保育士の退職理由が人間関係のとき|伝え方と例文

スマホのメモ帳に、退職理由の下書きが3つ並んでいます。「家庭の事情で」「体力的に厳しくなって」「主任の言い方がつらくて」。最初の2つは本当の理由ではありません。3つ目は本当だけれど、園長の前で口にできる気がしない。明日の午睡の時間に話すと決めたのに、どれを選べばいいのか決められないまま、夜が更けていきます。

人間関係が理由で退職するとき、多くの人が迷うのが「本音をどこまで言うか」です。正直に言えば角が立ちそうで、ごまかせば嘘をついているようで後ろめたい。引き止められて理由を深く聞かれたらと考えると、切り出すこと自体が怖くなります。

この記事では、人間関係が理由の退職で本音をどこまで伝えるかの判断基準と、園長に角を立てずに伝えるための例文を、状況別にまとめました。引き止めや「誰が原因なの?」と聞かれたときの返し方、ハラスメントがある場合に伝え方とは別に確認しておきたいことも紹介します。

この記事でわかること

  • 人間関係が理由の退職で、本音をどこまで伝えるかの判断基準
  • 園長に角を立てずに伝える退職理由の例文(状況別に6つ)
  • 引き止めや「誰が原因?」と聞かれたときの返し方
  • ハラスメントがある場合に、伝え方とは別に確認したいこと

結論

保育士が人間関係を理由に退職するとき、園長に本音をすべて伝える必要はありません。退職の意思を伝える場では、「一身上の都合」や「新しい環境で〇〇に取り組みたい」といった、事実に反しない前向きな理由を短く伝えるのが基本です。特定の人の名前を出すと、話し合いが長引いたり、退職までの期間が気まずくなったりしやすいためです。たとえば「保育の進め方について考えることが増え、別の環境で学び直したいと思いました」のように、自分の考えとして伝えます。職場の改善につなげたい場合は、退職日が決まったあとに「人」ではなく「仕組み」の話として伝える方法があります。ハラスメントがある場合は、伝え方とは別に、記録を残して外部の窓口に相談しておくと安心です。

01本音をどこまで伝えるかは「目的」で決める

要点:本音をどこまで伝えるかに、一つの正解はありません。円満に辞めたいのか、職場を良くしたいのか、引き止めを避けたいのか。退職の話で何をいちばん大事にしたいかによって、伝える量と伝える時期が変わります。

人間関係を理由に退職を考える保育士は、決して少なくありません。東京都の保育士実態調査では、過去に保育士として働いた人が辞めた理由の最多が職場の人間関係(31.5%)で[1]、いま働いていて保育士を辞めたいと考えている人の理由にも、職場の人間関係が30.1%挙がっています[2]。園長にとっても、人間関係を理由にした退職の申し出は、初めて聞く話ではないはずです。

それでも本音をすべて話すのをすすめないのには、理由があります。園長は、問題を聞けば解決しようとします。「では話し合いの場を設けよう」「その先生に注意しておくから」と動き出し、退職の話が先延ばしになることがあります。話した内容が当事者に伝わり、退職日までの数か月が気まずくなることもあります。また、「○○先生と合わない」という話は、どうしても一方の言い分として受け止められやすく、伝えた側が損をしてしまう場面も少なくありません。

ただし、嘘をつく必要もありません。「本音を全部言う」と「事実と違う理由をつくる」の間には、「事実のうち、伝える部分を選ぶ」という道があります。人間関係がつらかったのも事実、環境を変えて保育を続けたいのも事実。後者を中心に伝えれば、嘘をつかずに、角も立てずに済みます。

図1

退職の話で、何をいちばん大事にしたいか

  1. 円満に辞めたい前向きな理由を短く伝える。人の名前は出さない
  2. 引き止めを避けたい退職日を決めてから「決めたこと」として伝え、理由は深く話さない
  3. 職場を良くしてほしい退職日が決まったあとに、仕組みの課題として伝える
  4. 今の法人で働き続けたい退職ではなく、異動の相談として伝える
  5. ハラスメントを知ってほしい伝える前に記録を残し、外部の窓口にも相談しておく
図1 本音をどこまで伝えるかの決め方

原因が特定の人との関係で、同じ法人の別の園なら働き続けられそうな場合は、退職ではなく異動を相談する道もあります。違いは異動・転園・転職の違いと選び方で整理しています。

02伝える前に決めておく3つのこと

要点:退職を伝える前に、退職日の希望、伝える相手と順番、「言わないこと」の3つを決めておきます。特に「言わないこと」を紙に書いておくと、話の途中で気持ちがあふれて、本音を言いすぎるのを防げます。

1. 退職日の希望

法律上は、期間の定めのない雇用であれば、退職の申し入れから2週間で雇用が終了します[3]。厚生労働省の解説でも、会社が承諾しなくても申し入れから2週間後に効力が生じるとされています[4]。とはいえ、担任を持っている保育士の場合は、クラスの引き継ぎや保護者への説明を考えると、就業規則で申し出の期限を確かめたうえで、1〜3か月前に伝えるのが現実的です。年度末を区切りにする人が多いのも、子どもたちと年度の最後まで過ごせるからです。

書面を出すときは、言葉の違いにも気をつけてください。退職願(合意退職の申込み)は園の承諾が届くまでは撤回できますが、退職届(辞職の意思表示)は園に届いた時点で効力が生じ、撤回できないとされています[5]。迷いが残っているうちは、まず口頭で相談し、書面は退職日が決まってから出すと安心です。退職の伝え方の基本は保育士の退職の伝え方にまとめています。

2. 伝える相手と順番

最初に伝えるのは、多くの園では園長です。主任を通すきまりがある園では、主任に「園長にご相談したいことがあります」と時間の調整だけをお願いします。仲の良い同僚に先に話すのは避けてください。噂として先に園長の耳に入ると、それだけで話がこじれることがあります。

3. 言わないこと

面談の前に、「これは言わない」と決めたことを紙に書いておきます。

  • 特定の職員の名前
  • 他の職員から聞いた噂や、誰かの悪口
  • 「みんなもそう思っています」という言い方
  • 過去の出来事の細かい列挙

話しているうちに、つい「実は…」と言いたくなる瞬間が来ます。そのときに、このメモが歯止めになります。

伝える場所と時間帯も決めておく

退職の話は、ほかの職員に聞かれない場所で、時間に余裕があるときに切り出します。園長室や事務室で、午睡の時間か降園後が向いています。朝の受け入れの前や、行事の準備で慌ただしい時期は避けたほうが、落ち着いて話を聞いてもらえます。運動会や発表会の直前に切り出すと、「この忙しいときに」という受け止め方をされやすいので、行事が一段落した週を選ぶのも一つの工夫です。

図2

  1. 4か月前退職日の希望を決め、就業規則で申し出の期限を確かめる
  2. 3か月前園長に面談をお願いし、退職の意思と理由を伝える
  3. 面談の翌週退職日を確定し、退職願・退職届の扱いを確かめる
  4. 2か月前クラスの引き継ぎ資料を作り、後任の先生と共有を始める
  5. 1か月前保護者への伝え方とタイミングを、園と相談して決める
  6. 最終出勤日子どもたちと普段どおりに過ごし、私物と貸与品を整理する
図2 退職を伝える前後の流れ(3か月前に伝える場合の目安)

03角が立たない退職理由の例文

要点:例文は「退職の意思→理由を一言→感謝→退職日の相談」の順で組み立てます。理由の部分は、自分の考えや今後の希望として話すと、誰かを責める印象になりません。どの例文も、自分にとって事実である部分だけを使ってください。

例文1:理由を短くまとめたいとき

「お忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます。一身上の都合で、来年3月末で退職させていただきたいと考えています。ここまで育てていただいたことに感謝しています。退職日と引き継ぎについて、ご相談させてください」

理由を深く話したくないときは、この形で十分です。「一身上の都合」は、退職の理由として広く使われている言葉で、失礼にはあたりません。

例文2:前向きな理由に言い換えたいとき

「これまで乳児クラスを中心に担当してきましたが、幼児クラスの保育にもっと深く関わりたいと考えるようになりました。別の環境で経験を積みたいと思い、退職を決めました」

次にやりたいことがはっきりしている場合に使えます。新しい職場が決まっていなくても、「何をしたいか」が本心であれば、そのまま伝えてかまいません。

例文3:保育観の違いとして伝えたいとき

「保育の進め方について、自分の考えと園の方針の間で迷うことが増えてきました。どちらが正しいということではなく、自分の考えに近い環境で保育をしたいと思うようになりました」

人間関係のつらさの奥に、保育の進め方の違いがある場合に向いています。「どちらが正しいということではなく」と添えることで、園の方針を否定していないことが伝わります。

例文4:職場の雰囲気がつらいことを、やわらかく伝えたいとき

「正直にお伝えすると、職員間のコミュニケーションの面で、自分がうまく力を発揮できていないと感じることが続いていました。環境を変えて、気持ちを立て直したいと考えています」

本音を少しだけ伝えたいときの形です。「職員間のコミュニケーション」という言葉にとどめ、誰とのことかには触れません。主語を「自分」にしているので、相手を責める印象になりにくくなります。

例文5:体調を崩しているとき

「ここ数か月、体調を崩しがちで、医師からも休養をすすめられています。今の状態では責任を持って担任を続けることが難しいと考え、退職を決めました」

実際に体調を崩している場合に限って使います。眠れない、食欲がないといった状態が続いているなら、退職の話より先に受診を考えてください。

例文6:退職願・退職届に書く一文

「このたび、一身上の都合により、令和○年○月○日をもちまして退職いたしたく、ここにお願い申し上げます」

人間関係が理由であっても、書面には「一身上の都合」と書くのが一般的です。書面に詳しい理由を書く必要はありません。

例文を自分の言葉に直すときのこつ

例文をそのまま読み上げると、かえって気持ちが伝わりにくくなることがあります。自分の言葉に直すときは、「理由は2〜3文まで」「主語は『私』」「最後は感謝か相談で終える」の3つだけ守れば十分です。面談の前日に一度声に出して読んでみると、言いにくい言葉や長すぎる部分に気づけます。

図3

角が立ちやすい言い方言い換えの例
「○○先生とは、もう一緒に働けません」「職員間のコミュニケーションの面で、力を発揮しきれないと感じていました」
「この園は人間関係が最悪です」「自分に合った環境で、気持ちを立て直したいと考えました」
「みんな辞めたいと言っています」(他の職員のことは話さず、自分の考えだけを伝える)
「主任のやり方にはついていけません」「保育の進め方について、自分の考えに近い環境で働きたいと思いました」
「もう限界なので、すぐ辞めます」「体調のこともあり、○月末での退職を考えています。引き継ぎについてご相談させてください」
図3 角が立ちやすい言い方と、言い換えの例

04引き止めや「誰が原因?」と聞かれたときの返し方

要点:引き止められたときは、退職の意思が変わらないことを、感謝とともに短く繰り返します。「誰が原因なの」と聞かれても、名前を出す必要はありません。同じ答えを繰り返してかまいません。

図4

  1. 時間をもらう「ご相談したいことがあります。15分ほどお時間をいただけますか」と、午睡中や降園後に時間をとってもらう
  2. 意思を伝える「退職させていただきたいと考えています」と、相談ではなく決めたこととして伝える
  3. 理由を一言で例文から一つ選び、2〜3文で伝える
  4. 引き止めに答える感謝を伝えたうえで、気持ちが変わらないことを繰り返す
  5. 退職日を相談する希望日を伝え、引き継ぎの進め方を一緒に決める
図4 退職を伝える面談の流れ

よくある引き止めの言葉と、返し方の例

  • 「今辞められたら、クラスが回らない」→「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。だからこそ、引き継ぎは責任を持って進めます。3月末までに資料をまとめます」
  • 「何が不満なの? 改善するから」→「お気持ちはありがたいです。ただ、自分の中で時間をかけて考えて決めたことなので、気持ちは変わりません」
  • 「誰が原因なの? ○○先生?」→「特定の誰かということではありません。自分が環境を変えたいと考えたのが理由です」
  • 「来年度は担任の組み合わせを変えるから」→「ありがとうございます。それでも、別の環境で経験を積みたいという気持ちは変わらないんです」

引き止めの言葉の多くは、あなたを必要としているという気持ちの表れでもあります。だからこそ、言い返したり、理由を重ねて説明したりする必要はありません。感謝を伝えたうえで、同じ答えを落ち着いて繰り返します。引き止めが長引くときの対処は退職を引き止められたときの対処法で詳しく紹介しています。

一方で、担任の組み合わせの変更や異動の提案が、本当に悩みの解決につながると感じたなら、その場で断らず「一度考えさせてください」と持ち帰ってもかまいません。退職は、選択肢の一つです。

職場を良くしたいなら、退職日が決まってから「仕組み」として伝える

「後の人のために、伝えておきたいことがある」と感じる人もいるでしょう。その場合は、退職日が決まり、引き継ぎの見通しが立ってから、改めて時間をもらいます。伝え方は、人ではなく仕組みの話にします。

「担任間の役割分担がはっきり決まっていないことで、すれ違いが起きやすいと感じていました。役割を表にするなどの仕組みがあると、次に入る方は働きやすいかもしれません」

退職が決まっているので、引き止めの材料にもならず、園長も落ち着いて聞くことができます。

05相談事例:「全部は言わない」と決めて、30分で退職日が決まった

要点:本音を言うか隠すかで4か月迷った人が、「伝える事実を選ぶ」と決めて、面談1回で退職日を決めました。言ったことと、あえて言わなかったことの線引きを見てください。

伝える事実を選んだら、切り出す勇気が出た

相談事例(モデルケース)

お名前
ときわさん(仮名)・47歳
保育士歴
23年
勤務先
私立の認可保育園(定員約90名)、乳児クラスのリーダー
変化
退職を切り出せずにいた期間 約4か月 → 面談1回(30分)で退職日が決まる

編集部退職を考えたきっかけは何でしたか。

ときわさん

2年前に来た主任が、乳児クラスのやり方を職員会議のたびに否定するんです。私より一回り年下で、園長はその主任をとても信頼している。園長に本当の理由を言ったら、告げ口みたいになるし、私が意地を張っているように聞こえるだろうなって。それで4か月、何も言えずにいました。

編集部どんなふうに整理していきましたか。

ときわさん

相談したときに、「本音を全部言うか、嘘をつくかの二択じゃないですよ」と言われて、はっとしました。私が乳児の保育で大事にしてきたことと、今の園の方針が少しずつずれてきたのも本当のことだったので、そこを理由にしようと決めたんです。それから「言わないこと」を4つ、紙に書きました。主任の名前、会議での具体的な出来事、他の先生から聞いた話、それと「もう限界」という言葉です。

編集部実際の面談はどうでしたか。

ときわさん

園長に「主任と何かあった?」って、やっぱり聞かれました。でも「特定の誰かということではなく、自分の考えに近い環境で保育をしたいと思ったんです」と、決めていたとおりに答えられて。30分くらいで、3月末の退職がその場で決まりました。帰り道、肩が軽くなっているのが自分でも分かりました。

編集部退職日が決まったあと、何か伝えましたか。

ときわさん

最後の面談で、「乳児クラスのやり方の意図を、会議の前にクラスで共有できる時間があると、話し合いがしやすいと思います」とだけ伝えました。人の話じゃなく、仕組みの話として。園長は「それは考えてみる」と、ちゃんと聞いてくれました。

全部を言わなくても、嘘をついたことにはならないんだと分かって、やっと切り出せました。

ときわさん(仮名)

ときわさんは3月末で退職し、4月からは別の法人の保育園で、0歳児クラスを担任しています。退職までの3か月は、引き継ぎの資料づくりと子どもたちとの時間に集中でき、主任とも業務の話は普段どおりに続けられたそうです。

ときわさんのケースで注目したいのは、本音と建前のどちらかを選ぶのではなく、「伝える事実を選ぶ」という考え方です。言わないことを先に決めておいたことで、面談の場で気持ちが揺れても、話がぶれませんでした。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図5

相談前退職を伝えたあと

退職を切り出せずにいた期間

約4か月
面談1回、30分

用意していた退職理由

下書き3つで決められない
2文に絞った理由

「言わないこと」のメモ

なし
4項目

退職日までの気の重さ

毎朝、出勤がつらい
引き継ぎに集中できた
図5 ときわさんのモデルケースで変わったこと

06伝え方の前に知っておきたい、2つの注意点

要点:一つは、人間関係の悩みがハラスメントに当たる場合は、伝え方を考えるより先に、記録と相談を済ませておくこと。もう一つは、今の園に伝える退職理由と、次の園の面接で話す退職理由は、分けて考えることです。

1. ハラスメントが理由なら、伝え方より先に記録と相談を

パワーハラスメントとは、職場での優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動によって、働く環境が害されることをいいます[6]。園や法人には相談を受けて対応する体制を整える義務があり、相談したことを理由に不利益に扱うことは禁じられています[7]。

離職の理由は、雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)にも関わります。正当な理由のない自己都合退職の場合は給付制限があり、離職日が2025年4月1日以降であれば原則1か月です[8]。一方、上司や同僚などから故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせを受けて離職した場合は、特定受給資格者に当たることがあります[9]。退職の面談では「一身上の都合」と伝えていても、離職票の離職理由が実際と異なる場合は、ハローワークに異議を述べて事情を説明でき、変更が認められれば給付制限は設けられません[10]。そのときに支えになるのが、日々の記録です。

図6

  • いつ、どこで、誰に、何を言われたか・されたか日付と時刻、場所、言葉をできるだけそのまま書きます
  • その場にいた人状況を見聞きしていた人がいたかどうかを書き留めます
  • 園や法人に相談した日と、その対応相談したのに改善されなかった経過も、記録として意味があります
  • 体調の変化と受診の記録眠れない、食欲がないなどの変化と、受診した日を残します
  • 業務の指示や連絡のメッセージ業務連絡のLINEやメールは、消さずに保存しておきます
図6 ハラスメントが理由のときに、退職前に残しておきたい記録

退職の前に第三者の意見を聞きたいときは、各地の労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーが使えます。相談は無料で、予約もいりません[11]。パワハラの相談先の選び方もあわせて確かめておくと、どこに何を持っていけばいいかが分かります。気持ちが追いつめられているときは、働く人向けの「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時)も使えます[12]。

2. 今の園に伝える理由と、次の面接で話す理由は分けて考える

今の園に伝える退職理由は、円満に辞めるための言葉です。一方、次の園の面接で話す退職理由は、次の職場で何を大事にしたいかを伝える言葉です。目的が違うので、同じ言葉である必要はありません。ただし、どちらも事実に基づいていることが前提です。面接での伝え方は面接で退職理由を伝えるときの例文を参考にしてください。

辞める前に、人間関係の悩みそのものをもう一度見直しておきたい人は、職場の人間関係がつらいときの整理の仕方も読んでみてください。退職の伝え方を一人で考えていると、本音と建前の間で行ったり来たりしてしまいます。「言わないこと」のメモを一緒につくるような相談なら、ほいくの相談室でも受けています。退職を決めきれていない段階でも、話してみてかまいません。

よくある質問

退職理由を「一身上の都合」とだけ伝えるのは失礼ですか?

失礼ではありません。退職願や退職届では「一身上の都合」と書くのが一般的です。口頭で理由を聞かれたときは、例文のように一言添えると、話が自然に進みます。

本当の理由を言わないのは、嘘をつくことになりませんか?

事実と違う理由をつくることと、伝える事実を選ぶことは違います。「環境を変えたい」「別の保育を経験したい」が本心の一部であれば、それは嘘ではありません。家庭の事情など、事実でない理由をつくると、あとで話が合わなくなることがあるので避けたほうが無難です。

園長に「誰が原因なのか教えて」と何度も聞かれます。

名前を出す義務はありません。「特定の誰かということではなく、自分が環境を変えたいと考えたからです」と、同じ答えを繰り返してかまいません。ハラスメントを相談したい場合は、退職の面談とは別の場で、記録をもとに相談すると話が整理されます。

人間関係が理由の退職だと、失業保険で不利になりますか?

正当な理由のない自己都合退職では、離職日が2025年4月1日以降なら原則1か月の給付制限があります[8]。ただし、上司や同僚から故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせを受けて離職した場合は、特定受給資格者に当たることがあります[9]。判断はハローワークが行うので、記録を残したうえで相談してください。

退職を伝えたあと、残りの期間が気まずくて耐えられそうにありません。

退職日までは、引き継ぎと子どもとの時間に集中すると決めると、気持ちが少し楽になります。業務の連携だけは丁寧に続け、雑談の輪には無理に入らなくてかまいません。眠れない、出勤前に涙が出るといった状態が続く場合は、受診を考え、休み方も含めて園と相談してください。

参考にした資料

  1. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 調査結果の概要」
  2. 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
  3. e-Gov法令検索「民法」
  4. 確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」(厚生労働省)
  5. スタートアップ労働条件Q&A(厚生労働省)
  6. 厚生労働省 パワーハラスメント対策リーフレット
  7. 厚生労働省 職場のハラスメント対策リーフレット
  8. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
  9. ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」
  10. 確かめよう労働条件Q&A「退職勧奨後、離職票に自己都合退職と記載されました…」
  11. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
  12. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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