保育士は転職するべきか|判断基準とメリット・デメリット

12月の職員会議のあと、来年度の意向調査の用紙が配られました。「来年度も勤務を希望しますか」という欄に丸をつけられないまま、もう3日が過ぎています。辞めたいほど嫌なことがあるわけではない。でも、このまま続けていいのかも分からない。保育士として何年か働くと、多くの人がこうした「転職するべきか」という問いにぶつかります。

調べてみると「辞めて正解だった」という声と「転職して後悔した」という声の両方が見つかり、かえって迷いが深くなることもあります。どちらの体験談も本当ですが、そのままあなたの答えにはなりません。転職するべきかどうかは、悩みの中身と、転職で手に入れたいものによって人ごとに変わるからです。

この記事では、保育士が転職するべきかを判断するための基準と、転職のメリット・デメリットを一枚の表にまとめました。読み終えたときに「自分は今、動くべきか、もう少し様子を見るべきか」を、自分の言葉で説明できる状態を目指します。

この記事でわかること

  • 保育士が転職するべきかを分ける2つの問いと、7つの判断基準
  • 転職で得られるもの・失うものを比べる方法(メリット・デメリット)
  • 「転職したほうがいい人」と「まだ動かなくていい人」の違い
  • 迷いを決断に変える4週間の進め方

結論

保育士が転職するべきかは、「今の悩みは今の園で解決できるか」と「転職で得たいものは、失うものより大きいか」の2つの問いで判断します。悩みの中には担当や分担の見直しで変わるものもあれば、園の方針や人員体制のように個人では変えにくいものもあるからです。具体的には、悩みの原因、園への相談の有無、悩みが続いた期間、転職の目的、失うもの、心身の状態、生活費の見通しの7つを確かめ、メリットとデメリットを同じ紙に書き出して比べます。園で解決できないことがはっきりし、転職で得たいものを一言で言えるなら、転職を具体的に進めてよい段階です。

01転職するべきかは、2つの問いで見えてくる

要点:まず「今の園で解決できるか」、次に「転職で得たいものがはっきりしているか」を順番に確かめます。この2つの答えの組み合わせで、次にとる一手が決まります。

保育士の求人は、全国的に見て多い状態が続いています。2026年7月の保育士の有効求人倍率は2.80倍で、全職種の平均1.15倍を大きく上回りました[1]。東京都では同じ月に4.04倍です[2]。多くの地域では「転職先が見つかるかどうか」よりも、「転職するべきかどうか」「どこを選ぶか」のほうが悩みの中心になりやすい、ということです。

求人が多いと、「今より条件の良い園はいくらでもある」と感じやすくなります。けれども、求人の数が多いことと、あなたの悩みが転職で解決することは別の話です。持ち帰り仕事がつらい人が、持ち帰りの多い園に移れば同じことが起きます。人間関係に疲れた人が、職員同士の関係を確かめないまま移れば、また別の関係に悩むかもしれません。最初に確かめたいのは、悩みが「場所」の問題なのか、それとも「やり方」や「時期」の問題なのかです。

図1

今の悩みは、今の園で解決できるか

  1. 心と体が限界に近い判断より先に休むことと受診を優先する。転職するかは回復してから考える
  2. 園で解決できそう担当、シフト、分担など、変えてほしいことを一つに絞って園に相談する
  3. 解決できるか分からない期限を決めて一度だけ相談し、何が変わったかを見てから判断する
  4. 解決できない、得たいものが明確転職を具体的に検討する段階。条件を絞り、情報を集め始める
  5. 解決できない、得たいものが曖昧自己分析から始める。何から離れたいかではなく、何を得たいかを言葉にする
図1 転職するべきかの答えを出す流れ

自分がこの図のどこにいるかが分かると、「転職するべきか」という大きな問いが、「今週なにをするか」という小さな問いに変わります。大きな問いのままだと答えは出ませんが、小さな問いなら今日から動けます。

「辞めたい」と「転職したい」は同じではない

似ているようで、この2つは向いている方向が違います。「辞めたい」は今の状況から離れたいという気持ちで、「転職したい」は次の場所で何かを得たいという気持ちです。「辞めたい」だけで動くと、次の園を選ぶ基準が「今の園と違うこと」だけになり、求人票のどこを見ればいいかが定まりません。

たとえば「主任が怖いから辞めたい」の奥には、「質問しやすい職場で働きたい」「一人で抱え込まずに保育したい」という願いが隠れていることがあります。この願いのほうを言葉にできると、見学で何を確かめればいいかがはっきりします。得たいものがまだ言葉にならない人は、保育士の自己分析のやり方から始めると整理しやすくなります。

02保育士が転職するべきかを判断する7つの基準

要点:次の7つのうち、当てはまるものが多いほど、転職を具体的に考える段階に近づいています。ただし6番目の心身の状態だけは別扱いで、不調のサインがあれば、ほかの基準より休むことを優先してください。

図2

  • 悩みの原因が、園の方針・体制・特定の人など、自分の努力では変えにくいところにある個人の工夫で変えられることなら、転職より先に試せる手があります
  • 変えてほしいことを、園長や主任に具体的に伝えたことがある伝えても変わらなかった経験は、環境を変える十分な根拠になります
  • 同じ悩みが半年以上、行事の有無に関係なく続いている行事前だけのつらさなら、時期が過ぎると軽くなることもあります
  • 転職で得たいものを一言で言える「遅番を減らしたい」のように言えると、求人を選ぶ物差しになります
  • 転職で失うものを書き出し、それでも動きたいと思える失うものを知らずに動くと、移ったあとに後悔しやすくなります
  • 眠れない、涙が出るなどの不調が続いていない不調があるときは、判断そのものが悲観的に傾きやすくなります
  • 収入が途切れても数か月は暮らせる見通しがあるお金の不安が強いと、条件を確かめないまま決めてしまいがちです
図2 転職するべきかを判断する7つの基準

悩みの「原因」を見極める基準(1〜3)

1つ目は、悩みの原因がどこにあるかです。書類が終わらないのは、園の様式が細かすぎるからなのか、それとも書く時間がシフトに組まれていないからなのか。先輩が怖いのは特定の1人なのか、園全体にそういう空気があるのか。原因が園の方針や体制にあるほど、個人の努力では変わりにくくなります。

2つ目は、園に伝えたことがあるかどうかです。「つらい」と感じていても、園長や主任に具体的に伝えたことがない人は少なくありません。「月案と週案を家で書く日が週3日あります。午睡の時間に30分、書類の時間をもらえませんか」のように、場面と回数を添えて伝えたかどうかを振り返ってください。伝えて変わらなかったなら、それは転職を考える根拠になります。

3つ目は、悩みが続いている期間です。運動会や発表会の前の1か月だけ辞めたくなるのか、4月からずっと同じことで悩んでいるのか。行事の繁忙期を過ぎると落ち着く悩みなら、転職より分担の見直しのほうが効くことがあります。半年以上、季節を問わず続いているなら、一時的な疲れではないと考えてよいはずです。

転職の「目的」に関する基準(4〜5)

4つ目は、転職で得たいものを一言で言えるかです。「遅番を月4回以内にしたい」「乳児クラスを担当したい」「持ち帰り仕事をなくしたい」のように、具体的であるほど求人を選ぶ物差しになります。反対に「とにかく今より良いところ」としか言えないうちは、どの求人も良く見えたり、どれも足りなく見えたりします。

5つ目は、転職で失うものを書き出せるかです。慣れた子どもや保護者との関係、気心の知れた同僚、積み上げてきた立場、勤続年数に応じた有給休暇。失うものを書き出したうえで「それでも動きたい」と思えるなら、決断はぶれにくくなります。書き出してみて「やっぱり手放したくない」と感じたなら、それも大事な答えです。

判断の「土台」に関する基準(6〜7)

6つ目は、心と体の状態です。眠れない、食欲がない、出勤前に涙が出るといった状態が2週間以上続いているなら、転職するべきかを考える前に休むことと受診を優先してください。疲れ切った状態では、どの選択肢も悪く見えたり、反対に「とにかく辞めれば楽になる」と考えたりしやすくなります。電話で話を聞いてほしいときは、働く人の「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時。祝日・年末年始は休止)が使えます[3]。相談先の選び方はメンタル不調のときの相談先にもまとめています。

7つ目は、お金の見通しです。次の職場が決まる前に退職すると、収入が途切れる期間が生まれます。自己都合で退職した場合、雇用保険の基本手当は、受給資格の決定から7日間の待期期間があり[4]、さらに2025年4月1日以降の離職では原則1か月の給付制限があります[5]。在職中に次の園を決めるのか、辞めてから探すのかで、必要な貯えは変わります。

03転職のメリット・デメリットを一枚の表で比べる

要点:転職のメリットは「今の園では変えられないこと」を変えられる点、デメリットは「今の園で積み上げたもの」をいったん手放す点です。両方を同じ表に並べると、自分にとってどちらが重いかが見えてきます。

図3

項目転職する今の園で続ける
人間関係一度リセットできる。ただし新しい関係を一から作る気心の知れた同僚がいる。こじれた関係は残りやすい
仕事量・持ち帰り書類や行事の少ない園を選べば変わりうる分担や様式の見直しを交渉すれば変わることもある
給与上がることも下がることもある。手当の内訳次第昇給や役職手当の見通しが立てやすい
有給休暇雇入れから6か月継続勤務して10日が付与されるのが原則[6]勤続年数に応じて付与日数が増えていく[6]
経験と立場経験は持っていけるが、園のやり方は覚え直しリーダーや主任などの役割を任されやすい
子どもとの関係担任の子どもと別れることになる成長を続けて見守れる
働き方固定時間、パート、園種など選び直せる勤務形態の変更は園との相談次第
図3 転職する場合と、今の園で続ける場合の比較

転職で得られるもの

  • 職員構成、保育方針、園の規模を選び直せる
  • 固定時間、週4日勤務、パートなど、働き方そのものを変えられる
  • 別の園の保育を知ることで、自分の保育の幅が広がる
  • 「このまま我慢し続ける」状態から抜けられる

メリットの中でも大きいのは、自分では変えられなかった「仕組み」ごと選び直せることです。行事の準備がシフトの中に組まれている園、連絡帳をアプリで書く園、ノンコンタクトタイムが決まっている園など、働き方の仕組みは園によってかなり違います。今の園で何年も交渉して変わらなかったことが、園を移った初日から当たり前になっている、ということもあります。

転職で失うもの・注意したいこと

デメリットとして見落としやすいのが、有給休暇の日数です。年次有給休暇は、雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に10日が付与され、その後は勤続年数に応じて増えていきます[6]。勤続6年6か月以上で年20日になっていた人が転職すると、新しい園では入職から半年間は有給がなく、半年後も10日から数え直しになるのが原則です。

借り上げ社宅に住んでいる人も注意が必要です。国の保育士宿舎借り上げ支援事業は、採用された日から5年以内の常勤保育士が対象で、一人1回限り(やむを得ない事情による退職を除く)とされています[7]。実際の扱いは自治体や法人によって異なるため、転職先で同じ支援を受けられるかは、応募前に確かめておくと安心です。

給与は、上がる人もいれば下がる人もいます。基本給だけでなく、処遇改善の手当や賞与、住宅手当を含めた年収で比べないと、判断を誤りやすくなります。比べ方は転職で年収が下がるか確かめる方法で詳しく紹介しています。

メリットとデメリットに「重さ」をつける

表を作ったら、それぞれの項目に1〜3点で重さをつけてみてください。たとえば「持ち帰りがなくなる」が3点、「有給がいったん減る」が1点、「担任の子どもと別れる」が2点、という具合です。点数そのものに正解はありません。合計を比べると、頭の中だけで考えていたときよりも、自分が何を重く見ているかがはっきりします。点数をつける途中で手が止まった項目があれば、そこがあなたにとっての本当の迷いどころです。

04転職したほうがいい人、まだ動かなくていい人

要点:転職したほうがいいのは、園に伝えても状況が変わらず、転職で得たいものがはっきりしている人です。まだ誰にも相談していない人や、得たいものが決まっていない人は、動く前にできることが残っています。

図4

まず休みたい人

眠れない、涙が出るなどの状態が続き、考える力が落ちている

判断は回復してから

転職を進めてよい人

園に相談しても変わらず、得たいものを一言で言える

情報収集と応募の準備へ

園での調整が先の人

悩みははっきりしているが、まだ園の誰にも伝えていない

一度だけ具体的に相談

自分を知るのが先の人

今の園から離れたいが、次に何を求めるかが曖昧

自己分析から始める

図4 今の状態から見た4つのタイプ

まず休みたい人は、転職するべきかという問いを、いったん横に置いてかまいません。有給休暇を使って数日休む、かかりつけ医に相談するなど、回復を先にします。体調が戻ってから考えると、同じ状況でも見え方が変わることがあります。

転職を進めてよい人は、迷い続けるより、情報を集め始めたほうが気持ちが楽になる段階です。応募するかどうかは後で決めればよく、まずは求人票を見て、自分の条件に合う園がどれくらいあるかを知るだけでも十分です。動く時期の決め方は転職のベストタイミングと年度末からの逆算が参考になります。

園での調整が先の人は、一度だけ、具体的に伝えてみてください。言いにくければ「来年度の担当について相談したいことがあります」と、面談の時間をもらうところから始めれば十分です。伝えて変われば続ける理由になり、変わらなければ転職を考える根拠になります。どちらに転んでも、判断の材料は増えます。

自分を知るのが先の人は、今の園の嫌なところではなく、これまでの保育でうれしかった場面を書き出すところから始めます。「何から離れたいか」より「何を大事にしたいか」が見えてくると、転職するべきかの答えも自然に出てきます。

「まだ動かなくていい」は、「ずっと動くな」という意味ではありません。今の園に残る道を一度きちんと検討してから決めたい人は、今の園に残るか迷うときの考え方も合わせて読んでみてください。

05相談事例:メリットとデメリットに点数をつけて決めた

要点:7つの基準と比較表を使って、転職を決めたモデルケースです。転職そのものより、「何を得たいか」を言葉にした過程と、一度は今の園で交渉した点に注目してください。

「失うもの」を書き出したら、迷いが小さくなった

相談事例(モデルケース)

お名前
しずかさん(仮名)・34歳
保育士歴
12年目(相談当時)
勤務先
私立の認可保育園(定員約120名)、4歳児クラス担任・行事リーダー
家族
夫と3歳の長女の3人暮らし
変化
平日の帰宅 19時半ごろ → 17時15分ごろ

編集部転職を考え始めたきっかけは何でしたか。

しずかさん

娘が2歳になったころから、遅番の日のお迎えが夫まかせになったんです。週に3回は遅番で、19時まで延長保育の子を見て、それから自分の子を迎えに行く。寝る前の1時間しか一緒にいられなくて、よその子を見ていて自分の子に会えないって、なんなんだろうって。

編集部すぐに転職を決めたわけではなかったんですね。

しずかさん

全然です。12年いる園なので、辞めたら全部なくなる気がしていました。行事リーダーも任されていたし、来年は副主任かもって言われていて。それを手放すのが、正直こわかった。だから相談のときも「辞めるべきか、まだ分からないんです」から話し始めました。

編集部園には相談してみたのですか。

しずかさん

遅番を週1回に減らせないか、園長に聞きました。でも「担任は全員同じ回数」という決まりは変えられないと言われて。そこで、これは今の園では解決できないことなんだって、気持ちが固まりました。

編集部最後の決め手は何でしたか。

しずかさん

メリットとデメリットを表にして、1〜3点で重さをつけたことです。「娘と夕飯を食べられる」が3点、「副主任の話がなくなる」が2点、「有給がいったん減る」が1点、みたいに。合計したら、思っていたよりはっきり差が出ました。あと、相談員さんが「転職しなくても、シフトの相談の仕方はありますよ」と残る道も一緒に考えてくれたのが大きかったです。押されなかったから、自分で決めたって思えています。

失うものを全部書いてみたら、思っていたほど多くなかったんです。

しずかさん(仮名)

しずかさんは、勤務時間が7時半から16時半までの固定になっている小規模保育事業所を選び、年度末で退職しました。年収は前の園より約25万円下がりましたが、家族そろって夕食をとれる日は週1日から週5日に増えたそうです。行事リーダーの経験は、新しい園で運動会の進め方を見直すときに頼りにされています。

このケースで持ち帰りたいのは、しずかさんが「辞めたい」ではなく「娘と夕飯を食べたい」という得たいものから考えたことです。得たいものが一つに絞れていたから、年収が下がるというデメリットも、納得したうえで受け入れられました。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図5

転職前転職後

遅番の回数

週3回
なし(固定時間)

平日の帰宅時刻

19時半ごろ
17時15分ごろ

家族で夕食をとる日

週1日
週5日

持ち帰り仕事

週2日
月1日程度
図5 しずかさんの働き方の変化(モデルケース)

06迷いを決断に変える4週間の進め方

要点:転職するべきか迷う期間は、4週間を一区切りにすると動きやすくなります。週ごとにやることを決めておくと、「考えているだけで何も進まない」状態から抜け出せます。

図6

  1. 悩みを書き出す(1週目)

    1週間、つらかった場面と時間をメモし、原因が園の仕組みか、特定の人か、自分の体調かを分けます

  2. 心身の状態を確かめる(1週目)

    眠れない、食べられない状態が2週間以上続いていれば、判断の前に受診と休養を優先します

  3. 園に一度だけ相談する(2週目)

    変えてほしいことを一つに絞り、場面と回数を添えて園長や主任に伝えます

  4. 求人と働き方を調べる(2〜3週目)

    応募はせず、求人票や園のホームページを見て、条件に合う園がどれくらいあるかを確かめます

  5. メリットとデメリットに点数をつける(3週目)

    比較表の項目に1〜3点で重さをつけ、得るものと失うものを比べます

  6. 決めて、見直す日を書く(4週目)

    転職する、残る、もう一度様子を見るのどれかを選び、次に見直す日をカレンダーに書きます

図6 保育士が転職するべきかを4週間で判断する手順

4週間で答えが出なくても、失敗ではありません。少なくとも、悩みの原因と、園に伝えた結果と、求人の状況という3つの材料が手に入っています。材料がそろっていれば、次の4週間はもっと短く感じるはずです。

転職すると決めたら

最初に決めたいのは、いつ辞めて、いつ新しい園で働き始めるかです。担任を持っている人の多くは年度末を区切りにしますが、体調や家庭の事情によっては年度途中のほうがよい場合もあります。就業規則で退職の申し出の期限を確かめたうえで、応募から内定までの期間を逆算してください。

残ると決めたら

残ると決めたなら、それは迷いに負けたのではなく、検討した末の選択です。そのうえで、園にお願いしたこと、次に見直す日、そのときに何が変わっていれば続けるかを、手帳に書いておきましょう。決めた理由が手元にあると、つらい日にも揺れにくくなります。

07転職で変わること、変わらないこと

要点:転職は環境を変える強い手段ですが、どの園にも書類や行事、職員同士の関係はあります。変えられることと変えられないことを分けておくと、移ったあとの「こんなはずじゃなかった」を減らせます。

1. 保育の仕事そのものの大変さは残る

連絡帳、指導計画、午睡チェック、保護者対応、ヒヤリハットの記録。園によって量ややり方は違っても、保育の仕事である以上、なくなることはありません。悩みの中心が「保育という仕事そのもの」にあると感じるなら、園を移るより、学童保育や児童発達支援など保育士の経験が活きる別の職場や、保育以外の仕事まで視野を広げたほうが合っているかもしれません。

2. 新しい園にも、合わないところは必ずある

どれだけ慎重に選んでも、入ってみて初めて分かることはあります。新しい園のやり方に慣れるまでの数か月は、前の園の良かったところばかり思い出しやすい時期です。転職でどんなことを後悔しやすいかを先に知っておくと、選ぶ段階で防げることが増えます。具体的なパターンは転職で後悔するパターンとうまくいく人の共通点にまとめています。

3. 転職しないことも、立派な答え

この記事を読んで「やっぱり今の園で続けたい」と思ったなら、それも十分に価値のある答えです。7つの基準を確かめ、メリットとデメリットを比べたうえで残るのなら、それは何も考えずに続けるのとはまったく違います。

どちらを選ぶにしても、一人で考え続けると堂々めぐりになりやすいものです。保育の現場を知っている人に話しながら比較表を埋めると、自分の重さのつけ方に気づけることがあります。ほいくの相談室では、転職するかどうかを決める前の「迷っている段階」の相談も受けています。

よくある質問

保育士は何年目で転職するのがよいですか?

何年目が正解ということはありません。大事なのは年数より、転職で得たいものがはっきりしているかどうかです。1年目でも心身の不調や労働条件の問題があれば動いてよく、10年目でも得たいものが曖昧なら、先に整理する時間を取ったほうが後悔しにくくなります。

転職するべきか迷っている段階で、求人を見てもいいですか?

求人を見るだけなら、誰かに何かを約束することにはならないので問題ありません。むしろ、自分の条件に合う求人がどれくらいあるかを知ると、判断の材料になります。ただし、気持ちが弱っているときに見ると、どの求人も良く見えて焦りやすいので、見る時間を決めておくと安心です。

転職して給料が下がることはありますか?

あります。基本給は上がっても、処遇改善の手当や賞与、住宅手当が変わって年収が下がることもあります。求人票の月給だけで比べず、今の給与明細と並べて、年収と手取りで比べるのがおすすめです。

家族に「もったいない」と言われました。どう考えればいいですか?

家族は、長く勤めてきたことや安定した収入を心配して、そう言うことが多いものです。比較表やメリット・デメリットの点数を見せながら話すと、気持ちだけでなく、何を得たくて何を手放すのかが伝わりやすくなります。最後に決めるのは自分ですが、理由を共有しておくと、転職後の支えにもなります。

転職するべきか、同じ園の同僚に相談してもいいですか?

信頼できる相手なら、気持ちを聞いてもらうだけでも楽になります。ただし、まだ決めていない段階の話が園の中で広がると、来年度の配置に影響したり、気まずくなったりすることがあります。迷いの段階では、園の外の人に話すほうが安心な場合もあります。

参考にした資料

  1. こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」(出典:厚労省 職業安定業務統計)
  2. こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」
  3. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
  4. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
  5. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
  6. 厚生労働省 FAQ「年次有給休暇とはどのような制度ですか…」
  7. こども家庭庁「令和8年度 保育関係予算の概要」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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