新人保育士の退職の伝え方|年度途中の切り出し方と例文

園長が事務室で一人になる時間を、もう3日も待っている。午睡の時間に行こうか、降園のあとにしようか。頭の中で何度も言葉を組み立てるのに、ドアの前まで来ると足が止まる。「入ってまだ半年なのに、辞めますなんて言っていいのかな」。

新人保育士にとって、退職を伝えることは、入職してから一番緊張する場面かもしれません。先輩が退職を伝える姿を見たこともなく、誰にどの順番で言えばいいのか、理由をどこまで正直に話せばいいのか、分からないことだらけです。年度の途中ならなおさら、「担任なのに」「迷惑をかける」という気持ちが言葉を重くします。

この記事では、新人保育士が退職を伝えるときの相手・時期・順番から、切り出しの一言、理由別の例文、年度途中で辞める場合の注意点までを、そのまま使える形でまとめました。伝える前の準備が整っていれば、話し合いは思っているより短く、落ち着いて済むことも多いものです。

この記事でわかること

  • 新人保育士が退職を伝える相手・時期・順番の基本
  • 伝える前に確認しておく7つのことと、切り出しの一言
  • 体調・人間関係・家庭の事情など、理由別に使える退職理由の例文
  • 年度途中で辞める場合の伝え方と、引き止められたときの答え方

結論

新人保育士が退職を伝えるときは、まず就業規則で退職の申し出期限を確認し、直属の上司である園長(園の決まりによっては主任)に、口頭で直接伝えるのが基本です。期間の定めのない雇用なら、法律上は申し入れから2週間で退職できますが、担任や引き継ぎを考えると、1〜3か月前を目安に伝えると話がまとまりやすくなります。理由は、園や同僚を責める言い方を避け、「自分の事情」として短く伝えます。年度途中でも退職はできます。希望の退職日を2案用意し、引き継ぎの方法をあわせて示すと、園の不安が和らぎ、引き止めも長引きにくくなります。

01退職を伝える相手・時期・順番の基本

要点:最初に伝える相手は園長、時期は就業規則の期限より前、方法は対面の口頭です。同僚や保護者に伝えるのは、園長と退職日を決めたあとにします。この順番を守るだけで、無用なトラブルの多くは避けられます。

図1

  • 1

    伝える相手

    園長が基本。園によっては「まず主任へ」という決まりがあるので、就業規則や入職時の説明を確かめる

  • 2

    伝える時期

    就業規則の申し出期限より前。担任なら1〜3か月前が目安。法律上は無期雇用で2週間前まで

  • 3

    伝え方

    対面で、口頭で伝える。メールやLINEだけで済ませない。書面は園の指示に合わせて出す

  • 4

    伝える順番

    園長、次に主任や同じクラスの担任、最後に保護者。保護者への伝え方と時期は園が決める

図1 新人保育士が退職を伝えるときの4つの基本

同じクラスの先輩や同期に、先に話さない

一番話しやすい同期や、毎日一緒にいる同じクラスの先輩に、つい先に打ち明けたくなるかもしれません。けれど、園長より先に噂として伝わってしまうと、「なぜ先に私に言わなかったのか」と話がこじれやすくなります。相談として話したつもりでも、相手は黙っているのがつらくなります。気持ちが固まるまでは、園の外の人に相談するほうが安心です。

法律上のルールと、現実的な目安

正社員のように期間の定めのない雇用であれば、退職の申し入れから2週間が経つと雇用は終わります[1]。厚生労働省の解説でも、会社が承諾しなくても、申し入れから2週間後に効力が生じるとされています[2]。

ただし、契約期間が決まっている有期雇用の場合は扱いが違います。やむを得ない事由があるときは直ちに契約を解除できますが、その事由が一方の過失によって生じたときは損害賠償の責任を負うとされています[3]。契約社員やパートで入職した人は、まず雇用契約書で期間を確かめてください。

法律上は2週間で辞められるとしても、担任を持つ新人が2週間で抜けると、子どもや保護者、同じクラスの先輩への影響は大きくなります。就業規則に「1か月前まで」「2か月前まで」などの定めがあれば、それを目安にしながら、引き継ぎの時間を含めて日程を組むのが現実的です。何か月前に伝えるかの考え方は退職は何か月前に伝えるかで詳しく紹介しています。

02伝える前に確認しておく7つのこと

要点:退職を伝える前に、就業規則、雇用契約、有給休暇、希望の退職日、理由の一言、引き継ぎ、借りている制度の7つを確認しておきます。準備があると、話し合いの途中で言葉に詰まりにくくなります。

図2

  • 就業規則の退職の申し出期限「何日前までに、誰に」伝えるかが書かれています。手元になければ、園長や事務担当に見せてもらいます
  • 雇用契約の期間と試用期間期間の定めがあるかどうかで、辞め方のルールが変わります[3]
  • 有給休暇の残りの日数入職から6か月継続勤務し、8割以上出勤していれば10日が付与されます[4]
  • 希望の退職日を2案第1希望と第2希望を用意しておくと、園との調整がスムーズです
  • 退職理由の一言長い説明より、1〜2文で言える理由を決めておきます
  • 引き継ぎで渡せるもの子ども一人ひとりの様子、保護者とのやりとり、作りかけの壁面や制作の状況などをまとめます
  • 借りている制度修学資金の貸付[5]や宿舎借り上げ[6]を使っている人は、辞めたときの扱いを確認します
図2 退職を伝える前に確認しておく7つのこと

7つのうち、とくに新人が見落としやすいのは最後の項目です。養成校時代に保育士修学資金の貸付を受けていた場合、この貸付は卒業後5年間の実務従事で返還が免除される仕組みです[5]。1年目で辞めたときの扱いや、別の園で保育士を続ける場合の扱いは、貸付を受けた都道府県等の窓口で確認してから伝えると安心です。

退職願と退職届の違い

書面を出すときに迷いやすいのが、「退職願」と「退職届」の違いです。退職願のような合意退職の申し込みは、園が承諾するまでは撤回できますが、退職届のような辞職の意思表示は、園に届いた時点で効力が生じ、撤回できないとされています[7]。実際には二つが厳密に区別されずに使われることも多いので、どちらを出すかは園の指示に合わせ、気持ちが固まってから出すようにしてください。書き方は退職届の書き方にまとめています。

03切り出しから退職日までの進め方

要点:退職の話は、面談の時間をもらうところから始まります。結論、理由、希望の退職日、引き継ぎ案の順に伝えると、短い時間でも話がまとまります。

図3

  1. 面談の時間をもらう

    保育中を避け、降園後や休憩の終わりなどに「ご相談したいことがあります。10分ほどお時間をいただけますか」と声をかけます

  2. 結論から伝える

    「退職させていただきたいと考えています」と最初に伝えます。前置きが長いと、迷っていると受け取られます

  3. 理由を短く伝える

    用意した1〜2文の理由を伝えます。園や同僚への不満を並べないことが大切です

  4. 希望の退職日と引き継ぎ案を示す

    退職日の2案と、引き継ぎで何をいつまでに用意するかを伝えます

  5. 書面を出す

    退職日が決まったら、園の指示に合わせて退職願か退職届を出します

  6. 引き継ぎと有給休暇の消化

    子どもの記録や担当の仕事をまとめ、残っている有給休暇の使い方を相談します

  7. 最終日のあいさつ

    職員と子どもたちにあいさつをします。保護者への伝え方は園と相談して決めます

図3 新人保育士が退職を伝えて退職日を迎えるまでの手順

切り出しの一言の例

いちばん緊張するのは、最初の一言です。次のような言い方を覚えておくと、ドアの前で止まらずに済みます。

「お忙しいところすみません。今後の働き方のことでご相談したいことがあります。今日か明日、10分ほどお時間をいただけないでしょうか。」

面談の場では、「実は、退職させていただきたいと考えています」と、最初に結論を伝えます。「辞めようか迷っていて」と言うと、相手は引き止めの相談だと受け取ります。迷っている段階で相談したい場合は、それはそれで正直に「迷っていて、相談させてください」と伝えてかまいません。大事なのは、自分が今「相談」をしたいのか、「決めたことを伝えたい」のかを、自分の中で分けておくことです。

伝える日と時間の選び方

声をかけるタイミングにも、ちょっとしたこつがあります。行事の前日や、保護者からの連絡が立て込んでいる日、園長が外部の会議から戻った直後は避けます。週の前半の降園後など、園長に少し時間の余裕がありそうな時間帯を選ぶと、落ち着いて話を聞いてもらいやすくなります。面談の場所は、ほかの職員に聞こえない事務室や相談室をお願いしてかまいません。当日は、用意したメモを手元に置いておくと、緊張しても話の順番を見失わずに済みます。

04理由別・そのまま使える退職理由の例文

要点:退職理由は「本当のこと」を「誰も責めない言い方」で、1〜2文で伝えます。うそをつく必要はありませんが、不満をすべて話す必要もありません。

新人のうちは、「本当の理由を言わないといけない」と思い込みがちです。けれど、退職の面談は不満を聞いてもらう場ではありません。伝えるのは、園が退職を受け止め、引き継ぎの準備を始めるために必要な情報です。

図4

理由避けたい言い方伝えやすい言い方
体調毎日しんどくて、もう無理です体調を崩しており、医師とも相談したうえで、いったん仕事から離れて治療に専念したいと考えています
保育の方針この園のやり方はおかしいと思います自分が目指したい保育の形を考えた結果、別の環境で学び直したいと考えるようになりました
人間関係○○先生が怖くて働けません職場の環境に自分がうまく適応できず、このまま続けることが難しいと判断しました
家庭の事情家のことでいろいろあって家庭の事情で、来年から通勤や勤務時間の条件が合わなくなります
ほかの道保育はもういいかなと思って保育の経験を活かして、別の分野にも挑戦したいと考えています
図4 退職理由の伝え方の例(避けたい言い方と、伝えやすい言い方)

体調を崩している場合

体調が理由のときは、無理に詳しく話す必要はありません。「医師とも相談したうえで」と添えると、気持ちの問題ではなく、治療が必要な状態であることが伝わります。眠れない、食べられない、出勤前に動悸がするといった状態が続いているなら、退職を伝える前に受診しておくと、伝え方の面でも自分の体の面でも助けになります。仕事のストレスについて誰かに話を聞いてほしいときは、厚生労働省の「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時)も利用できます[8]。

保育の方針や働き方が合わない場合

「この園のやり方は間違っている」と伝えると、話し合いが議論になってしまいます。方針が合わないことは、「自分が目指したい保育」の話に置き換えて伝えます。新人のうちに方針の違いに気づけたことは、次の職場選びに活かせる大切な気づきです。

人間関係がつらい場合

特定の人の名前を出すと、残る職員の間に波風が立ち、引き継ぎの期間が居づらくなります。「環境に適応できなかった」という言い方は、自分を下げているように感じるかもしれませんが、誰かを責めずに事実を伝えるための言い方です。ハラスメントにあたるような言動を受けている場合は、退職の理由とは別に、相談窓口に話すことを考えてください。人間関係が理由のときの伝え方は人間関係が理由の退職の伝え方と例文でも紹介しています。

家庭の事情や引っ越しの場合

家庭の事情は、園が最も受け止めやすい理由の一つです。ただし、事実と違う理由をつくるのは避けてください。退職後に同じ地域の園で働くことになった場合など、あとで話が合わなくなることがあります。

保育以外の道に進みたい場合

「保育はもういい」という言い方は、これまで指導してくれた人を傷つけることがあります。「保育の経験を活かして」と添えるだけで、前向きな選択として受け取ってもらいやすくなります。

05年度途中で辞めるときの伝え方

要点:年度途中でも、法律上は退職できます。区切りのよい退職日を選び、引き継ぎの段取りを具体的に示し、引き止めには感謝と決意をセットで答えると、話が長引きにくくなります。

担任を持つ新人が年度の途中で辞めることに、強い罪悪感を持つ人は少なくありません。けれど、期間の定めのない雇用なら、年度の途中であっても、申し入れから2週間で雇用は終わるのが法律上の原則です[1]。年度途中で辞めることは、ルール違反ではありません。そのうえで、子どもと園への影響を小さくする伝え方を選びます。

区切りのよい退職日を選ぶ

年度途中で辞める場合は、月末、行事が終わったあと、クラスが新しい環境に慣れた時期など、区切りのよい日を退職日の候補にします。運動会や発表会の直前は、園の負担が最も大きくなる時期なので、可能であれば避けると話がまとまりやすくなります。体調が理由の場合は、この限りではありません。

体調が理由なら、退職日より先に休むことを考える

朝起き上がれない、出勤前に涙が止まらないといった状態なら、退職日を決める話し合いより先に、受診して休むことを優先してください。医師から休養を勧められた場合は、そのことを園長に伝え、休んでいる間に退職の手続きを進められないか相談する方法もあります。引き継ぎは、メモや記録を渡す形でも行えます。無理をして出勤を続け、退職日を迎える前に倒れてしまうことのほうが、本人にとっても園にとっても負担が大きくなります。

引き止められたときの答え方

年度途中の退職では、「せめて3月まで」「担任なんだから」と引き止められることがあります。感謝を伝えたうえで、決めた理由と引き継ぎの段取りを繰り返し伝えると、話が堂々めぐりになりにくくなります。

「担任として最後まで見届けられないことは、本当に申し訳なく思っています。そのぶん、○月末までに子ども一人ひとりの記録と引き継ぎの資料をまとめます。退職の気持ちは変わりませんので、どうかご理解いただけないでしょうか。」

引き止めがしつこく続く場合の向き合い方は、辞めたいのに引き止められるときを参考にしてください。

有給休暇は、退職日までに使える

入職から6か月が過ぎていれば、有給休暇が付与されています[4]。有給休暇の権利は退職日で消えてしまいます。退職前に残りの有給休暇をすべて使いたいと申し出た場合、園は取得日を変更する権利を使えないとされています[9]。とはいえ、引き継ぎの時間も必要です。最終出勤日と有給休暇の使い方は、退職日を決める話し合いの中で一緒に相談すると、お互いに納得しやすくなります。

06のぶこさんの場合:入職7か月目、10月に退職を伝えた

要点:ここでは、体調を崩した新人保育士が、年度途中に退職を伝えたモデルケースを紹介します。伝える前の準備で何を用意したかと、園長との話し合いの進み方に注目してください。

謝る言葉より、引き継ぎのメモが伝わった

相談事例(モデルケース)

お名前
のぶこさん(仮名)・20歳
保育士歴
1年目(入職7か月目)
勤務先
株式会社が運営する認可保育園(定員約60名)、0歳児クラス(担任3人のうちの1人)
変化
伝えるまで迷った期間 約5週間 → 面談 約20分で退職日が決まる

編集部退職を考えたきっかけは何でしたか。

のぶこさん

夏ごろから、胃が痛くて夜も眠れなくなったんです。早番の7時出勤が週に3回あって、0歳児の午睡チェックも緊張しっぱなしで。内科に行ったら、ストレスからくるものだろうと言われました。でも、担任なのに年度の途中で辞めるなんて、絶対に言っちゃいけないと思い込んでいました。

編集部5週間迷ったあと、何が背中を押したのですか。

のぶこさん

休みの日も一日中胃が痛くて、このままだと子どもの前で笑えなくなるって思ったんです。それで、言うことを紙に書き出しました。結論、理由、退職日の2案、それから引き継ぎで何を渡すか。書いてみたら、「これなら言えるかも」って少しだけ思えました。

編集部園長との面談はどうでしたか。

のぶこさん

最初に「3月まではどうしても無理?」と聞かれました。そこで、医師に相談していることと、12月末か1月末で考えていることを伝えて、子ども一人ひとりのミルクの量や眠り方、離乳食の進み具合をまとめたメモの下書きを見せたんです。そうしたら、園長の表情がふっとやわらいで、「ここまで考えてくれていたのね」と。結局、20分くらいで12月末に決まりました。

編集部伝えたあとの期間は、どう過ごしましたか。

のぶこさん

同じクラスの先輩には、園長と話した次の日に自分から伝えました。正直、気まずくなるのが怖かったんですけど、引き継ぎメモを一緒に見ながら「ここはどうしてる?」って聞いてもらえて、むしろ話しやすくなりました。最後の週は、有給休暇を4日使わせてもらいました。

「申し訳ありません」を何回も言うより、引き継ぎのメモを1枚出したほうが、ずっと伝わった気がします。

のぶこさん(仮名)

のぶこさんは12月末に退職し、1か月ほど体を休めたあと、2月から定員19名の小規模保育園でパートとして働き始めました。胃の痛みは、退職して2週間ほどでほとんどなくなったそうです。

このケースから持ち帰れるのは、伝える内容を紙に書き出すことの効果です。言葉にして準備したことで、のぶこさん自身が話す勇気を持てただけでなく、園長にも「無責任に辞めるのではない」ことが伝わりました。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

のぶこさんが用意したメモは、次の4行だけでした。結論「12月末または1月末で退職させていただきたい」、理由「体調を崩し、医師とも相談している」、引き継ぎ「子ども一人ひとりの記録を11月中にまとめる」、お願い「保護者への伝え方はご指示に従います」。これだけでも、面談の流れはずいぶん変わります。

07伝えたあとに気をつけたいこと

要点:退職を伝えたあとも、退職日までは職員の一人です。書面の扱い、強い言葉を受けたときの相談先、退職後に受け取る書類を知っておくと、最後の期間を落ち着いて過ごせます。

図5

  1. 伝えた日園長と退職日を決める。決まらなければ、次に話す日を約束する
  2. 1週間以内主任や同じクラスの担任に、自分からも伝える。書面を出すタイミングを確認する
  3. 2〜4週間子どもの記録、保護者とのやりとり、担当業務の引き継ぎ資料をまとめる
  4. 最終週有給休暇の使い方を確定し、ロッカーや借りている物を整理する
  5. 退職日職員と子どもにあいさつをする。健康保険の資格確認書などの扱いを園に確認する
  6. 退職後1か月以内源泉徴収票が届いているか確かめる。届いていなければ園に連絡する
図5 退職を伝えてから退職後までの流れ(目安)

書面を出したら、撤回できないことがある

退職届のような辞職の意思表示は、園に届いた時点で効力が生じ、撤回できないとされています[7]。引き止められて気持ちが揺れているときに書面を出すのは避け、退職日が決まり、気持ちが固まってから出すようにしてください。

強い言葉で責められたら、一人で抱えない

退職を伝えた途端に、「無責任」「この業界でやっていけない」と強い言葉を浴びせられることがあります。業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で就業環境が害される場合、それは職場のパワーハラスメントにあたる可能性があります[10]。各都道府県の労働局などにある総合労働相談コーナーでは、こうした相談を無料・予約不要で受け付けています[11]。平日の夜や週末なら、労働条件相談「ほっとライン」(0120-811-610)も利用できます[12]。

退職代行を考える前に知っておきたいこと

どうしても自分で伝えられないとき、退職代行サービスを考える人もいます。ただ、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことは、弁護士法で禁じられています[13]。東京弁護士会は、退職代行業者が残業代や有給休暇などについて本人に代わって会社と交渉することを、非弁行為にあたる事例として注意喚起しています[14]。使う場合は、何をしてくれるサービスなのかを事前に確かめてください。

退職後に受け取る書類

年の途中で退職した場合、園は退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を交付しなければなりません[15]。また、退職する人が請求すれば、園は在職期間や業務の種類などを記した退職証明書を遅滞なく交付する必要があります[16]。離職票は、条件を満たしていればマイナポータルで直接受け取れる場合もあります[17]。次の職場や手続きで必要になるので、届いたら大切に保管してください。

新人の退職は、園にとっても初めてではありません。伝え方を整えれば、最後の数か月を気まずさだけで終わらせずに済みます。伝える前に、辞めるかどうかの迷いをもう一度整理したいときは、新人保育士がつらいときの辞める判断基準に戻って確かめることもできます。言い方の練習や、伝える前の気持ちの整理を誰かと一緒にしたいときは、ほいくの相談室にも相談できます。転職先を決めていなくても、まず話すだけでかまいません。

よくある質問

新人保育士が退職を伝えるのは、何か月前がよいですか?

まず就業規則の申し出期限を確認し、それより前に伝えます。担任を持っている場合は、引き継ぎを考えて1〜3か月前を目安にすると話がまとまりやすくなります。期間の定めのない雇用なら、法律上は申し入れから2週間で退職できます[1]。

退職はメールやLINEで伝えてもいいですか?

できるだけ対面で、口頭で伝えるのが基本です。文字だけだと気持ちが伝わりにくく、話がこじれる原因になりがちです。体調が悪くて出勤できないなど事情がある場合は、まず電話で伝え、面談の日を相談する方法もあります。

入職して数か月でも、退職を伝えていいのでしょうか?

伝えてかまいません。在籍期間が短いことを理由に、退職を伝えてはいけないというルールはありません。ただし、有給休暇が付与されるのは入職から6か月継続勤務した時点からなので[4]、それより前に辞める場合は、退職日までの休み方を園と相談しておくと安心です。

本当の理由を言わないのは、うそになりますか?

不満をすべて話さないことと、うそをつくことは違います。「体調」「方針」「家庭の事情」など、本当の理由のうち伝えやすい部分を、誰も責めない言い方で伝えれば十分です。事実と違う理由をつくると、あとで話が合わなくなることがあるので避けてください。

年度途中に辞めると、保護者にはどう伝わりますか?

保護者への伝え方と時期は、園が決めることがほとんどです。自分から先に保護者へ話すのは避け、園長の指示に合わせます。最終日に子どもたちや保護者へどうあいさつするかも、園と相談しておくと安心です。

参考にした資料

  1. e-Gov法令検索「民法」
  2. 確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」(厚生労働省)
  3. e-Gov法令検索「民法」
  4. 厚生労働省 FAQ「年次有給休暇とはどのような制度ですか…」
  5. こども家庭庁「令和8年度 保育関係予算の概要」
  6. こども家庭庁「令和8年度 保育関係予算の概要」
  7. スタートアップ労働条件Q&A(厚生労働省)
  8. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
  9. 確かめよう労働条件「年次有給休暇」
  10. 厚生労働省 パワーハラスメント対策リーフレット
  11. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
  12. 確かめよう労働条件「労働条件相談ほっとライン」
  13. e-Gov法令検索「弁護士法」
  14. 東京弁護士会「退職代行サービスと弁護士法違反に関する注意喚起」
  15. 国税庁 タックスアンサーNo.7411
  16. e-Gov法令検索「労働基準法」
  17. 厚生労働省リーフレット「離職票」のマイナポータル直接送付

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

ほいくの相談室

転職するかは、まだ決めなくていい。保育士の悩みを、まず相談。

1年目の悩みは、1年目だからこそ相談しにくいもの。小さなことからで大丈夫です。

  • 保育士の悩み専門
  • 転職の前提なし
  • LINE・オンラインで全国対応

LINEで相談する(友だち追加)

LINEが使えない方、文章でじっくり伝えたい方は、下のフォームから送ってください。

    相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。「何から話せばいいか分からない」の一行からでも受け付けています。送信後、入力したメールアドレスに確認のメールが届きます。 個人情報の扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。