保育士の通勤時間が長いなら|転職の判断と負担の減らし方

早番の日は、5時に目覚ましが鳴ります。まだ暗い駅のホームで電車を待ち、乗り換えを2回して園に着くのは6時40分。7時の開所に合わせて保育室の窓を開け、加湿器に水を入れるころには、もうひと仕事終えたような重さが体に残っています。遅番の日は19時に園を出て、家の玄関を開けるのは20時半。夕飯と入浴を済ませると、自分の時間はほとんど残りません。

通勤がつらいと口にすると、「その園を選んだのは自分でしょう」「1時間くらい、みんなかけて通っているよ」と返されることがあります。けれど保育士の通勤は、早番・遅番のある勤務、行事前の残業、両手がふさがるほどの荷物と重なることで、同じ1時間でも想像以上に重くなります。つらいと感じるのは、根性が足りないからではありません。

この記事では、通勤時間の長さに悩む保育士が、今の園で負担を減らすか、転職で解決するかを決めるための考え方をまとめました。通勤の負担を数字にする方法から、転職する場合の園の選び方まで、順番に整理していきます。

この記事でわかること

  • 通勤の負担を「1か月の時間・お金・体力」で数字にする方法
  • 保育士の通勤が、ほかの仕事より重く感じやすい理由
  • 転職の前に今の園で試せる、通勤負担の減らし方
  • 通勤を理由に転職するか決める8つの確認項目と、次の園の選び方

結論

保育士の通勤時間が長くてつらいときは、まず1か月の通勤時間を合計し、時間・お金・体力の3つで負担を数字にします。片道1時間なら、月20日の勤務で往復40時間になり、早番・遅番があると睡眠や家族との時間がそのぶん削られます。次に、シフトの調整、通勤手段の見直し、法人内の異動で減らせるかを確かめます。それでも減らせない場合や、通勤以外の不満も重なっている場合は、通勤時間を条件の上位に置いた転職を考えるのが現実的な順番です。通勤だけを理由に転職を考えることも、決して甘えではありません。

01片道1時間の通勤は、1か月で何時間になるか

要点:通勤のつらさは「片道○分」ではなく、1か月・1年の合計で見ると実感に近づきます。片道1時間なら、月20日の勤務で往復40時間。1日8時間の勤務に置き換えると、5日分に当たります。

通勤の話をするとき、多くの人は「片道1時間くらい」と言います。ところが片道で考えると、つらさの大きさがぼやけてしまいます。毎日のことなので、1日の中で見ると我慢できる長さに思えるからです。そこで、下の表のように1か月と1年の合計に直してみてください。

図1

片道の時間1日(往復)1か月1年
片道30分1時間20時間240時間
片道45分1時間30分30時間360時間
片道60分2時間40時間480時間
片道75分2時間30分50時間600時間
片道90分3時間60時間720時間
図1 片道の通勤時間と、1か月・1年の合計(例:月20日、年240日の勤務で計算)

片道60分と片道30分の差は、1年で240時間です。1日8時間で割ると30日分。つまり、通勤時間を半分にできれば、1年で1か月分の勤務日に近い時間が手元に戻ってくる計算になります。この時間がまるごと睡眠や家族との時間になるわけではありませんが、「なんとなくつらい」を「年に240時間」と言い換えるだけで、自分の中での重みづけが変わります。

通勤時間を気にしているのは、あなただけではない

通勤時間は、保育士が職場を選ぶときに重く見ている条件の一つです。東京都が行った調査では、過去に保育士として働いていた人が、復職する場合の希望条件として「通勤時間(片道)」を挙げた割合は61.6%でした[1]。

図2

保育士として復職する場合の希望条件(東京都保育士実態調査〔令和4年度〕・過去に保育士として働いた人)[1]

勤務時間(1日)73.8%
給与等(年収)69.0%
通勤時間(片道)61.6%
勤務日数(週)57.3%
図2 保育士として復職する場合の希望条件(東京都保育士実態調査〔令和4年度〕・過去に保育士として働いた人)[1]

勤務時間や給与と並んで、通勤時間が上位に入っています。通勤を理由に職場を見直したいと考えるのは、わがままでも特別なことでもありません。

時間だけでなく、お金と体力も数える

通勤の負担には、時間のほかに二つの面があります。一つはお金です。通勤手当に上限があり、定期代がそれを超えている場合は、毎月の差額を自分で払っていることになります。たとえば上限が月2万円で定期代が月2万3千円なら、年に3万6千円の持ち出しです。もう一つは体力です。座れる区間がどれくらいあるか、乗り換えの階段を何回上り下りするか、満員電車に何分立っているか。同じ60分でも、座って本を読める60分と、荷物を抱えて立ち続ける60分では、園に着いたときの疲れ方がまったく違います。

1週間だけ、通勤の記録をつけてみてください。家を出た時刻と園に着いた時刻、座れた時間、その日の疲れを5段階で書き込むだけで十分です。記録は、あとで園に相談するときにも、転職先の条件を決めるときにも使えます。

02保育士の通勤が、同じ1時間でも重くなりやすい理由

要点:早番・遅番のある勤務、行事前の残業、荷物の多さ、遅れられない朝。この4つが重なることで、保育士の通勤は同じ距離でもほかの仕事より負担が大きくなりやすいのです。

図3

  • 1

    早番・遅番がある

    7時開所の早番では、片道1時間なら5時台の起床になる。遅番の翌日が早番だと、睡眠が6時間を切ることもある

  • 2

    行事前は帰りが遅くなる

    運動会や発表会の準備で残る日は帰宅が21時を過ぎ、通勤の長さがそのまま睡眠に響く

  • 3

    荷物が多い

    着替え、エプロン、制作物の材料、持ち帰りの書類。両手がふさがった状態で電車に立ち続けることになる

  • 4

    遅れられない朝がある

    早番は開所の準備を担うことが多く、電車の遅れがそのまま保育の始まりに響く不安がある

図3 保育士の通勤を重くする4つの事情

一般的な会社勤めなら、出勤時刻は毎日ほぼ同じです。保育士の場合は、早番・中番・遅番で出勤時刻が2時間以上ずれることも珍しくありません。体のリズムが整わないまま長い通勤が上乗せされると、疲れは週の後半にかけてたまっていきます。片道70分で通う保育士の早番の日を例に、時間の流れを追ってみます。

図4

  1. 5:00起床。身支度と朝食を20分で済ませる
  2. 5:40家を出る。駅までは徒歩10分
  3. 5:50〜6:50電車で移動。乗り換え2回、座れるのは最初の15分だけ
  4. 6:50園に到着。鍵を開け、換気と室温を確かめる
  5. 7:00〜16:00早番の勤務(休憩1時間)
  6. 16:10〜17:20帰りの電車。夕方の混雑で座れない
  7. 17:30帰宅。夕飯の支度と翌日の準備
  8. 21:30翌朝に備えて就寝
図4 片道70分で通う保育士の早番の1日(例)

この日の「仕事に使った時間」は、勤務の9時間に通勤の約2時間20分を足した、11時間20分です。これが週に2〜3回あると、休日は寝て終わってしまうという声が多いのもうなずけます。

自分の子どもを育てている保育士の場合、通勤の長さは送迎の段取りにも響きます。わが子の保育園の開園時刻より早く家を出なければならない日は、家族の誰かに送りを頼むことになります。早番・遅番の負担そのものについては、早番・遅番の負担を減らす方法でも詳しくまとめています。

03転職の前に、今の園で通勤の負担を減らせないか確かめる

要点:シフトの組み方、通勤の手段と経路、法人内の異動。この3つは、転職しなくても変えられることがあります。一度具体的に相談して変わらなければ、それが転職を考える確かな根拠になります。

図5

通勤の負担を減らしたい

  1. シフトを相談する早番の回数、遅番の翌日の早番、行事前の残り番を調整してもらう
  2. 経路と手段を見直す座れる路線、乗り換えの少ない経路、自転車や車での通勤が認められるかを確かめる
  3. 法人内で異動する同じ法人が運営する、自宅に近い園へ移れるかを次年度の配置に向けて相談する
  4. 働き方を変える勤務日数や勤務時間を見直し、通勤する日そのものを減らす
  5. 転職する通勤時間を条件の上位に入れて、新しい園を探す
図5 通勤がつらいときに取れる選択肢

シフトは「数字」と「代わりの案」を添えて相談する

「通勤がつらいので早番を減らしてほしい」とだけ伝えると、ほかの職員との公平さが気になって、園長も答えにくくなります。通勤の記録をもとに、「早番が月8回あり、その日は5時に起きています。遅番の翌日に早番が入る日だけでも、避けてもらえないでしょうか。その代わり、土曜の当番は月1回増やせます」のように、困っている場面と代わりにできることをセットで伝えると、話が前に進みやすくなります。

通勤の手段と経路を見直す

一本早い電車にすると始発駅から座れる、乗り換えを1回減らせる別の経路がある、自転車と電車を組み合わせると10分縮む。地図アプリの最短ルートだけを見ていると、こうした選択肢に気づきにくいものです。車通勤や自転車通勤は、園が認めているかどうかで使えるかが決まります。駐車場や駐輪場、通勤手当の扱いもあわせて確かめておきます。手段ごとの探し方と注意点は、駅近・車通勤可の求人の探し方で紹介しています。

同じ法人の、自宅に近い園への異動を相談する

複数の園を運営している法人なら、自宅に近い園への異動を希望できることがあります。異動は年度の区切りで決まることが多いため、秋から冬のうちに、園長や法人の担当者へ希望を伝えておくのが現実的です。なお、2024年4月からは、労働契約を結ぶときに就業場所の「変更の範囲」も示すことが必要になりました[2]。最近入職した人は、労働条件通知書を見ると、法人内でどこまで異動の可能性があるかを確かめられます。

通勤する日そのものを減らす

正社員のまま週5日通うことにこだわらず、勤務日数や勤務時間を見直すという考え方もあります。たとえば週4日勤務に変えられれば、片道70分の通勤は1か月で約9時間減ります。収入は下がるため、家計との相談が必要ですが、子育てや介護など、通勤以外の事情も重なっている時期には現実的な選択肢になります。働く時間を減らす方法は、雇用形態によって変わります。今の園で短時間勤務の制度があるか、パートへの切り替えができるかを、就業規則で確かめてから相談すると話が早く進みます。

04通勤を理由に転職するか決める8つの確認項目

要点:次の8項目のうち、当てはまるものを数えてください。4つ以上当てはまり、今の園での調整も難しいなら、通勤時間を条件にした転職を本格的に考えてよい段階です。

図6

  • 早番の日は5時台、またはそれより早く起きている睡眠時間が削られ、疲れが翌日以降に持ち越されやすい状態です
  • 帰宅が20時を過ぎる日が週に2日以上ある食事と入浴で一日が終わり、休む時間がほとんど残りません
  • 通勤中に座れない区間が30分以上ある立ち仕事の前後にさらに立つことになり、腰や足への負担が重なります
  • 交通費の一部を自分で払っている通勤手当の上限を超えた分が、毎月の手取りを減らしています
  • 電車の遅れで開所に間に合わない不安がある早番のたびに緊張が続き、気持ちの余裕がなくなります
  • 家族や自分の子どもとの時間が取れない通勤時間は、多くの場合家族との時間から引かれています
  • シフトや異動を相談しても変わらなかった今の園で変えられる範囲を超えているサインです
  • 通勤以外にも、持ち帰りや人間関係の悩みがある通勤時間だけを短くしても、別の悩みが残る可能性があります
図6 通勤を理由に転職するか迷ったときの確認項目

当てはまる数が0〜3なら、まずは今の園での調整から試す段階です。前の見出しのように、数字を添えてシフトや経路を相談してみてください。4〜6なら、調整を続けながら、通勤圏内の求人を眺め始めてもよいころです。求人を見ることは、誰かに約束することではありません。7以上なら、通勤があなたの生活にかけている負担はかなり大きいと考えてください。

注意してほしいのは、最後の項目です。通勤以外の悩みも抱えている場合、「とにかく近い園」を条件にすると、次の園で別の悩みに出会うことがあります。通勤時間は条件の一つとして大事にしながら、ほかに譲れない条件を2つまで書き出しておくと、園選びの軸がぶれにくくなります。

05相談事例:異動で片道70分になり、自転車15分の園へ移るまで

要点:ここでは、通勤の負担を数字にしたことで決断できたモデルケースを紹介します。異動の可能性を確かめ、条件を絞っていく流れに注目してください。

「我慢できる時間」を「1か月47時間」と数え直した

相談事例(モデルケース)

お名前
あまねさん(仮名)・32歳
保育士歴
10年目(相談当時)
勤務先
5園を運営する社会福祉法人の認可保育園、4歳児クラス担任
変化
通勤 片道70分 → 自転車で15分(1か月の通勤時間 約47時間 → 約10時間)

編集部通勤がつらくなったのは、いつからですか。

あまねさん

4月の異動からです。それまでは電車で25分の園にいたんですけど、法人の別の園に移ることになって、片道70分になりました。乗り換えが2回あって、早番の日は4時50分起き。最初の1か月は「慣れればなんとかなる」って自分に言い聞かせていました。

編集部転職を考えるきっかけは何でしたか。

あまねさん

夏の早番の帰りに、電車で寝過ごして終点まで行っちゃったんです。知らない駅のホームで、ああ、体のほうが先に限界を知らせてるんだなって。そこで初めて、園長に「来年度は家から近い園に戻れないか」と聞きました。返事は「考えておくけど、約束はできない」でした。

編集部相談の場では、どんな話をしましたか。

あまねさん

正直、「通勤がつらいくらいで」って言われると思っていたんです。でも最初に、1か月の通勤時間を一緒に計算してくれて。47時間って数字が出たとき、自分でもびっくりしました。転職をすすめられたわけではなくて、「来年度の配置を待つのも一つの道です」と言われたのも意外でした。

編集部最後に決め手になったのは何ですか。

あまねさん

就業規則を読み直したら、法人の園の間で異動を命じることがある、と書いてあって。園長にも「数年おきに異動はある」と言われました。仮に近い園に戻れても、また遠くなるかもしれない。だったら、近くに住んで、近くで長く働けるほうを選びたいと思ったんです。

片道70分を「我慢できる時間」じゃなくて「1か月47時間」と数えたら、迷いがすっと消えました。

あまねさん(仮名)

あまねさんは年度末で退職し、自宅から自転車で15分の、園舎が1つだけの認可保育園に移りました。月給は額面で約8,000円下がりましたが、定期代の自己負担(月約3,000円)がなくなり、早番の日の起床は6時になりました。4歳児の担任を続けながら、帰宅後に夕飯を作る余裕ができたそうです。

このケースで持ち帰ってほしいのは、通勤を数字にしたことと、「異動の可能性」という、通勤時間が今後も変わりうる要素を確かめたことです。近い園を選んだ理由を自分の言葉で説明できたので、面接でも迷わず話せたといいます。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

あまねさんのように、法人の中での異動で通勤が急に長くなる人は少なくありません。異動の多い法人かどうかは、求人票や面接で確かめられる項目の一つです。次の見出しで、その確かめ方も含めて整理します。

06通勤時間を条件に、次の園を選ぶときのコツ

要点:通勤時間は「片道○分以内」だけでなく、早番の時刻に間に合うか、座れるか、乗り換えはいくつか、異動の可能性はあるかまで含めて決めます。条件は3つまでに絞り、通勤時間をその一つに入れると、求人を絞り込みやすくなります。

図7

  1. 上限を決める早番の日に起きられる時刻から逆算して、片道の上限時間を決める
  2. 範囲を描く自宅から上限時間で届く範囲を、電車・自転車・車ごとに地図に描く
  3. 求人を絞る範囲内の求人を集め、就業場所と変更の範囲を確かめる
  4. 実際に通ってみる候補の園まで、早番・遅番の時間帯に一度往復してみる
  5. 見学で確かめる職員の通勤手段、駐輪場や駐車場、異動の頻度を聞く
図7 通勤時間を条件に入れた園探しの流れ

上限時間は「起きられる時刻」から逆算する

「片道30分以内」と決める前に、早番の日に無理なく起きられる時刻を考えます。たとえば6時に起きたいなら、身支度に40分、通勤に30分で、7時の早番にはぎりぎりの計算です。逆算すると、自分にとっての上限が「30分」なのか「20分」なのかがはっきりします。上限の考え方は、転職先の通勤時間の目安でも詳しく扱っています。

求人票で「就業場所の変更の範囲」を見る

2024年4月から、求人を出すときに示す事項として「就業の場所の変更の範囲」が加わりました[3]。「法人が運営する保育所」とあれば、入職後に別の園へ異動する可能性があります。近さを理由に選んだのに、数年後には遠い園へ、ということを避けるためにも、面接で「異動はどのくらいの頻度でありますか」と聞いておくと安心です。求人票全体の読み方は求人票を見るポイントが参考になります。

一度、本番の時間帯に通ってみる

見学や面接は、日中の空いている時間帯に行くことが多いものです。応募を決める前に、一度だけでも早番の時間帯に家を出て、園の前まで行ってみてください。始発の時刻、駅の混み具合、自転車なら坂道や交通量。地図では見えないことが、一往復で分かります。

見学と面接で聞いておきたい、通勤まわりの質問

通勤の条件は、求人票だけでは分からないことが多いものです。見学や面接では、次のような質問をしておくと、入職後のずれを小さくできます。

  • 職員の皆さんは、どんな手段で通っている方が多いですか
  • 早番の出勤時刻は何時で、鍵を開ける役割は持ち回りですか
  • 通勤手当に上限はありますか。自転車や車の場合はどう計算されますか
  • 法人内の異動は、どのくらいの頻度でありますか
  • 台風や大雪の日の出勤は、どのように決めていますか

質問の答えそのものより、聞いたときの反応にも目を向けてください。通勤の事情を当たり前のこととして話してくれる園は、職員の暮らしにも目を配っていることが多いものです。

07「近さ」だけで決めないために、伝えておきたい2つのこと

要点:近い園が、働きやすい園とは限りません。また、引っ越して通勤を短くする方法もありますが、家賃や暮らしの変化まで含めて比べる必要があります。どちらも、通勤の悩みが大きいときほど見落としやすい点です。

1. 近さと引き換えに、大切な条件を手放していないか

通勤のつらさが限界に近いと、「近ければどこでもいい」という気持ちになりがちです。けれど、近い園の人間関係や保育方針が合わなければ、通勤の悩みは別の悩みに置き換わるだけです。自宅の近くで働くと、保護者と生活の場で顔を合わせる機会が増えるという面もあります。近所の園の比べ方は、自宅近くの求人の探し方と近隣の園の比べ方にまとめています。

2. 引っ越しという選択肢は、合計で比べる

今の園が好きで、通勤だけが悩みなら、園の近くに引っ越すという道もあります。この場合は、家賃の差、引っ越しの費用、住宅手当や借り上げ社宅が使えるかを合わせて考えます。住まいと仕事を同時に変える場合の進め方は、引っ越しを伴う転職の手順で紹介しています。

通勤の疲れが続いて、眠れない日や食欲のない日が2週間以上続いているなら、園選びより先に体を休めることを考えてください。かかりつけ医への相談のほか、働く人の「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時)のような公的な窓口もあります[4]。

ほいくの相談室では、通勤の負担をどう減らすか、今の園で調整するか転職するかを決めていない段階の相談も受けています。1か月の通勤時間を一緒に数えるところから始めても構いません。

よくある質問

保育士の通勤時間は、片道何分までが一般的ですか?

全員に当てはまる基準はありません。早番の時刻、家族の送迎、通勤手段によって、無理のない長さは人それぞれです。目安を決めるときは、早番の日に起きられる時刻から逆算し、身支度の時間を引いた残りを上限にすると現実的です。

通勤が理由の転職は、面接で不利になりますか?

通勤は、事情を具体的に説明しやすい理由です。「片道70分で、早番の日は5時前に起きていました。長く働き続けるために、通勤30分以内の園を探しています」のように前向きな言い方で伝えれば、それだけで評価が下がるとは限りません。前の園への不満を重ねないように気をつけてください。

通勤がつらいので、年度の途中で辞めてもいいですか?

期間の定めのない雇用であれば、法律上は退職の申し入れから2週間で雇用が終わります[5]。ただし担任の引き継ぎや就業規則の定めもあるため、1〜3か月前に園長へ相談するのが現実的です。体調を崩しているなら、時期よりも体を優先してください。

引っ越しで通勤が難しくなって辞める場合、失業手当の扱いは変わりますか?

結婚などに伴う転居で通勤が困難になった場合は、正当な理由のある自己都合離職として「特定理由離職者」に含まれることがあります[6]。正当な理由のない自己都合退職には原則1か月の給付制限がありますが[7]、どちらに当たるかはハローワークが判断するため、手続きのときに事情を伝えて確かめてください。

通勤時間を有効に使えば、長くても続けられますか?

座れる区間が長ければ、読書や書類の下書きに使えることもあります。ただし、疲れの原因が睡眠不足や早番の起床時刻にある場合、時間の使い方を工夫しても解決しにくいものです。通勤の記録をつけて、体の疲れがどこから来ているかを見極めてください。

今の園は好きなのですが、通勤だけがつらいです。どうすればいいですか?

園そのものに不満がないなら、転職より先に、シフトの調整、通勤経路の見直し、園の近くへの引っ越しを比べてみてください。引っ越しは費用がかかりますが、慣れた職場と子どもたちとの関係を保てます。どれも難しいと分かってから転職を考えても、遅くはありません。

参考にした資料

  1. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
  2. 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
  3. 厚生労働省「職業安定法施行規則改正|労働条件明示等」
  4. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
  5. e-Gov法令検索「民法」
  6. ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」
  7. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

ほいくの相談室

転職するかは、まだ決めなくていい。保育士の悩みを、まず相談。

住む場所や通勤の条件から、働き方を一緒に考えます。全国どこからでもLINE・オンラインで相談できます。

  • 保育士の悩み専門
  • 転職の前提なし
  • LINE・オンラインで全国対応

LINEで相談する(友だち追加)

LINEが使えない方、文章でじっくり伝えたい方は、下のフォームから送ってください。

    相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。「何から話せばいいか分からない」の一行からでも受け付けています。送信後、入力したメールアドレスに確認のメールが届きます。 個人情報の扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。