保育士の転職先、通勤時間の目安は?送迎との両立と確認法

地図アプリで自宅に印をつけて、指で小さな円を描いてみる。この円の中なら通えそう、でも外側の園のほうが求人の条件は良い。円をもう少し広げてもいいのか、それとも欲張らないほうがいいのか。転職を考え始めた保育士の多くが、一度はこの「円の大きさ」で迷います。

ネットで調べると「通勤は片道30分以内が理想」「1時間までなら許容範囲」といった言葉が見つかります。けれど、同じ30分でも、子どもを保育園に送ってから出勤する人と、早番の日だけ早起きすればよい人とでは、重さがまったく違います。誰かの基準をそのまま借りると、入職してから「朝が回らない」と気づくことになりかねません。

ここからは、通勤時間の目安を自分の1日から逆算して決める方法、通勤を給料や休みとどう並べて優先順位をつけるか、送迎と勤務時間を両立させるために面接で何を確かめるかを、順に紹介します。読み終えるころには、地図の上の円の大きさを、自分の言葉で説明できるようになっているはずです。

この記事でわかること

  • 転職先の通勤時間の目安を「1日の逆算」で決める方法
  • 職場と自宅の距離を、通勤手段と天気まで含めて考えるコツ
  • 通勤条件をほかの条件と並べたときの優先順位のつけ方
  • 送迎と勤務時間を両立させるために確かめたい制度と、面接での聞き方

結論

保育士の転職先の通勤時間は、「片道〇分以内」という一律の正解ではなく、自分の1日の時間を逆算して目安を決めるのが確実です。子どもの送迎がある人は、子どもが通う園の開所・閉所時刻から、勤務の始業・終業時刻と通勤時間を引き、朝夕それぞれ10〜15分の余裕が残る範囲を上限の目安にします。送迎がない人も、早番・遅番の日に無理なく通えるかで判断します。そのうえで通勤を給料や休みなどの条件と並べて優先順位を決め、面接では勤務時間の決まり方と、異動を含む就業場所の範囲を確かめます。

01通勤時間の目安は「1日の逆算」で決める

要点:通勤時間の上限は、動かせない時刻(子どもの園の閉所、家族の帰宅、早番の始業)から逆算して決めます。逆算した結果、朝夕に10〜15分の余裕が残る範囲が、その人にとっての目安です。

通勤時間の目安を考えるときは、「何分までなら耐えられるか」ではなく、「どの時刻に、どこにいなければならないか」から出発します。保育士の1日には、始業や終業のほかに、自分の子どもの送迎、家族の食事、通院など、動かせない時刻がいくつかあります。その時刻と時刻の間に、通勤が収まるかどうかを確かめるのが逆算です。

図1

  1. 6:30起床。朝食と自分の身支度、子どもの着替え
  2. 7:30子どもを保育園へ。連絡帳を渡して、その日の様子を伝える
  3. 7:45子どもの園を出て、勤務先へ向かう
  4. 8:15勤務先に到着。着替えと、早番からの引き継ぎ
  5. 8:30〜17:30勤務(休憩1時間を含む)
  6. 17:45着替えて勤務先を出る
  7. 18:15子どもの園に到着。閉所まで15分の余裕
図1 例:子どもの送迎がある日の逆算(勤務8:30〜17:30、子どもの園の閉所18:30の場合)

この例では、子どもの園から勤務先までが片道30分で、夕方に15分の余裕が残ります。同じ条件で片道45分になると、到着は閉所ちょうどの18:30。少しの残業や電車の遅れで間に合わなくなり、延長保育の利用が前提になります。つまりこの人の目安は、「子どもの園から勤務先まで片道30分以内」です。

朝と夕方は、別々に逆算する

逆算は、朝と夕方で分けて行います。朝は「子どもの園の開所時刻+預ける時間+通勤時間」が始業に間に合うか、夕方は「終業時刻+着替え+通勤時間」が閉所に間に合うかを見ます。気をつけたいのは早番です。子どもの園の開所が7時で、自分の早番も7時始まりなら、どれだけ通勤が短くても一人では送れません。早番の日だけ家族に送りを頼めるか、早番のない勤務を選ぶかを、通勤時間とは別に決めておく必要があります。遅番も同じで、19時までの遅番がある園では、迎えを誰が担当するかが先に決まっていないと、通勤時間の目安そのものが意味を持たなくなります。

送迎がない人は「いちばん早い日」で決める

送迎がない人の場合、逆算の起点は早番の日の起床時刻です。早番7時の園なら、着替えや準備を考えて6時50分には園に着いていたいところです。片道50分なら6時前に家を出ることになり、起床は5時台になります。「この時刻に起きる日が月に何回あっても大丈夫か」を考えると、自分の目安がはっきりします。遅番の日は、帰宅して夕食をとり、眠るまでの時間が何時間残るかも見てください。

図2

生活の形逆算の起点にする時刻上限を決めるときの注意
子どもの送迎がある子どもの園の開所・閉所時刻朝夕それぞれ10〜15分の余裕を残す
家事や介護の担当がある家族の帰宅や通院の時刻遅番の日の帰宅時刻で考える
一人暮らし・送迎なし早番の日の起床時刻睡眠時間を削らずに済むかで線を引く
ブランク明け・体力に不安がある疲れが回復するまでの時間慣れるまでの半年は短めに見積もる
図2 生活の形ごとに変わる、通勤時間の目安の決め方

02職場と自宅の距離は、手段と天気まで含めて考える

要点:職場と自宅の距離が同じでも、徒歩・自転車・バス・電車・車で、時間のぶれ方が違います。「ふだんの日」と「悪い日」の2つの所要時間を書き出し、悪い日でも始業に間に合うかで判断します。

地図アプリが示す所要時間は、たいてい条件の良いときの数字です。保育士の朝は遅刻がそのまま早番の人手不足につながるため、ふだんの時間だけでなく、雨の日、電車が遅れた日、道路が混んだ日の時間も想定しておく必要があります。とくに7時台の早番では、ほかの職員が来るまで少ない人数で子どもを受け入れるため、遅れの影響が大きくなります。

図3

  • 1

    徒歩

    天気で時間は大きく変わりにくい一方、行事の荷物が多い日は少し余裕を見ておきます

  • 2

    自転車

    雨や雪の日の代わりの手段が必要です。子どもを乗せる場合は坂道や交通量も確かめます

  • 3

    バス

    道路の混雑で遅れやすく、早朝や夜は本数が少なくなります

  • 4

    電車

    遅延や運休のときに使える別の経路を、一つ決めておくと落ち着いて動けます

  • 5

    車

    渋滞と駐車場の有無に加え、雪の日や凍結した路面のことも考えます

図3 通勤手段ごとに想定したい「悪い日」

「ふだんの時間」と「悪い日の時間」を並べて書く

候補の園ごとに、ふだんの所要時間と悪い日の所要時間を並べて書いてみてください。たとえば自転車で15分の園は、雨の日にバスを使うと30分かかるかもしれません。電車で35分の園は、乗り換えの接続が悪い時間帯だと45分になることもあります。悪い日の時間でも、さきほどの逆算の中に収まるなら、その園は目安の内側にあると考えられます。

近い職場には、時間以外の良さもある

職場と自宅の距離が近いと、通勤時間が短くなるだけでなく、急な予定の変化にも対応しやすくなります。自分の子どもが発熱して保育園から呼び出しがあったとき、勤務先から10分で迎えに行けるのと、50分かかるのとでは、気持ちの余裕がまったく違います。台風や大雪の日に、早めに帰る判断がしやすいのも近い職場の良さです。逆に、距離があっても電車一本で座って通える職場なら、移動の時間を休息に使えることもあります。距離の数字だけでなく、その距離が自分の生活にどう効いてくるかを考えてみてください。

駅からの距離が気になる人は、駅近の求人を選ぶときの考え方もあわせて読んでみてください。駅に近い園は雨の日に強い一方、園庭の広さや周りの環境など、別の面で確かめたいことも出てきます。

03通勤条件の優先順位は、ほかの条件と並べて決める

要点:通勤時間は大切な条件ですが、それだけで職場を選ぶと、勤務時間や給料で無理が出ることがあります。「絶対に譲れない」「できれば」「こだわらない」の3段に分けて、通勤がどこに入るかを決めます。

保育士が職場を選ぶときに、通勤時間をどれくらい重く見ているかは、公的な調査からも分かります。東京都の保育士実態調査では、過去に保育士として働いた人が復職するときの希望条件として、次の項目が上位に挙がりました[1]。

図4

復職するときの希望条件(東京都保育士実態調査〔令和4年度〕・過去就業経験者・複数回答)[1]

勤務時間(1日)73.8%
給与等(年収)69.0%
通勤時間(片道)61.6%
勤務日数(週)57.3%
図4 復職するときの希望条件(東京都保育士実態調査〔令和4年度〕・過去就業経験者・複数回答)[1]

通勤時間は上位に入っていますが、いちばん多いのは1日の勤務時間です。この2つは切り離せません。勤務時間が8時間でも、通勤が往復2時間なら、家を空けている時間は休憩を含めて11時間になります。勤務時間と通勤時間を足した「家を空ける時間」で考えると、優先順位をつけやすくなります。

「家を空ける時間」を計算してみる

たとえば、勤務8時間・休憩1時間で片道20分の園なら、家を空ける時間は9時間40分です。同じ勤務で片道60分の園なら11時間になり、1日に1時間20分の差が生まれます。週5日なら6時間40分、月にすると約28時間です。これは例ですが、1か月で丸1日以上の時間が通勤に使われる計算になります。この差を、給料の差や保育方針の魅力と比べて、どちらを取るかを考えると、通勤を何段目に置くかが決めやすくなります。

図5

毎日、時刻を動かせない予定があるか

  1. 送迎や介護など、動かせない予定がある通勤時間を「絶対に譲れない」に置き、逆算した上限を超える園は候補から外します
  2. 予定はないが、体力や睡眠に不安がある通勤時間を「できれば」に置き、早番の日の起床時刻で線を引きます
  3. 時間に余裕があり、通勤は苦にならない通勤より、給料・保育方針・人間関係を優先して選んでかまいません
図5 通勤時間をどの段に置くか

段を決めたら、ほかの条件も同じように3段に振り分けます。「絶対に譲れない」に入る条件が4つも5つもあると、どの求人も足りないように見えてしまいます。決め方のくわしい手順は転職の優先順位の決め方で紹介しています。

04送迎と勤務時間を両立させるために、制度と勤務の形を確かめる

要点:送迎との両立は、通勤時間を短くするだけでなく、勤務時間の側を動かせるかどうかでも決まります。短時間勤務や始業時刻の変更などの制度と、シフトの組み方を合わせて確かめます。

子育て中の働き方を支える制度は、ここ数年で広がっています。3歳未満の子を育てる労働者については、1日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務制度を設けることが事業主に義務付けられています[2]。2025年10月からは、3歳から小学校に入るまでの子を育てる労働者について、始業時刻等の変更、テレワーク等、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇、短時間勤務制度のうち2つ以上を事業主が講じ、労働者がその中から1つを選んで使えるようになりました[3]。

2025年4月からは、残業の免除(所定外労働の制限)を申し出られる対象が小学校入学前の子を育てる労働者に広がり、子の看護休暇は「子の看護等休暇」として小学校3年生修了までの子が対象になりました[4]。子の看護等休暇は1年度に5日(対象の子が2人以上なら10日)で、時間単位でも取れます[2]。

ただし、制度があることと、転職先で入職直後から使えることは別の話です。就業規則や労使協定で対象者が決められている場合もあるため、面接や内定時に「入職後すぐに使えるか」を確かめてください。

図6

  • 勤務時間の決まり方固定時間か、シフト制か。シフト制なら早番・遅番の時刻と月の回数
  • 短時間勤務の利用3歳未満の子がいる場合に、入職直後から短時間勤務を使えるか
  • 始業時刻の変更などの措置3歳以上で小学校入学前の子がいる場合に、園がどの措置を用意しているか
  • 残業の頻度と免除行事前や会議の日の残業の実態と、残業免除を申し出たときの扱い
  • 子の看護等休暇時間単位で取れるか、発熱の呼び出しのときに誰が代わるか
  • 会議・研修の時間帯職員会議が夕方以降にある園では、お迎えの時刻とぶつかることがあります
  • 行事の日の勤務土曜の行事や準備の日に、自分の子どもの預け先が必要になるか
図6 送迎と両立するために、転職先で確かめたいこと

勤務時間が固定されている働き方を探している場合は、固定時間勤務の求人の探し方も参考になります。シフトの幅が狭い職場を選べると、通勤時間の目安を少し広げられることもあります。

05面接で、通勤時間に関わることを確かめる聞き方

要点:面接では、①勤務時間の幅、②シフトの決め方、③ほかの園への異動の範囲の3つを確かめます。異動の範囲は、入職後に通勤時間が大きく変わるかどうかに直結します。

求人を出す側は、就業場所、就業時間・休憩・休日、時間外労働の有無などを、原則として最初の面接などまでに明示することになっています[5]。2024年4月からは、求人の段階で「就業の場所の変更の範囲」も明示する事項に加わりました[6]。労働契約を結ぶときにも、就業場所と業務の変更の範囲を明示することになっています[7]。複数の園を運営する法人では、この欄を見れば、別の園へ異動する可能性があるかどうかが分かります。

図7

  1. 勤務時間の幅を聞く「早番と遅番は何時から何時までで、月に何回くらいありますか」
  2. シフトの決め方を聞く「シフトはいつごろ決まりますか。希望は出せますか」
  3. 異動の範囲を聞く「ほかの園への異動はありますか。ある場合はどの範囲ですか」
  4. 自分の事情を伝える「子どもの迎えが18時半なので、遅番は月に数回だと助かります」
  5. 書面で確かめる内定時に、労働条件通知書の就業場所・就業時間の欄を読み合わせます
図7 面接で通勤に関わる条件を確かめる順番

自分の事情を伝えることに、ためらいを感じる人もいるかもしれません。けれど、入職してから「実は遅番ができない」と分かるほうが、園にとっても本人にとっても負担が大きくなります。できることとできないことを先に伝えておくと、園もシフトを組みやすくなります。

「変更の範囲」の欄は、こう読む

労働条件通知書の就業場所の欄には、雇い入れ直後の場所と、変更の範囲が並んで書かれます。変更の範囲が「当該保育園のみ」「変更なし」のように書かれていれば、原則としてほかの園への異動はないと読めます。「法人が運営する保育施設」「会社の定める場所」のように広く書かれていれば、異動の可能性があります。その場合は、これまでの異動の実例や、本人の希望をどこまで聞いてもらえるかを、面接や内定時に確かめておくと安心です。面接で職場環境を確かめる質問の例は、面接で職場環境を確かめる質問にまとめています。

06事例:異動で片道50分になり、「迎えの時刻」から選び直した

要点:法人内の異動で通勤が長くなった保育士が、1日の逆算で通勤の目安を決め直したモデルケースです。目安が数字になったことで、候補の園が一気に絞れました。

迎えの時刻から逆算して、通勤の上限を決めた

相談事例(モデルケース)

お名前
ふみかさん(仮名)・35歳
保育士歴
12年目(育休をはさむ。相談当時)
勤務先
社会福祉法人の認可保育園(法人で5園を運営)、1歳児クラス担任。夫と4歳・1歳の子どもの4人家族
変化
通勤 片道50分 → 片道20分/子どもの延長保育の利用 週4回 → 週1回以下

編集部異動の前と後で、毎日はどう変わりましたか。

ふみかさん

育休から復帰した年に、法人の別の園へ異動になったんです。自宅から片道50分。子どもたちの園は18時半に閉まるので、ほぼ毎日延長保育を頼んでいました。迎えに行くと、上の子がいつも最後の数人の中にいて。その顔を見るのがつらかったです。

編集部転職を考えたとき、最初に何をしましたか。

ふみかさん

相談のときに「まず1日の時刻を書き出してみましょう」と言われて、紙に書きました。終業が17時半で、閉所が18時半。逆算すると、勤務先から子どもの園まで30分以内なら間に合う、とはっきり出たんです。それまでは「近いほうがいいな」くらいにしか考えていなかったので、自分の目安が数字になったのは初めてでした。

編集部候補はどうやって絞りましたか。

ふみかさん

子どもの園から30分以内の園を地図で探したら、8園ありました。そこから、異動がないこと、遅番が月に4回くらいまでであることで絞って、見学したのは3園です。面接では、ほかの園への異動があるかを必ず聞きました。

編集部異動について聞くのは、勇気がいりませんでしたか。

ふみかさん

正直、前は「異動は仕方ないもの」と思っていました。でも、契約のときに就業場所の変更の範囲が書かれるようになったと教わって、確かめていいことなんだと思えたんです。最終的に決めた園は、労働条件通知書の変更の範囲に「当該保育園のみ」と書いてありました。

時刻を紙に書いたら、ずっとぼんやりしていた「無理」の正体が、30分という数字になって見えたんです。

ふみかさん(仮名)

ふみかさんは年度の切り替わりに合わせて転職し、子どもの園から自転車で20分の認可保育園で1歳児クラスを担当しています。17時半に勤務を終えると18時前後に迎えに行けるようになり、延長保育を使うのは行事の準備がある週に1回あるかどうかになりました。夕食を19時に囲めるようになったことが、いちばんうれしい変化だそうです。

このケースのポイントは、通勤時間の目安を「誰かの基準」ではなく、自分の家族の時刻から出したことです。もう一つは、異動の範囲を書面で確かめたことでした。入職時の通勤時間が短くても、数年後に別の園へ異動すれば、逆算はやり直しになります。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

07目安どおりにいかないときに、知っておいてほしいこと

要点:通勤時間の目安は、暮らしの変化に合わせて見直すものです。また、通勤を短くしても解決しない悩みもあります。目安に合う園が見つからないときは、勤務時間の側を相談するという手も残っています。

子どもの成長で、目安は変わる

子どもが小学校に入ると、保育園の閉所時刻ではなく、学童の終わる時刻や、子どもが一人で家にいられる時間が逆算の起点になります。今の目安が、3年後も同じとは限りません。転職先を選ぶときは、今の目安に加えて、数年後の生活の形を一度だけ想像しておくと、慌てずに済みます。

通勤より先に、勤務時間を相談できることもある

今の園で、遅番の回数を減らしてもらう、短時間勤務を使う、といった調整ができれば、転職しなくても送迎が回ることがあります。通勤時間は引っ越しか転職でしか変えにくいのに対し、勤務時間は相談で変わる余地があります。転職の前に、一度だけ具体的に相談してみる価値はあります。「子どもの迎えが18時半までなので、来年度は遅番を月4回までにしてもらえませんか」のように、時刻と回数を添えて伝えると、相手も検討しやすくなります。

近さだけで選ぶと、別の負担が出ることもある

目安の内側に収まる園が見つかっても、持ち帰り仕事が多い、人間関係が合わないといった問題があれば、浮いた時間はすぐに消えてしまいます。通勤時間はあくまで条件の一つで、見学では保育の様子や職員の雰囲気にも目を向けてください。通勤の長さそのものがつらくて転職を考えている人は、通勤時間が長い保育士の転職の考え方も読んでみてください。給料との比べ方は通勤と給料の比較のしかたで詳しく扱っています。

逆算の紙を前にして、一人では時刻がうまく埋まらないこともあります。今の園に残るか移るかが決まっていなくても、ほいくの相談室で1日の時刻を一緒に書き出すところから始められます。

よくある質問

保育士の通勤時間は、片道何分までが一般的ですか?

全員に当てはまる基準はありません。同じ30分でも、子どもの送迎がある人とない人では負担が大きく違います。子どもの園の閉所時刻や早番の起床時刻から逆算し、朝夕に10〜15分の余裕が残る範囲を、自分の目安にするのがおすすめです。

面接で「ご自宅から遠いですね」と言われたら、どう答えればいいですか?

通勤経路と所要時間、早番の日にも間に合う時刻に家を出られることを、具体的に伝えると安心してもらえます。「〇〇線で片道40分です。早番の日は6時に家を出れば間に合うことを確かめました」のように、実際に調べた数字を添えるのがこつです。

異動があるかどうかは、求人票で分かりますか?

2024年4月からは、求人の段階で就業の場所の変更の範囲を明示することになっています[6]。求人票の就業場所の欄に「変更の範囲」の記載があるかを確かめ、分かりにくい場合は面接で「ほかの園への異動はありますか」と聞いてください。最終的には、労働条件通知書の記載で確認します。

職場と自宅が近すぎるのは、避けたほうがいいですか?

近い職場は、通勤の負担が小さく、急な呼び出しにも対応しやすいという良さがあります。一方で、休日に保護者と顔を合わせることが気になる人もいます。気になるかどうかは人によるので、自分が休日をどう過ごしたいかで考えるとよいでしょう。

ブランク明けで復職します。通勤時間はどう考えればいいですか?

復職して最初の数か月は、仕事の流れを思い出すだけでも疲れやすい時期です。体力に自信がつくまでは、目安をふだんより短めに置いておくと、無理なく慣れていけます。慣れてきてから、通勤の範囲を広げて次の働き方を考えることもできます。

子どもの送迎のために転職すると、給料が下がりそうで迷います。

給料の差は、通勤時間と交通費の自己負担を含めて比べると、見え方が変わることがあります。月給の差だけでなく、延長保育の利用料や、浮いた時間で家族と過ごせる時間も並べて考えてみてください。そのうえで、差を受け入れられるかどうかを判断します。

参考にした資料

  1. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
  2. 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)」
  3. 厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
  4. 厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
  5. 厚生労働省 求職者向けリーフレット(2024年4月)
  6. 厚生労働省「職業安定法施行規則改正|労働条件明示等」
  7. 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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