保育士を辞めたい人の退職後の生活費|住民税・保険料まで計算

給料日の夜、家計簿アプリで今月の残高を確かめる。家賃と光熱費、スマホ代を引くと、手元に残るのはいつもと同じくらい。通帳の貯金額を見て、書きかけの退職届の下書きをそっと閉じる。「辞めたい。でも、辞めたら暮らしていけるんだろうか」。

保育士を辞めたいと考えたとき、多くの人が最初にぶつかるのがお金の不安です。しかも、その不安はたいてい「なんとなく足りない気がする」という形をしています。いくら必要なのか分からないから、どれだけ貯金があっても安心できず、逆に少なくても「なんとかなる」と思い込んでしまうこともあります。

退職後のお金で見落としやすいのは、在職中は給与から自動的に引かれていた住民税や健康保険料、年金を、辞めたあとは自分で払う必要があることです。この記事では、それらを含めた退職後の生活費の計算方法と、貯金が少ないときにできる準備を、手続きの期限とあわせて整理しました。計算してみると、不安の大きさが「何か月分」という具体的な数字に変わります。

この記事でわかること

  • 退職後に自分で払うことになる住民税・健康保険料・国民年金のしくみ
  • 退職の翌日から始まる手続きと、その期限
  • 失業手当を受け取れるまでの流れと、自己都合退職の給付制限
  • 貯金で何か月暮らせるかを計算する手順
  • 貯金が少ないときに、在職中からできる準備

結論

保育士を辞めたあとの生活費は、「毎月の生活費」に「退職後に自分で払うもの」を足して計算します。自分で払うものの中心は、住民税、健康保険料、国民年金保険料の3つです。住民税は辞めてもすぐには支払いが終わらず、6月〜12月に退職すると残りを自分で納める形に切り替わります[1]。健康保険は任意継続を選ぶと保険料が全額自己負担になり[2]、国民年金は退職日の翌日から14日以内に手続きが必要です[3]。失業手当は自己都合の退職だと待期7日と給付制限1か月が過ぎるまで支給されないため[4][5]、貯金が少ないなら、在職中に次の職場を決めておくのがいちばん安全です。

01まず「生活費」と「自分で払うもの」に分ける

要点:退職後に必要なお金は、家賃や食費などの「生活費」と、在職中は給与から引かれていた「自分で払うもの」の二つに分けて考えます。不安が大きくなりやすいのは、後者を見落としているときです。

在職中の給与明細を思い出してみてください。総支給額から、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税などが差し引かれて、手取りになっています。この「差し引かれていたもの」の一部は、辞めたあとも形を変えて払い続けることになります。

図1

項目在職中退職後(次の職場が決まっていない場合)
住民税給与から天引き退職した時期によって、最後の給与から一括で引かれるか、自分で納める形に切り替わる[1]
健康保険給与から天引き(園も保険料の一部を負担)任意継続、国民健康保険、家族の扶養のどれかを選ぶ。任意継続は全額自己負担[2]
年金厚生年金として給与から天引き国民年金の第1号被保険者として、手続きをして自分で納める[3]
収入毎月の給与次の仕事が決まるまで給与はない。条件を満たせば失業手当
通勤費・昼食代交通費の支給、園での給食など通勤はなくなるが、家での食費や光熱費が増えることもある
図1 在職中と退職後で変わるお金

この表の「退職後」の列が、在職中には意識しなくてよかった支出です。家計簿をつけている人でも、手取りの範囲でやりくりしていると、このお金はまるごと見えていません。だからこそ、辞めると考え始めた段階で、一度書き出しておくことに意味があります。

生活費は、直近3か月の平均で見る

生活費は、思い出しながら書くと少なめに見積もりがちです。通帳やクレジットカードの明細で、直近3か月に実際に出ていったお金を確かめ、その平均を使うと現実に近い数字になります。冠婚葬祭や家電の買い替えのような突然の出費も、年に何回かはあるものとして、少し上乗せしておくと安心です。

02住民税・健康保険・年金:退職後に自分で払うもの

要点:住民税は退職の時期によって払い方が変わり、健康保険と年金は退職の翌日から14日または20日以内に手続きが必要です。どれも金額は人によって違うため、窓口や通知で確かめた数字を計算に使います。

住民税は、辞めた月で払い方が変わる

辞めて収入がなくなっても、住民税の支払いはすぐには止まりません。在職中に給与から天引き(特別徴収)されていた人が退職すると、残りの税額の払い方は退職した時期で変わります[1]。

図2

退職した時期残りの住民税の払い方気をつけたいこと
1月1日〜4月30日5月31日までに支払われる給与や退職金から、残りの税額が一括で差し引かれる(本人の申し出は不要)最後の給与の手取りが、いつもより大きく減ることがある
6月1日〜12月31日残りの税額は、自分で納める普通徴収に切り替わる。本人が希望すれば、給与や退職金から一括で差し引くこともできる退職後、市区町村から届く納付書で納める。払い忘れに注意
図2 退職した時期と、残りの住民税の払い方

1〜4月に辞める場合は、最後の給与の手取りが少なくなることを、生活費の計算に入れておきます。6〜12月に辞める場合は、退職後しばらくしてから納付書が届くので、その分をあらかじめ取り分けておくと慌てません。おおよその額は、給与明細の住民税の欄の金額に、残りの月数をかけると見当がつきます。正確な額は、園の事務担当か、住んでいる市区町村の税務の窓口で確かめてください。辞めた翌年度にも住民税の通知が届くことがあるので、その金額も市区町村の通知で確認しておきます。

健康保険は、3つの選択肢から選ぶ

退職日の翌日からは、在職中の健康保険の資格では受診できません。資格を失ったあとに使ってしまうと、医療費のうち保険が負担した分を返さなければならなくなります[6]。退職後の健康保険は、次の3つから選びます。

図3

  • 1

    任意継続

    在職中の健康保険を最長2年続ける方法。退職日までに継続して2か月以上加入していたことが条件で、退職日の翌日から20日以内に申し出る[7]。保険料は全額自己負担で、協会けんぽの場合、計算に使う標準報酬月額の上限は2026年度で32万円[2]

  • 2

    国民健康保険

    住んでいる市区町村の国民健康保険に入る方法。資格を取得したら、14日以内に市区町村へ届け出る[8]。保険料は自治体ごとに計算方法が違うため、窓口で見込み額を聞く

  • 3

    家族の扶養

    家族の健康保険の被扶養者になる方法。年間収入の見込みが原則130万円未満で、同居なら家族の収入の2分の1未満などの条件がある[9]。失業手当を受け取る場合の扱いは、家族の勤務先の健康保険に確かめる

図3 退職後の健康保険の3つの選択肢

任意継続と国民健康保険のどちらが安いかは、在職中の給与や住んでいる自治体によって違います。退職前に、任意継続は加入している健康保険(協会けんぽなど)に、国民健康保険は市区町村の窓口に、それぞれ見込み額を問い合わせて比べるのが確実です。

年金は、国民年金への切り替えを忘れずに

次の職場がすぐに決まらない場合は、国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要です。手続きは住んでいる市区町村の窓口で、退職日の翌日から14日以内に行います[3]。基礎年金番号通知書か年金手帳を用意しておきましょう[10]。あなたの扶養に入っていた配偶者がいる場合は、その人の手続きも必要です。退職して保険料を納めるのが難しいときは、保険料の特例免除を申請できます[11]。払えないまま放っておかず、手続きのときに窓口で相談してください。

図4

  1. 退職日の翌日在職中の健康保険では受診できなくなる。保険証の扱いは園の案内に従う[6]
  2. 14日以内国民健康保険の加入手続き(選ぶ場合)[8]、国民年金への切り替え[3]
  3. 20日以内任意継続の申し出(選ぶ場合)。期限内必着[7]
  4. 1か月以内園から源泉徴収票が交付される。次の職場や確定申告で使う[12]
  5. 離職票が届いたらハローワークで求職の申し込みをし、失業手当の受給資格を確かめる
図4 退職日からの手続きと期限

手続きの細かな流れは退職後の健康保険と年金の手続きでも詳しく紹介しています。

03失業手当は「いつから受け取れるか」を先に確かめる

要点:自己都合で退職した場合、失業手当(雇用保険の基本手当)は、待期7日と、原則1か月の給付制限が過ぎてから支給の対象になります。辞めた翌月から生活費をまかなえるわけではないので、受け取れるまでの期間を貯金で乗り切る前提で計算します。

失業手当を受け取るには、原則として離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です[13]。受け取れる日数は、自己都合の退職の場合、被保険者だった期間が1年以上10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です[14]。

図5

  1. 退職する園から離職票が届く。条件を満たせばマイナポータルで受け取れる場合もある[15]
  2. ハローワークで手続き離職票を出して求職の申し込みをすると、受給資格が決まる
  3. 待期7日間受給資格の決定日から通算7日間は、理由にかかわらず支給されない[5]
  4. 給付制限2025年4月1日以降の自己都合退職は、原則1か月の給付制限がある[4]
  5. 失業の認定原則4週間に1回ハローワークで認定を受け、認定された日数分が支給される[5]
図5 自己都合で辞めた場合の、失業手当を受け取るまでの流れ

給付制限は、2025年3月31日以前の離職では原則2か月でしたが、2025年4月1日以降の離職からは原則1か月になっています[4]。ただし、過去5年間に正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格の決定を受けている場合は3か月です。また、離職日前1年以内や離職後に、教育訓練給付の対象となる講座を自分で受けた場合は、給付制限が解除されます[16]。

体調を崩して働き続けるのが難しくなった場合などは、正当な理由のある自己都合退職として「特定理由離職者」にあたる可能性があります[17]。病気などですぐに働けない場合は、受給期間の延長を申請できることも覚えておいてください[18]。1日あたりの金額や自分がどの区分にあたるかは、ハローワークで確かめるのが確実です。失業手当の詳しい流れは退職後の失業保険の手続きにまとめています。

04貯金で何か月暮らせるかを計算する

要点:「毎月の生活費+退職後に自分で払うもの−減る支出」で月の支出を出し、貯金をその額で割ると、暮らせる月数が分かります。失業手当は、受け取れる時期が来るまでは収入に入れずに計算します。

ここまでの内容を使って、実際に計算してみましょう。紙に書いてもスマホのメモでもかまいません。大事なのは、ざっくりでも数字にしてみることです。

図6

  1. 今の生活費を出す

    通帳やカードの明細で、直近3か月の支出の平均を出します。家賃、食費、光熱費、通信費、保険、趣味などを含めます

  2. 自分で払うものを足す

    住民税の残り、健康保険料、国民年金保険料の見込み額を、窓口や通知で確かめて月額にして足します

  3. 減る支出を引く

    通勤の交通費や、仕事用の服や道具の費用など、辞めると減るものを引きます

  4. 収入の見込みを確かめる

    失業手当を受け取れるか、いつからかを確かめます。受け取れるまでの期間は収入ゼロで計算します

  5. 暮らせる月数を出す

    貯金の額を、月の支出で割ります。小数点以下は切り捨てて考えます

  6. 安全ラインを決める

    暮らせる月数から、次の仕事を探す期間と、もしものための1か月分を引き、余裕があるかを確かめます

図6 退職後に貯金で暮らせる月数を計算する手順

例:月の生活費が14万円、自分で払うもの(窓口で確かめた住民税・保険料・年金の見込み)が月4万円、辞めて減る支出が月1万円の人なら、月の支出は17万円です。貯金が60万円なら、60万円÷17万円で、暮らせるのは約3か月となります。この例の金額は仮のものなので、必ず自分の数字に置き換えて計算してください。

計算の結果をどう読むか

暮らせる月数が6か月以上あれば、辞めてから落ち着いて次を探す選択肢も現実的です。3〜5か月なら、辞める前に応募先の目星をつけておくと安心です。2か月以下なら、在職中に次の職場を決めてから辞めることを強くおすすめします。これは目安ですが、「何か月」という数字が出るだけで、漠然とした不安は「あと何をすればいいか」という具体的な課題に変わります。

05貯金が少ないときに、在職中からできる準備

要点:貯金が少ないときにいちばん効くのは、次の職場を在職中に決め、収入の空白をつくらないことです。そのうえで、有給休暇、ボーナス、退職金、固定費の見直しなど、在職中に確かめられることを一つずつ確かめます。

保育士の有効求人倍率は2026年7月時点で2.80倍と、全職種平均の1.15倍を大きく上回っています[19]。地域や時期で差はありますが、保育の仕事に戻る道は比較的見つけやすい状況です。在職中に転職活動をして、内定が出てから退職を伝えれば、給与が途切れる期間をほとんどつくらずにすみます。次の仕事の探し方は次の仕事が決まっていない不安への備えで詳しく紹介しています。

図7

  • 次の職場を在職中に決められるか収入の空白をつくらないことが、いちばん確実な対策です
  • 有給休暇が何日残っているか退職前に残りをすべて取得したいと申し出れば、園は時季を変えるよう求められないとされています[20]
  • ボーナスの支給日と条件就業規則で、支給日に在籍していることが条件になっていないかを確かめ、退職日を決める参考にします
  • 退職金があるか就業規則や退職金規程で、勤続年数と支給の条件を確かめます
  • 最後の給与から引かれるもの1〜4月の退職なら住民税の残りが一括で引かれ、手取りが減ることがあります[1]
  • 固定費を減らせるかスマホの料金プラン、使っていないサブスク、保険の見直しなど、毎月出ていくお金を先に減らします
  • 家族の扶養に入れるか家族がいる場合、扶養に入る条件を満たすかを家族の勤務先の健康保険に確かめます
図7 貯金が少ないときに、辞める前に確かめたいこと

有給休暇は、6か月以上働いて出勤率の条件を満たせば付与され、勤続年数に応じて日数が増えます[21]。勤続6年6か月以上なら1年に20日です。使い切れずに残っている日数を確かめ、引き継ぎと両立できる取り方を園と相談してください。有給休暇の使い方は退職前の有給消化の進め方も参考になります。

保育の仕事に戻るときの支援も知っておく

いったん保育の仕事を離れて、あとで保育園などに再就職する場合には、都道府県などが行う貸付制度があります。潜在保育士が再就職するときに就職準備金(上限40万円)を借りられ、再就職後に2年間働くと返還が免除されるしくみです[22]。実施の有無や条件は都道府県によって違うので、住んでいる地域の保育士・保育所支援センターなどで確かめてください。

06相談事例:「辞めたら暮らせない」を数字にした

要点:漠然としたお金の不安から1年近く動けなかった保育士が、生活費を計算したことで、辞める順番を決められたモデルケースです。

貯金45万円で、空白0日の転職を選んだ

相談事例(モデルケース)

お名前
しほさん(仮名)・29歳
保育士歴
7年目(相談当時)
勤務先
私立の認可保育園(定員約70名)、0歳児クラス担任。一人暮らし
変化
貯金で暮らせる期間 分からない → 約2か月半と把握、退職から次の仕事まで 0日

編集部相談に来たとき、どんなことに悩んでいましたか。

しほさん

早番7時からの日が週に3回あって、体がずっと重かったんです。辞めたい気持ちは1年くらい前からあったんですけど、貯金が45万円しかなくて。一人暮らしなので、辞めたら家賃も払えなくなるって、そこで思考が止まっていました。

編集部実際に計算してみて、どうでしたか。

しほさん

生活費は3か月分の通帳を見て、月13万円くらい。そこに住民税と国民健康保険、国民年金の見込みを窓口で聞いて足したら、月に4万円以上増えることが分かって、正直びっくりしました。全部で月17万円ちょっと。45万円だと2か月半しかもたないんです。

編集部その数字を見て、どう感じましたか。

しほさん

怖かったです。でも、不思議と少し落ち着きました。「なんとなく足りない」じゃなくて、「2か月半」って分かったら、じゃあ次を決めてから辞めればいいんだって、やることがはっきりしたので。相談した人も、辞めるのを止めるでも急かすでもなく、数字を一緒に確かめてくれました。

編集部そこからは、どう動いたのですか。

しほさん

11月から在職中に求人を見始めて、早番の回数が少ない園を条件に3つ見学しました。1月に内定が出たので、そこで園長に3月末で辞めたいと伝えました。有給休暇が12日残っていたので、引き継ぎを終えた3月の後半に使わせてもらって。最後の給与で住民税の残りが一括で引かれたのも、事前に知っていたので慌てずにすみました。

「足りない気がする」が「2か月半」に変わったら、怖さより、やることのほうが見えてきたんです。

しほさん(仮名)

しほさんは4月1日から新しい園で働き始め、退職から入職までの空白は0日でした。早番は月に4回ほどになり、貯金も少しずつですが毎月積み立てられるようになったそうです。

このケースから持ち帰れるのは、お金の不安は計算するだけで性質が変わる、ということです。暮らせる月数が短いと分かれば、在職中に次を決めるという順番が自然に決まります。数字は怖さを増やすものではなく、動き方を決める材料になります。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

07数字だけで決めないために、知っておきたいこと

要点:生活費の計算は、辞めるかどうかを決める材料の一つにすぎません。保険料などの金額は人によって違うので必ず窓口で確かめること、体調が悪いときはお金より回復を優先することの二つを、心に留めておいてください。

金額は、必ず自分の数字で確かめる

国民健康保険料は自治体ごとに計算方法が違い、住民税や任意継続の保険料も、在職中の給与によって変わります。ネットで見かけた「平均」や知人の金額をそのまま使うと、実際より少なく見積もってしまうことがあります。この記事で紹介した計算の手順は、自分の数字を入れて初めて意味を持ちます。窓口に問い合わせるのは手間ですが、一度確かめておけば、辞める・辞めないのどちらを選ぶにしても、ぶれない判断の土台になります。お金以外の面も含めて考えたいときは、辞めるべきか迷ったときの判断基準で気持ちの整理もしておくと、数字と気持ちの両方から判断できます。

「辞めたら節約すればいい」は、計画に入れすぎない

計算してみて支出が多いと感じると、「辞めたら外食をやめて、服も買わないから大丈夫」と考えたくなります。けれど、仕事を辞めて家にいる時間が増えると、昼の食費や光熱費はむしろ増えることがあります。転職活動のための交通費や、面接用の服、見学に行くための移動も意外とかかります。節約できる分は「うまくいったら残るお金」として扱い、計算には入れないでおくほうが、見込み違いで焦らずにすみます。

失業手当は「つなぎ」と考える

失業手当は、受け取れるまでに時間がかかり、受け取れる日数にも限りがあります。しかも、支給の対象になるのは、働く意思と能力があって求職活動をしている期間です。失業手当だけで生活を組み立てるのではなく、次の仕事が決まるまでの「つなぎ」の一つとして考え、貯金と合わせて計画を立ててください。

体調が悪いなら、お金の計算より先に休む

「お金が足りないから辞められない」と考えて無理を続け、体を壊してしまうと、働けない期間がかえって長くなることがあります。眠れない、朝起きられない、涙が出るといった状態が続いているなら、まず受診してください。働く人のための「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時)でも相談できます[23]。病気で働けない期間があるときは、失業手当の受給期間を延長できる場合もあります[18]。

ほいくの相談室には、「貯金がこれだけしかないけれど、辞めても暮らしていけるか」という相談も届きます。転職するかどうかを決める前に、生活費の数字を誰かと一緒に並べてみるだけでもかまいません。一人で通帳を見つめていたときより、落ち着いて次の一手を選べるはずです。

よくある質問

貯金がいくらあれば、保育士を辞めても大丈夫ですか?

必要な額は、生活費と住んでいる地域、家族の状況によって大きく違うため、一律には言えません。この記事の手順で「月の支出」を出し、次の仕事を探す期間ともしものための1か月分を足した額を、一つの目安にしてください。貯金が少ない場合は、在職中に次の職場を決めるのが安全です。

任意継続と国民健康保険は、どちらが安いですか?

在職中の給与や住んでいる自治体によって違うため、どちらが安いとは一概に言えません。退職前に、任意継続は加入している健康保険に、国民健康保険は市区町村の窓口に見込み額を聞いて比べてください。任意継続は退職日の翌日から20日以内に申し出る必要があるので、早めに比べておきましょう。

退職したら、住民税はもう払わなくていいのですか?

退職しても、住民税の支払いはすぐには終わりません。1〜4月の退職なら最後の給与や退職金から残りが一括で差し引かれ、6〜12月の退職なら残りを自分で納めることになります。翌年度にも通知が届くことがあるので、市区町村からの案内を確かめてください。

ボーナスをもらってから辞めたほうがいいですか?

生活費に余裕がないなら、ボーナスの支給日を確かめてから退職日を決めるのは合理的です。ただし、支給日に在籍していることが条件になっている場合があるため、就業規則で条件を確かめてください。支給日の直後に退職を伝える場合も、引き継ぎに必要な期間は確保しておきましょう。

国民年金の保険料が払えそうにありません。

退職して保険料を納めるのが難しい場合は、特例免除を申請できます。払わずに放っておくと、将来の年金や万一のときの保障に影響することがあるため、切り替えの手続きのときに窓口で相談してください。

次の職場が決まっていれば、健康保険や年金の手続きはいりませんか?

退職日の翌日に次の職場に入り、そこで健康保険と厚生年金に加入する場合は、自分で国民健康保険や国民年金の手続きをする必要は基本的にありません。退職日と入職日の間が空く場合は、その期間の手続きが必要になるので、空白の日数を事前に確かめておきましょう。

参考にした資料

  1. 東京都主税局「特別徴収にかかる手続きについて」
  2. 協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」
  3. 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
  4. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
  5. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
  6. 協会けんぽ宮城支部「マイナ保険証や資格確認書の使用について」
  7. 協会けんぽ「任意継続」
  8. e-Gov法令検索「国民健康保険法施行規則」
  9. 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき…」
  10. 日本年金機構「基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について」
  11. 日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」
  12. 国税庁 タックスアンサーNo.7411
  13. ハローワーク「基本手当について」
  14. ハローワーク「基本手当の所定給付日数」
  15. 厚生労働省リーフレット「離職票」のマイナポータル直接送付
  16. 厚生労働省 雇用保険部会資料「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」
  17. ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」
  18. ハローワーク「基本手当について」
  19. こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」(出典:厚労省 職業安定業務統計)
  20. 確かめよう労働条件「年次有給休暇」
  21. 厚生労働省 FAQ「年次有給休暇とはどのような制度ですか…」
  22. こども家庭庁「令和8年度 保育関係予算の概要」
  23. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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