保育士の転職は在職中?退職後?同時進行の段取り

休憩室でお弁当を食べていると、同期の先生に小声で聞かれた。「転職するなら、辞めてから探すの?それとも先に探すの?」。とっさに答えられなかったのは、自分でもまだ決めていなかったからです。今の園で働きながら見学や面接の時間を作れる気がしない。でも、辞めてから探して、次がすぐに決まらなかったらと思うと怖い。

在職中に転職活動をするか、退職してから探すかは、多くの保育士が最初につまずく分かれ道です。どちらが正しいということはなく、お金、体調、時間の取りやすさによって向き不向きが分かれます。ただし、順番を間違えると、収入が途切れたり、退職日と入職日がかみ合わなかったりと、あとから取り返しにくい困りごとが起こります。

この記事では、在職中と退職後のそれぞれの進め方を比べ、自分にはどちらが合っているかを見分ける目安と、退職と転職を同時に進めるときの段取りを、年度末で移るケースを例にまとめました。

この記事でわかること

  • 在職中と退職後、それぞれで転職活動をするメリットとデメリット
  • 自分は在職中と退職後のどちらが向いているかを見分ける目安
  • 退職と転職を同時に進めるときのスケジュールと、伝える順番
  • 退職してから探す場合に、先に確かめておくお金と手続き

結論

保育士の転職は、生活費と体調に大きな問題がなければ、在職中に進めるのが基本です。収入が途切れず、複数の園を落ち着いて比べられるからです。一方、心身の不調で働き続けるのが難しいときや、勤務が忙しすぎて見学や面接の時間がまったく取れないときは、退職してから集中して探すほうが合っています。退職と転職を同時に進める場合は、内定を承諾して入職日が決まってから今の園に退職を伝える順番を守り、就業規則の申し出期限と担任の引き継ぎから逆算して日程を組みます。退職後に探す場合は、失業給付や健康保険・年金の手続きと、何か月暮らせるかを先に確かめておきます。

01在職中か、退職後か:それぞれのメリットとデメリット

要点:在職中の転職活動は「収入と選ぶ余裕」が強み、退職後の転職活動は「時間と体を休める余裕」が強みです。弱みもそれぞれ裏返しになっているので、自分の状況でどちらの弱みなら受け入れられるかを考えます。

図1

項目在職中に活動する退職してから活動する
収入給与が途切れない貯金や失業給付でつなぐ必要がある
時間シフトの合間に作る必要がある平日の日中も見学や面接に使える
見学・面接の日程平日休みや有給休暇で調整する園の都合に合わせやすい
気持ちの余裕次が決まるまで今の園で踏ん張る必要がある職場のストレスから離れて考えられる
園の選び方合わなければ見送れるので、比べて選びやすい収入がない期間が長引くと焦りやすい
手続き退職と入職の日をそろえれば手続きが少ない健康保険・年金・住民税などを自分で手続きする
空白期間ほとんどできない面接で過ごし方を聞かれることがある
図1 在職中と退職後の転職活動の比べ方

在職中の強みは「選べること」

在職中に転職活動をする最大の強みは、次の職場を「選べる」ことです。収入が途切れないので、合わない園からの内定は断れますし、気になる点があれば見学をもう一度お願いすることもできます。退職と入職の日をそろえれば、健康保険や年金の切り替えも勤務先の手続きで済み、自分で役所に行く手間がほとんどかかりません。

その代わり、時間は自分で作るしかありません。早番・遅番のあるシフトの中で、見学や面接の日を確保し、書類を書く時間をひねり出す必要があります。担任をしていれば、行事の準備や連絡帳、指導計画の作成とも並行することになります。

退職後の強みは「時間と回復」

退職してから探す強みは、時間を自由に使えることと、職場のストレスから離れて体と気持ちを回復できることです。平日の日中に見学ができるので、子どもたちが活動している時間帯の保育の様子をじっくり見られます。

一方で、収入が途切れることの影響は小さくありません。貯金が減っていく中で不採用が続くと、「早く決めないと」という焦りが判断をゆがめます。また、退職後は健康保険や年金の手続きを自分でする必要があり、面接で空白期間の過ごし方を聞かれることもあります。

02在職中が向く人、退職してからが向く人

要点:お金の余裕が少ない人、次の職場を慎重に選びたい人は在職中が向いています。心身の不調がある人、今の職場が忙しすぎて活動の時間がまったく取れない人は、退職してからのほうが合っています。

図2

自分はどちらが向いている?

  1. 貯金が生活費の3か月分に満たない在職中が向いています。収入を保ちながら進めます
  2. 次の職場を慎重に比べて選びたい在職中が向いています。合わない内定は見送れる余裕を残します
  3. 眠れない・涙が出るなど心身の不調がある退職、または休むことを先にします。転職活動は回復してからで大丈夫です
  4. 勤務が忙しく、見学や面接の時間がまったく取れない退職してから集中して探す選択肢があります。お金の見通しを先に立てます
  5. 引っ越しや家族の事情で、退職日がすでに決まっている在職中に情報集めを始め、退職後に本格的に動く組み合わせが向いています
図2 在職中と退職後、どちらで転職活動を進めるか

心身の不調があるときは、辞めてからでいい

朝起きられない、出勤前に涙が出る、休日も園のことが頭から離れないといった状態が続いているなら、在職中に転職活動を進めることにこだわる必要はありません。疲れ切った状態で面接を受けても、自分の良さは伝わりにくく、園を見る目も曇ります。まずはかかりつけ医や心療内科で相談し、休むことを優先してください。受診の前に誰かと話したいときは、厚生労働省が運営する働く人向けの電話窓口「こころの耳電話相談」に、0120-565-455でかけられます(平日17時〜22時・土日10時〜16時、祝日と年末年始を除く)[1]。

雇用保険の基本手当は、原則として離職日の翌日から1年の間に受け取る仕組みですが、病気やけがなどで引き続き30日以上働けない場合は、申請によってその日数分だけ受給期間を延ばすことができます(延長は最長3年)[2]。体を治してから転職活動を始めたい人は、こうした制度があることも知っておくと安心です。

迷ったら「在職中に情報集め、決断は後」から

どちらが向いているか決めきれないときは、在職中に情報集めだけ始めてみてください。求人を見る、見学を1園申し込んでみる、といった小さな行動でも、在職中にどれくらい時間を作れるかが分かります。そもそも転職するかどうかで迷っている段階なら、保育士が転職するべきかを見極める基準で先に整理しておくと、進め方も決めやすくなります。

03退職と転職を同時に進める段取り

要点:同時に進めるときの鉄則は、「内定を承諾し、入職日が決まってから退職を伝える」順番です。担任の引き継ぎがある保育士は、年度末の退職と4月の入職を基準に、半年ほど前から逆算して動くと無理がありません。

保育士の多くは、年度の区切りで退職し、4月から新しい園で働く形を考えます。ここでは、3月末で退職して4月1日に入職するケースを例に、在職中から同時に進めるときの流れを紹介します。

図3

  1. 9月譲れない条件を3つに絞り、就業規則で退職の申し出期限と有給休暇の残り日数を確かめる
  2. 10月求人を探し、平日休みや有給休暇を使って2〜4園を見学する
  3. 11月応募と面接。面接では入職できる時期として「4月1日」を伝えておく
  4. 11月下旬〜12月上旬内定を受け、条件と入職日を書面で確かめてから承諾する
  5. 12月園長に退職の意思を伝える。退職日を3月31日として相談する
  6. 1月〜2月発表会などの行事と並行して、引き継ぎの資料をつくる。退職届を出す
  7. 3月子どもの様子の引き継ぎ、残った有給休暇の消化、私物の整理
  8. 4月1日新しい園に入職。健康保険や年金の手続きは新しい勤務先で行う
図3 3月末退職・4月1日入職を目指す場合のスケジュール例

退職を伝えるのは、内定を承諾したあと

在職中の転職活動でいちばん避けたいのが、内定が出る前に「辞めます」と伝えてしまうことです。退職を伝えたあとで転職先が決まらないと、退職日が近づくにつれて焦りが強くなり、在職中に活動する意味がなくなってしまいます。

内定が出たら、給与、勤務時間、担当クラス、入職日などの条件を書面で確かめてから承諾します。そのうえで、今の園に退職の意思を伝えます。転職先への入職日の伝え方や、退職交渉と並行するときのやりとりは内定後の退職交渉と転職先への伝え方で詳しく紹介しています。

退職の申し出は、法律と就業規則の両方で考える

民法では、期間の定めのない雇用は、退職の申し入れの日から2週間がたつと終了すると定められています[3]。厚生労働省の解説でも、園が承諾しなくても申し入れから2週間後に退職の効力が生じるとされています[4]。ただし、保育士の場合は担任の引き継ぎや、年度途中の配置の問題があるため、就業規則に定められた期限を確かめたうえで、1〜3か月前を目安に余裕をもって伝えるのが現実的です。何か月前に伝えるかの考え方は保育士の退職は何か月前に伝えるかにまとめています。

退職日と入職日は、続けてそろえる

同時に進めるときは、退職日と入職日を続けて設定するのが理想です。3月31日に退職して4月1日に入職すれば、健康保険や年金は新しい勤務先で切り替えの手続きが進み、自分で役所に届け出る手間がかかりません。間に空白ができると、その期間の健康保険や年金の手続きを自分で行う必要が出てきます。

入職日を決めるときは、今の園の就業規則の期限と、引き継ぎに必要な期間の両方を転職先に伝えてください。「行事が2月まで続くので、引き継ぎを3月に行い、4月1日から勤務したい」のように理由を添えると、転職先も事情を理解しやすくなります。

有給休暇の残りを確かめて、最後の月に組み込む

退職前に有給休暇がどれくらい残っているかも、早めに確かめておきます。年次有給休暇は、6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に10日付与され、勤続年数に応じて増え、6年6か月以上で20日になります[5]。年休は退職日をもって消えてしまいます。退職前に残りの年休をすべて取りたいと申し出た場合、園は時季を変更することができないとされています[6]。とはいえ、引き継ぎの時間が足りなくなると子どもたちや後任の先生が困ります。引き継ぎの計画と合わせて、いつ休むかを園長と相談しておくと、最後の月を気持ちよく過ごせます。

04在職中の転職活動を乗り切る工夫

要点:在職中の転職活動は、時間の作り方と連絡の受け方を先に決めておくと続けやすくなります。応募する園を絞り、見学と面接の日を月に何日と決めておくのがこつです。

図4

  • 1

    時間を決める

    書類づくりは日曜の午前、求人を見るのは週2回など、転職活動に使う時間を固定します

  • 2

    日程をまとめる

    見学と面接は、シフトの平日休みや有給休暇の日にまとめて入れます

  • 3

    応募を絞る

    同時に進めるのは3〜4園までにして、一つひとつの準備に時間をかけます

  • 4

    連絡の手段を選ぶ

    勤務中に電話に出られないことを伝え、連絡はメール中心にしてもらいます

  • 5

    園での振る舞いを変えない

    転職活動のことは同僚に話さず、退職を伝えるまでは普段どおりに保育します

図4 在職中に転職活動を進めるための5つの工夫

見学や面接の日程は、園に事情を伝えて相談する

保育園の見学は、子どもたちが活動している平日の午前中に設定されることが多く、在職中の保育士にとっては日程の調整がいちばんの壁になります。応募先には、「現在勤務中のため、平日は○曜日の午前か、有給休暇を使える日になります」と正直に伝えて相談してください。在職中の応募者がいることは園も承知していることが多く、日程を合わせてもらえることがあります。

書類と連絡は、勤務と切り離す

履歴書や職務経歴書は、勤務のある日の夜に書こうとすると、疲れて手が止まりがちです。週に一度、時間を決めて書く日をつくると、勤務と気持ちを切り分けられます。また、園のパソコンやプリンターで転職活動の書類を扱うことは避けてください。在職中の活動全体の組み立て方は保育士の転職活動のスケジュールも参考になります。

同僚に話すのは、園長に伝えたあとで

仲の良い同僚には、転職活動のことを打ち明けたくなるかもしれません。でも、園長より先に同僚から話が広がると、園長との話し合いがこじれる原因になります。担任をしているクラスの保護者に伝わってしまうと、子どもたちにも不安が広がりかねません。転職活動中は普段どおりに保育を続け、同僚に話すのは、園長に退職を伝えて退職日が決まってからにします。

05退職してから探す場合に、先に確かめておくお金と手続き

要点:退職してから転職活動をするなら、辞める前に「何か月暮らせるか」と、失業給付・健康保険・年金・住民税の手続きを確かめておきます。期限のある手続きが多いので、退職日から逆算して準備します。

退職後に探すと決めた人がつまずきやすいのは、思っていたよりもお金が出ていくことと、手続きの期限が短いことです。次の項目は、退職する前に確かめておくと安心なものです。

図5

  • 雇用保険の加入期間基本手当は原則、離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です[7]
  • 給付が始まる時期手続きから7日間の待期があり、自己都合退職は原則1か月の給付制限があります[8][9]
  • 給付を受けられる日数自己都合退職では、被保険者であった期間が1年以上10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日です[10]
  • 健康保険の切り替え任意継続は退職日の翌日から20日以内に申し出が必要です[11]
  • 国民健康保険に入る場合資格を得た日から14日以内に市区町村へ届け出ます[12]
  • 国民年金の手続き会社員等にならない場合、退職日の翌日から14日以内に市区町村で手続きします[13]
  • 住民税の払い方6月〜12月の退職は、残りの税額が自分で払う普通徴収に切り替わります[14]
  • 源泉徴収票の受け取り年の途中で退職した人には、退職日以後1か月以内に交付されます[15]
図5 退職してから転職活動をする前に確かめたいこと

失業給付は「すぐには入らない」前提で計算する

雇用保険の基本手当を受けるには、ハローワークで離職票を提出し、求職の申込みをします。その日から通算7日間は待期期間で、離職理由にかかわらず支給されません[8]。正当な理由のない自己都合退職では、そのあとに給付制限があり、離職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です[9]。以前は原則2か月だったため、古い情報を見て計算しないよう注意してください。失業の認定は原則4週間に1回、ハローワークで受けます[8]。

つまり、退職してから最初の給付を受け取るまでには、少なくとも1か月以上の生活費が必要になります。失業給付の詳しい流れは保育士が退職したときの失業保険で確かめてください。

健康保険と年金は、期限と保険料を比べて選ぶ

退職日の翌日からは、在職中の健康保険の資格で受診することはできません[16]。任意継続を選ぶ場合は、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あることが条件で、退職日の翌日から20日以内に申出書を提出します[11]。任意継続は保険料が全額自己負担になるため[17]、国民健康保険の保険料と比べて選ぶ人が多くいます。国民健康保険の保険料は市区町村によって違うので、住んでいる自治体の窓口で見込み額を確かめてください。手続きの全体像は退職後の健康保険と年金の手続きにまとめています。

06事例で見る:辞めてから探すつもりだった保育士が、在職中に決めるまで

要点:ここでは、最初は退職してから探すつもりだった保育士が、家計を見直して在職中の転職活動に切り替え、空白期間なしで転職したモデルケースを紹介します。

探しながら働く段取りを選んだ半年間

相談事例(モデルケース)

お名前
まどかさん(仮名)・34歳
保育士歴
12年目(相談当時)
勤務先
社会福祉法人の私立認可保育園(定員約100名)、2歳児クラス担任
変化
退職から入職までの空白 2〜3か月の予定 → 0日/転職活動に使った有給休暇 3日

編集部最初は、辞めてから探すつもりだったそうですね。

まどかさん

そうなんです。行事が続いて、とにかく一度ゆっくりしたくて。12月で辞めて、年明けからのんびり探そうと思ってました。一人暮らしなので、誰かに相談するより先に気持ちだけが走ってた感じです。

編集部考えを変えたきっかけは何でしたか。

まどかさん

家計を計算してみたら、家賃の6万8千円も入れて、月の出費が17万円くらいだったんです。貯金は3か月分くらい。失業給付も、自己都合だとすぐにはもらえないって知って、さあっと血の気が引きました。3か月で決まらなかったらと思うと、辞めてから探すのは私には無理だなって。

編集部在職中は、どうやって時間を作ったんですか。

まどかさん

シフトの平日休みを見学の日にして、面接は有給を1日ずつ使いました。書類は日曜の午前だけ、と決めて。応募も4園までにしたので、なんとか回せました。応募先に「勤務中は電話に出られないので、メールでお願いします」と最初に伝えたのも、地味に効きました。

編集部園長に伝えるときは、どうでしたか。

まどかさん

11月の終わりに内定を承諾して、入職日を4月1日にしてもらってから、12月の頭に園長に話しました。「せめて来年の夏まで」と言われたけど、次の園と入職日を約束していたので、迷わずにお断りできました。先に決めておいてよかったと思った瞬間です。残っていた有給も、引き継ぎの計画と一緒に相談して、3月に5日取れました。

辞めてから探す勇気より、探しながら働く段取りのほうが、私には合っていました。

まどかさん(仮名)

まどかさんは3月31日に退職し、4月1日から定員約60名の認可保育園で働き始めました。退職日と入職日が続いていたため、健康保険や年金の手続きは新しい勤務先で済み、自分で役所に行く必要はありませんでした。2歳児クラスの子どもたちとは、年度の最後まで一緒に過ごせたことで、気持ちにも区切りがついたそうです。

このケースのポイントは、「辞めたい」という気持ちと「いつ辞めるか」という段取りを分けて考えたことです。辞めたい気持ちは変えずに、収入と生活を守れる順番を選んだことで、焦らずに次の園を選べました。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

図6

当初の予定実際

退職から入職までの空白

2〜3か月
0日

貯金の取り崩し

毎月約17万円
なし

見学した園

退職後に探す予定
在職中に4園

転職活動に使った有給休暇

0日
3日
図6 まどかさんの当初の予定と実際

07どちらを選んでも、ここだけは気をつけたい

要点:在職中でも退職後でも、伝える順番と書類の扱い、そして期限の決め方には注意が必要です。特に、退職の意思表示は取り消しにくいことを知っておいてください。

「退職届」と「退職願」の違いを知っておく

退職の意思を書面で伝えるとき、「退職願」と「退職届」では扱いが変わることがあります。合意による退職の申し込みである退職願は、園が承諾するまでは撤回できますが、辞職の意思表示である退職届は、園に届いた時点で効力が生じ、撤回できないとされています[18]。実際には言葉が厳密に区別されずに使われることも多いので、転職先が決まっていない段階で書面を出すときは、特に慎重になってください。

引き止められても、退職日は自分で決めていい

退職を伝えると、「後任が見つかるまで」「せめて年度末まで」と引き止められることがあります。担任としての責任感から応じたくなる気持ちは自然ですが、転職先と入職日を約束しているなら、その日を守ることを優先してください。期間の定めのない雇用では、退職の申し入れから2週間で雇用が終わるとされています[4]。話し合いがこじれて困ったときは、各都道府県労働局や労働基準監督署内にある総合労働相談コーナーで、無料・予約不要で相談できます[19]。

退職後の「少し休む」には、終わりの日を決める

退職してから探す場合、「1か月くらい休んでから」と考える人は多いものです。休むこと自体は大切ですが、終わりの日を決めずに休むと、気づけば貯金だけが減っていることがあります。休む期間と、転職活動を始める日を、退職する前にカレンダーに書いておいてください。

在職中に進めるか、辞めてから探すかを一人で決めきれないときは、家計や体調、今の園の忙しさを誰かと一緒に並べてみると、自分に合う順番が見えてきます。ほいくの相談室では、転職するかどうか、いつ辞めるかを決める前の段階の相談も受けています。辞めたい気持ちと段取りを分けて考えるところから、一緒に整理できます。

よくある質問

在職中に面接を受けるために、有給休暇を使ってもいいですか?

使ってかまいません。年次有給休暇は、労働者が指定した時季に取るのが原則で、園が時季を変えられるのは事業の正常な運営を妨げる場合に限られます[6]。行事の直前などは避け、早めに申請しておくと、同僚への影響も小さくできます。

転職先が決まる前に、退職日が来てしまいそうです。

すでに退職を伝えている場合は、退職後に転職活動を続けることを前提に、お金と手続きの準備を急いでください。健康保険と年金の手続きには期限があります[11][13]。焦って合わない園に決めないよう、譲れない条件を改めて確かめてから応募します。

失業給付を受けながら転職活動をすることはできますか?

できます。基本手当は求職の申込みをしたうえで受けるもので、原則4週間に1回、ハローワークで失業の認定を受けます[8]。認定日には求職活動の状況を伝える必要があるので、応募や面接の記録を残しておくと手続きがスムーズです。

内定先から「できるだけ早く来てほしい」と言われました。

今の園の就業規則の期限と、担任の引き継ぎに必要な期間を伝えたうえで、入職日を相談してください。在職中の応募者の事情は、多くの園が理解しています。無理に早めて引き継ぎが不十分になると、今の園との関係がこじれ、退職の手続きにも影響しかねません。

退職と入職の間に数日空く場合、手続きは必要ですか?

退職日の翌日から入職日の前日までの間に1日でも空きがあると、その期間の健康保険と年金の手続きが必要になる場合があります。空白の期間に受診する可能性があるときは特に注意が必要です[16]。退職日と入職日を続けて設定できないかを、先に両方の園と相談しておくと手間が減ります。

参考にした資料

  1. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」
  2. ハローワーク「基本手当について」
  3. e-Gov法令検索「民法」
  4. 確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」(厚生労働省)
  5. 厚生労働省 FAQ「年次有給休暇とはどのような制度ですか…」
  6. 確かめよう労働条件「年次有給休暇」
  7. ハローワーク「基本手当について」
  8. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
  9. ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」
  10. ハローワーク「基本手当の所定給付日数」
  11. 協会けんぽ「任意継続」
  12. e-Gov法令検索「国民健康保険法施行規則」
  13. 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
  14. 東京都主税局「特別徴収にかかる手続きについて」
  15. 国税庁 タックスアンサーNo.7411
  16. 協会けんぽ宮城支部「マイナ保険証や資格確認書の使用について」
  17. 協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」
  18. スタートアップ労働条件Q&A(厚生労働省)
  19. 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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