保育士が働き方を見直す時期とサイン|生活リズムに合う職場

下の子の3歳の誕生日を家族で祝った翌週、園長から声をかけられた。「来月から短時間勤務が終わるから、フルタイムに戻ってもらえる? 遅番も少しずつお願いしたいの」。頭では分かっていたはずなのに、いざ言われると、夕方からの段取りが一気に崩れていくのが見えました。

保育士の働き方は、毎日の生活リズムと強く結びついています。早番の朝は子どもを開所と同時に預け、遅番の夜は延長保育に駆け込む。その形がなんとか回っていても、子どもの年齢が一つ上がる、上の子が小学校に入る、自分の体力が落ちてくる、といった変化が一つ加わるだけで、急に回らなくなります。

この記事では、保育士が働き方を見直したほうがいいサインと、子どもの年齢によって訪れる制度の切れ目、生活リズムに合う職場の探し方、そして転職したあとの家庭生活に起こりやすい変化までをまとめました。「今がその時期なのか」を判断する材料にしてください。

この記事でわかること

  • 働き方を見直したほうがいい10のサインと、結果の読み方
  • 子どもの年齢によって変わる制度の切れ目と、見直しを始める時期
  • 家族の1日から逆算して、生活リズムに合う職場を探す方法
  • 転職や働き方の変更のあとに、家庭生活で起こりやすい変化と備え方

結論

保育士が働き方を見直す時期は、「体や生活に表れるサイン」と「子どもの年齢による制度の切れ目」の2つで判断できます。遅番の日の夕食が毎回遅くなる、休日の半分以上が持ち帰りや家事で終わるといったサインが続いているなら、見直しを始めてよい時期です。また、短時間勤務の制度は3歳になるまで[1]、残業の免除は小学校就学前まで[2]と、子どもの年齢で使える制度が変わるため、切れ目の半年ほど前から準備すると慌てずに済みます。見直すときは、求人から探すのではなく、家族の1日の時間割を先に書き、その中で働ける時間帯に合う職場を選ぶのが確実です。

01見直す時期は「サイン」と「節目」の2つで分かる

要点:働き方を見直す時期は、毎日の生活に出てくる「サイン」と、子どもの年齢や家族の変化による「節目」の両方から判断します。サインが3つ以上あるか、節目が半年以内に迫っているなら、見直しを始める目安です。

「そろそろ働き方を考えたほうがいいのかな」と感じても、多くの人は「もう少し様子を見よう」と先送りします。毎日がなんとか回っているうちは、変える理由が見つけにくいからです。けれど、限界が来てから慌てて職場を探すと、条件を比べる余裕がなく、合わない職場を選んでしまうことがあります。次のサインに当てはまるものがいくつあるか、数えてみてください。

図1

  • 遅番の日の夕食が、毎回20時を過ぎる生活リズムが子どもの寝る時間とぶつかっています
  • 休日の半分以上が、持ち帰りか家事で終わる平日の負担が休日にまで流れ込んでいます
  • 朝起きた時点で疲れている日が、週の半分以上ある睡眠や回復の時間が足りていません
  • 子どもの行事や通院で休むたびに、強い罪悪感がある休みにくい仕組みの中で、無理を重ねています
  • 家族と落ち着いて話す時間が、週に1時間もない家庭の中の調整が後回しになっています
  • 家族から「最近ずっと疲れている」と言われた自分では気づきにくい変化が、周りには見えています
  • 早番や遅番の日に、家族や親に頼る回数が増えた今の働き方が、周りの助けを前提に回っています
  • 子どもの年齢が、制度の切れ目に近づいている短時間勤務などが終わると、今の形が崩れます
  • 自分の体力の落ち方を、仕事中に感じる抱っこや行事の準備が、以前より体にこたえています
  • 1年後も今の働き方を続けている姿が想像できない先の見通しが立たないことが、不安を大きくしています
図1 働き方を見直したほうがいい10のサイン

当てはまる数が0〜2なら、今の働き方の中で小さな調整を続ける段階です。3〜5なら、働き方を見直す準備を始める目安になります。6以上なら、今の働き方が生活に合わなくなっている可能性が高いと考えてください。ただし数はあくまで目安で、一つでも「これは続けられない」と感じる項目があれば、それだけで見直す理由になります。

サインは「気のせい」で片づけない

サインの多くは、ゆっくりと進むので気づきにくいものです。夕食の時間が少しずつ遅くなる、休日に出かけなくなる、家族との会話が減る。どれも、ある日突然ではなく、気づいたら当たり前になっています。だからこそ、チェックリストのように外から眺める道具が役に立ちます。半年に一度、子どもの誕生日や年度の切り替わりに合わせて見直す習慣をつけるのも一つの方法です。

サインが出ているのに動けないとき

当てはまる数が多いのに、どうしても動き出せないこともあります。「今のクラスの子たちを最後まで見たい」「職場に迷惑をかけたくない」「新しい職場でうまくやれるか不安」。どれも自然な気持ちです。そんなときは、職場を変えるかどうかの結論を急がず、「見直しの準備だけを始める」と決めてみてください。家族の1日を書き出す、制度の切れ目を手帳に書く。それだけなら、誰にも迷惑はかかりません。準備ができていれば、いざ動くと決めたときに慌てずに済みます。

02子どもの年齢で変わる「制度の切れ目」

要点:子育て中に使える制度は、子どもの年齢によって対象が決まっています。切れ目を過ぎると今の働き方が続けられなくなることがあるため、半年前を目安に次の働き方を考え始めます。

子育て中の保育士が使える制度は、2025年の育児・介護休業法の改正で広がりました。ただ、どの制度にも「子どもが何歳まで」という区切りがあります。冒頭の場面のように、3歳の誕生日を境に短時間勤務が終わり、急にフルタイムに戻ることになって困る人は少なくありません。主な制度と切れ目を、年齢の順に並べました。

図2

  1. 妊娠中から産後8週まで産前6週間(多胎妊娠は14週間)は請求すれば休め、産後8週間は原則として働けない[3]
  2. 0歳から3歳になるまで1日原則6時間の短時間勤務の制度を使える[1]。園は両立支援の制度を個別に知らせ、意向を確認する[4]
  3. 3歳から小学校就学前まで園が始業時刻の変更や短時間勤務などから2つ以上の制度を用意し、本人が1つを選ぶ[4]
  4. 小学校就学前まで残業の免除(所定外労働の制限)を請求できる[2]
  5. 小学校3年生修了まで子の看護等休暇を1年度に5日(子が2人以上は10日)、時間単位でも使える[2][1]
図2 子どもの年齢と、使える制度の切れ目

切れ目ごとに、何が変わるのか

3歳になるときは、短時間勤務の法律上の対象から外れます。ただ、2025年10月からは、3歳から小学校就学前までの子を育てる人について、園が始業時刻の変更、テレワーク等、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇、短時間勤務のうち2つ以上を用意し、本人が1つを選べるようになりました[4]。勤務先の園が何を用意しているかで、3歳以降の働き方は大きく変わります。

小学校に入るときは、残業の免除や、3歳から就学前の両立支援の制度の対象から外れます。一方で、放課後の預け先や、長期休みの過ごし方など、生活の組み立て方が保育園のころとは変わります。保育士は、自分の子どもの入学と、勤務先の年度末の繁忙期が重なることも多く、準備の時間が取りにくい時期です。

小学校3年生を終えるときは、子の看護等休暇の対象から外れます[2]。子どもが自分で留守番できる時間が少しずつ増える時期でもあり、勤務時間を延ばすことを考え始める人もいます。

どの切れ目も、半年前には見えています。子どもの誕生日や入学の時期から逆算して、「この日までに次の働き方を決める」という期限を手帳に書いておきましょう。制度の切れ目に限らず、両立の悩みを広く整理したいときは、保育士の子育てと仕事の両立の全体像が役に立ちます。

03生活リズムに合う職場は、家族の1日から逆算して探す

要点:生活リズムに合う職場を見つけるには、求人を見る前に、家族の1日の時間割を書き出します。その中で働ける時間帯が決まれば、合う職場のタイプが自然に絞られます。

働き方を見直そうと決めたとき、多くの人はまず求人サイトを開きます。けれど、自分の条件が決まっていないまま求人を見ると、「給与が高い」「駅から近い」といった目立つ条件に引っ張られ、生活リズムとの相性を見落としがちです。順番を逆にして、家族の1日から考えていきましょう。

図3

  1. 家族の1日を書く起床、子どもの送り、迎え、夕食、入浴、就寝の時刻を、平日と休日に分けて書き出す
  2. 働ける枠を出す家を出られる時刻と、帰らなければならない時刻から、働ける時間帯を決める
  3. 週の形を決める週に何日、土曜は月に何回まで働けるか、家族の予定と合わせて決める
  4. 職場のタイプを当てはめる働ける時間帯と重なる職場のタイプを、候補として選ぶ
  5. 実際の運用を確かめる見学や面接で、退勤時刻、持ち帰り、急な休みの扱いを具体的に聞く
図3 生活リズムに合う職場を探す順番

家族の1日を書き出すときは、自分だけでなく、パートナーの出勤と帰宅の時刻、子どもの預け先の開所と閉所の時刻も入れてください。誰がどの時間帯を受け持てるかが見えると、自分が働ける枠がはっきりします。

図4

職場のタイプ時間帯の特徴確認したいこと
認可保育園(シフト制)開所時間が長く、早番・遅番や土曜保育が入ることが多い早番・遅番の回数と、家庭の事情で調整した例があるか
小規模保育事業主に0〜2歳児で定員が小さい。2026年4月から3〜5歳児のみを対象とする形も全国で可能になった[5]開所時間と、少人数の職場での休みの取りやすさ
企業内・院内の保育施設勤め先の勤務時間に合わせて開所時間が決まる夜間や土日の保育があるかどうか
学童保育(放課後児童クラブ)放課後から夕方が中心長期休みの朝からの勤務と、終わりの時刻
児童発達支援・放課後等デイサービス事業所によって時間帯が違う送迎の業務があるか、何時に終わるか
図4 職場のタイプと、生活リズムとの合わせ方

表はあくまで一般的な傾向です。同じタイプの職場でも、時間帯や休みの取りやすさは職場ごとに違います。気になる職場が見つかったら、「子育て中の先生は何時に帰っていますか」と、場面を指定して聞いてみてください。職場のタイプごとの違いは、職場のタイプの選び方で詳しく比べています。

見学や面接で、生活リズムとの相性を確かめる質問

求人票に書かれた勤務時間と、実際の働き方が違うことはよくあります。見学や面接では、次のように聞いてみてください。

  • 「子育て中の先生は、早番と遅番に月に何回くらい入っていますか」
  • 「行事の前の週は、何時ごろに退勤する先生が多いですか」
  • 「お子さんの発熱で急に休むとき、クラスにはどなたが入りますか」
  • 「指導計画や連絡帳は、勤務時間の中で書く時間がありますか」

答えが具体的に返ってくる園は、子育て中の職員の働き方をきちんと把握していることが多いものです。逆に、「みんなで助け合っているので大丈夫」といった答えだけなら、もう一歩具体的に聞いてみると安心です。

04見直しは、節目の半年前から順に進める

要点:働き方の見直しは、思い立ってすぐに職場を変えるより、半年ほどかけて順番に進めるほうが失敗が少なくなります。今の園で変えられることを確かめてから、職場を変えるかどうかを決めます。

見直しを始める時期が分かったら、次は進め方です。いきなり求人に応募したり、退職を伝えたりする前に、確かめておきたいことがいくつかあります。順番を守ると、「辞めなくても変えられた」「計算したら暮らせなかった」といった後悔を防げます。

図5

  1. サインと節目を確かめる

    チェックリストで当てはまる数を数え、次の制度の切れ目がいつ来るかを手帳に書く

  2. 家族の1日を書き出す

    平日と休日の時間割を書き、自分が働ける時間帯を決める

  3. 今の園で変えられるかを聞く

    勤務時間、担当、早番・遅番の回数を変えられるか、園長に具体的に相談する

  4. お金を計算する

    働き方を変えた場合の手取り、社会保険、扶養の扱いを確かめる

  5. 家族と分担を決め直す

    家事と子どもの用事を一覧にし、変えたあとの担当を決める

  6. 職場を変えるかを決める

    今の園で変えられなければ、生活リズムに合う職場を探し始める

図5 節目の半年前から始める働き方の見直し

職場を変えると決めた場合は、退職を伝える時期も逆算しておきましょう。担任を持っているなら、年度末の退職に合わせて、クラス編成が決まる前に伝えるのが一般的です。伝える時期の目安は退職は何か月前に伝えるかで紹介しています。

05転職後の家庭生活は、こう変わる

要点:働き方を変えると、時間だけでなく、家族の分担、お金、気持ちにも変化が出ます。とくに「家にいる時間が増えた人に家事が集まる」ことは見落とされやすいため、変える前に家族で話し合っておきます。

働き方を変えた直後は、夕方の余裕に驚く人が多いものです。ただ、数か月たつと、予想していなかった変化に気づくこともあります。転職後の家庭生活で起こりやすい変化を、4つに分けてみました。

図6

時間

夕食や寝かしつけに余裕ができる。一方、最初の3か月は新しい職場に慣れる疲れが出やすい

3か月ほどで落ち着くことが多い

家族の分担

家にいる時間が増えた人に、家事や子どもの用事が自然と集まってしまう

変える前に分担を決め直す

お金

勤務時間や手当が変わり、手取り、社会保険、扶養の扱いが変わる

計算してから決める

気持ち

子どもとの時間が増えて安心する一方、仕事の物足りなさや、キャリアへの焦りを感じることもある

見直しの期限を決めておく

図6 転職や働き方の変更のあとに起こりやすい変化

「家にいる人に家事が集まる」を防ぐ

正社員からパートに変えた、遅番のない職場に移った。そうして家にいる時間が増えると、それまでパートナーと分けていた家事が、少しずつ自分に戻ってくることがあります。誰かが意図したわけではなく、「家にいるほうがやる」という流れが自然にできてしまうのです。気づいたときには、仕事の時間は減ったのに、疲れは前と変わらない、ということも起こります。

働き方を変える前に、家事と子どもの用事を一覧にして、誰が何を受け持つかを決め直しておきましょう。そして、変えてから1か月後と3か月後に、もう一度見直す日を決めておくと、偏りに早く気づけます。

お金の変化は、税金と社会保険まで含めて確かめる

勤務時間を減らす見直しでは、手取りだけでなく、社会保険と扶養の扱いも変わります。短時間労働者の社会保険加入要件のうち、月8.8万円以上という賃金の要件は2026年10月に撤廃され、週の所定労働時間が20時間以上かどうかなどで加入が決まるようになりました[6]。パートナーの健康保険の扶養に入る場合は、年間収入の見込みが130万円未満であることなどが条件で[7]、扶養に入る日が2026年4月1日以降なら、給与収入だけの人は、労働契約で決められた賃金から見込まれる年間収入で判断する扱いになっています[8]。所得税についても、令和8年分は課税最低限が178万円に引き上げられるなど、年によって基準が変わっています[9]。扶養の範囲で働くかどうかの考え方は、扶養内で働くときの条件にまとめています。

06相談事例:正社員からパートに変えて、家族会議を始めたみなみさん

要点:ここでは、制度の切れ目をきっかけに働き方を変え、その後の家庭生活の変化にも向き合ったモデルケースを紹介します。

働き方を変えたら、家族の役割も変える必要があった

相談事例(モデルケース)

お名前
みなみさん(仮名)・36歳
保育士歴
13年目
勤務先
私立の認可保育園(定員約110名)の正社員・2歳児クラス担任 → 自宅近くの認可保育園(定員約70名)のパート(週4日、9時〜16時)
家族
夫(会社員)、子ども2人(小学1年生と3歳)
変化
帰宅時刻 19時15分 → 16時30分、手取り 約24万円 → 約14万円、夫の家事の担当 週1日 → 週4日

編集部働き方を見直そうと思ったのは、いつ頃ですか。

みなみさん

下の子が3歳になって短時間勤務が終わるのと、上の子の小学校入学が、同じ年に重なったんです。園長から「来月からフルタイムで、遅番も入ってほしい」と言われたとき、家族の1日を紙に書いてみたら、私が働ける時間が9時から16時の枠しかなくて。正社員のままでは、どうやっても回りませんでした。

編集部パートを選ぶまでに、迷ったことはありましたか。

みなみさん

すごく迷いました。13年やってきて、担任も持っていたので、パートになることが「降りる」みたいに感じてしまって。相談窓口で話したときに、「パートにするなら、何年続ける予定ですか」と聞かれたんです。そこで、下の子が小学校に入るまでの3年間、と期限を決めました。期限があると、気持ちがだいぶ楽になりました。社会保険にも入れる条件の職場を選びました。

編集部転職して、家庭生活はどう変わりましたか。

みなみさん

夕方はずいぶん楽になりました。16時半には家にいられるので、上の子の宿題も見られます。ただ、予想外だったのが、夫が家事をしなくなったことです。正社員のころは夕食の片づけを週に3日くらいしてくれていたのが、「家にいるんだから」という空気になって、気づいたら週1日に。3か月目には、正社員のころと同じくらい疲れていました。

編集部それで、どうしたのですか。

みなみさん

毎週日曜の夜に、15分だけ家族会議をすることにしました。家事を全部書き出して、夫と私で担当を決め直したんです。「働く時間は減ったけど、家事を全部やるとは言っていない」って、そこで初めてちゃんと言えました。今は夫が週4日、夕食の片づけとお風呂を受け持ってくれています。

働き方を変えたら、家族の役割も一緒に変えないといけなかったんです。

みなみさん(仮名)

みなみさんはパートになって1年がたち、上の子の小学校生活にも慣れてきました。下の子が小学校に入る年に、もう一度働き方を見直し、正社員に戻ることも含めて考える予定だそうです。家族会議は今も続いていて、次の見直しの時期も、そこで話し合うと決めています。

このケースから持ち帰りたいのは、見直しは「働き方を変えたら終わり」ではないということです。時間が空けば、その時間に新しい役割が流れ込んできます。変える前に家族で分担を決め、変えたあとも定期的に見直す場をつくっておくと、せっかく取り戻した時間を守りやすくなります。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

07見直しで後悔しないために、知っておいてほしいこと

要点:一つは、見直しは一度で終わらず、子どもの成長に合わせて何度も来ること。もう一つは、収入を下げる見直しには「期限」と「戻り方」を決めておくことです。

1. 見直しは、子どもの成長に合わせて何度も来る

今の働き方が合わなくなるのは、あなたが変わったからではなく、子どもと家族の生活が変わったからです。3歳、小学校入学、小学校3年生と、制度の切れ目は何度も来ます。そのたびに働き方を見直すのは、失敗でも後退でもありません。一度決めた働き方を「ずっと続けるもの」と考えず、「次の節目までの形」として選ぶと、決めるときの重さも軽くなります。

2. 収入を下げる見直しには、期限と戻り方を決めておく

パートや短時間の働き方に変えると、収入は下がります。保育士の有効求人倍率は2026年7月時点で2.80倍と、全職種の1.15倍を大きく上回っていて[10]、保育の仕事の求人は多い状況です。ただ、希望する時間帯や地域で、正社員の求人がいつでも見つかるとは限りません。「何年後に、どんな働き方に戻るか」を見直しのときに決めておき、その時期が近づいたら早めに情報を集め始めると安心です。正社員とパートの違いは、正社員とパートの選び方でも比べています。

見直しの時期に一人で考え込むと、どうしても「今のつらさから逃げられるか」だけで決めてしまいがちです。ほいくの相談室では、転職するかどうかを決める前の段階でも、家族の1日を書き出しながら、次の節目までの働き方を一緒に整理する相談を受けています。

よくある質問

働き方を見直すなら、年度の途中でもいいですか?

見直すこと自体は、年度の途中でもかまいません。ただ、担任を持っている場合は、クラスや保護者への影響を考えて、年度末に合わせるほうが周りの理解を得やすくなります。制度の切れ目が年度の途中に来るなら、その半年ほど前に園長へ相談しておきましょう。

正社員からパートにしたら、また正社員に戻れますか?

保育士の求人は全職種と比べて多い状況ですが[10]、希望する条件の正社員求人がいつも見つかるとは限りません。戻る時期を決めておき、その1年ほど前から求人の状況を見ておくと、選択肢を持ったまま動けます。同じ法人の中でパートから正社員に戻れる仕組みがあるかも、確認しておくとよいでしょう。

職場を変えずに、働き方だけを見直すことはできますか?

できる場合があります。短時間勤務や残業の免除などの制度を使う[1][2]、担当クラスや役割を変えてもらう、同じ法人の別の園に異動する、といった方法です。まず今の園で何が変えられるかを確かめてから、職場を変えるかどうかを考えると、比べる材料がそろいます。

見直したいのに、家族が今のままでいいと言います。

家族は、あなたの職場での疲れ方を見ていないことがあります。チェックリストの結果や、家族の1日の時間割を見せながら話すと、気持ちだけでなく状況が伝わりやすくなります。お金の不安が反対の理由なら、見直したあとの手取りを計算して見せるのも一つの方法です。

見直しの相談は、誰にすればいいですか?

今の園で続ける方法を探すなら園長や主任、生活全体の組み立てなら家族、職場を変えることも含めて考えるなら、保育の現場を知っている相談先が向いています。相談先ごとの違いは子育て中の転職相談で整理することで紹介しています。

参考にした資料

  1. 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)」
  2. 厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
  3. e-Gov法令検索「労働基準法」
  4. 厚生労働省 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
  5. こども家庭庁「児童福祉法等の一部を改正する法律(令和7年法律第29号)の概要」
  6. 日本年金機構「2026(令和8)年10月に…賃金要件が撤廃されました」
  7. 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき…」
  8. 日本年金機構「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定…」
  9. 財務省「特集 令和8年度 税制改正(国税)等について」
  10. こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」(出典:厚労省 職業安定業務統計)

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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