面接の終わりに、園長から「何か聞いておきたいことはありますか」と聞かれる。本当はいちばん気になっているのが残業なのに、口から出たのは「残業はありますか」の一言だけ。返ってきたのは「うちはほとんどないですよ」という笑顔でした。ところが入職してみると、運動会の前は毎日20時過ぎまで残り、壁面の制作は家に持ち帰る日が続く。保育士の転職では、こうした話はめずらしくありません。
面接官がうそをついたとは限りません。園長にとっての「残業」は、勤怠に記録された時間外のことかもしれません。一方であなたにとっての「残業」は、早出の準備、昼の書類、行事前の居残り、家での制作まで含んだ時間かもしれません。同じ言葉を使っていても、思い浮かべている中身が違えば、答えはずれてしまいます。
この記事では、面接で残業や業務量を聞くときに、印象を悪くせず、しかも「何時まで」「月に何時間」「週に何日」といった数字で答えてもらうための質問の組み立て方をまとめました。そのまま使える質問の例に加えて、返ってきた答えの読み方と、入職前に確かめる手順まで紹介します。
この記事でわかること
- 「残業はありますか」だけでは実態が分からない理由
- 数字で答えてもらうための質問の3つの型と、そのまま使える質問例
- 印象を悪くしない前置きと、面接の中で聞くタイミング
- 返ってきた答えから園の姿勢を読み取る方法と、入職前の確かめ方
結論
保育士が面接で残業を聞くときは、「残業はありますか」と一言で聞くのではなく、「〇歳児クラス担任の方は、先月だと何時ごろに退勤されていましたか」「運動会の前の2週間は、何時ごろまで残る日が週に何日ありましたか」のように、時期・場面・単位を区切って質問します。そうすると、相手は印象ではなく数字で答えやすくなります。前置きに「長く働きたいので、1日の流れを具体的に知りたい」と添えれば、印象を悪くする心配はほとんどありません。聞いた数字はメモに残し、見学や労働条件通知書で確かめることで、入職後の「聞いていた話と違う」を減らせます。
01「残業はありますか」では、本当の答えが返ってこない
要点:一言の質問では、園と求職者のあいだで「残業」の範囲がずれたまま話が終わります。範囲と時期を指定しない限り、正直な園でも実態より軽い答えになりがちです。
保育の仕事の時間外には、いくつもの種類があります。延長保育の担当で遅くなる日、行事前に壁面や衣装を作る日、月案・週案や個人記録をまとめる日、職員会議や園内研修で残る日、そして家に持ち帰る制作や連絡帳。これらのうち、どこまでを「残業」と呼ぶかは、園によっても人によっても違います。
たとえば、勤怠の記録では時間外が月に数時間しかなくても、実際には書類を家で仕上げているという園があります。逆に、時間外はそれなりにあるけれど、すべて申請どおりに記録され、持ち帰りはしない決まりにしている園もあります。どちらが働きやすいかは人によって違いますが、少なくとも「残業はほとんどない」という一言だけでは、この差は見えてきません。
面接官が「少なめ」に答えてしまう3つの理由
面接官がわざと隠しているとは限りません。答えが実態より軽くなりやすいのには、次のような事情があります。
- 園長や採用担当は自分がクラスに入っていないため、担任の帰る時間を細かく把握していないことがある
- 「残業」を勤怠に記録された時間だけと考えていて、持ち帰りや早出は数に入れていない
- 1年のうちでいちばん落ち着いた時期を思い浮かべて答えてしまう
どれも悪意ではありませんが、入職したあとに困るのはあなたです。だからこそ、相手が具体的な場面を思い浮かべられる聞き方に変える必要があります。
図1
| 聞きたいこと | 実態が見えにくい聞き方 | 数字で答えてもらいやすい聞き方 |
|---|---|---|
| ふだんの残業 | 残業はありますか | 〇歳児クラス担任の方は、先月だと何時ごろに退勤されていましたか |
| 行事前の忙しさ | 行事の時期は忙しいですか | 運動会の前の2週間は、何時ごろまで残る日が週に何日くらいありましたか |
| 持ち帰り | 持ち帰りはありますか | 壁面や制作物、連絡帳は、勤務時間中のどの時間に作ることが多いですか |
| 書類の時間 | 書類は大変ですか | 月案や個人記録は、シフトの中で1週間に何時間くらい書く時間がありますか |
| 休憩 | 休憩は取れますか | 休憩は何時から何分、どこで取る方が多いですか |
| 残業代 | 残業代は出ますか | 時間外になったときは、どのように申請して、何分単位で記録されていますか |
表の右側の質問は、どれも「はい」「いいえ」では答えられません。時刻や日数、時間で返すしかない形になっています。これが、数字で答えてもらうための基本の形です。
02数字で答えてもらうための質問の3つの型
要点:質問に「期間」「場面」「単位」の3つを入れると、相手は記憶の中の具体的な日を探して答えるようになります。3つのうち2つが入っているだけでも、答えの具体性はかなり変わります。
図2
- 1
期間を区切る
「ふだん」ではなく「先月」「去年の発表会の前の2週間」のように、時期を一つに決めて聞く
- 2
場面を指定する
「〇歳児クラスの担任」「遅番の日」「行事の担当になった人」のように、誰のどの日かを決めて聞く
- 3
単位を決める
「何時ごろに」「週に何日」「月に何時間」のように、答えてほしい数字の形を先に示す
型1:期間を区切る
「ふだんはどうですか」と聞かれると、人は印象に残っている平均的な姿を答えます。ところが保育の忙しさは、季節によって大きな波があります。4月の慣らし保育、夏のプール、秋の運動会、冬の発表会、年度末の要録と引き継ぎ。だから「先月」「去年の発表会の前の2週間」「年度末の3月」のように、期間を一つに決めて聞くほうが、相手も思い出しやすくなります。
型2:場面を指定する
同じ園でも、担当によって帰る時間は違います。乳児クラスと幼児クラス、早番と遅番、行事の担当になった人とそうでない人。応募しているポジションに近い場面を指定すると、自分の働き方に近い答えが返ってきます。「入職したら2歳児クラスの担任の予定と伺っています。2歳児の担任の方は、先月だと何時ごろに帰られていましたか」と聞けば、相手も具体的な先生の顔を思い浮かべて答えられます。
型3:単位を決める
「どれくらいですか」と聞くと、「そんなに多くないですよ」のような程度の言葉が返ってきます。「何時ごろ」「週に何日」「月に何時間くらい」と単位を先に示しておけば、相手も数字で答えようとします。正確な数字でなくてかまいません。「18時半くらい」「週に2日くらい」という幅のある答えでも、「少ない」「多くない」という言葉よりずっと比べやすくなります。
テーマ別・そのまま使える質問例
3つの型を組み合わせた質問を、テーマ別に並べました。全部を聞く必要はありません。前の園で自分がいちばん困った項目から3〜4つを選び、紙やスマホのメモにして面接に持っていくと落ち着いて聞けます。
図3
- 担任の方は、先月だと何時ごろに退勤されていましたかふだんの退勤時刻を、期間と担当を区切って聞く質問です
- 遅番の日は、何時に仕事を終えて園を出る方が多いですか延長保育や片付けのあとに残る時間が分かります
- 運動会や発表会の前の2週間は、何時ごろまで残る日が週に何日ありましたか行事前の忙しさの山の高さと長さが分かります
- 壁面や制作物は、勤務時間中のどの時間に作ることが多いですか持ち帰りの有無を、責める形にせずに確かめられます
- 月案・週案や個人記録は、1週間に何時間くらい書く時間がシフトに入っていますかノンコンタクトタイムの実態が分かります
- 職員会議や園内研修は、月に何回、何時から何時までですか勤務時間の外に会議が組まれていないかが分かります
- 休憩は何時ごろから何分、どこで取る方が多いですか子どもと離れて休めているかが分かります
- 時間外になったときは、どのように申請して、何分単位で記録していますか残業が記録され、賃金に反映される仕組みかが分かります
- 早番の日は、何分前に来て準備をする方が多いですか始業前の「見えない早出」があるかが分かります
- 保育補助や事務の方は何人いて、どんな仕事を担当していますか担任が抱える業務の量を左右します
保育の業務負担を減らす取り組みは、国のガイドラインでも、ICTの活用、保育補助者の活用、記録や書類の見直しといった形で紹介されています[1]。リストの最後の質問は、こうした工夫がその園で実際に行われているかを確かめる意味もあります。登降園管理や連絡帳がアプリになっているか、書類は手書きかといった点も、業務量を左右します。
03印象を悪くしない前置きと、聞くタイミング
要点:「長く働きたいから具体的に知りたい」という前置きを添え、面接の後半か、園長が1日の流れを説明したあとに聞くと自然です。質問は3〜4つに絞り、メモを取りながら聞きます。
残業のことを聞くと「やる気がないと思われるのでは」と心配する人は多いものです。けれども、働く時間の条件を確かめるのは、求職者として当たり前のことです。求人を出す側には、時間外労働の有無などの労働条件を、原則として最初の面接などまでに明示することが求められています[2]。残業について知りたいと思うのは、制度の上でも想定されている自然な疑問だと言えます。
印象が分かれるのは、聞くかどうかではなく、聞き方です。「残業がないところがいいんです」と条件だけを突きつけるより、次のような前置きを添えると、相手も前向きに受け止めやすくなります。
- 「長く続けたいと思っているので、1日の流れを具体的にイメージしておきたくて」
- 「前の園では行事前の準備で遅くなることが多かったので、こちらではどうされているか伺いたいです」
- 「家庭との両立もあるので、帰る時間の目安を知っておきたいんです」
図4
- 園の説明を聞く園長や採用担当が1日の流れや保育方針を話す時間に、メモを取りながら気になる言葉を拾っておく
- 前置きを添える「長く働きたいので具体的に知りたい」と、聞く理由をひとこと伝える
- 期間と場面を区切って聞く「先月の2歳児担任の方は」のように、3つの型を使った質問を2〜3つ投げかける
- 答えを言い直して確かめる「18時半ごろで、行事前は週2日くらい19時半ということですね」と数字を繰り返す
- 見学につなぐ「見学のときに書類の時間の様子も見せていただけますか」と、目で確かめる機会をお願いする
答えを聞いたあとに数字を言い直すのは、思っている以上に効き目があります。「18時半ごろで、行事前は週に2日くらい19時半ということですね」と繰り返すと、相手が「いや、発表会の前はもう少し遅いかな」と補足してくれることがあります。メモを取っていることが伝わると、答えもより慎重になります。
1次面接と園長面接で聞き分ける
面接が2回ある場合は、1回目で法人の採用担当に制度や記録の仕組み(時間外の申請方法、何分単位で記録するか)を聞き、2回目の園長面接で現場の実態(何時ごろに帰るか、行事前の様子)を聞くと、答えの食い違いも見えてきます。法人の説明と園長の話がそろっていれば、制度が現場で使われているサインです。転職サービスを使っている場合は、担当者を通して事前に聞いてもらう方法もあります。その場合も、聞いてほしい質問は期間と場面を区切った形で渡しておきます。
04答え方で分かる、園の残業への向き合い方
要点:答えの数字そのものより、「数字で答えられるか」「記録や仕組みの話が出てくるか」に注目します。数字がすぐに出てくる園は、時間外を把握し、減らそうとしている園であることが多いです。
同じ質問をしても、返ってくる答えの形は園によって違います。よく見られる答え方を4つに分けてみました。
図5
数字ですぐに答える
「先月は平均18時15分くらい。発表会前の2週間は週3日19時まで」と、時期ごとに具体的に話す
把握している園。見学で裏づけを
仕組みで答える
「書類は午睡中の1時間で書く決まり」「制作はシフトの中で」と、ルールを説明する
減らす工夫がある園。例外の時期も聞く
人によると答える
「早く帰る人もいれば、残る人もいますね」と、全体の様子を言わない
把握していない可能性。担当を絞って聞き直す
気持ちで答える
「みんな好きで残っている」「子どものためならね」と、時間ではなく思いを語る
時間外が当たり前のおそれ。慎重に
「人によりますね」という答えは、すぐに悪いサインとは言えません。そのときは「では、私と同じ2歳児担任の方だと、何時ごろが多いですか」と、場面をさらに絞って聞き直してみてください。それでも数字が出てこない場合は、担任の帰る時間を園として把握していない可能性があります。
気をつけたいのは「好きで残っている」「子どものためなら」という答えです。保育への思いが強い園であることは確かかもしれません。けれども、残っている時間が勤務として扱われているかどうかは、この答え方からは分かりません。
数字を聞いたら、法律の目安と照らし合わせる
法律では、労働時間は原則として1日8時間・1週40時間までと決められています[3]。これを超えて働いてもらうには、職場の過半数の代表などと結ぶ書面の協定(いわゆる36協定)と、労働基準監督署への届出が必要で、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です[4]。時間外労働には25%以上の割増賃金が必要です[5]。
面接で聞いた数字が、この上限に近い水準なのか、ずっと下なのかを見ておくと、園どうしを落ち着いて比べられます。また、休憩は労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間を勤務の途中に与え、自由に使わせることになっています[6]。子どもの横で連絡帳を書きながらの「休憩」が当たり前になっていないかも、聞いておきたい点です。
多くの保育士が、時間の長さで職場を離れたいと考えている
仕事量や労働時間は、保育士が職場を離れたいと考える大きな理由の一つです。東京都の調査では、保育士を辞めたいと考える人の理由として、給料の安さに次いで仕事量の多さ、労働時間の長さが多く挙がっています[7]。
図6
面接で残業を聞くことは、わがままではなく、長く働くための準備です。同じ理由で職場を離れたいと考える人が多いからこそ、入る前に確かめておく意味があります。
05相談事例:「ほとんどない」の中身を、数字で聞き直した
要点:前回の転職で「残業はほとんどない」を信じて後悔した保育士が、質問の形を変えて面接に臨んだモデルケースです。どんな質問で、答えにどんな違いが見えたかに注目してください。
3つの園に同じ質問をして、答え方の違いで選んだ
相談事例(モデルケース)
- お名前
- かよさん(仮名)・33歳
- 保育士歴
- 10年目(相談当時)
- 勤務先
- 私立の認可保育園(定員約100名)、4歳児クラス担任から転職
- 家族
- 夫と小学1年生の子どもの3人暮らし
- 変化
- 平日の退勤 平均19時半ごろ → 18時15分ごろ、持ち帰り 週3日 → 年1回
編集部前回の転職では、どんなことがあったのですか。
面接で「残業はありますか」って聞いたら、園長先生がにこっとして「ほとんどないですよ」って。それで安心しちゃったんです。でも入ってみたら、秋は運動会と発表会の準備で毎日20時過ぎ。衣装づくりは家に持ち帰りで、週に3日は夜に作業していました。だまされたというより、自分の聞き方が甘かったんだなと思っています。
編集部今回は、面接にどんな準備をして臨みましたか。
質問を4つだけ紙に書いていきました。「4歳児担任の方は先月何時ごろ帰っていましたか」「発表会前の2週間は何時までの日が週に何日ありましたか」「衣装や壁面は勤務時間のどこで作っていますか」「時間外はどう申請していますか」。前置きに「長く働きたいので、具体的に知っておきたくて」と言うようにしたら、どの園でも嫌な顔はされませんでした。
編集部3つの園で、答えにどんな違いがありましたか。
1つめの園は、主任の先生が手帳を開いて「先月は平均すると18時15分くらい。発表会前は週3日、19時までの日がありました」って。衣装は買うものもあって、作る分は午睡の時間に2人で、という説明でした。2つめは「人によるかな」で、聞き直しても数字は出てこなくて。3つめは「みんな子どもが好きだから、自然と残っちゃうのよね」と。正直、前の園長先生の言い方とそっくりで、背中がひやっとしました。
編集部最終的に、何が決め手になりましたか。
数字を言ってくれた園で、見学のときに書類の時間がシフト表に書いてあるのを見せてもらえたことです。言っていることと紙が一致していたので、ここなら信じていいかなって。給料は3つめの園のほうが月に1万円ほど高かったんですけど、迷いませんでした。
数字で聞いたら、数字で返してくれる園と、気持ちで返してくる園に、きれいに分かれたんです。
かよさん(仮名)
かよさんは1つめの園に入職して1年がたちました。発表会の前には19時ごろまで残る日もありますが、時間外は申請どおりに記録され、衣装づくりを家に持ち帰ったのは1年で1回だけだったそうです。平日の退勤は18時15分前後に落ち着き、子どもと夕飯を食べられる日が週に4日ほどになりました。
このケースで役立ったのは、特別な交渉術ではありません。期間と場面を区切った同じ質問を、複数の園に投げかけたことです。同じ物差しで聞いたからこそ、答え方の違いがはっきり見えました。
※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。
06聞いた答えを、入職前に確かめる手順
要点:面接で聞いた数字は、見学で目にしたものや、内定後にもらう労働条件通知書と照らし合わせて初めて確かな情報になります。メモを残し、食い違いがあれば承諾の前に質問します。
図7
質問を3〜4つに絞って書く
前の園で困った場面を思い出し、期間・場面・単位の入った質問を紙かスマホにまとめます
面接で聞いてメモする
答えの数字と、誰が答えたかを書き留めます。答えを言い直して確かめると、補足が引き出せます
見学で目で確かめる
夕方の職員室の様子、シフト表の書類時間、制作物の置き場所などを見せてもらいます
求人票と見比べる
時間外労働の有無や、固定残業代がある場合はその内訳が、面接の話と合っているかを確かめます
労働条件通知書と照合する
内定後にもらう書面の始業・終業時刻、休憩、時間外労働の有無を、メモと1項目ずつ見比べます
食い違いは承諾前に聞く
違いがあれば、承諾の返事をする前にメールなどで質問し、回答を残しておきます
求人票では、固定残業代を支払う場合はその内訳を示すことになっています[2]。面接で「残業はほとんどない」と聞いたのに、求人票や書面に一定時間分の固定残業代が含まれている場合は、その時間がどのくらい想定されているのかを確かめておくと安心です。
もし入職後に、明示された労働条件が実際と違っていた場合、労働者はその労働契約をすぐに解除できると法律で定められています[8]。ただ、面接での口約束だけでは、何が条件として示されていたのかをあとから確かめるのが難しくなります。気になる点はメールなど形に残る方法で聞いておくと、自分を守る材料になります。入職前に確認しておきたい項目は入職前に確認することと労働条件通知書の見方で詳しくまとめています。
07質問を工夫しても見抜けないこと
要点:数字で聞いても、年度やクラス編成、職員の入れ替わりで実態は変わります。面接の答えは「その時点の目安」と考え、ほかの情報と組み合わせて判断してください。
1. 数字は年度ごとに動く
どれだけ正直に答えてもらっても、その数字は「去年」や「先月」のものです。退職者が出て人が減れば、同じ園でも帰る時間は遅くなります。新しく保育補助の人が入れば、早くなることもあります。面接で聞いた数字は約束ではなく目安として受け止め、「職員が減ったときは、どう回していますか」と、変化したときの対応も聞いておくと、園の考え方が見えてきます。
2. 残業の少なさだけで選ぶと、別のところでつまずく
残業が少ない園が、あなたにとって働きやすい園とは限りません。人間関係、保育方針、通勤時間、給料など、ほかの条件とのバランスがあってこその働きやすさです。かよさんも、残業の答え方だけでなく、見学で感じた職員どうしの雰囲気を合わせて判断していました。残業の少ない園を求人の段階で絞り込む方法は残業が少ない園を求人票から見分ける方法で、働きやすさ全体の見極め方は働きやすい園の見分け方で紹介しています。
質問を考えるのが難しいときや、前の園で何がつらかったのかを言葉にできないときは、保育の現場を知っている人と一緒に整理すると、聞くべきことが見えてきます。ほいくの相談室では、転職するか決めていない段階でも、面接で何を聞けばいいかの整理から相談を受けています。給与の聞き方も合わせて準備したい人は、面接で給料について聞く方法も参考にしてください。
よくある質問
残業のことを聞くと、面接で不利になりませんか?
聞き方を工夫すれば、不利になることはほとんどありません。「長く働きたいので、1日の流れを具体的に知りたい」と理由を添え、期間や場面を区切って聞けば、仕事をイメージしようとしている姿勢として受け止められやすくなります。条件だけを何度も繰り返し確認するような聞き方は避けたほうが無難です。
面接で聞きそびれたときは、どうすればいいですか?
見学の機会があれば、そのときに担任の先生や主任に聞くことができます。内定の連絡を受けた段階で、メールで質問するのも一つの方法です。承諾の返事をする前に聞いておけば、答えを判断の材料にできます。
「残業代は全額出ます」と言われたら、安心していいですか?
残業代がつくことは大事ですが、それだけでは時間の長さは分かりません。「先月の時間外は何時間くらいでしたか」と時間でも聞いておくと、生活とのバランスを考えやすくなります。持ち帰りの仕事が時間外として記録されるのかも、合わせて確かめておくと安心です。
転職サービスの担当者に、残業のことを代わりに聞いてもらってもいいですか?
聞いてもらうことはできます。その場合も「何時ごろに帰るか」「行事前は週何日遅くなるか」のように、聞いてほしい質問を具体的に伝えておくと、あいまいな答えで終わりにくくなります。面接では、担当者から聞いた答えを自分でも確かめるつもりで質問してください。
パートで応募する場合も、残業について聞いたほうがいいですか?
パートでも、時間どおりに帰れるかは大事な条件です。「お迎えがあるので17時に園を出られるか」のように、自分の事情と合わせて聞くと答えてもらいやすくなります。会議や行事の日の扱いも確かめておくと、入職後に慌てずにすみます。
参考にした資料
- 保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン(こども家庭庁掲載)
- 厚生労働省 求職者向けリーフレット(2024年4月)
- 厚生労働省 FAQ「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」
- 確かめよう労働条件「時間外・休日労働と割増賃金」
- 厚生労働省 FAQ「法定労働時間と割増賃金について教えてください。」
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- 東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査 結果の概要」
- 確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」(厚生労働省)
※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。