保育士を辞めたいのに子どもに申し訳ない時の向き合い方

午睡明け、布団をたたんでいると、4歳の子が袖を引っぱって「せんせい、らいねんもいる?」と聞いてきた。とっさに「どうかなあ」と笑ってごまかしたけれど、その日の連絡帳は、なかなかペンが進みませんでした。

辞めたい気持ちは、もう何か月も続いている。それなのに、子どもの顔、毎朝あいさつをしてくれる保護者の顔、ぎりぎりの人数でシフトを回している同僚の顔が浮かぶと、「自分だけ楽になろうとしている」と感じてしまう。申し訳なさが、辞めたい気持ちにふたをしている状態です。

この申し訳なさは、あなたが子どもや職場を大切にしてきたからこそ生まれるものです。ただ、ふたをしたまま働き続けると、気持ちより先に体が限界を迎えることもあります。この記事では、申し訳ない気持ちを「誰に対して、何が申し訳ないのか」に分けてほどき、迷惑をできるだけ小さくして辞めるための具体的な準備をまとめました。辞めるかどうかを決めるのは、読み終えたあとで大丈夫です。

この記事でわかること

  • 子ども・保護者・同僚への「申し訳ない」をほどく考え方
  • 子どもへのお別れの伝え方と、最後の日までの過ごし方
  • 保護者に言いづらいとき、誰がいつ伝えるのか
  • 同僚への迷惑を最小にする時期の選び方と、引き継ぎ資料の作り方
  • 申し訳なさで動けなくなったときに確かめたいこと

結論

保育士を辞めたいのに子どもに申し訳ないと感じるときは、その気持ちを子ども・保護者・同僚の3つに分け、それぞれ「自分が責任を持てる範囲」と「園が責任を持つ範囲」を分けて考えると、動けるようになります。子どもには最後の日まで普段どおりに関わること、保護者には園の方針に沿って伝えること、同僚には早めに伝えて引き継ぎ資料を残すことが、辞める保育士にできる最大の配慮です。担任の交代や職員の補充は、本来は園が責任を持つものです。申し訳なさは辞めてはいけない理由ではなく、丁寧に辞めるための力として使えます。

01「申し訳ない」は、相手ごとに中身が違う

要点:一つの塊に見える申し訳なさも、子ども・保護者・同僚に分けると、中身も、自分にできることも違います。分けることで「全部自分が背負わなければ」という思い込みがほどけます。

「申し訳ない」という言葉はひとつでも、その中身は相手によって違います。子どもに対しては「途中で離れてしまう」「悲しませてしまう」という気持ち。保護者に対しては「信頼してくれていたのに」「担任が替わったら不安にさせる」という気持ち。同僚に対しては「人手が足りないのに抜けたら、残る人の負担が増える」という気持ちです。

この3つを一緒にしたまま考えると、どれも「だから辞められない」という結論に流れていきます。けれど、相手ごとに分けて「自分にできること」と「園が引き受けること」を並べてみると、景色が少し変わります。

図1

相手申し訳なさの中身自分にできること園が責任を持つこと
子ども途中で離れる、悲しませる、さよならを言えないかもしれない最後の日まで普段どおりに関わる。成長の記録を残す次の担任の配置、クラスの体制づくり
保護者信頼を裏切るようで後ろめたい、不安にさせる日々のやりとりを丁寧に続ける。家庭の情報を引き継ぎに残す保護者への伝え方と時期の判断、おたより等での周知
同僚人手が減って負担が増える、自分だけ逃げるようで気まずい早めに伝える。誰が見ても分かる引き継ぎ資料を作る欠員の補充、シフトと役割の組み直し
図1 申し訳なさを相手ごとに分けて考える

表のいちばん右の列を見てください。担任の交代、保護者への周知、欠員の補充は、どれも本来は園が責任を持つものです。保育所には子どもの年齢に応じて保育士を配置する最低基準があり、それを満たす体制を整えるのは園を運営する側の役割です[1]。辞める保育士が引き受けるのは、真ん中の列、つまり「自分にできること」を丁寧にやりきることです。

申し訳なさが強い人ほど、抱え込みやすい

申し訳なさを強く感じる人は、ふだんから人の分まで引き受けてきた人であることが多いものです。行事の準備を自分から買って出る、休んだ人の分の書類を引き受ける、熱っぽくても休まない。その積み重ねが、今の疲れの原因になっていることもあります。辞めたい理由が仕事量の多さや抱え込みにあるなら、申し訳なさを理由に残ることは、同じ構図をもう一年続けることになりかねません。抱え込みやすさそのものについては仕事を一人で抱え込んでしまうときの考え方も参考になります。

02子どもへの申し訳なさとの向き合い方

要点:子どもにとって大切なのは、担任が辞めないことより、一緒にいる間の関わりが安定していることです。最後の日まで普段どおりに過ごし、年齢に合った形でさよならを伝えれば、申し訳なさは「丁寧なお別れ」に変わります。

保育の現場では、担任の交代は特別な出来事ではありません。毎年4月には進級があり、多くの子どもが新しい担任と新しい保育室で一年を始めます。産休や育休、異動で年度の途中に担任が替わることもあります。子どもたちはそのたびに戸惑いながらも、新しい大人との関係を少しずつつくっていきます。

もちろん、だからといって寂しさがないわけではありません。大切なのは、離れることそのものより、離れるまでの時間をどう過ごすかです。辞めると決めた日から急に距離を取ったり、逆に特別扱いを増やしたりすると、子どもは敏感に変化を感じ取ります。いつもどおりの朝の受け入れ、いつもどおりの手遊び、いつもどおりの午睡チェック。その「いつもどおり」が、最後まで子どもを安心させます。

年齢に合わせた伝え方の目安

子どもにいつ、どう伝えるかは、園の方針に合わせるのが基本です。そのうえで年齢ごとの目安を知っておくと、園長や主任と相談するときに具体的な提案ができます。

図2

  • 1

    0〜1歳児クラス

    言葉での説明より、抱っこや声かけの関わりを最後の日まで変えないことを優先します。次の担任と一緒に過ごす時間を少しずつ増やしておくと、移行がなめらかになります

  • 2

    2歳児クラス

    直前に短い言葉で伝えます。「せんせいは○○の日でおしまい。○○せんせいがいるからね」と、次に頼れる大人の名前を添えます

  • 3

    3歳児クラス

    1〜2週間前を目安に、絵本や紙芝居のあとなど落ち着いた場面で伝えます。質問には短く、正直に答えます

  • 4

    4〜5歳児クラス

    理由を簡単な言葉で伝えられます。「新しいところでがんばるね」と前向きに。手紙や写真で思い出を形に残すと、子どもも気持ちを整理しやすくなります

図2 子どもへのお別れの伝え方(年齢ごとの目安)

これはあくまで目安です。年度末の退職であれば子どもには特に伝えず、新年度に新しい担任を紹介する方針の園もあります。どの方法をとるにしても、自分一人で決めずに、園の方針と次の担任の考えを確かめてから進めてください。

「せめて卒園まで」と思ったときに

4歳児や5歳児を担任していると、「せめてこの子たちの卒園までは」と考える人は少なくありません。その思いは自然なものです。ただ、それが1年以上先なら、その間の自分の体と心がもつかを先に確かめてください。卒園を見届けたい気持ちと、限界を超えて働き続けることは、別の問題です。見届けられなかったとしても、一緒に過ごした2年間、3年間が消えるわけではありません。

03保護者に言いづらいときは、伝える順番を園に任せる

要点:保護者への退職の伝え方は、保育士個人ではなく園が決めるのが基本です。自分から先に話すと混乱のもとになるため、まず園長に伝え、保護者への伝え方と時期は園の判断に合わせます。

毎日の送り迎えで顔を合わせる保護者に、何も言わずに辞めるのは不誠実な気がする。そう感じる人は多いと思います。ただ、退職の情報は、伝える順番を間違えると本人も周りも困ることになります。たとえば、仲のよい保護者に先に打ち明けて、それが園長より先に保護者の間で広まると、園は対応に追われ、あなたも残りの期間を気まずく過ごすことになります。

図3

  1. 自分の中で決める退職の時期と理由を整理し、就業規則で申し出の期限を確かめる
  2. 園長に伝える最初に話すのは園長(または園の決まりに沿った上長)。時期と引き継ぎの希望を伝える
  3. 主任・同じクラスの職員へ園長と相談したうえで、引き継ぎに関わる職員へ伝える時期を決める
  4. 全職員へ職員会議など、園が決めた場で伝える
  5. 保護者へ園の判断で、おたよりや保護者会、個別の声かけなどで伝える
  6. 子どもへ園の方針と年齢に合わせて、最後の日の前後に伝える
図3 退職を伝える順番(一般的な例)

保護者に知らせる時期は園によって違い、年度末の退職なら3月のおたよりで職員の異動とあわせて知らせる園もあれば、最終日まで公表しない園もあります。自分の希望があれば、園長に「お世話になった保護者に、最後にひと言あいさつをしたい」と伝えておくと、その場をつくってもらえることもあります。

保護者に聞かれたときの答え方

園から公表される前に、保護者から「先生、来年もいるの?」と聞かれることもあります。そのときは、うそをつく必要はありませんが、詳しく話す必要もありません。「来年度のことは、園から改めてお知らせがあると思います」と、園の発表を待ってもらう答え方が無難です。公表されたあとなら、「○○ちゃんと過ごせて、本当に楽しかったです」と感謝を短く伝えるだけで、気持ちは十分に届きます。

04同僚への迷惑を小さくするのは「早さ」と「見える化」

要点:同僚への迷惑を減らすいちばんの方法は、早めに伝えることと、誰が読んでも分かる引き継ぎ資料を残すことです。法律上は申し出から2週間で退職できますが、保育の現場では1〜3か月前を目安に伝えると、園が体制を組み直す時間をとれます。

期間の定めのない雇用であれば、法律上は退職の申し入れから2週間で雇用が終わります[2]。厚生労働省も、会社が承諾しなくても申し入れから2週間で効力が生じると説明しています[3]。つまり、「辞めさせてもらえない」ということは本来ありません。

それでも同僚への申し訳なさを少しでも減らしたいなら、時間を味方につけることです。保育士の有効求人倍率は2026年7月時点で2.80倍と、全職種平均の1.15倍を大きく上回っています[4]。これは保育士にとっては仕事を見つけやすい状況ですが、園の側から見れば、欠員をすぐには埋めにくい状況でもあります。早く伝えるほど、園は求人を出し、シフトを組み直し、来年度のクラス体制を考える時間をとれます。何か月前に伝えるかの考え方は退職を何か月前に伝えるかの目安で詳しく紹介しています。

図4

  1. 退職の3〜4か月前就業規則で申し出の期限を確かめ、園長に面談の時間をもらって伝える
  2. 3か月前引き継ぎ資料の作成を始める。担当している書類、行事、係の仕事を書き出す
  3. 2か月前同じクラスの職員や次の担任と、子ども一人ひとりの情報を共有する時間をとる
  4. 1か月前残っている有給休暇の使い方を園と相談する。保育室の私物と教材を整理する
  5. 最後の2週間引き継ぎ資料を最終確認し、保護者や子どもへのあいさつを園の方針に沿って行う
図4 迷惑を小さくするための準備スケジュール(年度末退職の例)

有給休暇が残っている場合、退職前に残りをすべて取得したいと申し出れば、園は時季を変えるよう求めることができないとされています[5]。ただ、まとめて取ると引き継ぎの時間が減るため、引き継ぎを終えてから最後の数日にまとめるなど、園と相談しながら計画するのが現実的です。

「人が足りないから」と言われたら

「今辞められたら回らない」と言われると、申し訳なさはいっそう強くなります。けれど、人手の確保は園の運営の問題であって、一人の保育士が退職を先延ばしにして解決するものではありません。言われたときは、「ご迷惑をおかけするのは分かっています。だからこそ、引き継ぎはきちんとやります」と、配慮の中身を具体的に示すと話が前に進みやすくなります。引き止められたときの対応は引き止められたときの伝え方にまとめています。

05引き継ぎ資料は「自分がいなくても回る」を目標に作る

要点:引き継ぎ資料のゴールは、自分がいなくなった翌日から、次の担当者が迷わず動けることです。子どもの情報、家庭とのやりとり、書類と行事、物の場所を押さえれば、同僚への申し訳なさの多くは形にして残せます。

引き継ぎ資料を作ることは、申し訳なさを行動に変えるいちばん確かな方法です。しかも、書いているうちに「自分はこれだけのことをやってきたんだ」と振り返る時間にもなります。

図5

  • 子ども一人ひとりの様子発達の様子、好きな遊び、苦手なこと、気持ちが落ち着く関わり方。次の担任が最初の1週間で困らないようにします
  • アレルギーや配慮事項生活管理指導表の内容や、食事・午睡で気をつけていることを、担当以外の人にも分かる言葉で残します
  • 家庭とのやりとり連絡帳でよく相談がある内容、迎えに来る人、連絡がつきやすい時間帯など。個人情報は園の決まりに沿って扱います
  • 進めている書類月案・週案、個人記録、指導計画の進み具合と保存場所。書きかけのものは書きかけと分かるようにします
  • 行事の準備担当している行事の進み具合、決まっていること、未定のこと、相談先
  • 係の仕事教材の発注、飼育物の世話、園だよりの担当など、クラス以外で持っている役割
  • 物の場所教材、制作の材料、季節の壁面の保管場所。写真を添えると伝わりやすくなります
図5 引き継ぎ資料に入れておきたい項目

資料は一度に完璧を目指さなくてかまいません。ノンコンタクトタイムや午睡の時間に1日10分ずつ書き足していくだけでも、1か月あればかなりの量になります。手書きのメモより、園のパソコンや共有のファイルにまとめておくと、次の担当者が見つけやすくなります。

アレルギー対応については、国のガイドラインで生活管理指導表に基づく対応が必須とされています[6]。引き継ぎでは、自分なりの工夫だけを書くのではなく、園で決めている手順をそのまま次の人に渡すことを意識してください。

最終日までに済ませておきたいこと

引き継ぎ資料のほかにも、最終日が近づくと細かな用事が重なります。慌てて「あれを伝え忘れた」とならないよう、最後の2週間で次のことを済ませておくと安心です。

  • 次の担任と一緒に保育に入る日を少なくとも数日つくり、子どもの前で自然にバトンを渡す
  • 保育室や更衣室の私物を少しずつ持ち帰り、最終日に大きな荷物を抱えないようにする
  • 作りかけの制作物や壁面は、完成させるか、続きを誰が担当するかを決めておく
  • 退職後に園から届く書類(源泉徴収票など)の送り先として、今の住所を事務担当に確かめる
  • お世話になった職員には、最終日を待たずに一人ずつ短く感謝を伝えておく

最後の項目は意外と大事です。最終日はあいさつの時間が限られ、シフトの関係で会えない人もいます。早番の人には朝のうちに、遅番の人には夕方の引き継ぎのときにと、数日に分けて伝えていくと、申し訳なさで終わらず「ありがとう」で締めくくれます。

06相談事例:「卒園まで」をやめた日

要点:子どもへの申し訳なさから1年以上辞められずにいた保育士が、気持ちを相手ごとに分けたことで動き出したモデルケースです。

申し訳なさを、引き継ぎシートに変えた

相談事例(モデルケース)

お名前
ちぐささん(仮名)・31歳
保育士歴
9年目(相談当時)
勤務先
社会福祉法人の認可保育園(定員約120名)、4歳児クラス担任
変化
申し訳なさで眠れない夜 週3〜4日 → ほとんどなし

編集部相談に来たとき、どんな状態でしたか。

ちぐささん

辞めたいと思い始めて、もう1年以上たっていました。持ち帰りの仕事が月に20時間くらいあって、腰も痛めていて。でも、3歳児から持ち上がった子たちだったので、「この子たちの卒園までは」って、自分で自分に約束していたんです。卒園まで、まだ1年半ありました。

編集部その約束について、どう考えるようになりましたか。

ちぐささん

相談で「卒園まで、というのは子どもが望んでいることですか。それとも、ちぐささんが決めた条件ですか」って聞かれたんです。正直、ドキッとしました。子どもたちは、私が卒園式にいるかどうかより、明日の朝いつもどおりに迎えてもらえるかのほうが大事なんだろうなって。

編集部そこから、何をしましたか。

ちぐささん

申し訳ない相手を、子ども、保護者、同僚に分けて紙に書きました。そうしたら、子どもと保護者のことは「自分にできること」がはっきりしていて、いちばん重かったのは同僚への気持ちだったんです。同じクラスの後輩がまだ2年目で、私が抜けたら一人で抱えるんじゃないかって。

編集部その気持ちには、どう向き合いましたか。

ちぐささん

12月に園長に伝えて、年度末で辞めることにしました。それから3か月かけて、子ども24人分の引き継ぎシートを作りました。一人につきA4で1枚です。後輩とは毎週金曜の午睡の時間に30分ずつ読み合わせをして。最後のほうは、後輩のほうから「ここ、こう書いたほうが分かりやすいです」って直してくれるようになっていました。

申し訳ないと思うのをやめたんじゃなくて、申し訳ない分だけ、残せるものを残そうって決めたんです。

ちぐささん(仮名)

ちぐささんは3月末で退職し、持ち帰りの少ない定員60名ほどの園に移りました。退職前の1か月は、残っていた有給休暇のうち5日を、引き継ぎを終えた最後の週に充てています。新しい園では持ち帰りはほとんどなく、腰の痛みも落ち着いてきたそうです。

このケースで大きかったのは、申し訳なさを無理に消そうとしなかったことです。気持ちを相手ごとに分けたことで、いちばん重かったのが同僚への気持ちだと分かり、それを引き継ぎシートという形に変えられました。「卒園まで」という条件が、実は自分で自分に課していたものだと気づいたことも、動き出すきっかけになっています。

※相談で多く寄せられる状況をもとに再構成したモデルケースです。特定の個人ではなく、数値は一例です。

07申し訳なさとつきあうために、知っておきたい限界

要点:どれだけ準備しても、迷惑をゼロにすることはできません。また、心や体の不調が出ているなら、申し訳なさより自分の回復を優先してください。この二つを知っておくと、必要以上に自分を責めずにすみます。

迷惑を「ゼロ」にする辞め方はない

どんなに早く伝えても、どんなに丁寧に引き継いでも、人が一人抜ければ、残る人の負担はある程度増えます。年度の途中なら、子どもや保護者が戸惑うこともあるでしょう。それは、あなたの準備が足りないからではありません。働く人が入れ替わるのは、どの職場でも起きることです。目指すのは「迷惑をかけないこと」ではなく、「できる範囲で迷惑を小さくすること」です。そこまでやったなら、あとは園に任せてかまいません。年度の途中で辞める場合の進め方は年度途中で辞めたいときの進め方にまとめています。

不調があるなら、申し訳なさより回復を先に

眠れない、食欲がない、出勤前に涙が出る、といった状態が続いているなら、引き継ぎや時期の調整より、まず休むことと受診を考えてください。体調を崩してからでは、引き継ぎそのものができなくなることもあります。働く人のための「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17時〜22時、土日10時〜16時。祝日と年末年始は休み)では、仕事の悩みやストレスを相談できます[7]。病院や窓口につながることは、申し訳なさから逃げることではなく、周りへの影響を大きくしないための選択でもあります。

申し訳なさを一人で抱えていると、どうしても「辞めないのがいちばん迷惑をかけない」という結論に戻ってしまいます。辞めるかどうか自体をまだ決められないなら、辞めるべきか迷うときの判断基準で気持ちを整理してみてください。ほいくの相談室では、辞めると決めていない段階でも、子どもや同僚への気持ちを含めて話を聞いています。保育の現場を知っている相手に話すと、申し訳なさの中身が思いのほか早く整理できることがあります。

よくある質問

担任を持ったまま年度の途中で辞めるのは、無責任でしょうか?

無責任かどうかは、辞める時期よりも辞め方で決まります。早めに園長に伝え、引き継ぎ資料を残し、最後の日まで普段どおりに関わることができれば、年度の途中でも誠実な辞め方です。心身の不調がある場合は、時期より健康を優先してください。

子どもに「どうしていなくなるの?」と聞かれたら、どう答えればいいですか?

年齢に合わせて、短く正直に答えるのが基本です。「新しいところでがんばることにしたんだよ」のように前向きな言葉を選び、「○○せんせいがいるから大丈夫だよ」と次に頼れる大人を伝えると、子どもも安心しやすくなります。答え方は事前に園長や次の担任とそろえておくと安心です。

お世話になった保護者に、個人的に連絡先を伝えてもいいですか?

園によっては、職員と保護者が個人的に連絡を取り合うことを禁止していることがあります。退職後のトラブルを防ぐためにも、まず園の決まりを確かめてから判断してください。感謝の気持ちは、園が設けたあいさつの場で伝えるのが無難です。

同僚に申し訳なくて、退職を伝えたあとも気まずいです。

気まずさは、多くの場合、引き継ぎが進むにつれて和らいでいきます。自分から引き継ぎの時間を提案したり、仕事の進め方を共有したりすると、残る人にとって「辞める人」から「頼れる引き継ぎ役」へと見え方が変わります。謝り続けるより、感謝を言葉にするほうが関係は保ちやすくなります。

辞めると決めたのに、申し訳なさで気持ちが揺らいでしまいます。

大きな決断のあとに気持ちが揺れるのは自然なことです。辞めると決めた理由と、相手ごとに書き出した「自分にできること」を読み返してください。それでも迷いが続くなら、退職の時期を見直すなど、園と相談しながら調整する余地もあります。

参考にした資料

  1. 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項
  2. e-Gov法令検索「民法」
  3. 確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」(厚生労働省)
  4. こども家庭庁「保育士有効求人倍率(R8.7)」(出典:厚労省 職業安定業務統計)
  5. 確かめよう労働条件「年次有給休暇」
  6. 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)
  7. こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」

※制度や数値は記事の更新時点で公的機関の資料により確認しています。最新の情報は各リンク先でご確認ください。

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