保育士が年度途中で辞めてもいい?法律と影響を減らす進め方

6月、プール開きを前に、園庭でビニールプールに空気を入れていた。ポンプを踏むたびに、頭の中で同じ言葉がくり返される。「年度の途中で辞めるなんて、やっぱり無理だよね」。主任との関係は春からずっとぎくしゃくしていて、最近は朝の打ち合わせのたびに胃が痛む。それでも、4月に「よろしくね」と手を握ってくれた子どもたちの顔を思うと、言い出せない。

保育の現場には、「担任は年度の終わりまで」という空気があります。人間関係がつらくても、体調が崩れかけていても、家族の事情が変わっても、年度の途中で辞めることには強いためらいがつきまといます。周りから「途中で投げ出すの?」と思われるのではないか、子どもたちを傷つけるのではないか。その不安は、責任感のある人ほど大きくなります。

この記事では、年度の途中で辞めることが法律上どう扱われるのかを、雇用形態ごとに整理します。そのうえで、年度の途中でも、子どもや園への影響をできるだけ小さくするための伝え方、引き継ぎ、挨拶の進め方を具体的にまとめました。

この記事でわかること

  • 年度途中の退職が、法律上どう扱われるか(正社員・有期契約・パート)
  • 年度末を待たずに動いてよいサインと、人間関係が理由の場合の考え方
  • 子どもや保護者、園への影響を小さくする伝え方と引き継ぎの進め方
  • 年度途中で辞めたあとの、保険・税金・次の仕事の準備

結論

保育士が年度の途中で辞めることは、法律上認められています。正社員など期間の定めのない雇用なら、退職の申入れから2週間で雇用は終了し、園が承諾しなくても効力が生じます[1]。契約社員やパートなど期間の定めがある場合は、原則として契約期間の満了までですが、やむを得ない事由があれば直ちに契約を解除でき[2]、1年を超える契約なら初日から1年が過ぎたあとはいつでも退職できます[3]。実際には、就業規則の申し出期限を確認し、1〜2か月ほどの引き継ぎ期間をとると、子どもや園への影響を小さくできます。体調の悪化やハラスメントが理由なら、時期にこだわるより、自分を守ることを優先してください。

01年度途中の退職は、法律上どう扱われるのか

要点:「年度の途中だから辞められない」という法律の決まりはありません。ただし、正社員か、期間の定めのある契約かによって、退職のルールは変わります。まず自分の雇用の形を確認しましょう。

図1

雇用の形退職のルール気をつけること
正社員など、期間の定めがない申入れから2週間で雇用が終了し、園の承諾は不要[4][1]就業規則の申し出期限も確認し、話し合いで退職日を決めるのが現実的
期間の定めがある契約(1年以内)原則は期間満了まで。やむを得ない事由があれば直ちに解除できる[2]事由が一方の過失で生じた場合は、相手に損害賠償の責任を負う[2]
期間が1年を超える有期契約契約の初日から1年が過ぎたあとは、申し出ればいつでも退職できる[3]高度の専門的知識を持つ人や満60歳以上の人との契約は対象外[3]
聞いていた条件と実際が違う明示された労働条件が事実と違う場合は、即時に契約を解除できる[1]労働条件通知書や求人票を手元に残しておく
図1 雇用の形ごとの退職のルール

正社員なら「園の許可」は必要ない

期間の定めのない雇用では、働く人はいつでも退職を申し入れることができ、申入れの日から2週間がたつと雇用は終了します[4]。厚生労働省の解説でも、会社が承諾しなくても、申入れから2週間後に退職の効力が生じるとされています[1]。年度の途中であっても、このルールは変わりません。

とはいえ、2週間で辞めることが、いつも最善とは限りません。担任をしているなら、引き継ぎの時間がなければ子どもも後任も困ります。法律上のルールは「いざというときに自分を守るための土台」として知っておき、実際の退職日は、体調と引き継ぎの両方を考えて決めるのが現実的です。

就業規則の「1か月前」「3か月前」との関係

多くの園では、就業規則で「退職の1か月前までに申し出ること」のように期限を定めています。法律の2週間より長い期限を就業規則で定めた場合に、それがどこまで効力を持つかは、個別の事情によって考え方が分かれることがあり、ここで一律に言いきることはできません。円満に辞めたいなら就業規則の期限に合わせるのが無難ですが、体調などの事情でそれが難しい場合や、話し合いがこじれそうな場合は、総合労働相談コーナーに相談してください。全国の労働局や労働基準監督署など378か所にあり、無料・予約不要で相談できます[5]。

「年度途中は辞められない」と言われたら

園長から「年度の途中は辞められない決まりになっている」「後任が見つかるまでは認めない」と言われることがあります。期間の定めのない雇用であれば、先に紹介したとおり、退職に園の承諾は必要ありません[1]。強く引き止められたときの具体的な返し方は、退職を引き止められたときの返し方と法律の考え方で詳しく紹介しています。

02年度途中に辞めたくなる理由と、待たなくていいサイン

要点:年度の途中で辞めたくなる理由の多くは、人間関係、体調、家族の事情、聞いていた条件との違いです。中には、年度末まで待つことでかえって状況が悪くなるものもあります。

図2

  • 眠れない、食べられない日が2週間以上続いている退職の時期より先に、休むことと受診が必要な状態だから
  • 出勤前に涙や吐き気、動悸が出る体が職場の負担に強く反応しているサインだから
  • 特定の人の言動で、職場に行くのが怖い業務上必要な範囲を超える言動は、パワーハラスメントに当たる場合があるから[6]
  • 相談したことを理由に、冷たい扱いを受けたハラスメントの相談を理由とする不利益な取扱いは禁止されているから[7]
  • 勤務時間や給与が、聞いていた内容と違う明示された労働条件と違う場合は、即時に契約を解除できるから[1]
  • 休憩がほとんど取れない日が続いている6時間を超える勤務には45分以上、8時間を超える勤務には1時間以上の休憩が必要だから[8]
  • 家族の介護や転居で、勤務を続けるのが難しい待つほど、家族と自分の両方の負担が大きくなるから
図2 年度末を待たずに動いてよいサイン

ひとつでも当てはまるなら、「年度末まで」という区切りにこだわる必要はありません。特に上の2つのような体調のサインがある場合は、退職の話より先に、休むことと受診を考えてください。休んでいる間に辞めるかどうかを決めても遅くはありません。

人間関係が理由で、年度の途中に辞めるとき

年度途中の退職で特に多いのが、人間関係が理由のケースです。4月に新しい体制になり、組んだ先輩や主任との相性が合わないまま数か月が過ぎ、「この人とあと半年以上は無理だ」と感じる。それは決してわがままではありません。

ただ、人間関係が理由の場合は、辞める前に確かめておきたいことが二つあります。一つは、相手の言動が指導の範囲なのか、ハラスメントに当たるのかです。職場のパワーハラスメントは、優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で、働く環境が害されるものとされています[6]。当てはまるかもしれないなら、日時と言われた言葉を記録しておきましょう。もう一つは、配置換えや同じ法人内の異動で、相手と離れられる可能性がないかです。人間関係を理由に辞めるかどうかの考え方は、人間関係がつらくて辞めたいときの判断でも詳しく扱っています。

体調が理由なら、休んでから考える道もある

体調の悪化が理由で年度途中の退職を考えている場合は、すぐに退職を決める前に、休むという選択肢も検討してみてください。医師がまとまった休養が必要だと判断すれば、就業規則に休職の定めがある園では、休職制度を使えることがあります。休んで体が戻ってから、辞めるか続けるかを考えても遅くはありません。

また、病気やけがなどで引き続き30日以上働けない場合は、雇用保険の基本手当を受け取れる期間を、申請によって延長できる仕組みもあります[9]。体調を整えることを最優先にして、退職後の手続きは回復のペースに合わせて進めることができます。

03子どもと園への影響を小さくする進め方

要点:年度途中の退職で大切なのは、「辞めるかどうか」より「どう辞めるか」です。伝える順番、引き継ぎ、子どもと保護者への伝え方を園と一緒に決めておくと、子どもにとっての変化を穏やかにできます。

園が年度途中の退職を重く受け止めるのには理由があります。保育所の保育士の数は、1〜2歳児はおおむね6人に1人以上、3歳児はおおむね15人に1人以上のように、子どもの年齢ごとに国の基準で決められています[10]。一人抜けると、その人数を保つための調整が必要になるのです。だからこそ、早めに伝え、引き継ぎに時間を取ることが、園への何よりの配慮になります。

図3

  1. 退職の希望日を決める

    就業規則の期限と体調を考え、1〜2か月後を目安に希望日を決めます

  2. 園長に伝える

    理由は簡潔にし、退職の希望日と引き継ぎについての考えをセットで伝えます

  3. 発表の時期と伝え方を相談する

    職員、保護者、子どもに、いつ、誰から、どう伝えるかを園と決めます

  4. 引き継ぎ資料を作る

    子ども一人ひとりの情報、保護者との約束、進行中の計画をまとめます

  5. 後任と並んで保育に入る

    できれば1〜2週間、後任や副担任と同じ時間帯に保育に入り、子どもが慣れる時間をつくります

  6. 子どもと保護者に挨拶する

    園の方針に沿って、年齢に合った言葉で、最後の日を迎えます

図3 年度途中で辞めるときの進め方

園長への伝え方は「退職日」と「引き継ぎ」をセットで

年度途中の退職を伝えるときは、退職したい日だけでなく、引き継ぎをどう進めるつもりかもあわせて伝えると、園長も受け止めやすくなります。理由を細かく話す必要はありません。

例:突然のご相談で申し訳ありません。一身上の都合により、11月末で退職させていただきたいと考えています。担任としての引き継ぎは、10月中に資料をまとめ、11月は後任の先生と一緒に保育に入る時間をいただければと思っています。

伝える場所は、職員室の立ち話ではなく、時間をとってもらった面談の場が適しています。切り出し方そのものに不安がある人は、保育士の退職の伝え方も参考にしてください。

子どもへの伝え方は、年齢に合わせて

子どもへの伝え方は、園の方針に従うのが基本です。そのうえで、年齢に合わせた工夫ができます。0〜2歳児は、言葉で説明するより、後任の先生と一緒に過ごす時間を少しずつ増やし、安心できる大人を引き継いでいくことが大切です。3歳以上の子どもには、「○月○日で、せんせいは別のところでがんばることになったよ」のように、短く、具体的な日にちとともに伝えます。

避けたいのは、ある日突然いなくなることです。子どもにとっては、理由が分からないまま大好きな先生が消えることのほうが、ずっと不安が大きくなります。最後の日に一緒に遊ぶ時間をつくる、手紙や絵を交換するなど、お別れの形を園と相談しておきましょう。

保護者への伝え方は、園と足並みをそろえる

保護者への伝え方も、園の方針に合わせます。おたよりで知らせる園もあれば、担任が降園時に一人ひとりに伝える園もあります。退職の理由を詳しく話す必要はありません。「一身上の都合で」「家庭の事情で」と伝え、残りの期間もこれまでどおり保育に当たることを添えると、保護者も安心します。

04引き継ぎ資料に書いておくこと

要点:引き継ぎ資料は、後任が明日からその子と過ごすときに困らないための情報を中心にまとめます。特に健康とアレルギーの情報は、子どもの安全に直結するため、確実に引き継いでください。

図4

  • 1

    子ども一人ひとりの様子

    食事、午睡、排泄、着脱の状況と、気持ちが不安定になりやすい場面や落ち着く関わり方

  • 2

    健康とアレルギー

    生活管理指導表に基づく対応、既往歴、与薬の有無、体調を崩しやすい時期

  • 3

    保護者とのやりとり

    連絡帳で続いている話題、約束していること、配慮が必要なご家庭のこと

  • 4

    進行中の計画

    月案・週案の進み具合、行事の準備状況と担当、作りかけの製作

  • 5

    クラスの環境

    物の置き場所、製作の材料、子どもが好きな遊びや絵本、手遊び

  • 6

    書類と記録

    保育記録や児童票の記入状況、提出前の書類とその期限

図4 引き継ぎ資料にまとめる6つの項目

アレルギーへの対応については、国の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」が、生活管理指導表に基づく対応を必須とし、食物アレルギーは原因となる食品の完全除去を基本としています[11]。担任が替わる時期は、こうした情報の伝え漏れが起きやすいタイミングです。資料に書くだけでなく、給食の配膳の場面で後任と並んで確認するなど、実際の動きの中で引き継ぐと安心です。

引き継ぎにかける時間の目安

引き継ぎ資料をまとめるのにかかる時間は、クラスの人数や年齢によって変わります。乳児クラスは一人ひとりの生活リズムの情報が多く、幼児クラスは行事や友達関係の情報が多くなりがちです。目安として、資料づくりに2〜3週間、後任と並んで保育に入る期間に1〜2週間ほど見ておくと、慌てずに進められます。

時間が限られている場合は、すべてを完璧に書こうとせず、優先順位をつけてください。最優先は健康とアレルギー、次に保護者との約束ごと、その次に子ども一人ひとりの生活の様子です。行事の細かい段取りや物の置き場所は、後任が動きながら覚えられる部分もあります。

引き継ぎ資料は、園のパソコンや園の書式で作成し、子どもの個人情報を自宅に持ち帰ったり、私物のスマートフォンで撮影したりしないように気をつけてください。引き継ぎを丁寧にすることは、子どもを守ることであると同時に、辞めていく自分の気持ちに区切りをつけることにもつながります。

05相談事例:年度の途中でも、「どう辞めるか」は選べた

要点:ここでは、家族の事情で年度の途中に辞めることになった人が、時期と引き継ぎを工夫して、子どもへの影響を小さくしたモデルケースを紹介します。

運動会を見届けてから、10月末に退職した

相談事例(モデルケース)

お名前
さちこさん(仮名)・44歳
保育士歴
16年目(途中に3年のブランクあり)
勤務先
私立の認可保育園(定員約70名)、4歳児クラス担任
変化
引き継ぎ資料 0人分 → 子ども24人分/後任と並んで保育した日数 0日 → 10日

編集部年度の途中で辞めることになった経緯を教えてください。

さちこさん

7月に、遠くに住む父が倒れたんです。母一人では介護が難しくて、実家の近くに戻るしかないと思いました。でも4歳児の担任で、秋には運動会もある。年度の途中で抜けるなんて、子どもたちを裏切るようで、なかなか園長に言い出せませんでした。

編集部どのように伝えたのですか。

さちこさん

8月の初めに、時間をもらって話しました。「父の介護のため、実家の近くに戻らなければなりません。運動会までは担任として子どもたちと一緒にいたいので、10月末での退職を考えています」って。引き継ぎの予定もメモにして持っていきました。園長は驚いていましたけど、「事情は分かった。運動会まで残ってくれるのは本当に助かる」と言ってくれて、少しほっとしました。

編集部引き継ぎでは、どんな工夫をしましたか。

さちこさん

子ども24人分、一人1枚のシートを作りました。食べ方のくせ、午睡で落ち着く寝かせ方、友達とのトラブルになりやすい場面、お迎えが遅くなりがちなご家庭のこと。それと、運動会のあとの10日間は、後任に決まった先生と並んで保育に入らせてもらいました。子どもたちが新しい先生に甘えている姿を見て、ああ、大丈夫だなって。

編集部子どもたちには、どう伝えましたか。

さちこさん

運動会が終わった週に、園長と相談して、朝の会で伝えました。「さちこせんせいは、10月でおしまいなの。おじいちゃんのお手伝いに行くよ」って。泣いた子もいたけど、最後の日にクラスのみんなが描いてくれた絵は、今も部屋に飾っています。

途中で辞めることは変えられないけど、どう辞めるかは自分で選べるんだって、あのとき初めて思えました。

さちこさん(仮名)

さちこさんは10月末で退職し、実家の近くに引っ越しました。今は父の通院に付き添いながら、平日の午後だけ学童保育で働いています。退職後、雇用保険の扱いについてもハローワークで確認し、家族の介護による離職としての手続きを進めたそうです。

このケースで大切なのは、さちこさんが年度の途中で辞めることを「仕方ない」で終わらせず、時期と引き継ぎの形を自分で選んだことです。運動会という区切りまで残り、子ども一人ひとりの情報を残し、後任と並ぶ時間をつくった。年度途中の退職でも、こうした工夫によって、子どもにとっての変化を穏やかにすることはできます。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図5

伝える前退職するとき

引き継ぎ資料

0人分
子ども24人分

後任と並んで保育した日数

0日
10日

不安で眠れない夜

週4日ほど
週1日ほど
図5 さちこさんが退職するまでの変化

06年度途中で辞めたあとに困らないための準備

要点:年度の途中で辞めると、健康保険・年金・住民税・雇用保険の手続きを自分で進める場面が出てきます。期限のあるものから順に確認しておくと、退職後の暮らしを落ち着いて立て直せます。

健康保険と年金は、期限が短い

次の職場が決まらないまま退職する場合は、健康保険と年金の手続きが必要です。国民健康保険の資格を取得したときは、14日以内に住所地の市区町村に届け出ることとされています[12]。国民年金も、退職日の翌日から14日以内に市区役所・町村役場で手続きをします[13]。在職中の健康保険を続ける任意継続を選ぶ場合は、資格喪失日から20日以内に申出書を提出する必要があります[14]。

住民税は、自分で納める形に変わることがある

給与から住民税が引かれていた人が、6月1日から12月31日までの間に退職すると、残りの税額は自分で納める普通徴収に切り替わります。本人が希望した場合は、給与や退職金から一括で引いてもらうこともできます[15]。年度途中の退職では、退職後しばらくして納付書が届くことがあるので、その分のお金を取り分けておくと安心です。

雇用保険は、離職の理由で扱いが変わる

雇用保険の基本手当は、受給資格の決定から通算7日間の待期期間があり[16]、正当な理由のない自己都合退職の場合は、離職日が2025年4月1日以降なら給付制限が原則1か月あります[17]。一方で、家族の介護などの家庭の事情の急変や、体力の不足・心身の不調などによる離職は、正当な理由のある「特定理由離職者」に当たることがあり[18]、ハラスメントなどで離職した場合は「特定受給資格者」に当たることがあります[19]。手続きの流れは保育士が退職したときの失業保険にまとめています。

次の仕事は、年度の途中でも探せる

2026年7月の保育士の有効求人倍率は全国で2.80倍で、全職種平均の1.15倍を大きく上回っています[20]。年度の途中でも、保育士を求める求人は出ています。ただし、焦って次を決めると、同じ悩みをくり返すこともあります。体調が理由で辞めた人は、まず回復を優先し、働ける状態になってから探しはじめてください。

07年度途中で辞める人に、あえて伝えたい2つのこと

要点:年度の途中で辞めると、園や同僚に負担がかかることは事実です。その事実を否定する必要はありません。ただ、負担がかかることと、辞めてはいけないことは別の話です。

1. 園に負担がかかることは、認めたうえで進めればいい

「誰にも迷惑をかけずに辞める」ことは、年度途中に限らず、ほとんど不可能です。負担がかかることを認めたうえで、早めに伝え、引き継ぎを丁寧にする。それが、辞める側にできる誠実さです。人員をどう補うかは、最終的には園が考えることで、あなたが辞めずに我慢することで解決すべき問題ではありません。

2. 退職届は、勢いで出さない

つらい出来事があった日の夜に、退職届を書いて翌朝に出したくなることがあるかもしれません。けれど、辞職の意思表示は園に届いた時点で効力が生じ、撤回できないとされています[21]。気持ちが落ち着いてから、もう一度読み返してから出すようにしてください。

年度の途中で辞めるかどうか、まだ迷いが残っている人は、保育士を辞めるべきか迷うときの判断基準で、気持ちを整理する軸を確かめてみてください。年度末まで待つ場合の時期の決め方は、保育士の退職時期と退職日の決め方で紹介しています。一人で決めきれないときは、ほいくの相談室に話してみてください。年度途中に辞めるかどうかを決めていない段階でも、伝え方や引き継ぎの段取りの相談から受けています。

よくある質問

年度途中で辞めると、次の転職で不利になりますか?

年度途中の退職だけで不利になるとは限りません。面接では辞めた理由と時期を聞かれることが多いので、家族の事情や体調など、事実を簡潔に伝え、次の職場では長く働きたい理由を添えると受け止めてもらいやすくなります。

年度途中の退職でも、有給休暇は使えますか?

使えます。年休は原則として働く人が指定した時季に取るもので、退職前に残りの年休をまとめて取得したいと申請された場合、使用者は時季を変更する権利を使えないとされています[22]。引き継ぎの予定と合わせて、早めに園に伝えておきましょう。

「後任が見つかるまで辞めさせない」と言われました。

期間の定めのない雇用なら、退職は園の承諾がなくても、申入れから2週間後に効力が生じます[1]。後任探しに協力する姿勢は見せつつ、退職日ははっきり伝えておきましょう。話し合いがこじれたときは、総合労働相談コーナーに相談できます[5]。

人間関係が理由でも、年度途中に辞めていいですか?

辞めて構いません。毎日顔を合わせる相手との関係は、我慢するほど心身をすり減らします。辞める前に、配置換えや法人内の異動で離れられないかを一度確かめ、それが難しければ、引き継ぎの段取りを整えて退職を進めましょう。

年度の途中で辞める場合、何か月前に伝えればいいですか?

まず就業規則で申し出の期限を確認してください。担任をしている場合は、引き継ぎ資料の作成と後任と並んで保育に入る期間を考えると、1〜2か月前には伝えておくと進めやすくなります。体調などの事情で急ぐ必要がある場合は、法律上は期間の定めのない雇用なら申入れから2週間で雇用が終了することも知っておきましょう[4]。

年度の途中で辞めたあと、すぐに働ける園はありますか?

保育士の求人は年間を通して出ており、年度の途中から働ける職場もあります。ただし、体調が理由で辞めた場合は、回復してから探すほうが、次の職場で長く続けやすくなります。

参考にした資料

  1. 確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」(厚生労働省)
  2. e-Gov法令検索「民法」
  3. 確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」(厚生労働省)
  4. e-Gov法令検索「民法」
  5. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
  6. 厚生労働省 パワーハラスメント対策リーフレット
  7. 厚生労働省 職場のハラスメント対策リーフレット
  8. e-Gov法令検索「労働基準法」
  9. ハローワーク「基本手当について」
  10. 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項
  11. 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)
  12. e-Gov法令検索「国民健康保険法施行規則」
  13. 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
  14. 協会けんぽ「任意継続」
  15. 東京都主税局「特別徴収にかかる手続きについて」
  16. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
  17. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
  18. ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」
  19. ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」
  20. こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」(出典:厚労省 職業安定業務統計)
  21. スタートアップ労働条件Q&A(厚生労働省)
  22. 確かめよう労働条件「年次有給休暇」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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