれるほうも楽になります。

図4

場面抱え込みやすい伝え方引き受けてもらいやすい伝え方
壁面の準備「大丈夫です、自分でやります」「花びらを20枚、明日の午睡中に切ってもらえますか。型紙はここに置いておきます」
おたより(何も言わずに家で書く)「今月のおたより、行事の欄だけ書いてもらえますか。金曜までだと助かります」
行事の準備「手伝ってもらえたらうれしいです……」「運動会の万国旗、10本だけつなぐのをお願いできますか。代わりに来週の掃除当番を代わります」
困っている相談「ちょっといいですか……いえ、やっぱり大丈夫です」「Aくんの午睡のことで5分だけ相談させてください。午後の休憩のときでいいです」
仕事が重なった(黙って残業する)「週案の修正と保護者面談の準備が重なっていて、どちらを先にすればいいか相談させてください」
図4 抱え込みやすい伝え方と、引き受けてもらいやすい伝え方

型に当てはめると、頼むことが「お願い」から「段取りの共有」に変わります。「量と期限」がはっきりしていると、相手は自分の予定と照らし合わせて引き受けられるかを判断できます。「お礼や代わりの申し出」を添えると、頼むことへの罪悪感も軽くなります。

誰に、何を頼むかを決める

頼む相手によって、頼みやすい内容は違います。クラスを一緒に担当している同僚には、クラスの中の作業を。主任やリーダーには、仕事の量そのものの調整を。保育補助やパートの先生には、時間内に終えられる準備作業を。それぞれの立場を考えて頼むと、相手も引き受けやすくなります。国も、保育士の業務を補助する人の雇上げや、保育士資格を持たない保育支援者の配置を支援する事業を設けています[2][3]。園に補助の人がいるなら、頼める仕事を一緒に考えてもらうのも一つの方法です。

仕事の量そのものを減らしてほしいときは

頼み方を工夫しても追いつかないほど仕事が多い場合は、一人ひとりに頼むのではなく、主任や園長に仕事の量や分担そのものを見直してもらう必要があります。そのときは、書き出した仕事の一覧と、持ち帰りの時間を数字で見せると、相手にも伝わりやすくなります。伝え方は仕事を減らしてほしいときの伝え方で詳しく紹介しています。

断られても、頼んだことは無駄にならない

勇気を出して頼んだのに、「ごめん、今週は無理」と断られることもあります。そのときに「やっぱり頼まなければよかった」と思う必要はありません。断られたのは、あなたではなく、その時の相手の予定です。「分かりました、また別のときにお願いするかもしれません」と返せば十分です。頼んだという事実は、相手に「この人も手が回っていないんだ」と知らせることになり、次に相手から「何か手伝おうか」と声がかかるきっかけになります。

04弱音を吐けない人のための、小さな練習

要点:弱音を吐けない人がいきなり「つらいです」と言うのは難しいものです。困っている事実を一つ伝える、感想を一言添える、小さなお願いをする、と段階を踏むと、少しずつ相談できるようになります。

「弱音を吐いたら、頼りないと思われる」「自分より大変な人がいるのに、甘えだと思われる」。そう考えて弱音を飲み込む人は、つらさを感じないのではなく、感じたつらさを外に出す回路が細くなっています。その回路は、小さな練習で少しずつ太くできます。

図5

  1. 事実を一つ伝える

    「今週、書類がちょっとたまっていて」のように、感情を入れずに状況だけを伝えます

  2. 感想を一言添える

    「正直、少しあせっています」と、気持ちを一言だけ付け加えます

  3. 小さなお願いをする

    5分で終わる作業を一つだけ、型を使って頼んでみます

  4. 困っていることを相談する

    保育の進め方や子どもへの関わりで迷っていることを、一つだけ相談します

  5. お礼を具体的に返す

    助けてもらったら、「おかげで18時に帰れました」と結果を伝えて感謝します

図5 弱音を少しずつ出せるようになる練習

最初の一歩は、休憩中の雑談の中で「最近、書類が追いつかなくて」と言うことかもしれません。それだけで、同僚が「分かる、私も」と返してくれることがあります。弱音は、相手との距離を縮める言葉にもなります。

「大丈夫です」の代わりに使える言葉

「手伝おうか」と声をかけられたとき、反射的に「大丈夫です」と答えてしまう人は、次のような言葉を用意しておくと、自然に受け取れるようになります。

  • 「ありがとうございます。じゃあ、この10枚だけお願いしてもいいですか」
  • 「助かります。実は少し押していて」
  • 「今は大丈夫ですが、明日お願いするかもしれません」
  • 「ありがとうございます。声をかけてもらえてうれしいです」

最後の言葉は、仕事を頼まなくても使えます。手を差し伸べてくれたことを受け取るだけでも、次に頼むときのハードルが下がります。

相談する前に、話すことを3行にまとめる

相談しようと思っても、いざ相手の前に立つと何から話せばいいか分からなくなり、「やっぱり大丈夫です」と引き返してしまう。そんな人は、話すことを3行のメモにまとめてから相談してみてください。1行目は「何に困っているか」、2行目は「自分でやってみたこと」、3行目は「相手にお願いしたいこと」です。たとえば、「Bちゃんの食事の介助で、毎日給食の時間が足りなくなる」「スプーンの持たせ方を変えてみたが、まだうまくいかない」「一度、給食の時間に様子を見てもらえませんか」。3行あれば、相談は2〜3分で済みます。短く終わる相談は、頼む側も頼まれる側も気が楽です。

05園の中で相談しにくいときは

要点:職場で質問しにくい雰囲気がある、相談した経験が報われなかったという場合は、園の外の窓口から始めて構いません。話す練習の場としても使えます。

相談する勇気が出ないのは、もともとの性格だけでなく、過去に相談してため息をつかれた、「そんなこともできないの」と言われたといった経験があることも多いものです。そういう職場で無理に相談しようとすると、余計に傷つくこともあります。職場で質問しにくいときの考え方は、職場で質問できないときの対処法で紹介しています。

園の中に話せる相手がいないときは、園の外の窓口を使ってください。働く人の悩みを受け付ける「こころの耳」では、LINEでのSNS相談を平日17時〜22時、土日10時〜16時に受け付けています(祝日・年末年始を除く)[4]。言葉にまとめる時間がほしい人は、専用フォームから24時間送れるメール相談もあります[5]。また、都道府県などが設置する保育士・保育所支援センターでは、就業継続の相談支援も行っています[6]。相談先の選び方は、保育士の悩みの相談窓口にまとめています。

06相談事例:「大丈夫です」をやめた日から

要点:ここでは、クラスリーダーとして仕事を一人で抱え込んでいた保育士が、仕事の一覧をつくって分担を相談し、持ち帰りを大きく減らしたモデルケースを紹介します。

抱えていた9つの仕事を、一覧にして渡した

相談事例(モデルケース)

お名前
あやさん(仮名)・33歳
保育士歴
11年目(相談当時)
勤務先
私立の認可保育園(定員約90名)、2歳児クラスのリーダー(3人担任)
家族
一人暮らし
変化
持ち帰り 週5日 → 週1日ほど/一人で抱える仕事 9件 → 4件

編集部仕事を抱え込んでいたころの様子を教えてください。

あやさん

リーダーになって、指導計画のまとめ、壁面、おたより、保護者対応の窓口と、気づいたら全部私がやっていました。ほかの2人は経験が浅いので、頼むより自分でやったほうが早いと思っていたんです。毎晩、家で2時間くらい作業していました。

編集部変わるきっかけは何でしたか。

あやさん

秋に熱を出して3日休んだんです。休んでいる間ずっと「クラスが回ってない」って不安だったんですけど、戻ったら壁面が完成していて、おたよりも出ていて。2人が「言ってくれたらやったのに」って。うれしいのと、申し訳ないのと、ちょっと恥ずかしいのとで、複雑でした。

編集部その後、何をしましたか。

あやさん

ほいくの相談室で話を聞いてもらったとき、転職の話は一度も出なかったんです。「まず今の園で、仕事を一覧にして頼んでみませんか。それで変わらなかったら、またそのとき考えましょう」って言われて。押しつけられなかったのが、逆に動く気にさせてくれました。それで、抱えている仕事を全部書き出したら9つあって、そのうち5つを2人に頼むことにしました。

編集部頼むとき、どんなことに気をつけましたか。

あやさん

「全部お願い」じゃなくて、「おたよりの行事欄だけ」「壁面の花びら20枚」みたいに、小さく切って頼みました。最初の1週間は手が震えるくらい緊張しました。でも、2人とも「こういうのなら任せて」って。経験が浅いからできないと決めつけていたのは、私のほうでした。

頼むのは迷惑をかけることじゃなくて、相手を信じることなんだって、ようやく分かりました。

あやさん(仮名)

あやさんのクラスでは、その後、毎週月曜の午睡中に10分だけ「今週の仕事の分担」を話す時間を設けるようになりました。持ち帰りは週に1日ほどになり、帰宅後の時間で久しぶりに料理を楽しめるようになったそうです。

あやさんのケースから持ち帰れるのは、「頼む力」は、頼む内容を小さく切り分けることで身につくという点です。一覧にして見える形にしたことで、本人も周りも、抱えていた仕事の量に初めて気づけました。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

07頼ることについて、知っておいてほしい2つのこと

要点:頼み方を工夫しても、人手そのものが足りない職場では限界があります。また、抱え込みで心と体が限界に近いなら、頼み方の練習より休むことが先です。

1. 頼んでも変わらない職場もある

仕事を一覧にして、型を使って頼み、主任や園長にも相談した。それでも、「みんな忙しいから」と取り合ってもらえないこともあります。人手が根本的に足りていない、仕事を減らす工夫を園全体でする気がない、といった職場では、個人の頼み方だけで状況を変えるのは難しいものです。それはあなたの努力不足ではありません。そうした場合は、働く環境そのものを見直すことも、選択肢の一つとして考えてよい段階です。

2. 心と体のサインが出ているなら、休むことが先

抱え込みが長く続くと、ある日突然、朝起き上がれなくなることがあります。眠れない、食欲がない、出勤前に涙が出るといった状態が2週間以上続いているなら、仕事の分担を考えるより先に、かかりつけ医や心療内科に相談してください。誰かに話を聞いてほしいときは、働く人の「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時)も使えます[7]。

一人で抱えることに慣れた人ほど、「相談するほどのことではない」と考えがちです。ほいくの相談室では、転職を決めていない段階で、「仕事を抱え込んでしまって、どう頼めばいいか分からない」という相談も受けています。抱えている仕事を一緒に書き出すところから始められます。

よくある質問

頼むと「仕事ができない人」と思われないか不安です。

量と期限をはっきりさせて頼むと、「段取りのできる人」として受け取られることのほうが多いものです。むしろ、一人で抱えて締め切りに間に合わなくなるほうが、周りの負担は大きくなります。頼んだ結果を「おかげで間に合いました」と伝えれば、信頼はかえって深まります。

後輩に仕事を頼むのが苦手です。

後輩に頼むときは、仕事を任せることが後輩の経験にもなると考えてみてください。最初は小さな作業から、やり方を見せたうえで頼み、終わったら具体的にお礼を伝えます。任された経験は、後輩にとっても自信になります。

頼んだ仕事の仕上がりが、自分の思うとおりになりません。

仕上がりの基準を、頼むときに伝えておくと行き違いが減ります。それでも細かいところが気になる場合は、「子どもの安全や保護者への伝達に関わるか」で線を引き、それ以外は相手のやり方を受け入れてみてください。完璧さより、続けられる分担のほうが大切です。

主任やリーダーの立場で、頼れる相手がいません。

立場が上がるほど、頼る相手は減っていきます。同じ立場のほかのクラスのリーダーや、法人内の別の園の主任など、横のつながりをつくると相談しやすくなります。仕事の量そのものが多すぎる場合は、園長に分担の見直しを相談することも、リーダーとしての大切な役割です。

弱音を吐ける相手が職場にいません。

職場の外に話せる相手をつくるのも一つの方法です。保育と関係のない友人や家族、電話やLINEで相談できる窓口など、話せる場所が一つあるだけで、気持ちの張りつめ方は変わります。話すことに慣れてくると、職場でも小さな弱音を出しやすくなります。

抱え込みをやめたいのに、つい「大丈夫です」と言ってしまいます。

長く続けてきた習慣なので、すぐに変えられなくて当然です。「大丈夫です」と言ってしまったあとに、「やっぱり、これだけお願いしてもいいですか」と言い直しても構いません。言い直せた回数を数えていくと、少しずつ最初から頼めるようになります。

参考にした資料

  1. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 調査結果の概要」
  2. こども家庭庁「令和8年度 保育関係予算の概要」
  3. こども家庭庁「令和8年度 保育関係予算の概要」
  4. こころの耳「働く人の『こころの耳SNS相談』」
  5. こころの耳「働く人の『こころの耳メール相談』」
  6. こども家庭庁 令和7年度行政事業レビュー公開プロセス説明資料
  7. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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